【記事28040】マグニチュード8の衝撃、高層ビルの耐震性能は無意味?!(阿修羅2012年3月28日)
 
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マグニチュード8の衝撃、高層ビルの耐震性能は無意味?!

 首都圏で起こる地震の予想が震度6強から震度7に上がったが、震度7が予想される前に建築された高層ビルの耐震性能は震度7に対応できるのだろうか。
 このことを意識したのかどうか不明だが、AERA4.2号に「免震超高層への不安」という記事がある。一般には100m以上の高さのビルを超高層というのだそうだ。免震構造はもともと低層の建物、たとえば4階とか6階程度の建物用に開発されたという。ところが免震構造で高層ビルを建てると、却って建設費を安くできるというのだ。理由は高層ビルを免震構造にすることで建物に作用する地震力を少なく出来るので、トータルとして耐力を落とした設計が出来、30階建て以上だと割安に建設できるからという。

 今の日本に60mを超す建物は約2500あり、そのうち免震構造は300ほどだという。

 免震構造は簡単に言うとビルの周りにある程度の余裕を持って擁壁を作り、その中にビルの底部を据付ける。据付け方は、ビルの底部に積層ゴムに鉄板とゴムを交互に重ねたものを取り付けて、それと土台の上の積層ゴムと結合するやり方だ。このゴムの部分が横にずれて横揺れを吸収する。このままでは弱いのでダンパーという普通はばね構造のものを取り付けて揺れを制御する。
 ところが東海、東南海、南海地震の3連動地震の模擬波(マグニチュード8.4を想定)でシュミレーションすると、ビルの揺れを制御しきれずに擁壁にぶつかってビル本体が壊れてしまう事例が出てきた。更に揺れが大きくなりすぎて積層ゴムが引き抜かれてしまうことも予想されている。大阪に実際にあるビルを3棟選んで趣味レーションした結果、擁壁にぶつかるのが一つ、積層ゴムが引きぬけてしまうのは三棟全部だった。
 要するに耐震設計といってもかなり揺れが小さく予測されていたのだ。更にマンションなどは免震構造になった結果、耐震設計のものよりも鉄筋などが少なめになっているものがあるという。

 さて、ここからは自分の予測だが、縦波の影響がほとんど考慮されていないため、耐震設計であっても免震設計であっても、高層ビルでも低層ビルでも、かなりの建物が震源の真上にあった場合、一瞬で破壊されてしまうと思う。もちろんマグニチュードが5ぐらいまでなら被害はほとんどないだろう。でもマグニチュード6を超えた直下型の地震が都市を直撃した例はほとんどない。阪神大震災を起こした兵庫県南部地震がこれに近いが、東京とか大阪、名古屋といった大都市とはかなり違うし、震源は都市部の直下ではなかったし、横ずれ断層型がかなり入った地震だった。予想されている東京湾北部地震が逆断層型になる可能性はあるし、プレート境界型の地震である東海、東南海、南海地震はどれも逆断層型になるはずで、かなりの縦波が発生するはずだ。
 阪神大震災では縦波の被害がほとんど隠蔽されたと言われていて、耐震偽装の問題が出てきた2005年にも縦波被害が隠蔽されているという報道が一部であったがすぐに姿を消してしまった。
 地震対策、震災対策の基本は都市の分散化だ。空間を広く取った余裕のある街づくりが地震などの被害を軽減する。だから首都機能移転などを大胆に進めるべきなのだ。そして、日本全国の地方都市に地熱開発をして人口数万から10万人程度のエコシティをどんどんと作っていくべきだと思う。分散型のエネルギー源を開発しておかないと、東海、東南海、南海地震の3連動地震とか首都圏直下地震に対抗できない。地震が多い日本のいい点は日本全国どこでも地下4000m程度でかなりの地熱が得られることだ。地震に対する備えとして地熱を生かさない手はない。

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