戻る ●2011年4月29日 事故当初は格納容器を意図的に水で満たす「水棺」を事故収束の柱 戻る
 
※文中の赤色下線は当会(地震がよくわかる会)の加筆です。

四国新聞 2011/04/27
 

○印象的な文・発言のアイコン
( 日経新聞 2011/04/29 )

○記事一覧

( 1 ) 日経新聞 2011/04/29 原子炉「水没冷却」一時中断 想定以上に圧力低下 福島1-1
 東京電力は29日、福島第1原子力発電所1号機の原子炉を水に浸して燃料棒を冷やす作業を一時中断した。格納容器の圧力が想定以上に下がったため、圧力容器への注水量を同日午前に毎時6トンと作業着手前の水準に戻した。格納容器の圧力が大気圧より下がると、酸素を含む空気が容器内に入り込み水素爆発を起こす可能性があるという。
 東電は、圧力容器の外側にある格納容器を意図的に水で満たす「水棺」を、事故収束に向けた工程表の柱の一つに据えており、3カ月以内の実現を目指している。

( 2 ) たね蒔き 2011/05/12 5月12日メルトダウンだが最悪シナリオ回避小出裕章(MBS)
MC:メルトダウンというのは、何を引き起こすのですか。
小出氏:私は、メルトダウンをした時に、圧力容器の底にもし水が残っている状態であれば水蒸気爆発をすると思っていまして、それが私の最悪シナリオだったのです。
 でももう既に、今日の東京電力のデータが正しいとすれば、炉心はメルトダウンをしている訳ですし、水蒸気爆発は実は起きていない訳ですから、良かったと思います。
落合氏:というのは、水が全く無い状態で、今度は格納容器の方に落ちて行く。
小出氏:要するに、圧力容器の中に全く水が無いという事は、圧力容器の底に穴が開いていると考える以外にないですね。底に穴が開いていると言うならば、炉心から溶け落ちた燃料は、その穴を通してまた落ちる、というのが必然だと私は思います。
MC:では、今度は外側の格納容器で何とか防がなければいけないのですね。

小出氏:そうです。
 格納容器は、東京電力の方策によれば、水棺をしようとしたのですね。
 全部上まで水を入れようとした訳ですけれども、私はそれは出来ないと言って来たのです。
 格納容器に損傷があるので、水を溜めたくても溜まらない、と私は言って来たのですが、どうもそれも本当らしいのですね。

 格納容器の中にも水は溜まっていない、という事なのですが、ただ格納容器の底の方の部分は、たぶんまだ水は溜まっているいるのだ、と私は思います。
 つまり、圧力容器から溶け落ちて来たウランの燃料は、格納容器の中でまだ水によって冷やされているという状態だと思います。

( 3 ) 日経ビジ 2011/05/17 伊東乾「2カ月後」のメルトダウン発表と内部被曝 正しく怖がる放射能
 東京電力は震災から2カ月目に当たる5月12日、福島第一原子力発電所1号機の圧力容器内で燃料棒が冷却水から完全に露出して過熱し、原形をとどめない形で溶け落ちてしまったこと、事故で圧力容器の下部にできてしまった複数の穴から水とともに格納容器に漏れた可能性がある、と発表しました。
 定義があいまいになりやすくあまり使いたくない言葉ですが、端的に言えば1号炉は「全炉心溶解」という意味での「メルトダウン」を起こしたことになります。
 東京電力は1号機の状態を「メルトダウン」であると認めて、格納容器を丸ごと水で満たす冠水作業の見直しに入る作業に着手した、と発表しました。いわゆる「水棺措置」ですが、このまま続けるわけには行きません。
 報道はこれに続けて、水棺作業が見直しになったため、冷却作業に遅れが出て、事故全体の収束が長期化、工程表の見直しは必至、といった話に流れていますが、果たしてそういう話だけ見ていれば良い問題でしょうか。

( 4 ) 現代ビジ 2019/03/12 原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された
 この事故処理費用について、老舗の民間シンクタンク「日本経済研究センター」が新たなヒアリングを踏まえて2年ぶりに再試算したところ、最大で81兆円と3年前の経済産業省の試算22兆円の3.7倍に膨らむ恐れがあることが明らかになった。
 政府の皮算用を大きく上回った理由は、今なお続く膨大な地下水の流入で処理すべき汚染水の量が増え続けていること、廃炉を実現するための核燃料デブリの除去が目論見通りに進まない可能性が高まっていることの2つだ。
 第二の節約策は、ここへ来て技術的な困難さが指摘されている核燃料デブリの取り出しを断念し、チェルノブイリ原発で行ったような「石棺」化、もしくは「水棺」化して、永久管理するというものだ。核燃料デブリとは原子炉の事故で、炉心が過熱し、溶け落ちた核燃料が原子炉に使われていたコンクリートや鉄パイプなどと混ざり合った後、冷えて固まったものを指す。

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