[2018_02_28_01]第二原発廃炉は東電判断 世耕弘成経産相(福島民報2018年2月28日)
 
参照元
第二原発廃炉は東電判断 世耕弘成経産相

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から7年になるのを前に、世耕弘成経済産業相は福島民報社のインタビューに応じた。東電福島第二原発の廃炉について「東電が判断すべきだ」とし、政府の対応は示さなかった。ロボットや廃炉など最先端産業に挑戦する企業を支援する考えを強調した。
 −原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状態や分布に関する情報は現時点で不十分だ。取り出した後の処分方法も決まっていない。
 「廃炉作業は一歩ずつ着実に進んでいる。原子炉内の全てを把握できたわけではないが、デブリの状況をはじめ重要な情報を得ている。デブリ取り出し開始に向け、今後もさまざまな形で炉内を調査したい。デブリの取り出し方法を確定する過程で収納や移送、保管方法なども検討する。今後も困難な作業が想定されるが、廃炉を成し遂げ福島の復興につなげる」
 −東電福島第一原発の汚染水浄化処理後に残るトリチウム水の処分が課題だ。
 「政府の小委員会で風評被害など社会的観点を含めて総合的に議論している。スケジュールや結論ありきで進めれば、社会的観点に対応できない。風評やリスクコミュニケーションの問題を含めて議論を尽くす。トリチウム水を保管するタンクは当面、必要な容量を計画的に確保できるため支障はない」
 −原子力規制委員会の更田豊志委員長は希釈して海洋放出するのが実現可能な唯一の手段とし、東電に今年中の意思決定を求めた。政府の方針と異なる。
 「規制委員会は技術的な議論をしていると受け止めている。政府の小委員会の議論は社会的な側面を避けては通れない。議論を尽くすことが結果として物事を円滑に進めることにつながる」
 −東電福島第二原発について県内では自治体や議会、住民が廃炉を強く求めているが、政府は対応を明確にしていない。
 「県内全基廃炉を求める気持ちは理解している。福島第二原発を新規制基準への適合性審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しい。東電が県民の声にしっかりと向き合いながら、経営問題を含めて判断することが極めて重要だ」
 −原子力政策は政府が国策として進めてきた。政府が判断すべきではないか。
 「事故を起こした東電が事故で迷惑を掛けた県民に向き合い、経営判断としてしっかり判断すべきだ」
 −福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想により、浜通りに最先端の産業が集積すると期待されている。
 「浜通りに廃炉ロボットなどの研究拠点を整備し、研究開発プロジェクトを支援する。関連するビジネスを展開するため立地する企業を補助金で後押しする。地元の企業との連携も大切だ」
 −地元企業と最先端技術をどう結び付けるのか。
 「人工知能(AI)などの技術に挑戦する企業があれば歓迎する。一方、ロボットに使用する部品は正確性が要求される。地域のものづくり企業に技術を磨いてもらいたい。チャレンジする中小企業を産業技術総合研究所などで応援する」
 −4月に会津若松市で開かれる「地域未来けん引企業サミット」に対し、県内から期待の声が出ている。ただ、企業を結び付け、新たなビジネス創出につなげるには継続的な支援が必要だ。
 「全国で2千社以上を地域未来けん引企業に選んだ。各社の経営者が情報交換する中で新たなビジネスが生まれるのを期待している。地域未来投資促進法に基づく地域未来けん引企業の取り組みは、地域振興のための重要なプロジェクトだ。継続的に応援する」
KEY_WORD:FUKU2_:FUKU1_:HIGASHINIHON_:汚染水タンク_: