【記事43190】検証 熊本地震 小さく見える発生確率 誤解招く国の政策 耐震基準 地域で差 国は地震をどう予知? 3組織が研究「阪神」も踏まえ(毎日新聞2016年5月15日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 活断層を震源とする地震が広く注目されたのは、1995年の阪神大災からだ。専門家には知られていた六甲・淡路島断層帯の一部が動いて起きたが、多くの住民には「寝耳に水」だった。
 その後、既知の活断層を徹底的に調査すれば内陸地震の予測は可能として、国は地震調査研究推進本部(地震本部)を設置し、全国の活断層調査を急いだ。国内に2000以上あるとされる活断層のうち主要97断層については、発生確率を公表した。
 熊本地震で4月16日の「本震」の震源となった布田川断層帯(布田川区間)は、今後30年以内の発生確率は「ほぼ0〜0.9%」とされた。ごく低い確率にしか思えないこの数字が意味する発生確率は「やや高い」だ。
 地震本部は発生確率が3%以上を「高い」、0.1%以上3%未満を「やや高い」と位置付けている。阪神大震災直前の六甲・淡路島断層帯の一部の確率を、発生後に計算したところ、0.02〜8%で「高い」だった。
 小さな数字になってしまうのは、数百〜数万年に1回起きる確率を「今後30年以内」に当てはめるからだ。このため地震本部は断層単独ではなく、「九州中部でマグニチュード(M)6.8以上の地震の発生確率は18〜27%」という地域全体の数値も示していた。それでも危険性の理解が進んだとは言い難かった。
 布田川断層帯の「やや高い」とする評価が、熊本市の地震ハザードマップで「極めて低い」に変わった経緯を、市の担当者は「国のデータをそのまま使っているが、分からない。発生確率の数字が高いのか低いのかは分かりにくい」と言いよどむ。
 「20年前と同じことが繰り返された。これではだめだと証明された」。政府の地震調査委員会の平田直委員長(地震学)は痛恨の面持ちだ。阪神大震災で「関西では地震がないと思っていた」という言葉を耳にし、地震の予測地図を改訂してきた。それなのに「九州では地震がないと思っていた」との声が繰り返された。佐藤比呂志・東京大地震研究所教授(構造地質学)は「熊本地震の根本的な問題は、防災を担う人々に危険性を伝えられなかったことだ」と指摘する。(後略)

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