[2021_04_07_03]汚染処理水処分「近日中に判断」 首相表明、関係閣僚会議開催へ(毎日新聞2021年4月7日)
 
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汚染処理水処分「近日中に判断」 首相表明、関係閣僚会議開催へ

 東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水の処分を巡り、政府は近く廃炉・汚染水対策の関係閣僚会議(議長・加藤勝信官房長官)を開き、海洋放出を決定する方針を固めた。菅義偉首相は7日「(処分について)近日中に判断する」と述べた。汚染処理水の処分は同原発の廃炉作業をする上で長年の懸案になっていた。
 これに先立ち、菅首相は同日、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と首相官邸で会談。会談後に岸氏は取材に応じ、菅首相から「(海洋放出に向け)政府の方針を決定したい」と言われたことを明らかにした。岸氏は「放出に反対という姿勢はいささかも変わらない」と伝えたという。
 岸氏によると、菅首相からは「処理水の処分は避けて通れない。海洋放出がより現実的という有識者による政府小委員会の報告書を踏まえ、政府の方針を決定したい」と、汚染処理水の処分に理解を求められた。これに対し、岸氏は放出反対の姿勢を崩さなかったものの、海洋放出を前提にする場合は▽国民への丁寧な説明▽風評被害対策の明確化▽安全性の担保▽漁業継続への支援▽処理水の保管方法に関しての再検討――という五つの要望をした。
 梶山弘志経済産業相も同日、記者会見を開き「引き続き漁業関係者らに説明、説得を続けていく」と述べた一方で「できるだけ早期に結論を得たい」と話した。
 処分方法を巡っては、有識者による政府の小委員会が2020年2月、海洋放出を強調する報告書をまとめた。これを踏まえ、政府は漁業関係の団体などの意見を聞き、海洋放出の決定をするため、加藤勝信官房長官を議長とする関係閣僚会議を同年10月に開く方向で検討していた。しかし、地元の漁業関係者らの反発により会議を先送りし、開催に向けて関係団体と調整してきた。
 政府が海洋放出を決めた場合、実際の放出は約2年後になる。放出により風評被害が懸念されるため、政府は今後、対策を検討していく。【岡田英、信田真由美】
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