[2014_10_23_01]建屋カバー解体着手 第一原発1号機 溶融燃料取り出しへ一歩(福島民報2014年10月23日)
 

建屋カバー解体着手 第一原発1号機 溶融燃料取り出しへ一歩

 東京電力は22日、福島第一原発の水素爆発で大破した1号機を覆う原子炉建屋カバーの解体に向けた作業に着手した。廃炉作業で最難関となる溶融燃料の取り出しへの第一歩で、初日は飛散防止剤の散布などを行った。周辺市町村などはカバー解体による放射性物質の飛散を懸念しており、今後は飛散防止策やモニタリング、緊急時通報などの徹底が求められる。
 東電は同日午前、遠隔操作のクレーンに付けた装置で、ポリエステル繊維の屋根に30センチ四方の穴を開け、飛散防止剤を建屋内に散布する作業を始めた。この日は屋根を構成する計6枚のパネル1枚は幅7メートル、長さ42メートルのうち1枚に8カ所の穴を開け、防止剤を計4千リットルまいた。
 今月末までに、残りのパネル5枚で同様の作業を繰り返し、がれきの状況や防止剤の効果を一定期間監視する。
 パネルの置き場を確保するため、建屋カバーの解体は、建屋周辺で12月から来年2月まで実施する凍土遮水壁の工事終了後に取り組む。ただ、遮水壁工事が予定通りに進むとは限らず、解体作業に影響を与える可能性がある。
 カバー解体後は約1年半かけて建屋上部のがれきを撤去する。さらに使用済み核燃料プールにある392体の燃料を共用プールに移し、平成32年度前半に溶融燃料の取り出しを始める計画だ。
 初日は県廃炉安全監視協議会の委員約20人が作業を視察した。県原子力安全対策課の渡辺仁課長は記者団に対し「県民の不安を招かないためにも飛散防止対策は重要だ。必要に応じ対策の強化を求めていく」と語った。
 1号機建屋カバーは23年10月に放射性物質の飛散を防ぐために設置した。当初は25年度中に解体する予定だったが、クレーンの故障や、昨年8月の3号機のがれき撤去作業で粉じんが飛散した問題などを受け、工程が遅れていた。

■求められる慎重な作業
 1号機の建屋カバーの解体作業に向けて、東電は放射性物質の飛散防止のために周辺モニタリングを強化し、緊急通報態勢を整えたが、トラブルを未然に防ぐための慎重な作業が求められる。
 東電は従来より放射性物質の粘着力に優れた飛散防止剤を使い、散布回数を増やした。さらに、粉じんが散った場合に放射性物質の量を計測する機器を1号機の建屋5階をはじめ、敷地内や敷地境界付近の計24カ所に設置した。県や市町村への通報態勢整備などの対策を県や市町村に示し、解体に向けた作業着手の了承を取り付けた。
 昨年8月に3号機のがれき撤去で放射性物質が飛散した問題では、今年に入ってから数十キロ離れた水田のコメが汚染された可能性が指摘されるなど、県や地元市町村の国や東電に対する不信感は根強い。「作業ミスは許されない」とし、作業や東電などの対応を注視している。

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