【記事69610】<東電強制起訴>津波対策先送りに「合理性」元社員が証言(毎日新聞2018年4月24日)
 
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<東電強制起訴>津波対策先送りに「合理性」元社員が証言

 ◇東京地裁 旧経営陣3人の第8回公判
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第8回公判が24日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。事故前に想定津波の試算を担当していたグループのマネジャーだった元社員の男性が出廷し、元副社長の武藤栄被告(67)が2008年に津波対策を「先送り」する方針を示したことは合理性があったとの見解を示した。
 検察官役弁護士側は公判で、武藤元副社長らが第1原発に最大15.7メートルの高さの津波が来るとの社内試算を把握しながら、対策を先送りしたと主張。一方、弁護側は「試算が確実なものかどうか(外部学会に)検討を依頼した」として「先送り」を否定している。
 男性は第5〜7回公判に出廷した現役社員の元上司。この日の尋問では、武藤元副社長が08年7月、15.7メートルの想定津波について対策を進めず、検討するとしたことについて「(検討後に)対策は取るので、合理性を欠くものではないと考えた」と述べた。
 一方で、原発事故時に到来した実際の津波については「15.7メートルという数値を知っていたので、『想定外』とは考えづらかった」と語った。【石山絵歩、岡田英】

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