[2003_09_26_01]北海道で震度6弱 早朝2回、重軽傷278人 M8.0 むつ、野辺地など5弱 太平洋沿岸に津波 特急脱線や空港閉鎖 道内、交通網などに被害(東奥日報2003年9月26日)
 26日午前4時50分ごろと、同6時8分ごろ、北海道南部の浦河町などで震度6弱を観測する地震があった。室蘭市で男性(59)が倒れたたんすの下敷きになるなど、26日午前11時50分現在、地震による北海道の重軽傷者は278人。津波の影響で釧路町など関係自治体は住民に避難勧告を出し、道内で計約4万1千人が避難した。青森地方気象台によると、午前4時50分ごろに釧路沖で発生した地震では、むつ市、大間町、上北町など41市町村で震度4を観測。午前6時8分ごろに発生した十勝沖の地震では、むつ市、東通村、野辺地町の三市町村で震度5弱、県内全域で震度4-2を観測した。また、八戸、むつなど太平洋沿岸で午前8時半までに最大1メートルの津波が発生、各港は警戒に追われた。【関連記事2、3面に】

 太平洋沿岸に津波

 気象庁によると、午前4時50分ごろの地震の震源地は釧路沖で、震源の深さは約42キロ。マグニチュ一ド(M)は8・0と推定され、太平洋プレートと北米プレートの境界で発生したとみられる。M8クラスの地震は1994年の北海道東方沖地震の8・2以来。午前6時8分ごろの地震は余震とみられ、震源地は十勝沖。震源の深さは約60キロで、M7・0と推定される。北海道ではその後も余震が相次いだ。
 気象庁はM7以上の余震が発生する確率は四割弱と想定、警戒期間は10日程度としている。
 政府は午前5時15分、首相官邸に「官邸対策室」を設置。同日夜、地震調査委員会を開き、今回の地震のメカニズムを分析する。
 防衛庁は偵察ヘリなどを出動させて上空からの被害状況の確認に当たり、北海道知事の要請を受け給水支援のため現地に部隊を派遣した。
 気象庁は北海道大平洋沿岸東部、中部に津波警報を発令。えりも町は津波警報のため全世帯に避難勧告を出した。釧路で午前5時18分、高さ1.0メートルの第一波の津波を観測。同6時24分には浦河で1.3メートルの津波を記録した。
 苫小牧市にある出光興産北海道製油所の原油貯蔵タンクが炎上。えりも町のえりも漁港や広尾町の十勝港では、津波で車が海に流され、様似町の様似漁港では小型漁船二隻が転覆。根室港は岸壁で液状化現象が発生し、釧路港で貯木場の材木が稚内に流出した。

 特急脱線や空港閉鎖 道内、交通網などに被害

 北海道で26日早朝に起きた震度6弱の地震で、道内の交通やライフラインに大きな影響が出た。
 JR北海道によると、音別町のJR根室線直別駅付近で、下り夜行特急「まりも」(八両編成)の先頭から2両目の1両が脱線し、乗客39人のうち一人が軽傷を負った。地震による被害状況を確認するため、同社は道内全線で始発から一時運転を見合わせた。
 国交省によると、釧路空港は管制塔の天井部分が壊れて管制業務ができなくなり、閉鎖された。
 北海道内の高速道路も、道央道室蘭ー千歳インター間など四区間を通行止めにして点検している。
 北海道電力によると、北海道厚真町の苫東厚真火力発電所の4号機(70万キロワット)が地震の影響で自動停止したほか発電や送電設備に影響が出たため、日高、十勝両地方を中心に道内各地で停電が相次いだ。泊村の泊原子力発電所は1号機が出力を落とし運転を続けた。
 釧路市と周辺6町では、計約二万四1300世帯が停電。道警によると、午前5時半現在、広尾町や浦河町など広い範囲で停電している。
 鵡川町では午前4時50分ごろ、新聞配達を終えて帰宅途中の女性(83)が地震の揺れで転び、右足を骨折、病院に運ばれた。

 県内の震度

 午前4時50分ごろの地震の各地の震度は次の通り。
 ▽震度4=青森、三沢
▽震度3=三厩、八戸∇
震度2=弘前
 午前6時8分ごろの地震の各地の震度は次の通り。
 ∇震度5弱=野辺地、むつ、東通∇震度4=青森、三沢、六ケ所▽震度3=弘前、八戸∇震度2=深浦、大鰐
KEY_WORD:泊_十勝沖地震_2003_:TOKACHIOKI_:HOKKAIDOU_TOUHOU_:TOMARI_:TSUNAMI_: