[2021_04_21_07]処理水放出 東電社長、風評対策「丁寧に説明」 茨城知事と面会(茨城新聞2021年4月21日)
 
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処理水放出 東電社長、風評対策「丁寧に説明」 茨城知事と面会

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出決定を受けて、東電の小早川智明社長が20日、茨城県庁を訪れ、大井川和彦知事に対応方針について説明し、風評の防止に向け「当社が主体的に取り組む」と決意を述べた。これに対し、大井川知事は「漁業者にしっかり納得いただける説明と風評対策が重要」と指摘。面会後には「問題はこれから(各対策を)どう実行していくか」と語り、今後の東電の対応を注視する姿勢を示した。
 面会は冒頭のみ公開され、小早川社長は同原発事故の茨城県への影響や柏崎刈羽原発(新潟県)で1月以降に発覚した核物質防護不備に関し謝罪。処理水の安全・適切な処分やモニタリングの強化、正確な情報発信などの方針を説明し、「茨城県の皆さまからも安全性と風評に対する懸念、不安の声を伺っている。まずは風評が起きないように、しっかりと主体的に取り組む」と強調した。
 風評被害が生じた場合は「地域や期間、業種を問わず賠償したい」と明言。風評対策は、放出までの約2年間の過程で「茨城県の皆さまからのさまざまな意見を丁寧に伺い、計画に反映していく」とした。
 大井川知事は、茨城県の漁業者が原発事故から立ち直ろうとする矢先の海洋放出決定だったとし、「まだまだ漁業者は納得されていない」と述べ、納得いく説明と風評対策を求めた。柏崎刈羽原発の核物質防護不備問題に関し「茨城県にとっても不安を大変強く持たせる」と不信感を示した。
 面会後、小早川社長は生産、加工、流通、消費の各段階で風評の影響が出ないよう最大限取り組むとし、漁業者への説明の実施は「丁寧に調整していく」と言及。大井川知事は東電の説明に「取り組みとしては納得した」としつつ、今後の対応をしっかり注視するとした。また海洋モニタリングを巡り「県として独自に行う必要があるか、しっかり検討する」と述べた。

■県議会・常井議長「東電の姿見えず」

 県議会の常井洋治議長も20日、東京電力の小早川智明社長と面会し、海洋放出を巡って「当事者の東京電力の姿が国民に見えていない。非常に違和感を感じている」と厳しく指摘。処理水対策の実施者としての自覚と責任を持ち、主体的に取り組むよう求めた。
 放出に不安を感じている国民が多いとし「国任せにせず前面に立ち、特に漁業関係者の皆さんにじっくりと向き合い、説明を尽くしてほしい」と強調した。
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