【記事66766】「東海第二」再稼働に水戸市議会が反対意見書可決へ 他市町村に波及も(東京新聞2018年3月20日)
 
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「東海第二」再稼働に水戸市議会が反対意見書可決へ 他市町村に波及も

 東海村に立地する日本原子力発電(原電)東海第二原発を巡り、水戸市議会総務環境委員会は十九日、現時点で再稼働に反対する意見書案をまとめた。この日の委員会には、原電の担当者も傍聴し、議論の行方を注視。意見書は二十二日の本会議で可決する見通しで、県内最多の人口二十七万人を抱える水戸市議会の動きは、首長の再稼働判断や、他市町村議会にも影響を与える可能性がある。 (山下葉月)
 委員会では、委員長を除く五人全員が意見書案に賛成。委員の一人、伊藤充朗市議(公明)は「原発事故から学ぶことは、原発は認められないということ。事故が起きたら避難できない。さまざまな議員の支持者も同じように思った結果だろう」と話す。
 これまで、市議会には、再稼働に反対する住民からの請願や陳情が出されていたが、不採択などとなり、意見書の提出までに至っていなかった。
 昨年六月に延長運転の反対を求めた陳情は先月の委員会で、不採択ではないものの、内容に賛同する趣旨採択とされ、意見書の提出までにはならなかった。
 陳情を提出した生活クラブ生活協同組合茨城水戸センターの理事、市原裕美さん(50)は、今回の動きに「驚いているがうれしい。周辺の自治体にも広がってほしい」と期待を寄せた。
 この日の委員会の傍聴席には、原電社員の姿も見られた。傍聴の経緯や理由について、原電の広報担当者は「水戸市に限らず、議会はいつもチェックしている。委員会でも傍聴するようにしている」とコメントした。
 意見書案によると、原発から三十キロ圏の十四市町村の実効性ある避難計画の策定が不十分とした上で、原電が運転延長を申請したことに「再稼働を前提とした運転延長を認められない」とした。本会議で可決後、議長名で国や県などの関係機関に提出する。
 東海第二の原子力規制委員会による新規制基準に基づく審査は現在、原電が安全対策費約千八百億円の資金調達ができるかなどを焦点に議論が続いている。規制委の審査が十一月二十八日までに終わらないと、廃炉になる。

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