[2021_04_13_05]さようなら原発1000万人アクション4・13首相官邸前抗議決議文「放射能汚染水の「海洋放出」の閣議決定に断固抗議する」(さようなら原発1000万人アクション実行委員会2021年4月13日)
 
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さようなら原発1000万人アクション4・13首相官邸前抗議決議文「放射能汚染水の「海洋放出」の閣議決定に断固抗議する」

 菅義偉首相は、東京電力福島第一原発で生じている処理水(放射能汚染水)の処分をめぐり、本日「海洋放出」を閣議決定した。
 私たち「さようなら原発1000万人アクション」は、この決定に断固抗議する。
 これに先立ち4月7日、菅首相と会談した全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「『絶対反対』との考えはいささかも変わらない」との立場を明らかにした。地元・福島県漁連の野崎哲会長も「海洋放出に反対の姿勢は変わらない」としている。
 有識者による政府の小委員会が2020年2月に公表した報告書には、放射能汚染水の扱いについては「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」としていた。
 にもかかわらず、その後まともな議論もないまま、閣議決定でこの問題を乗り切ろうとすることは、国民合意、県民合意もないまま、ふたたび福島に放射能の被害を押し付けることになり断じて許せない。
 また、2015年、東京電力は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留します」と漁業者に文書で回答したことも忘れてはならない。
 海洋放出をこのまま容認すれば、信義さえ欠くものだ。
 福島県内の59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、海洋放出に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択している。
 経済産業省が公募したパブリックコメントの大半は、放射能汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念など、「海洋放出」に対して否定的なもので占められていた。
 多くの問題を抱えたまま、先に関係閣僚会議で政府の方針を決定した上で対話を求めても、それは政府の考えを押し付けるだけのもので、対話でも民主的なプロセスでもない。
 事故により福島県の漁業は大打撃を受け、全面的に操業が自粛された。その後試験操業が始まったが、多い時で44種の魚の出荷が制限された。全魚種が出荷できるようになったのは2020年2月になってからであった。漁獲量もやっと震災前の2割に戻ったと言われるが、そこに海洋放出による風評被害が出れば、壊滅的な打撃を被ることは必至である。
 これまで復興に努力してきた漁業関係者に大きな失望と与える。再び漁民の生活や希望を奪い去る。
 放射能汚染水に多く含まれるトリチウムは、体内に取り込まれれば細胞やDNAにダメージを与える。
 さらに放射能汚染水には、トリチウム以外にも他の放射性物質も取り残したまま放出されることも指摘されている。また「薄めて流せばよい」とする考え方も問題だ。
 東京電力が、この間、柏崎刈羽原発でテロ対策施設の不備や不正ID使用などの問題、福島第一原発の4000基の内容物不明のコンテナ問題など、管理と情報開示について次々と問題が明らかになってきた。
 まさに東京電力が原発を動かす資格と管理能力があるのか。
 そのことは放射能汚染水を管理する資格があるのかも問われている。
 このような企業が放射能汚染水の放出をすること自体が問題だ。
 「海洋放出ありき」で進められてきた放射能汚染水問題。
 海外の国や市民からも多くの批判の声が上がっているが、それさえもまともに回答していない。
 世論に挑戦する「海洋放出」を閣議決定したことは許されない。保管するタンクの新たな敷地の確保や他の代替案の再検討を強く求める。

2021年4月13日
さようなら原発1000万人アクション実行委員会
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