【記事76900】<東電公判>意見陳述で遺族「両親返して」 来年3月結審(毎日新聞2018年11月14日)
 
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<東電公判>意見陳述で遺族「両親返して」 来年3月結審

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の公判は14日、東京地裁(永渕健一裁判長)で被害者遺族が意見陳述した。事故で長期避難を強いられ、家族を亡くした2人が出廷し「両親を返してほしい。誰一人、責任を取っていないのは許せない」などと訴えた。
 3被告は勝俣恒久元会長(78)と、武黒一郎(72)▽武藤栄(68)の両元副社長。地裁はこの日、次回以降の公判期日を発表。12月26、27日に検察官役の指定弁護士による論告求刑、来年3月12、13日に弁護人による最終弁論を行って結審すると明らかにした。
 公判に出廷した遺族の1人は事故当時、福島県大熊町に住んでいた女性。第1原発から約4.5キロ離れた介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」に入所していた両親が避難中に亡くなっており、「事故さえなければ両親を亡くすこともなかった。(東電が津波)対策を取っていれば、事故は防げたと思うと死んでも許すことはできない」と述べた。
 もう1人の遺族男性は事故で祖父母を亡くしたとし「(被告らに)刑事責任を取ってもらわないと、教訓にならない。二度と同じ思いをする人が出ないよう、遺族が死を突きつけられたことを忘れないでほしい」と語った。
 その後、指定弁護士と被害者側弁護士が別の遺族3人の陳述書を代読。原発事故により「ドーヴィル」に隣接する系列病院「双葉病院」内で母親を亡くした女性が「母は骨と皮でミイラのようになっていた。全責任は上層部にあったと認めてほしい。母は東電に殺されたと思っている」とつづった内容などを明らかにした。【蒔田備憲、柳楽未来】

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