[2013_04_11_01]泊断層調査不可欠に 規制委 重大事故対策強化 再稼働年内困難 原発新基準案(北海道新聞2013年4月11日)
 原子力規制委員会が10日決定した原発の新規制基準案は、活断層についての詳細な調査を要求しているほか、地震や津波、重大事故などに新たな対策を求めている。北電泊原発(後志管内泊村)は、敷地内にある断層について新たな調査が必要となるほか、防潮堤の建設や施設改修など多くの対策が不可欠とみられ、年内の再稼働は一段と困難な情勢となった。

 原発敷地内の活断層について、新規制基準案は「活断層を判断する12万〜13万年前の地層が存在しない場合は40万年前の地層まで変形がないことを確認しなければならない」と調査方法を明確化した。
 泊原発は1号機の西側のFー1(全長360メートル)など3本の断層が、中期更新世(12万5千年〜78万年前)に活動したとされる。
 北電は(1)12万〜13万年前の地層自体が存在しない(2)20万年前の地層にも変形がない−として、現在の基準では活断層に当たらないと説明しているが、新基準で詳細な調査が求められる見通しとなった。敷地内で活断層の存在が疑われる場合、規制委は一定の調査結果がまとまるまで、再稼働の審査をしない方針で、泊原発の再稼働に大きなハードルとなる。
 重大事故対策では、緊急時炉心冷却装置の配管多重化などの即時実施が盛り込まれ、泊原発も改修対象になる可能性がある。ただ、泊原発が採用する加圧水型軽水炉(PWR)については、事故などの際に原子炉格納容器内の圧力を下げるベントなど11項目の設備整備には5年間の猶予期間を設けた。
 また、津波対策として、想定される最大規模の津波「基準津波」に耐える防潮堤などが必要となる。泊は現在、高さ16・5メートルの防潮堤を建設中で来年12月に完成する。防潮堤がない状態で「基準津波」が防げないと判断されれば、再稼働は遅れる。さらに、事故時に前線基地となる緊急時対策所も未設置で、既存の施設で代替しなければならない。
 北電は「(新しい)規制基準はまだ具体的な内容が判明しておらず、より明らかになった段階で迅速に対応したい」としている。
 新規制基準案は意見公募(パブリックコメント)を踏まえて、7月に施行される。

 5年猶予に抗議 撤回署名を提出 反原発市民団体

 原子力規制委員会が10日、原発の新規制基準の一部の適用を5年間猶予する案を決めたことから、反原発の全国市民団体「原子力規制を監視する市民の会」は同日、猶予撤回を求め同委員会に2933筆の緊急署名を手渡した。
 新基準は、事故で原子炉内の圧力が高まった際に、蒸気を大気中に放出して爆発を避けるフィルター付きベントの新設を、泊原発など加圧水型軽水炉については最長5年間猶予した。
 市民の会は「お金がかかるから命の危険を無視して猶予した。事故が5年間待ってくれる保証はない」として、同委員会が入る建物前で抗議集会も開いた。
KEY_WORD:泊_防潮堤_:TOMARI_:TSUNAMI_: