【記事67810】元副社長「対策保留」=津波対策の東電社員証言―原発事故公判・東京地裁(時事通信2018年4月10日)
 
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元副社長「対策保留」=津波対策の東電社員証言―原発事故公判・東京地裁

 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の公判が10日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、同社で津波対策に携わった社員が出廷した。
 事故3年前に巨大津波が襲来する可能性を元副社長武藤栄被告(67)に報告した際、「対策を保留にするとの結論が示され、力が抜けた」と証言した。
 東電は2008年、政府機関が公表した長期評価に基づき、原発敷地高を上回る15.7メートルの津波が襲来する可能性があると試算。出廷した社員は土木調査グループで、試算を担当していた。
 証言によると、社員らは同年6月、原子力・立地副本部長だった武藤元副社長に試算結果を報告した際、防潮堤設置に必要な許認可を調べるよう指示を受けた。社員は「試算を前提に検討が進むと思った」という。
 しかし、翌7月の会議で武藤元副社長は「研究を実施する」と明言。社員は「前のめりに対策を検討してきたが、予想していなかった結論で力が抜けた。対策はいったん保留になったと思った」と振り返った。
 同原発の敷地は海抜約10メートルで、検察官役の指定弁護士は、元会長勝俣恒久被告(78)ら旧経営陣が巨大津波の襲来による事故発生を予見できたと主張。元会長らは「試行的な計算で、対策を取っても事故は防げなかった」として無罪を主張している。


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