[1995_02_02_05]燃料サイクル施設 十分な耐震設計 最大地震にも対応 日本原燃が説明 M6.5の直下地震も考慮(原子力産業新聞1995年2月2日)
 
 1月17日早朝に発生した兵庫県南部地震(阪神大震災)に関連して原子力施設の地震対策が議論されているなか、日本原燃は1月31日、青森県六ケ所村の再処理施設を中心とする燃料サイクル施設の耐震設計の概要について説明し、特に再処理施設について、「安定した第三紀層(鷹架層)まで掘削して建設しており、敷地周辺の詳細な調査を行った上で、敷地近傍に神戸周辺に存在するような活動度の高い活断層がないことを確認している」として地震には十分対応しているとしている。
 それによると、再処理施設などではこれまで周辺地域で起こった地震を十分上回る耐震性、活断層を第四紀層まで考慮した対応を行っているなど、建設基準法で定める地震力の三倍以上の耐震設計を行っているとしている。
 とくに再処理施設の燃料貯蔵プール、溶解槽、抽出塔、高レベル廃液濃縮缶など重要な施設は耐震設計上、静的地震力と動的地震力を考慮し、両者を包絡する地震力で設計しているが、動的地震力については想定されうる最も影響の大きい地震として「設計用限界地震」を想定。
 この限界地震の想定は、サイト近傍では活動度がないとされる十数万年前以前にできた第四紀後期層の断層として折爪断層と七戸西方の断層による地震(それぞれM7・75とM7・1)、さらに地震地体構造の観点から考慮されるプレート型と呼ばれる巨大地震(M8・25、震央距離50km)や直下地震(M6・5、震央距離10km)を考慮している。
 M8・25の地震の最大水平地震力は320ガル(地下125メートルの岩盤で定義した加速度)、直下地産のそれは375ガルで、ともに鉛直地震力はその二分の一を規定している。これらの限界地震に耐えられる建物・構造物の中に設置される機器については、これらの値のさらに1.2倍の強さの設計にしている。
 今度の兵庫県南部地震(震源地・淡路島北端の探さ約20キロメートル、M7.2、同島北部と神戸市の一部に史上初の震度7「激震」)が発生した地域では、六甲断層帯を始め、多くの活動性の高い活断層が存在し、そのため神戸海洋気象台が記録したように南北方向に818ガル、東酉方向に617ガル、上下方向332ガルと極めて大きな地震力となったと見られている。
 再処理施設サイトの下の第三紀鷹架(たかほこ)層にはニ本の断層が確認されているものの、その上の地層である第三紀砂子又層には達しておらず、鷹架層は古くて十分安定した地盤であると判断している。また、「日本の活断層」(東大出版会、平成三年改定)に記載されている六ヶ所村前面海域の大陸棚外縁に南北84kmの長さの活断層(=図中の9)については、科学技術庁による安全審査でも、20年以上も前の調査に基づいたものであり、最新技術で細部構造を再調査した記録を検討した結果、「海底地形に変位は認められなかった」と判定されている。
 3日には原子力安全委員会が原子力施設耐震安全検討会の初会合を開くことにしており、阪神大震災という新たな経験を踏まえた安全基準の再評価が始まる。
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