[2020_10_24_09]福島第一原発の汚染水放出…韓日関係悪化の「新たな雷管」(ハンギョレ新聞2020年10月24日)
 
参照元
福島第一原発の汚染水放出…韓日関係悪化の「新たな雷管」

 日本は、27日と予想されていた福島第一原発の汚染水の海洋放出の決定時期を、国内外の反発世論を考慮し、来月以降に延期した。韓国は、周辺の海洋に広範な影響を及ぼす恐れのある重大事案であることから、日本に対し「慎重な対応」を求めているが、自国の状況を前面に押し出す日本は近く決断を下すとみられ、ただでさえ悪化している韓日関係に相当な悪影響を及ぼすと予想される。
 梶山弘志経済産業相は23日の記者会見で、福島第一原発の汚染水海洋放出問題について「27日に(政府の方針を)決めることはない」と述べた。日本のメディアは今回の延期について、地元漁民などの反対世論が思ったより強いということを理由に挙げた。しかし梶山経産相は「適切なタイミングで(政府が)責任を持って結論を出したい」と付け加え、決定自体を覆すものではないことを明確にした。菅義偉首相はこれに先立つ21日の記者会見で「いつまでも方針を決めないで先送りすることはできない。できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と述べている。
 韓国人が敏感に受け取る福島第一原発の汚染水の放出方針を、日本が事実上一方的に決定したことで、韓国では放出中止を要請する声があふれている。国会科学技術情報放送通信委員会はこの日、「福島第一原発の放射能汚染水に対する日本政府の安全な処理対策の樹立を求める決議」を行い、汚染水に対する安全性が確保されていない状態で海洋放出を計画している日本政府に強い遺憾の意を表明するとともに、国際社会と隣接国の「同意なき放出推進の中止」を求めた。環境運動連合も「福島原発の汚染水の海洋放出は歴史上最悪の海洋汚染になる」とし、26日のソウル世宗文化会館前での糾弾記者会見を予告した。
 問題は、日本の決定を覆す「対応カード」がないということだ。原発で発生する「汚染水」を基準値以下に薄めて海に放出することは、国際原子力機関(IAEA)も認める処分法だ。日本は今も、1日に140トンずつ発生する汚染水問題に対応するため、多核種除去設備(ALPS)という装置で、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質を除去している。こうして処理された汚染水は、福島第一原発の敷地内に設置された容量1000トンの巨大タンクに保管されるが、2022年10月には汚染水の貯蔵容量が限界に達する。日本経済新聞は、日本政府と東京電力が「処理水を500〜600倍に薄め、(処理水に含まれるトリチウムを)基準値の40分の1程度の1リットルあたり1500ベクレル未満にして海洋に放出する計画だ」と報じた。日本政府が海洋放出を正式に決定すれば、設備建設、基準作りなどの準備を経て、放出は2022年になる。
 日本政府はひとまず、資料公開など韓国政府の様々な要請にはできるだけ応じるという立場だが、どれほど誠実な姿勢で韓国の要求に応じるかは不明だ。22日には、冨田浩司在韓日本大使が、透明な情報公開と国際社会の同意を求める共に民主党のイ・ナギョン代表に対し「受け入れる」と答えている。
 放射能に極度に敏感な韓国世論を考えると、今回の事態が韓日対立をさらに増幅させることは明らかだ。直ちに日本産の水産物の輸入禁止範囲拡大を求める声が相次ぐ可能性があり、昨年のような自発的な「不買運動」が開始される可能性も高い。このような反発ムードに日本が感情的に対応すれば、韓日関係を破局へと追い込んだ昨年7月の日本の輸出規制報復措置のように、相互報復戦が再発する可能性がある。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_:ALPS_:汚染水タンク_: