[2021_05_07_03]汚染水の海洋放出の決定に対する 貴社の責任についての公開質問状 これまで提案されたトリチウム他の放射性核種を分離・処理する技術を真剣に検討したのか 「海洋放出」の根拠を明らかにせよ 「原発止めよう! 東葛の会」(たんぽぽ舎2021年5月7日)
 
参照元
汚染水の海洋放出の決定に対する 貴社の責任についての公開質問状 これまで提案されたトリチウム他の放射性核種を分離・処理する技術を真剣に検討したのか 「海洋放出」の根拠を明らかにせよ 「原発止めよう! 東葛の会」

2021年4月16日
東京電力ホールディングス株式会社 代表執行役社長 小早川智明様

    「さよなら原発東電・東葛支社前アクション」参加者一同
 連絡先「原発止めよう! 東葛の会」

汚染水の海洋放出の決定に対する貴社の責任についての公開質問状

 「汚染水の海洋放出決定」が大きく報道されていますが、貴社のこの問題に対する方針や姿勢は一向に見えておりません。
 私たちがこれまで再三再四、問いただし要望してきたように、本来ならこの汚染水を発生させている貴社が自ら、この問題をどのように解決したら良いのか方針を示して取り組むべきなのに、政府にお任せで沈黙を決め込むのはあまりにも無責任というものです。
 汚染水に含まれているトリチウムは そもそも、染色体異常を起こす(1974年日本放射線学会)、ドイツの原発やカナダの重水炉というトリチウムを多く放出する原発周辺の調査で子どものガン、白血病、新生児の死亡、ダウン症、乳がんの増加が報告されています。日本でも加圧水型玄海原発の周辺で白血病の死亡率が上がっているという健康被害の報告があります。
 昨年8月、さらに汚染水には炭素14が含まれていることを貴社は明らかにしました。炭素14もDNAに入り込み、DNAにダメージを引き起こすと言われています。(「東電福島第一原発 汚染水の危機2020 グリーンピース・ドイツ」)
 このように危険な汚染水は「放出」ではなく、現在さまざまに開発されているトリチウム分離・除去の技術を採用して試行するという方法をとることもできるはずです。
 私たちは昨年11月、12月とこの分離・処理の技術を検討してほしいと要望しました。
 例えばスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)は「フィルター膜がテクネチウム99m、ヨウ素123、ガリウム68など医療分野で使用される放射性核種を、水から効果的に除去できる」ことが室内実験で示され「わずか1回のろ過ステップで成功率は99.8%に達した」と報告しています。
 昨年9月にETHZは声明で「この膜を使って廃棄物の量を大幅に減らし、放射性物質をコンパクトで乾燥した固体として保管することが可能になる」と発表し、「ETHZは福島原発事故の現場で浄化作業に携わる日本企業と、汚染水処理にこの技術を活用するべく交渉を始めている」と明らかにしています。
 そのほかにも近畿大学研究チーム、ロシア・ロスアトム社、米・キュリオン社など、トリチウム分離の技術は日夜、研究され、実用化に向かっているということです。また、海洋放出ではなく、陸上保管で十分対応できるという意見もあります。
 これらの技術や方法について真剣に検討することが、事故を起こした当該企業として当然の責務であると私たちは考えます。
 様々に提示されているこれらの新しい技術や方法について、貴社はどれだけ真剣に検討されたのでしょうか。
 もし、「処理水の海洋放出を決めたのは政府である」という言い訳をするなら、事故を起こした企業としてあるまじき行為と言わざるを得ません。
 以下質問いたします。

 1、これまで様々に提案されているトリチウム分離・除去技術や、陸上保管の方法についてどれだけ真剣に検討されてきたのか。
 2、政府が「海洋放出」がベストな方法だと結論づけましたが、そのことに対して貴社はどのように関わり、受け入れようとしているのか、その根拠を明らかにして下さい。
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