[2007_07_17_01]ひずみ集中帯で多発 「中越は活動期」証明 海底断層調査は不十分(毎日新聞2007年7月17日)
 
 今回の地震(新潟県中越沖地震)は、プレート(岩板)内部の浅い所で起きた直下地震だ。04年10月の新潟県中越地震と今年3月の能登半島地震と同じタイプといえる。北米プレートとユーラシアプレートがぶつかり二つの押し合いでプレート内部にひずみがたまりやすい場所で起きた。中越地震発生時には、まだひずみが残るとして、周辺での新たな大地震発生の可能性が指摘されており、なかでも今回の震源付近での発生を懸念する専門家が多かった。
 茂木清夫・元地震予知連絡会長によると、周辺では64年の新潟地震や中越地震などマグニチュード(M)7級の地震が40年以上も起きていない空白域だったからだ。
 新潟北部から神戸市にかけて幅約100キロの帯状に広がる地域は、「新潟ー神戸ひずみ集中帯」と呼ばれている。GPS(全地球測位システム)観測などにより、幅100キロ当たり年1センチの割合で地面が縮み、他の地域よりひずみの蓄積度が数倍高いことが分かってきたためだ。阪神大震災や能登半島地震もこの集中帯で起きた。
 過去の地震の発生状況を見ると、北陸信越地域と同様に、近接した地域で大きな地震が頻発する傾向がある。例えば、西日本の日本海側では1872年〜1948年、浜田地震(島根県)▽北丹後地震(京都府)▽鳥取地震(鳥取県)▽福井地震(福井県)ーとM7級地震が頻発した。
 地震予知連会長の大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「中越地域は地震の活動期に入ったと指摘してきたが、証拠がまた増えてしまった。中越地震や今回と同規模の地震が、数年後など比較的短期間に起こる恐れがある」と警告する。
 また、専門家からは、中越地域の地下構造の詳細な調査を求める声も強い。今回の震源は海底で、政府の地震調査研究推進本部による活断層調査の対象から外れていた。震源の東側には長岡平野西縁断層帯があるが、陸上より調査が難しいからだ。
 溝上恵・東京大名誉教授(地震学)は「今回も中越地震も隠れた断層が動いて発生した。この地域では今後も同様の事態が考えられ、きちんとした調査と評価が必要だ」と指摘する。
【山田大輔、田中泰義】
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