[1991_05_23_01]度重なる墜落 検証 戦略基地三沢とF16(5) 安全性 半ば切り捨て 背景に機能優先の軍事思想(東奥日報1991年5月23日)
 
重要箇所の抜粋

米軍三沢基地のF16が墜落する度に県民の間から上がるのが「欠陥機ではないか」との疑問だ。F16は本当に欠陥機なのだろうか。専門家が下す結論は「ノー」である。軍事専門家や海・空自の現役パイロットの証言、そして米軍の内部資料を突き合わせていくと、どうしても欠陥説には結びつかない。
原因はハードな訓練
では、欠陥機ではないのになぜ、頻繁に墜落するのか。それはF16が、激しい飛行を前提とする戦闘攻撃機であり、米軍にとって三沢がそれを必要とする最前線の基地だからだ。墜落の原因は機体はそのものより、機体に故障を起こさせるほどのハードな飛行訓練にあるといっていい。そして、戦闘機は安全性を半ば切り捨て、そのリスクのうえで高性能を得ているという事実を忘れてはならない。
専門家に聞くと「戦闘機として激しい訓練をしている限り、墜落は避けられない」(航空評論家の浜田一穂氏)のであり「落ちる数が多いほど”優秀”な空軍」(佐藤裕二秋田大助教授)とさえいわれる。基地を抱える県民にとっては不愉快だが、軍用機を知る人たちは、機能優先の軍事思想が生んだ冷徹な事実を受け止めている。
世界で年に7機墜落
こうした厳しい現実を知る上で貴重なデータがある。AFISC(米空軍検査安全センター)が1988年にまとめた内部資料で、F16の墜落原因を分析している。これによると、米空軍が正式採用を決めた75年から87年までの墜落総数は実に86機に上る。この間は13年だから、1年につき7機近くが、世界のどこかで墜落した計算だ。
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