[2016_04_20_20]原子力規制委員会記者会見録(原子力規制委員会2016年4月20日)
 
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原子力規制委員会記者会見録

原子力規制委員会記者会見録
● 日時:平成28年4月20日(水)17:30〜
● 場所:原子力規制委員会庁舎 記者会見室
● 対応:田中委員長
<質疑応答>
○司会 それでは、原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。
 皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから質問の方をよろしくお願いします。
 それでは、質問のある方は手を挙げてください。
 マエダさん。
○記者 西日本新聞のマエダです。
 明日で熊本地震の発生から1週間を迎えるのですけれども、地震がおさまる気配がありませんが、今のところ運転を続けることに問題はないというお考えに変わりはないかということが1点。
 もう一点、運転を続けている九州電力に対して何か求めることがあれば、おっしゃってください。
○田中委員長 これは何度も申し上げていますけれども、今日も国会でさんざんそういうお答えをしてきていますけれども、運転を続けることについて、今、安全上の懸念があるというふうには私どもは判断していないということです。ですから、そういう意味では何ら変わりはないのですが、事業者は事業者として、やはりこういう時期、国民の関心も非常に高いときですから、特にトラブルのないように十分注意深く運転していただきたいというのはありますけれども、それもコントロールできるものと、できないものとありますから、余りそこについて、何か特に事業者に申し上げるようなことはありません。
○記者 もう一点、地震を受けて何か原発の監視体制で強化している点がありましたら、教えてください。
○田中委員長 私は特に承知はしていませんけれども、保安検査官が2名常駐しているのではないかな。それで状況は監視しています。
○司会 ほかにございますでしょうか。
○記者 日本テレビ、カワサキと申します。
 熊本の地震に関しての続きの質問なのですけれども、今、安全のためという話は聞きました。そして、月曜日も話をお聞きしたのですけれども、安全ではなく住民の安心のための停止という部分で委員長の御見解、安心という部分、それから、不安という部分に対してどうお思いでしょうか。
○田中委員長 それはいろいろな判断があると思いますけれども、そういう判断は我々がすべきミッションはないということです。
○記者 炉規制法64条には、急にとめるであったり、それが不安という部分とは全然合わないという捉え方をした方がいいのですか。
○田中委員長 あくまでも科学的に判断して、これはとめた方がいいという判断をするということですよね。不安というのは、どういうレベルの不安なのかというのは、この地震が起こる前から不安だらけですよね、もしそういうことを言えば。だから、全て世の中不安がないようなことは何もないですよね。新幹線が走ることだって不安に思っている人はいっぱいいますよね。でも、電車をとめろと言う人はいませんよね。だから、やはりそこはあるレベルで、ある常識的というのかな、そういう判断で、我々の常識は、安全上の問題があるかどうかというのを科学的に判断してということになると思います。それ以上のことをやると、何をやっているのだか分からなくなります。
○司会 ほかにいらっしゃいますでしょうか。
 オオヤマさん。
○記者 読売新聞のオオヤマと申します。
 今日、高浜1・2号機について審査書案が決定されましたけれども、今後、まだ工事計画と運転延長の認可の審査が残っていますが、あと2ヶ月余りしかありませんが、どのように審査に臨まれるか、お聞かせください。
○田中委員長 7月7日で40歳になるので、それまでに工事認可の審査は終わって、その結果、どうなるか分かりませんけれども、仮に運転延長するとすると、そこの工事認可、工認までの認可が終わっていないといけないということに法律上決まっていますので、それをまずきちんと事業者も努力するだろうし、私どもとしても、私どもに課せられたミッションですから、仕事ですので、そういうふうな形で進むと思います。その後はいろいろな実際の工事とか、使用前検査とか、そういうのは今、全然何も考えるような段階ではないと思っています。
○司会 ほかにございますでしょうか。
 では、ハナダさん。
○記者 NHKのハナダです。
 同じく高浜の1・2号の関係なのですけれども、今日の定例会の方で伴委員から、やはり老朽化原発への社会の関心も高いので、今後、審査とかを丁寧にどういう根拠なのかを含めて説明するように求める意見が出されました。今日のパブコメでも、ケーブルとか、今後の耐震性の試験とかについて、要は設置変更許可の後に行うということへの意見とかも出されていましたが、今後、そういう不安の声とかもあると思うのですけれども、今後、委員長として老朽化原発の今後の審査の説明にどう臨まれるのか、臨まれようと思うか、お考えの方を伺わせてください。
○田中委員長 何となく不安だという声も分からないことはないですけれども、パブコメについては私も全部読ませていただきました。非常に私以上にプラントの中身をよく知っているコメントもたくさんありまして、ちょっとびっくりしたようなところもあります。
 そういうこともありますし、いろいろな、あとは、今日もありましたでしょうけれども、原発そのものに反対だという意見も非常に多かったと思うのです。だから、老朽化であるがゆえにどういうところが心配だということについては、パブコメの中ではきちんと答えていますが、特に多分これから地元なんかの自治体からもそういうお話があれば、そういうところできちんとどういう判断でどうしているかということの説明はやっていく必要があるだろうなと思います。
○記者 あと、今日、伴委員とか、あと、石渡委員からも、基準地震動についての説明をもっと丁寧にホームページなどで行うべきだというお話があって、やはり情報発信についての感度が高くなっているというふうな印象を受けました。やはり熊本地震の情報発信の反省を踏まえて、そういった委員の方からそういう意見が相次いだのかなという印象も感じたのですけれども、それについては委員長はどのように感じられているでしょうか。
○田中委員長 先ほど国会から戻ってきて、そういう発言があったということがあったので、今日も国会の質疑の中で、基準地震動と実際に益城で観測された表面での三次元の1,580ガルとの関係とか、いろいろ聞かれたのだけれども、非常に説明しにくい問題です。
 水平も東西南北、それから、上下という、垂直、そういったものについて全部違ってきているのですね。それをどういうふうに見ていくかということ、そういうこともありますので、確かに、おっしゃるとおり、うまく説明できるように工夫していく必要はあるのだろうなと思います。ただ、なかなか難しいので、是非石渡さんと規制庁の担当者の中でよく検討して、できるだけ分かりやすくしていくことがいいというふうには思います。是非やってもらおうと思いますけれども。
○司会 ほかにございますでしょうか。
 それでは、ナガオさんに行って、最後、アベさんで終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○記者 共同通信のナガオと申します。
 先週なのですけれども、名古屋地裁の方に高浜1・2号の運転延長の差しとめを求める裁判が起こされました。これまで大体原発の裁判というのは、電力が被告で、規制庁の方は直接裁判の当事者ではないということで御説明されてきましたけれども、今回は国が被告ということになろうかと思います。どのように裁判に対応されるか、お聞かせください。
○松浦総務課長 訴状が届いていませんので。
○田中委員長 届いていないのですよね。だから、今、私がそういうのはまだ見ていないから、来たらそれを踏まえてきちんと対応することになると思いますが、私たちがやっていることについて、きちんと説明をしていくということになるのだと思いますけれども、今、総務課長が言ったように、まだ訴状を見ていないから、中身がよく分からないというのが今日の段階です。
○司会 では、次、アベさん。

○記者 日経新聞のアベと申します。
 熊本地震について、2点お願いいたします。
 1点目は、繰り返し起こる地震に対して、どのような設計の余裕を見ているのかということについて改めて教えていただきたいのですけれども、いまだに余震が続いていて、昨日も震度5弱の地震がありました。川内原発は620ガルで想定していると思うのですが、何度も起こるこういった地震について、前回も御説明がありましたけれども、改めてどのような設計の余裕を見ているのかということについて、お聞かせいただけますでしょうか。
○田中委員長 重要な機器ですね、安全上、それがいわゆる弾性範囲におさまるようにという設計を求めています。だから、弾性範囲にある分には、5回、10回、100回ぐらい繰り返したって何も起こらない。疲労試験という金属炭化の疲労というのがあって、それはもう物すごい数、何十万回とか、何百万回とかということをやれば、金属というのはポキンと。皆さんもやったかもしれないけれども、針金を手でこうやっていると折れたりするという、そういうことは金属にはありますけれども、普通はないですよね。
 ですから、少し言いますと、Ssに耐えられるSdという弾性範囲のそういうことです。物によっては、基準地震動を超えるようなことがあれば、変形が出るような構造物もゼロではないということですけれども、安全上に影響を及ぼすことはないと思います。ただ、熊本で起こっているような地震の繰り返しで何か起こるかということは、およそ考えなくていいと思います。

○記者 分かりました。
 あともう一点なのですけれども、今回は敷地を中心にいろいろ地盤の変化なども非常に激しく起こっています。川内原発の場合は、そうした地面の変形とか、そうしたことの発生の可能性なども考慮しているのかどうかということについて、改めてお聞かせください。
○田中委員長 もともとは、新しい規制基準では、地震に限らず、地滑りとか、いろいろなことによって地盤に変形をもたらすような場合には、原子炉の運転そのものを認めないことになっていまして、ですから、そういう変形をもたらすようなことはないとまず確認しています。つまり、12万年とか14万年という以後に動いた形跡がないかどうかを確認しているわけですね。
 だけれども、そうは言っても、隠れた断層もあるではないかということもあって、それはいわゆる震源を特定しない断層ということで、これまでマグニチュード5以上ぐらいのあれが16回ぐらいだったと思ったけれども、違ったかね。16回ぐらい、日本では、最近100年ぐらいの間に起こっていて、その中からピックアップして、川内の場合は、留萌で起こった、かなり最近の地震ですけれども、それをベースにして評価した結果、近辺の活断層からの影響よりは、震源を特定しない断層による評価値の方が高くなって、Ssが620、水平方向かな、そういうことになっています。
○司会 ほかにございますでしょうか。それでは、今、手を挙げている方で終わりたいと思います。順に当てていきますので、壁際の方から、前の方から。
○記者 エネルギージャーナル社のシミズといいます。
 2点ほど伺いたいのですが、1つは、高浜1、2の40年超えの炉の審査に関してなのですが、以前、40年超え、高経年炉になると、中性子の照射が非常に大きくなって、長年あって、格納容器が脆弱するという話を、壁ですかね、聞いたことがあるのですが、その辺の判断というのは、特に問題がないという、審査結果をちゃんと読めばいいのでしょうけれども、まだ読んでないものですから、判断なのでしょうか。それが1点。
 それから、もう一点は、ほかの40年経炉、高経年炉に対しても、今回の審査結果がモデルケースといいますか、そういうことで、他の炉にも十分、その考え方、あるいは安全審査の哲学というか、個々のチェックが全部、モデルケースになるという理解でよろしいのでしょうか。2つです。
○田中委員長 まず、中性子の照射をたくさん受けると圧力容器が脆化してくるということは言われていまして、その試験片として、中にシャルピー試験片というのがあって、それを定期的に取り出して、要するに、冷たい水が入ったときとか、脆性破壊することが一番懸念されるわけで、そういうことのないような範囲にあるかどうかという判断をするために、そういった試験片を見ながらやっているということです。中性子の照射量というのはかなり正確にわかりますから、遷移温度の変化を見ていくことになって、まだそれは大丈夫という、それは共通の判断ですね。
 それから、40年延長については、基本的には新しい規制基準に合致しているかどうかということが最初にあって、その後で今のような高経年化とか、今後20年間、きちっと動かしていって大丈夫かどうかという機器の経年劣化とか、そういうことを見ていくことになりますので、今回の審査がモデルになるかどうかは炉によっていろいろ違いますし、あれですけれども、基本的な考え方は同じだと思います。
○司会 次に、その後ろの方。
○記者 共同通信のニイと申します。
 今の熊本の地震とは別の前提で伺いたいのですけれども、今の新規制基準において、Ssを超える地震に見舞われる場合というのは、規制委として想定しているのでしょうか。
○田中委員長 Ssを超えるということは、基本的には、それを想定した対策というよりは、Ssをベースにして設計されている、その設計基準を超えるという事象は考慮しているということになります。だから、地震動だけではなくて、何か外乱が起こったりして、今の安全対策というのか、設計基準事象を超えるようなものについては、そういう事故についての対策は考慮していると言った方がいいと思います。
○記者 では、若干質問を変えると、保安院のころは、Ssであるとか、S2を超える地震が何回かあったと思うのですけれども、そういう地震が今後、日本の原発に来た場合の対応を、今、規制委として考えられているのでしょうか。
○田中委員長 いろいろな知見を踏まえて、考え得る最大の加速度というか、地震に耐えられるようにということでやっていますので、どの程度の超え方をするかということになるかもしれません。確かに、かつては基準地震動、Ssを超えたという事例は何回かあったということも踏まえて、できるだけそこは保守的に評価しているということです。

○記者 最後に聞きますが、今、規制基準におけるSsというものは、あくまで超えてはまずい一線であるのか、そうではなくて、保安院時代と言ったら語弊がありますけれども、超えてしまっても、ある程度余裕があるものなのか、これはどっちで考えればいいのでしょうか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 耐震総括官の小林です。
 今、ニイさんから御質問の件でございますけれども、私ども、新規制基準の中では、十分余裕を持ってSsを設定することになっていますので、そこは100%とは言い切りませんけれども、十分な余裕があるということでございます。ただ、それを超えて事故が起こった場合、これはまさに大規模損壊の対象とか、そういうことになるわけですから、そちらの方で対応していくことになると思います。
 以上です。
○記者 最後、もう一点だけ。仮に、今後、Ssを超える地震があった場合であっても、例えば、基準の見直しであるとか、バックフィットをかける、すぐにそれに直結するものではないという理解でいいのでしょうか。
○小林長官官房耐震等規制総括官 耐震総括官の小林です。
 そこは超え方によると思うのですね。仮定の話なので、余りこの場ではしたくはないのですけれども、少しであれば裕度の設計の範囲内になるし、大幅に超えればこれは何らかの対応をしなければいけないということになると思いますので、ここは仮の話なので、ここまでの話にとどめておきます。
○記者 わかりました。

○司会 次に、ミヤジマさん。
○記者 『FACTA』のミヤジマです。
 田中委員長、襟がちょっと乱れておられますよ。はい、大丈夫です。伺いたいことは、10日ほど前、新潟県が東電に対して、メルトダウンの公表の遅れ、この問題について70項目の指摘をし、その釈明を求めているのですが、私は大変興味深くそれを注目しているのですが、その70項目について、10日ほど前ですが、もう委員長、これを御覧いただいて、御感想があれば伺いたいのです。
○田中委員長 申し訳ありませんけれども、それはまだ拝見しておりません。
○記者 是非読んでいただきたい。実は、4月27日に改めて東電の廣瀬さんが呼ばれるわけですが、新潟県は本来、この組織の所掌事務上である3.11以降の内容について、こちらにかわって調査をしているようなところがあって、その結論というのは、東電は安全文化が浸透しているとは思えないと。この件については、原災法15条に明確に違反しているのではないかという、彼らなりの見解で、まさにここの所掌事務上でも問題になるようなことが書いてあるのですが、27日には、これを超えないと、なかなか柏崎は動かないのですけれども、こういう問題について、しっかり東電を、NRAの方も問いただしていただけると見ていいのでしょうか。
○田中委員長 できるだけ、そういった点も含めて、東電の安全への取組とか、安全文化の問題については、改めてきちっと問いただしたいと、いろいろ意見を交わしたいと思っています。率直に。
○司会 次に、カメラの方。
○記者 ビデオニュースドットコムのスズキと申します。
 かなりの部分、繰り返しの議論をお願いすることになるかと思いますけれども、大きく2点伺いたいと思っています。
 まず1点目は、今回の熊本の地震によって、規制委員会がとられております様々な基準というものを、ここは改めてのお尋ねですが、見直す予定はあるのかということが1点と、あと、これは今回の熊本の地震と直接は関係ないかもしれませんが、様々な具体的な重大な事故が起きたりという事象ではない場合で、住民の安心、不安という観点から、原発をとめる、とめないという事態に至った場合、明らかにこれは重大な事故であるからとめるという明確なものでなかったとすれば、これは誰がどの権限でとめることになるのか、あるいはとめないという判断をすることになるのか。これは雲をつかむような話で大変恐縮なのですが、この2点について委員長の見解を教えてください。
○田中委員長 熊本のような、既存の活断層が動くということは、今までの基準を作る上で全部考慮していて、今回の布田川・日奈久の断層についても、92キロメートルの長さを仮定して、一緒に動くということで、マグニチュード8.1という大きな、そういった想定もした上で評価していますので、基本的に今回動いたところが例外的ではなくて、いろいろな方がおっしゃるように、日本中、東京だって動くかもしれません。そういうことは前提とした基準になっていますので、見直す必要はないと思いますが、それでいいですよね。
○小林長官官房耐震等規制総括官 総括官の小林でございます。
 今、委員長が申し上げたように、今の時点で見直す必要はないと思っています。それで、今、お尋ねの点、どういうところを見直さなければいけないという、そういうことの何か具体性を今、聞かせていただいてないものですから、その辺ちょっとこういう点を見直すべきではないかというところがあれば、具体的にちょっとお答えさせていただきたいなというふうに思っています
 以上です。
○司会 次に。
○田中委員長 それから、その不安。不安があるからとめるかと言ったら、私どもの判断としては、不安があるからとめるというのは、我々が安全上の、先ほどの繰り返しですけれども、安全上の懸念。不安というよりも、安全上の問題の懸念があるという場合には、その大きさによってとめてもらう要請をするとか、場合によっては、炉規法64条に基づいてとめることを指示すると。そういう判断はあると思います。
 その不安に対してとめるかとめないかというのは、これは私から何か、誰がやるべきかとかそういう判断を、そういう問題ではないので、ここで何か申し上げるのは避けたいと思います。
○司会 それでは、次、では、クマイさん。
○記者 すみません。朝日新聞のクマイです。
 2点ありまして、来週の臨時会議で廣瀬社長をお呼びするのですけれども、ちょっと先ほどの質問とダブりますけれども、一番どんなことを廣瀬社長にお尋ねしたいか、お伺いできればと思います。
○田中委員長 いろいろ、いくつかあるのですが、最近で言うとケーブルの問題とかがありますね。そういったことについて、やはり、なぜああいう問題が特に東京、ほかでも起こっていますけれども、東京電力で多発しているかということについて、やはり一つは、何て言うのですかね。やはり組織運営のやり方について、そういう根っこがあるのではないかということはお話ししたいと思いますし、いわゆる柏崎刈羽についての審査についても、地震動の評価というのは、やったときに、ほかの九電とか先行プラントの状況をきちっとフォローしていないというような姿勢というのは、それは非常に反省していただかなければいけないということです。
 それで、今日の国会でも、多分誤解だと思いますけれども、全部規制委員会が、審査が遅れているのは規制委員会が戦力が足りないからだという御指摘があったのですが、それだけではないのですよという話は今日はしておきました。事業者の方にも問題があるのですよということを。だからそういうことについては、やはり東京電力としてどうするのかと。 それから、1F事故を起こしたという東京電力は、ほかの電力とは全く同じようには扱えないところがありますので、その辺についてどういった工夫をされていこうとしているのか。先ほどミヤジマさんからありましたけれども、安全文化の問題とか。言葉だけではなくて、具体的にそういうことをきちっと確認していきたいなというふうに思っていますけれども、ちょっと来ていただいてから議論しないとわからないですね。
○記者 ありがとうございます。
 逆に言うと、審査側としても、やはり事故を起こした当事者の、当事業者の審査はほかとはちょっと違って、ちょっと厳しくやっていくということですか。
○田中委員長 厳しいというかね、ハードの問題は共通かもしれないけれども、ソフト的なもの。その、運転、何て言うのですかね。まあ運転能力という。
○  技術的能力。
○田中委員長 技術的能力だね。技術的能力という言葉の評価の軸があるのですが、それをどう見るかということですよね。単にクルマの運転免許を持っていても、事故を起こす人と起こさない人といろいろありますから、そういうことと同じですね。やはり起こしてもらっては困りますので。
 それから、何か起こったときに、新しい対応がきちっとできるかどうか。いろいろ1Fの反省を踏まえれば、まだまだそういう点は反省すべきこと、いっぱいあるのだろうと思いますので、そういうことをやはりきちっと求めていかざるを得ないと思っていますけれども。
○記者 ありがとうございました。
 それから、あと1点。
 昨日、経済産業省のトリチウムタスクフォースの方で、まだ最終報告は先なのですけれども、一応トリチウムの分離技術が、実証試験結果で極めて困難だということと、あと5つの案の中では、海洋放出が比較的期間が短く、費用も安くできるという検討結果が示されたのですけれど、これに対してのちょっとお受けとめがあればお願いします。
○田中委員長 受けとめですか。ごく当たり前のことに落ち着いたと思うので。
 5つの案について、私は安全上の問題の評価を是非してほしいと思いますけれども。
 私どもとして、5つの案どれでも大丈夫ですとは申し上げられませんね。そういう感じ。そういう印象です。
○記者 はい。わかりました。
○司会 それでは最後。先ほど手を挙げたのがシュゾウさんとタケオカさんですので、シュゾウさんとタケオカさんで最後にしたいと思います。
 では、シュゾウさん。
○記者 毎日のシュゾウです。
 今日の高浜の許可について伺います。
 パブコメでもありましたけれども、一次系冷却系の減衰定数の問題について、加振試験を認可後に行うというのは、これは問題の先送りではないかという意見が複数寄せられています。これは実質的に7月7日までに認可をとらなければいけないという、期限の実質的な先送りではないかという、そういう疑問があるわけですが、委員長はこの件についてはどういうふうにお考えですか。
○田中委員長 そんなことはないと思います。要するに、工事認可で、そういった工事認可の段階までにそれを確認して、そういう実証データが得られない場合は、結局今日出した許可も無効になってきますよね。見直しになるのかな。
○市村原子力規制部安全規制管理官(PWR担当) はい。規制庁の市村と申します。
 これは非常に重要な問題でございますので、これは工事計画認可の段階でですね。先送りということではなくて、工事計画認可の中に、どういうふうにデータをとるのかということを含めてしっかり書かせて、それで技術基準が満たせるかというのをまず審査をして、それで認可を出せるかどうかというのをまず、これから判断をします。
 その上で、使用前検査というもので、言ったとおりのデータがちゃんととれているかどうかをというのを確認をする。そして、もし言ったとおりのデータがとれないというようなことがあれば、それは何らかの措置をまた改めてしていただくということになりますので、技術的にもしっかりしたステップをこれから踏んでいけるという段取りだと思います。
○記者 そこで確認したいのですけれども、試験結果がうまくいかなかった場合は、認可の取消しになるのですか。認可を取消すのですか。そこはちょっとはっきりさせていただきたくて。
 認可の取消しにならないのであれば、一度おろしてしまった認可を後で、要は、事業者として後で手を打つということがいくらでも可能になるので、そこをちょっと確認したいのですけれども。
○市村原子力規制部安全規制管理官(PWR担当) 規制庁の市村です。
 まず、宣言をしたとおりのものをデータがとれない。あるいは言ったとおりの、これは減衰定数3%ということですけれども、これが満たされないというようなことがあれば、検査には合格をしないです。検査を合格をしない上で、改めて中の工事をしないともう直らないということであれば、改めて工事計画の変更をしていただいて、その認可をとっていただいて、工事をするというような手続になっていくと思います。
○記者 これは委員長にお答えいただきたいのですけれども、要は認可を、工事計画を通らなくても、そこで補強をすれば、もう一度やったら通るかもしれないのですよ。とすると、要は7月7日までにこの認可をとらなくてはいけないという時間的な制約というか縛りが、実質的に意味をなさなくなるのではないかと。
 つまり、今日のパブコメの中でも後出しじゃんけんというコメントがありましたけれども、後で事業者が対応できるのではないかと。それは実質的にはやはり期限をなくすのと同じではないかなというふうにやはり疑問があるわけですが、委員長はその点についてはやはりどうお考えですか。やはりこれは認可の取消しをするのが妥当なのではないのでしょうか。
○田中委員長 今までも工事認可をしても、実際に工事をしたところで、きちっと基準をそのとおりにいかないときには、その認可に合うように手当てをしていただくということはずっとやってきていると思うのです。
 だから、工事認可というのはどういうレベルの、それでもう完全にパーフェクトかどうかということは、まだ書類上の問題なのです。全てがそれで終わりかということは、多分ないと思いますよ。
○記者 ええ。今までそうやってきたことは理解していて、ただ、今回の認可は7月7日という期限があるから、こうやってお聞きしているのです。
 要は、期限までにとらなければいけないのに、その期限が過ぎた後で、やはりそうではだめでしたということだったら、やはりこれはさかのぼって取消すべきなのではないかなというのが普通の考えだと思うのですが。
 今、委員長おっしゃったように、後で手当てをできるのであれば、期限の意味がなくなるのではないかという疑問なのですが、それはどうお答えになりますか。
○田中委員長 その内容とかあれによるのではないですか。多分。一律に何かをそういう原則論で決めるということは、工事という、そういうものの性質上できないのだと思いますけれどもね。
○司会 それでは、最後にタケオカさん。
○記者 共同通信のタケオカと申します。
 先ほどの川内原発の関連で、1点だけお願いします。
 5年前に浜岡原発を超法規的な形でとめたことがありましたけれども、一方では、委員長、科学技術的観点からはとめる必要がないということは繰り返しおっしゃっています。
 そうすると、それを踏まえた上で、もし川内をとめるという判断があるのだとすれば、それは政治判断だとお考えでしょうか。
○田中委員長 浜岡をとめたのは、当時の民主党政権。昨日もちょっと菅さんがそういうことを自分で質問していましたけれども、そういう状況の中でとめたということで。とめたというよりも、とめることを要請したということですね。自主的にとめていただきたいということを言ったということですね。
 そういう判断は、私どもはしないという。だからそれは、政治がやるのかどういうことになるのかはわかりませんけれども、余りそこについて、深く私から何か申し上げることはすべきではないと思います。
○記者 委員長はもう繰り返しとめる必要はないというお考えをおっしゃっていて、それは十分理解しているつもりなのですけれども、一方、政府の方は、専門家の規制委員会がとめる必要がないと言っているからという理由でとめる必要がないと言っていて、ある意味ボールを委員会に投げているような、判断を委員会に投げているような感じも受けたもので。それで、繰り返しになってしまいますけれども、委員長としてはとめる必要はないとおっしゃっているので。
 そんな状況の中で、もし今後、国としてというなのか、とめるという判断がなされることがあるのであれば、それは規制委員会ではなくて、政治でやるべきだというお考えかどうかという。
○田中委員長 政治でやるべきかどうかということも申し上げませんけれども、少なくとも規制委員会が今の段階でとめる必要がないということを、一応それを尊重していただいているということなのだと思います。
○司会 それでは、本日の会見はこれで終わりにしたいと思います。お疲れさまでした。

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