[2019_06_26_06]泊原発1、2号機の発電コスト割高に 安全規制強化で優位性が揺らぐ(北海道新聞2019年6月26日)
 
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泊原発1、2号機の発電コスト割高に 安全規制強化で優位性が揺らぐ

龍谷大の大島教授が試算

 東京電力福島第1原発事故を受けた安全規制強化の影響で、北海道電力泊(とまり)原発(後志管内泊村)1、2号機の発電コストが、石炭や液化天然ガス(LNG)火力発電の1・1〜1・4倍超に上るとの試算を龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)がまとめた。安全対策費は今後膨らむ見通しで、小規模で残存運転期間も短い1、2号機の採算性がさらに悪化するのは確実。北電は「コストの低さ」を理由に道民らに泊再稼働への理解を求めてきたが、その根拠が揺らぐことになる。

LNG火力の1.1〜1.4倍超

 経済産業省による電源別の発電コスト試算(2014年)を基に、全国29原発が来年1月から運転期限(運転開始から40年間)まで稼働した場合の燃料費や事故リスク対応費、耐震補強をはじめとする安全対策費などから割り出した。
 それによると、全国平均の発電コストは1キロワット時当たり13・2円。泊原発は1号機(出力57万9千キロワット、1989年運転開始)が17・5円、2号機(出力57万9千キロワット、91年運転開始)が15・1円。それぞれ石油火力の30・6〜43・4円は下回ったものの、石炭火力の12・3円、LNG火力の13・7円の1・1〜1・4倍超に上った。29原発のうち、1号機は東北電力女川原発2号機(18・6円)に次いで2番目に高く、2号機は5番目に高かった。
 一方、3号機(出力91万2千キロワット、09年運転開始)は13・5円で、全国12番目。新しく規模が大きいため1、2号機より安かったが、経産省試算の原発の発電コスト(10・1円以上)を上回った。

運転期間は短く、安全対策費は増加

 北電は泊原発の安全対策費を2千億円台半ば(大島教授の試算では2500億円と推計)と公表している。これにはテロ対策施設の費用などは含まれておらず、今後安全対策費の増加が確実視されている。さらに再稼働に向けた原子力規制委員会の審査も難航しており、再稼働できる時期も見えないままだ。大島教授は「原発は今後運転期間が短くなり、安全対策費の増加は避けられない。原発の経済的な優位性は失われている」と指摘している。(長谷川裕紀)

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