[2021_03_21_04]また強震で募る不安 JRの運転再開待ち、仙台駅混乱(河北新報2021年3月21日)
 
参照元
また強震で募る不安 JRの運転再開待ち、仙台駅混乱

2021/03/21 06:00 2021年03月21日 06:00
 宮城県沖を震源とする最大震度5強の地震を観測した20日夜、宮城県内では8人が負傷し、交通機関が一時的にまひしたほか、商業施設などで物損被害が出た。2月13日に福島県沖を震源とする最大震度6強の揺れを記録してから1カ月余り。東日本大震災の余震とみられる強い地震の発生が短い期間で相次ぎ、多くの人々が不安を募らせた。
 JR仙台駅の改札前は地震の発生直後、利用客でごった返した。発生時に東北新幹線の上りホームにいた千葉県の男子大学生(19)は「案内板や照明も大きく揺れ、友人とその場に座り込んだ。運転再開の見通しが立たないが、待つしかない」と語った。
 仙台市内の実家に帰省中の東京都の会社員小野ゆき恵さん(55)は「仙台に向かっていた娘が地震で停車中の新幹線にいる。車内は落ち着いた様子らしいが、なかなか動かず心配だ」と不安そうに話した。
 震度5強を記録した登米市。同市迫町の酒販店やまや佐沼店では、一部の酒瓶が床に落ちて割れる被害があり、店員が片付けに追われた。佐藤健店長(46)は「2月の地震に比べると今回の被害は少なかったが、こうも地震が続くとうんざりする」と顔をしかめた。
 塩釜市芦畔町では約10メートル四方にわたって崖崩れが起きた。モルタルで固めた斜面が崩落し、土砂が市道をふさいだため、市が現場周辺を通行止めにした。
 現場近くにある自宅のアルミ製フェンスが土砂で一部損壊した会社員麻里弘道さん(60)は「もともと斜面に少しひびが入っていたが、まさか崩れるとは思わず驚いた。通行人がいなくてよかった」と語った。
 県内では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、県と仙台市が18日に独自の緊急事態宣言を出したばかり。感染症指定医療機関の仙台市立病院(太白区)では地震の発生直後、職員が次々と集まり、救急患者の受け入れ態勢を整えた。
 職員は「施設も入院患者も地震の影響はない。2月の地震に比べて問い合わせも、救急患者の受け入れ要請も少ない」と話した。
 コロナ禍で厳しい経営環境が続く飲食業界からは不安の声が上がった。仙台市内で居酒屋などを経営するカリーナフードサービスの赤塚和子会長(75)は「2月の地震では店の設備に被害が出た。今回は物損がなかったが、コロナの緊急事態宣言が出た直後にまた大きな地震が起き、心が折れそうだ」と嘆いた。
KEY_WORD:OSHIKA_:HIGASHINIHON_: