[2020_02_01_07]「海洋放出の方が確実に実施できる」 政府小委、処理水提言案(福島民友2020年2月1日)
 
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「海洋放出の方が確実に実施できる」 政府小委、処理水提言案

 東京電力福島第1原発で保管されている放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法を巡り、政府の小委員会は31日、前例のある海洋と大気(水蒸気)への放出を「現実的な選択肢」とした上で、放射性物質監視などの面から「海洋放出の方が確実に実施できる」と強調した提言案を大筋で了承した。今後、政府が県内農林水産業者らの意見を聞き方針を決定する。
 2016(平成28)年11月から処分方法を検討してきた小委は、海洋放出に踏み込んだ形で議論を終えた。山本一良委員長(名古屋学芸大副学長)は東京都内で開かれた会合後の記者会見で「技術開発しても物になるかどうか分からない方法は無責任。必ずできるというものを提示した」と述べた。提言は委員長一任で修正され、年度内に取りまとめられる見込み。小委は地層注入、水素放出、地下埋設も含めた五つの処分方法を検討。国内外で処分実績のある海洋放出と大気放出が現実的だとし、他の3案は「前例がなく、技術的、時間的な観点から課題が多い」と結論付けた。
 その上で海洋放出について、大気放出と比べて希釈や拡散の状況を予測しやすく、監視体制の構築が容易と評価した。第1原発でも事故前に放出実績があり、東電が設備設計や運用の知見を持つため、より確実な処分が可能だとした。
 一方で、処分すれば原発事故の風評被害に上乗せされる形で、さらに経済的な影響が出る恐れが極めて高いと指摘。周辺環境のモニタリングと食品検査を組み合わせた分析体制を構築することなど、情報発信も併せて対策を強化、拡充すべきだと要請した。
 前回会合で示された海洋と大気への放出を併用する案は明記されなかったが、委員からは追記するよう指摘があった。漁業者を中心に要望のあった長期保管については、タンク増設のための第1原発敷地の拡大や敷地外への処理水移送の実施には「相当な調整と時間を要する」などとした。
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