[2014_05_02_01]凍土遮水壁に懸念 東電・原子力監視委員長 「最良と確信持てず」(東奥日報2014年5月2日)
 
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 東京電力で組織改革や原発事故への取り組みを監視する「原子力改革監視委員会」委員長で元米原子力規制委員会(NRC)委員長のデール・クライン氏は1日、都内で共同通信と会見し、福島第1原発の汚染水問題の切り札と期待される凍土遮水壁について「最良の選択肢との確信が得てない。意図せぬ結果が生じないか心配だ」と語った。
 同席した副委員長で英原子力公社名誉会長のバーバラ・ジャッジ氏も、実証性を見極める試験を夏の暑い時期に行う必要があると指摘。クライン氏とともに凍土壁の実効性に懸念を表明した。
 凍土壁をめぐっては、日本の原子力規制委員会や土木専門家からも疑念の声が出ており、クライン氏らの発言が本年度中の運用開姶を目指す東電の計画にも影響を与える可能性がある。
 クライン氏は凍土壁に関しては世界中で多くの知見と実績があるとしながらも「これだけの規模のものが造られたことはない。(本来は)数カ月間の一時的な措置。地下水がどこへ行き、最終的にどうなるのか、さらなる試験と分析が必要だ」と述べた。
 さらに、汚染前の地下水をくみ上げて海に流す地下水バイパスの方が「ずっと望ましい」と強調。「(凍土壁は)コストが高い。政府と東電は限られた財源の使い道として最適かどうか検討すべきだ」と述べて慎重な姿勢を示した。
 また、クライン、ジャッジ両氏は除染や将来の廃炉に向け、東電が「海外からより多くの助言を仰ぐ」必要性について言及。米英両国が核兵器関連施設の除染経験があることから、米エネルギー省などの関係機関と情報共有や人的交流を推進することの重要性を力説した。
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