【記事58010】知事選 橋本氏「原発再稼働認めず」 東海第2、争点化(茨城新聞2017年8月15日)
 
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知事選 橋本氏「原発再稼働認めず」 東海第2、争点化

 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村)の再稼働問題を巡り、知事選の出陣式などで現職の橋本昌氏(71)が「再稼働を無条件に認めない」と言明し、再稼働問題が争点として急浮上した。再稼働について、新人の大井川和彦氏(53)=自民、公明推薦=は「県民の意見を十分に反映させる」と特に是非を明確にせず、新人の鶴田真子美氏(52)=共産推薦=は「再稼働反対と廃炉」を掲げる。再稼働への対応が知事選の行方にも絡みそうだ。
 橋本氏の再稼働を認めないとする言明について、県市長会の一員として同氏を推薦する海野徹那珂市長は「はっきり姿勢を示した方が応援しやすい」と歓迎。再稼働に反対する市民団体の女性は「幅広い支持者を抱える中で、よくここまで言ってくれた」と評価する。
橋本氏の選対本部長を務める豊田稔北茨城市長は「ようやく本人が判断した。選挙情勢が厳しいから言ったのではなく、いろいろ分析した結果の判断だ」と強調する。

■「現職の重み」
 橋本氏の言明について、高橋靖水戸市長は「本意は分からないが思い切った決断だ。現職が言うのと新人が言うのとでは重みが違う」と受け止める。東海村の山田修村長は、国が原発周辺30キロ圏の14市町村と県に対し、事故に備えた避難計画策定を義務付けていることから「計画を策定中で、職責を放棄するような発言」とやや批判的だ。
 橋本氏を推薦する連合茨城は、傘下に原発と関わりの深い電力総連や電機連合などの産別労組を抱えており、幹部の一人は「驚いた。戸惑っている」と、橋本氏から直接説明がないとして状況を注視する。知事選で自主投票を決めた民進党県連は「寝耳に水。24年間の議会答弁を振り返ると方針転換は信じられない」(長谷川修平幹事長)と驚きを隠さない。
 原電関係者は「想定はしていたが、正直ショックだ」と困惑する。

■「選挙で議論を」
 原発再稼働に関して大井川氏は「県民の意見を十分に反映する形で、再稼働の可否を慎重に判断する」と是非は明らかにしていない。大井川氏を推薦する自民党県連は「どう対処するという議論に至っていない」(田山東湖幹事長)とし、一方で、同じく推薦する公明党県本部は再稼働反対を明確に主張する。
 7月の都議選で自民党が敗北し、公明党は従来の橋本氏支援から大井川氏推薦に転じたが、大井川氏との政策協定では再稼働の是非までは踏み込んでいない。
 橋本氏の踏み込んだ姿勢について、公明関係者は「選挙戦を通じて議論を深める。これこそ選挙。歓迎したい」とした。鶴田氏は、公約の第一に再稼働反対と廃炉を掲げる。福田勝夫選対本部長は「太陽光や小水力など再生可能エネルギーへの転換も提案し、廃炉後の仕事のことも考えている」と、他の2候補との違いを強調する。

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