[2016_07_19_03]特定原子力施設監視・評価検討会(第44回)_議事録(原子力規制委員会2016年7月19日)
 
参照元
特定原子力施設監視・評価検討会(第44回)_議事録


特定原子力施設監視・評価検討会
第44回会合議事録
日時:平成28年7月19日(火)10:00〜12:06
場所:原子力規制委員会13階会議室A
出席者
担当委員
 更田豊志原子力規制委員会委員
外部専門家(五十音順)
 コ永朋祥 東京大学大学院 新領域創成学研究科環境システム学専攻 教授
 蜂須賀禮子 大熊町商工会会長
原子力規制庁
 安井正也 技術総括審議官
 山田知穂 審議官
 荒木真一 東京電力福島第一原子力発電所事故対策統括調整官
 今井俊博 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長
 熊谷直樹 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室管理官補佐
 伊藤聖  東京電力福島第一原子力発電所事故対策室特殊施設審査官
 加藤淳也 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室安全審査官
 三澤丈治 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室安全審査官
 南部卓也 安全技術管理官(核燃料廃棄物)付技術研究調査官
オブザーバー 福島県
 高坂潔福 島県危機管理部原子力安全対策課原子力総括専門員
オブザーバー資源エネルギー庁
 湯本啓市原子力発電所事故収束対応室長
 佐藤幸博原子力発電所事故収束対応室課長補佐
東京電力ホールディングス(株)
 松本純  福島第一廃炉推進カンパニーバイスプレジデント
 磯貝智彦 福島第一廃炉推進カンパニープロジェクト計画部長
 中村紀吉 福島第一廃炉推進カンパニー 福島第一原子力発電所 副所長
 萩原義孝 福島第一廃炉推進カンパニープロジェクト計画部
      土木・建築設備グループ 課長
 山口献  福島第一廃炉推進カンパニープロジェクト計画部
      電気・機械設備グループ課長

議事
○更田委員 それでは、定刻になりましたので、ただいまから特定原子力施設監視・評価検討会の第44回会合を開催します。
 座席表を御覧ください。本日もコ永先生、蜂須賀先生には、朝から御出席いただきありがとうございます。橘先生、山本先生は、御都合により欠席です。それから、東京電力のほうに体制の人事異動があったようなので、松本さん、紹介をしてください。
○松本(東電) 私、プロジェクト計画部長ということでございましたけれども、引き続き、少し立場を変えて、同じくこの検討会には出させていただきますが、後任の磯貝が本日から検討会のほうへ参加させていただきますので、御紹介いたします。
○磯貝(東電) 松本の後任で参りました磯貝です。こちらに来るまでは、福島第一のほうで現場のほうを見ておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○更田委員 それから、規制庁のほうにも人事異動があって、佐藤の後任に荒木が着任をしています。
○荒木 1F事故対策統括調整官どうぞよろしくお願いします。
○更田委員 それでは、議事次第を御覧ください。本日の議題ですけども、陸側遮水壁の状況、それから、二つ目は、多核種除去装置の処理水のタンク貯留の与える影響についてですけど、主に今日の議題は、陸側遮水壁の状況について報告を受けて、それについて議論を進めていくことと、それから、陸側遮水壁の進捗状況にかかわらず、建屋内の滞留水に対して、今後、どう取り組むかについて、少し議論をしたいというふうに考えています。
 資料は、この議事次第にリストアップされているとおりで、過不足があれば事務局にお伝えください。
 それでは早速ですけども、議題の(1)陸側遮水壁の状況、東京電力から説明をお願いします。
○中村(東電) 東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの中村でございます。陸側遮水壁の状況につきまして、資料1と、その下にA3で資料1別添とございますが、こちらを使いまして御説明いたします。
 ページめくっていただきまして、1ページ目に、本日の御説明内容と書いてございます。陸側遮水壁につきましては、前回の監視・評価検討会の後、6月6日より、第一段階のフェーズ2としまして、山側の未凍結箇所を除く範囲の凍結運転を開始してございます。海側につきましては、前回御指摘いただきました地下水ドレンのくみ上げ量、こちらを含めました地下水流入量につきましては減少し始めてきております。また、山側につきましては、壁内外の水位差が拡大する兆候が見え始めてきました。いずれにしましても、引き続き、変化傾向を確認していく予定です。
 本日は、2章、3章で、今申し上げましたような状況につきまして御説明いたします。その後、4章におきまして、今後、第一段階の後、第二段階、そちらに移行してまいりますけれども、それに当たりまして、確認していく事項、具体的には、ここの2章、3章の内容になります。こちらにつきまして。それから、さらに、第二段階の閉合をどのように計画していくのかの考え方を御説明いたします。
 3ページへお進みください。こちら、第一段階の凍結範囲ということで、左上がフェーズ1の凍結範囲、右下がフェーズ2の凍結範囲でして、青塗りのところが陸側遮水壁のライン、それから、赤丸のところが、未凍結箇所として計画的に凍結させないところでございます。
 続きまして、6ページから、海側の温度の状況につきまして、特徴的なところを述べてまいりたいと思います。
 こちら、左側が、5月31日、前回御報告した北側のデータ、それから、右側のほうが7月14日のデータになってございます。繰り返しになりますけども、7.5°C以上が朱色、赤色、それから、黄色ぐらいが0°C以上、それから、青になると0°C以下、それから、さらに温度が低下してくると、藍色、紫という絵でございます。こちら、御覧いただきますと、左と右を比較しますと、全体的に青いところが紫に変わっているということで、全体的には温度が低下しているということ。
 それから、前回、温度低下が遅れておりましたところにつきましても、図中の「補助工法施工範囲」と書いてあるところですけれども、6月6日から補助工法を開始いたしまして、その進捗に伴いまして温度が低下してきてございます。左のほうが、赤から黄色に明確に下がってきていまして、右のほうが、若干温度低下が鈍いということがございますので、24次注入を先週から実施しているところでございます。
 続きまして、7ページを御覧ください。こちらが1、2号機海側になります。これにつきましては、左下のほうで、赤いところですとか、黄色いところが、前回御報告したときに残っておりましたけれども、右を見ていただきますと、青いところは紫、
 それから、黄色いところも青に、それから、まだ赤いところは黄色で残っておりますけれども、時間遅れはありましたけれども、温度が下がってきている様子が御覧いただけるかと思います。それから、図中に「補助工法施工範囲」とございますけども、こちらは現場の施工環境の制約から、6月の下旬から補助工法を行っておりまして、まだ明確に温度低下が現れていないというところでございますので、こちらについては、引き続き、注視していきたいと思ってございます。
 それから、8ページが、3、4号機海側でございます。こちらにつきましても、青いところが藍色あるいは紫に、それから、黄色いところも青くなってきているというところが御確認いただけるかと思います。
 続きまして、水位・水頭の状況につきまして、12ページを御覧ください。こちら、左下には、陸側遮水壁内外の中粒砂岩層の水位の例としまして、Cと書いてございますが、2号機タービン建屋海側のところを示してございます。直近では、雨の影響ですとか、それから、サブドレンの稼働の影響によりまして、一番下に示します水位差のグラフに暴れというか、変動が見られておりますけれども、全体的な傾向としましては、前回御説明したとき、5月末以降、水位差が拡大してきているというふうに考えてございます。
 ほかの場所の水位につきましては、説明は割愛しますけれども、A3の別添のほうに示しておりますけれども、こちらも、いずれも水位差が拡大あるいは維持しているということを確認してございます。
 続きまして、13ページ以降で、地下水ドレンのくみ上げ量などを含めました4m盤への地下水流入量を評価しましたので、その内容について御説明いたします。
 14ページを御覧ください。こちら、毎回示しておりますけれども、上から、降雨、それから、赤いところが建屋への地下水流入量、その下、青い棒グラフがサブドレンくみ上げ量、一番下がウェルポイント・地下水ドレンのくみ上げ量でございます。
 建屋への地下水流入量につきましては、前回以降も引き続き200m3/日程度で推移してございます。それから、サブドレンくみ上げ量の平均値、こちら、図中に数字で書いてございますけども、4月、5月が450m3/日程度、6月に入りまして510m3/日程度と多くなってきて5おりますけれども、6月は降雨が多かったということ、それから、サブドレンのメンテナンスなどを適宜やってございまして、その影響を受けておりまして、その陸側遮水壁閉合の影響を明確に評価しにくいというような状況になってございます。
 また、4m盤のくみ上げ量につきましては、4月が352m3/日、それから、5月が352m3/日、6月が320m3/日と、若干低下して見えますけれども、7月は雨が少なかったんですが、6月下旬の降雨の影響もありまして、増えているように見えます。この辺り、ちょっと雨の影響がどうなっているのかといった辺りを含めまして、次ページ以降で詳しく分析を行いました。
 15ページを御覧ください。こちら、4m盤への地下水流入状況の変化を確認するために、「降雨量」と「4m盤への地下水流入量」の関係について、月ごとに整理をしてございます。横軸でございますけれども、※1、下のほうにありますが、こちらを御覧ください。降水量につきましては、陸側遮水壁(海側)閉合の効果が小さく、4m盤への地下水流入が安定していたと考えられます凍結初期の期間(4/8〜5/12)におきまして、4m盤への地下水流入量と期間降水量の相関を分析しまして、最も相関の高い、下の表にありますけれども、決定係数で0.129となっております過去15日間の平均降水量を選定しまして、これを横軸にとってございます。縦軸につきましては、その下、※2でございますけれども、「4m盤への地下水流入量」につきましては、ウェルポイントくみ上げ量と地下水ドレンくみ上げ量の実測値、及び4m盤におけます地下水位変動への寄与量の合算から降雨浸透量を差し引いた値として推定したもの、評価したものを縦軸にとってございます。
 上の図に戻りまして、こちらが月ごとに色分けをしてプロットしまして、そのプロットしたものから回帰線を引いてございます。4月が青、5月がオレンジ、赤が6月、それから、白抜きが7月でございます。そうしますと、これを御覧いただきますと、この降雨量と4m盤への地下水流入量の関係というのが、4月〜6月には明確な差異は見られませんでしたけれども、7月は降雨による流入量の増加が小さくなっていると。すなわち、勾配が寝てきているという傾向が見られます。これは陸側遮水壁(海側)の閉合に伴いまして、10m盤への降雨が「4m盤への地下水流入量」に与える影響が小さくなったことを示しているというふうに考えてございます。これより、海側の閉合によりまして、4m盤への地下水流入量が減少し始めているというふうに考えてございます。
 続きまして、16ページを御覧ください。こちらは、やはり4m盤への地下水流入状況につきまして、別の観点から分析したものでございます。やり方の手順を左上のほうに示して6ございます。こちら、先ほど申しました比較的4m盤への地下水流入が安定していたと考えられます4/8〜5/12におけます降水量と4m盤への地下水流入量の関係から回帰式を図@のプロットから求めてございます。
 この図@で得られました回帰式をもとにしまして、実測値の降水量から4m盤への流入量を計算しました。それが左下、図Aの緑のラインでございます。あわせまして、図中には実績値ということで黄色、それから青を示してございまして、この両者の比較が図Aになってございます。
 5/13以降、4m盤の状況が安定状態から変化してきたと仮定しました5/13以降の実績値が、計算値に対してどのように変化していくのかということを評価するために、この回帰式より求めました計算値と実績値の差分をとりまして、そのトレンドを図Bということで、右下に示してございます。こちら、4/8〜5/12までが回帰線を求めたリファレンス期間でして、5/13以降をオレンジの折れ線グラフで示してございまして、その期間におきます回帰線を図中の破線で示してございます。これによりますと、5/13以降の実績値が、計算値より下振れしているということで、計算値よりも小さくなる傾向となっていることが御覧いただけるかと思います。これによりまして、この4m盤への地下水流入量というものは減少傾向となっていまして、陸側遮水壁(海側)の閉合の影響を受けている可能性があるものと考えてございます。
 続きまして、17ページを御覧ください。こちら、以上のまとめでございまして、降雨の影響を踏まえまして地下水流入量の評価を行いまして、7月には降雨による地下水の流入量の増加割合が小さくなってきていると。これより、陸側遮水壁(海側)の閉合によりまして、4m盤への地下水流入量が減少し始めているというふうに考えてございます。
 また、現在、温度低下が遅れている箇所につきましては補助工法を行っておりまして、そのような箇所での凍結進展によりまして、今後、4m盤への地下水流入量は、さらに減少していくというふうに考えてございます。また、4m盤への地下水流入量の減少が4m盤のくみ上げ量、ウェルですとか、地下水ドレンのくみ上げ量に直接的に現れるまでには、地盤の中を水が流れる時間がかかりますので、時間遅れがあるということで、これについても、より明確になってくるというふうに考えてございます。
 いずれにしましても、引き続き4m盤の地下水流入量を確認してまいります。
 続きまして、22ページ以降、山側の状況について、ポイントを絞って御説明させていただきます。
 22ページを御覧ください。こちら、1、2号機の山側の温度分布でございます。左側がフェーズ2の開始ということで、6月6日の朝のデータ、それから、現状、右側が7月14日でございます。全般的に赤が黄色、あるいは青になってきている様子が御覧いただけるかと思います。
 また、右下の図で、赤い箇所がブロック状に残っておりますけれども、これはブラインを流していない、あらかじめ計画した凍結させない未凍結箇所でございますので、ここはこのまま赤い状態が続くというふうに考えてございます。
 続きまして、水位につきまして、26ページを御覧ください。こちら、陸側遮水壁(山側)内外の中粒砂岩層における地下水位差ということで、中段に平面図を描いてございますけれども、この中で、赤枠で囲ったところの水位を比較してございます。具体的には、一番左、1号機山側とございますけれども、陸側遮水壁の上流側、Co-3D、Co-4Dというものが、上流側ですけども、未凍結箇所の上流に位置してございます。こちらが上流側、それから、下流側としまして、RWの4とか5とありますけれども、そのうち、陸側遮水壁の壁のセンター付近に位置しますRW5、これの差を見ているものでございます。具体的には、左下の1号機山側と書いてございますけれども、上に3本、線が引いてございまして、グレーがCo-4D、それから、黒がCo-3Dということで、これが上流側の水位でございます。それから、黄土色がRW5ということで、これが下流側の水位でございます。こちらの上流側2カ所の平均値から下流側RW5を引きました差分を示しましたものが左下のグラフでございまして、20日程度の間の平均値を青いバーで示してございます。これを1号、2号、3号、4号と、御覧いただきますと、4号機では、サブドレンの影響を受けているところがあって、明確ではありませんけれども、特に7月の上旬以降、水位差が大きくなってきているというふうに見ておりまして、内側・外側で水位差が拡大する兆候が見え始めているものというふうに考えてございます。
 続きまして、31ページ以降、第一段階から第二段階への移行について御説明いたします。
 まず、31ページでございますけれども、第一段階から第二段階への移行に当たっての確認事項ということで、まず、(1)としまして陸側遮水壁(海側)の閉合状況、これにつきましては、今申し上げてまいりました内外水位差を確認する。それから、地下水ドレン・ウェルポイントのくみ上げ量等の4m盤への地下水流入量の減少傾向を確認していく。それから、三つ目、Cとしまして、測温管位置での温度が0°C以下であることを確認していこうと考えてございます。温度につきましては、局所的に0°C以下にならない箇所が存在しました場合8には、その影響を評価しまして、第二段階へ移行しましても問題がないということを確認していこうというふうに考えてございます。
 続きまして、(2)で、陸側遮水壁(山側)の閉合状況でございます。こちらにつきましても、山側の内外の水位差を確認していく。それから、測温管位置での温度が0°C以下を確認していくということで考えてございます。
 いずれにしましても、一番下に書きましたように、引き続き、これらの項目について確認していく計画でございます。
 続きまして、32ページ以降、第二段階の閉合計画の考え方についてお示しいたします。
 33ページを御覧ください。第二段階の閉合につきましてですが、繰り返しになりますが、まず、第一段階におきましては、山側を95%まで凍結することとしまして、山側からの地下水供給を確保するために、7カ所、5%の未凍結箇所を設けてございます。
 第二段階におきましても、第一段階と同様な建屋内外水位差の管理を行いながら閉合を進めていく計画、考えでございます。
 閉合を進めるに当たりましては、第一段階での実測データに基づきます地下水収支の評価をもとにしまして、第二段階の閉合率を設定しまして、閉合範囲内への地下水流入量を確保した計画を策定してまいります。
 閉合率の考え方、算定方法について、以降、述べてまいります。
 34ページを御覧ください。こちら、閉合率の考え方でございます。陸側遮水壁(山側)の閉合を進めることによりまして、山側からの地下水流入の減少量が、閉合を進める前のサブドレンくみ上げ量より少なければ、サブドレン稼働の調整によりまして建屋内外水位の逆転を生じさせない運用が可能であると考えてございます。そこで、第二段階の閉合に伴いまして、山側からの地下水流入が減少しても、サブドレンくみ上げ量が無くならない。ここで、下の図に「A:閉合を進めた後のサブドレンくみ上げ量」とございますけれども、これがプラスの値をとるように、次ページから示します評価をもとにしまして、閉合率を定めてまいります。
 次ページで、記号が出てきますので、前回と繰り返しになりますけども、この記号の意味合いについて御説明します。まず、Aというものが、今申し上げましたけれども、サブドレンのくみ上げ量でございまして、これは実測から得られる。それから、B、建屋流入量でございますけれども、こちらが建屋水位の変動などの実測値からの推定値でございます。Cが陸側遮水壁の海側のラインを通過していく流量、具体的には、4号機の海水配管トレンチ9下などの未凍結部分を残してございますので、そこからの4m盤に流れる量などをこのCで推定すると。それから、Dにつきましては、現実には考えにくいんですけれども、深部を通って陸側遮水壁の閉合範囲外へ移動する量ということで、これは推定値で考えてございます。それから、E2というものが、こちら、前回御紹介したものですけども、地下水位変動への寄与量ということで、こちらも地下水位などの実測値から推定するものでございます。それが支出側となりまして、じゃあ、供給側はということで、一つがE1、上に書いてございますけれども、降雨浸透によります地下水の涵養量ということで、これは降雨実績から推定します。それから、もう一つがF、山側からの地下水流入量ということで、今申し上げましたA〜E1、E2をもとにしまして算定するというものでございます。このうち、第二段階の閉合の考え方としては、第二段階に行っても、このA:サブドレンのくみ上げ量がプラスの値を保つということを基本に、計画を立案する考えでございます。
 具体的な方法につきまして、35ページを御覧ください。中段に表がございます。こちらの(1)、(2)は、今申し上げました水収支を第一段階、第二段階で示してございまして、上が添え字で1と書いてございますが、第一段階、これは第一段階のある時点において実績として得られるもの、そして、その時点で、第二段階を計画するに当たりまして、想定するものが(2)のF2+E12以降の式でございます。閉合を進める前後での山側からの地下水流入量の差分、ΔFと呼んでおりますのが、すなわち、第一段階と第二段階の山側からの流入量の差でございますけれども、これは、この(1)、(2)の差っ引きから、表中の(3)で表されまして、サブドレンのくみ上げ量のAと、降雨による涵養量のE1の二つの量の変化から評価できるというふうに考えてございます。
 なお、ここで、B、C、D、E2につきましては、閉合を進めても変化しないとして評価をしてございます。
 二つ目のポツでございますけれども、第二段階におきまして、サブドレンのくみ上げ量が維持、すなわち、A2>0となるための陸側遮水壁内側への地下水供給の条件は、上の(3)式を変換しますと、下式@ということで、ΔF<A1-ΔE1というもので表されます。ここで、ΔE1というものは、第一段階と第二段階の降雨による地下水涵養量の差でございます。この式から、地下水流入量の差分(ΔF)というものは、「第一段階でのサブドレンくみ上げ量(A1)」から「降雨による涵養量の差分(ΔE1)」を差し引いた量よりも少なくすればよいということになります。これによりましてΔFを評価しまして、それをもとにしまして、A式のような形で閉合率というものを評価することが可能でございます。
 この算定方法に基づきまして、閉合率を試算しました例を次のページで御説明します。36ページを御覧ください。36ページで、閉合率の試算をするわけですが、このときに、第一段階終了時の実績値というものが必要になるわけですけれども、この下の表、(I)第一段階終了時と書いてございますが、ここにつきましては、前回の監視・評価検討会でお示ししました山側50%遮断、海側100%遮断の場合の第一段階の水収支の想定値を仮に入れてございます。もし第一段階終了時でこういった数字が得られたとしたならば、第二段階の閉合率の計画をどうするのかということを試算したものでございます。
 左側の(I)の数字から、第一段階におきましては、A1が410m3、E11が210m3、F1が430m3となるというふうに仮定をいたします。
 第二段階におきましては、まず、E12、降雨をどう見積もるかというところでございますが、これは過去30年の年間降水量の実績に基づきまして、その最小値をもとにしまして1日あたり90m3としてございます。そうしますと、35ページに示しました@式から、ΔFは290m3、F2は430から290を引いて140m3となると。そうしますと、このときの閉合率というものは98.4%というふうに計算することができます。
 閉合を進めましても、閉合された箇所を流れていた地下水は未閉合箇所に向かいますので、新たに閉合します割合ほど地下水流入量が減少することはないというふうに考えておりまして、このため、算出した閉合率98.4%とすることによりまして、ΔFは290m3/日未満、F2は(1日あたり)140m3を上回る値、さらに、A2というものは(1日あたり)0m3を超えるということで、プラスの値になるということで、サブドレン稼働の調整によりまして建屋内外水位の逆転をしない運用が、この計画でいけば可能であるというふうに考えてございます。
 続きまして、37ページを御覧ください。こちらが、それで、じゃあ計画をどう進めるのかということを述べてございます。第二段階の閉合は、前ページまでに示しました方法に基づきまして閉合率を算定しまして、閉合計画に反映してまいります。また、地下水流入の状況によりましては、第二段階としてさらなる閉合を段階的に進めていく考えでございます。
 第二段階におけます閉合計画では、上記閉合率と以下に示します山側からの地下水流入量等の地下水挙動、遮水壁の凍結の進展状況、補助工法の施工性などを総合的に考慮した上で、具体的な閉合率、閉合箇所、閉合方法を策定していく考えでございます。
 以上のまとめが、38ページでございます。ちょっと繰り返しになりますけども、再度、確認のために御説明いたします。
第二段階におきましても、第一段階と同様な建屋内外水位差の管理を行いながら、未凍結箇所の閉合を進めてまいります。閉合を進めるに当たりましては、第一段階での実測データに基づきます地下水収支の評価を利用しながら進めてまいります。
 「第一段階でのサブドレンくみ上げ量」と「降雨による涵養量の差分」から求まる値以上に山側からの地下水流入を減らさなければ、第二段階の閉合を進めても、サブドレン稼働の調整により建屋内外水位の逆転を生じない運用が可能であるというふうに考えてございます。
 第二段階の具体的な閉合率、閉合場所、閉合方法につきましては、今後見られてまいります陸側遮水壁(山側)によります地下水の挙動等を考慮の上、計画していく考えでございます。
 続きまして、40ページ以降、現状では10m盤の地下水収支がどうなっているのかということを評価しましたので、それについて御説明いたします。
 43ページを御覧ください。こちら、縦軸が山側からの地下水流入量ということで、先ほど御説明しました地下水収支の式に基づきまして評価しました山側からの流入量の日々の値を青丸でプロットしてございます。横軸が時間軸でございまして、昨年の11月6日以降のものを示してございます。それから、図中の縦線は降水量でございます。また、中段に810m3/日という一点鎖線が引いてございますが、こちらにつきましては、前回も御紹介していますけれども、昨年の11月6日から今年の1月7日まで、この期間の平均降雨が1日あたり4mmでございまして、年平均相当であるということから、この期間をベースに、山側からのこの期間の地下水流入量を評価しました結果が(1日あたり)810m3となってございましたので、それを目安のために、図中に一点鎖線で示してございます。こうしますと、ちょっと青いドットというものがばらついておりまして、今後、これが下がってくるというふうに考えてございますけれども、現時点ではそのような傾向は明確に見られてございませんので、今の段階では、まだ陸側遮水壁(山側)による遮断効果は明確に現れていないというふうに考えてございます。
 以上のまとめが、44ページでございます。第一段階におきましては、陸側遮水壁(海側)の内外水位差と4m盤への地下水流入量の減少傾向、山側につきましては内外水位差、さらに陸側遮水壁全域の凍結状況の確認を行うということで、引き続き確認していく考えでございます。
 また、第二段階の具体的な閉合率、閉合場所、閉合方法につきましては、今後得られますデータをもとに計画していく考えでございます。
 以上の全体のまとめを45ページに示してございます。本日は、ここに示しました3点について御報告させていただきました。
 今後は、上記の4m盤への地下水流入状況などの確認項目を引き続き確認してまいります。そして、確認の後、第一段階の地下水収支を評価し、第二段階の具体的な閉合計画を立案していく考えでございます。
 なお、注水井の性能につきましては、今後確認した上で、建屋周辺の地下水管理に用いてまいりたいと思ってございます。
 本文は以上でございますが、参考資料にどんなものがあるかということを簡単に御紹介したいと思います。48ページ、49ページが、陸側遮水壁の凍結進展状況に関連しまして、測温管で0°C以下になっている計測箇所の割合というものが、どのように推移しているかというものを示してございます。
 50ページ以降が、海側の内外水位・水頭の変化ということで、少し違った尺度から変動を評価した結果などを53ページですとか54ページ、あるいは56ページ以降に示してございます。
 それから、60ページにつきましても、同様に、陸側遮水壁(海側)内外の地下水位・水頭についてですが、これの上流側と下流側の相関関係なども分析しましたので、その変化傾向を61ページ、62ページに示してございます。
 それから、63ページ以降の参考3のところでは、先ほど申し上げました4m盤の地下水流入量を評価したと申し上げましたが、その評価の考え方というか、根拠となるようなものを示してございます。
 それから、66ページ以降が、第一段階から第二段階への移行関連ということで、全体の今後、第三段階まで計画を考えてございますけれども、そちらの考え方を示してございます。
 それから、69ページから、第一段階フェーズ2の地下水挙動の解析ということで、解析をやってみました。一つが定常解析でございます。地下水流動解析のところにつきましては、いろいろな仮定を置かないといけないという前提で解析を行ってございます。定常解析の内容が、71、72からで、76ページに結果を示してございます。
 それから、78ページには、地下水挙動に影響を与え得る不確定因子ということで、ここ13に示しているようなものが不確定要素として残ってございますので、これらの評価によって、解析の結果が変わり得るというふうに考えてございます。
 特に、一番下に示しましたような、非定常挙動に対して影響するというようなところも課題があるというふうに思ってございます。そういう前提で、非定常挙動につきましては、あくまで「試解析」ということでやってございまして、それの内容を80ページ以降に示してございます。
 それから、85ページから、参考6、その他ということで、地下水ドレンですとか、サブドレンのくみ上げ量のトレンド、それから、サブドレンの稼働状況と水位変化、93ページ以降がサブドレンの水位変動でございます。従来から引き続き、建屋水位に対して余裕を持った形でサブドレンの運転をしているというところでございます。
 それから、97ページ以降が、補助工法の進捗と温度低下状況ということで、補助工法をやっています各ポイントにおけます温度の傾向を、100ページ以降、それぞれの箇所ごとにお示ししてございます。
 資料の御説明は以上でございます。
○更田委員 その海側の状況と、それから、これ、言うまでもなく、何をずっと議論しているかというと、第一段階から第二段階に移行できるのかということをずっと議論しているので、まとめ、45ページですか、今回の報告事項で、第一段階から第二段階へ移行するに当たっての確認事項と。ここがポイントなわけですけど、じゃあ、その確認事項というのは何かというと、18ページに戻っていって、時間遅れはありますと。だけど、何を見ていくかというと、4m盤への地下水流入量を確認していくと。確認事項なんですけど、一体どうなったらいけるのかって。見ていくんですと。4m盤の流入量がはっきりと減ったらいいだろうとか、水位がそのときにそれとリーズナブルに一致していればいいだろうと。ただ、定量的には降雨等もあるし、何とも言えないんですと。これははっきり言って、何だろうと。
 現在の状況からすると、減少し始めているとか、そういうことだけども、よく見ると減少しているようにも見えるというくらいのものであって、ちょっと期待とは違うのは、東京電力としては、何が、どうなったら、もうこれでうちは、海側はもう効果が出ているんだって胸張れるんだというのが、なかなか定量的に言うのは難しいだろうと。これ、こういう収支で表現するか、水位差のほうは山側のほうでも例を示しているので、水位差のほうは実データとして現れるはずですけども、4m盤のくみ上げ量に関しては、今後、どう示していくつもりですか。
○中村(東電) 4m盤につきましては、地下水ドレンのくみ上げ量などは実測値として出てまいりますけれども、それ以外に、上流から供給があったり、降雨があったりしますと、水位変動したりする分がありますので、その分については評価をして、地下水ドレンのくみ上げ量の実績値をもとにしました評価値として見ざるを得ないというふうに考えてございます。
それの分析をしましたものをお示ししてございますけれども、これについては、ちょっと今回は二つの見方で図をお示ししていますが、この辺りを工夫しながら、もうちょっと明確に現れていることを確認できるような形で整理していきたいと思ってございます。
○更田委員 こういう評価をやって、この値がこうなったら第二段階に移行したいと言えないものですか。
○磯貝(東電) そういう意味で、31ページが、その陸側遮水壁の海、山の状況で、今回お示ししたのは、34ページにサブドレンのくみ上げ量、要は第二段階に入ったときのサブドレンのくみ上げ量がゼロよりも大きい状態をキープできるような状態であれば、第二段階に移れるという判断を我々はしたいということで、本日の説明資料にさせていただいていますが、山から入ってくる量、それから、4m盤から抜ける量と合わせて考えたときに、その地下水の流入量の減少分に対して、サブドレンで常にくみ上げが継続できるというのが判断条件になろうかというふうに考えてございます。
○更田委員 サブドレンのくみ上げ量が負にならない、ないしはゼロにならないように運用しておけば、いかようにでもサブドレンを止めれば水位を回復できるから、逆転させることはないというロジックですけども、この評価にどれだけの不確かさがあって、どういう値になったら第二段階なんだという。
 今、求めているのは、こういう評価をやりますではなくて、こういう評価の結果、その結果がどういう値を示したら、胸を張って第二段階へ進ませてくれと言えるのかということなんですけども、それは見通しが立たない。
○松本(東電) 若干言い訳めいたところになるかもしれませんが、14ページを御覧いただきますと、まずは、一番上に降雨という欄があって、その月別の降雨量を示しております。2月、3月というところが、21.5、28というような数字だったものが、4月は130、5月は72、6月は181ということでございまして、今年は梅雨時の雨の量としてはかなり多雨であったというところでございまして、先週ぐらいまで、ずっと降雨の影響を引きずってきて、これは降雨があったものの影響というのは、多分半月ぐらいは確実に引きずってくるということになるかと思っております。量的なバランスを見ても、それぐらいかけないと、その降雨があったものの影響というのは解消されないというふうに見ております。
 こういう状況ではあるんですけれども、その降雨の影響を取り除いて評価をするということに関しては、その次の15ページ、16ページで、一つの試みをやってみておるわけでございます。これで見ると、我々としては、ある程度は効果が見えてきていると。ただし、これは降雨の影響というものを取り除いて見ているわけですけれども、実際に降雨がなくなってきたときに、やはり同じような傾向がきちっとクリアに見えてくるということは、これから、今、梅雨が終了してくる段階で、新たにここの部分が補強されてくれば、より信頼性の高い形でやはりきちっと壁ができて、ブロックがされてきているということが言えるのではないかというふうに思っております。それは、もうこの一月の間に、そういう結果が見えてくるだろうというふうに私どもは推測はしております。
○更田委員 あんまりこの段階で四の五のやりとりをしても、あまり意味はなさそうであって、そうすると、一月ぐらい待って、あんまり評価といいますか、計算をしてみないでも、14ページのようなデータを見て、サブドレンのくみ上げ量もあまり多くなっていないと。しかるに、4m盤のほうでは、くみ上げ量が明らかに減っているとなれば、4m盤への流入は壁の効果が出ているのかなと。
 それから、温度を下げるのは手段であって、目的ではないので、とはいうものの、補助工法をやっているところのまだ幾つも、明らかに補助工法がきいていなさそうだというところがあるので、補助工法がきき出して、今月もあんまりないですよね。あと一月ぐらい様子を見て、そのときに明らかに4m盤のくみ上げ量が減って、水位差がはっきりついていて、その上で収支も明らかにということであれば、第二段階に行けるんだろうということで、ちょっと様子、まだ様子見ですね、これね。
○松本(東電) はい。残念ながら、ちょっとそういう状況かなというふうに見ております。14ページを御覧いただきますと、一番上が、赤い棒で降雨量を示していまして、一番下が、4m盤のくみ上げ量の緑色とか赤の線になります。これを見ますと、6月にかなりの降雨があって、その影響で4m盤のほうのくみ上げ量が上がってきているというのは、7月に入ってから上がってきているような状況といいますか、これぐらいのどうも時間遅れがありそうだというところでございまして、これがきちっと、この降雨がおさまってきたことの影響というのは、これから徐々に見えてくるというところで、やはりこの辺りに一月ぐらいは様子を見ていかないと、効果がきれいに収支として見えてこないというふうに予測をしております。
○更田委員 そもそも4m盤のくみ上げ量って、どのくらいになるというのを期待しているんですか。というのは、この14ページのグラフを見るだけでも、12月1日から書かれているけれども、353、319、267で、321までずっと推移しているわけだけど、これに明らかに減るということを期待しているのか、そういうものではありませんと言っているのか。
○中村(東電) 前回お示ししました中に入っていましたが、海側が100%遮断された場合の4m盤くみ上げ量の地下水収支上の評価値としましては70m3/日という数字を持ってございます。
 ですので、100m3/日前後まで行くということが期待できるかなというふうに考えてございます。
○松本(東電) 今、御説明した数値は、100%閉合したということなので、第一段階でそこまでということではないんですけれども。
○中村(東電) 海側ラインが100%、4号の海水配管トレンチの下の窓はあいていますけれども、それ以外のところが全て塞がったとした場合に、海側の4m盤のくみ上げ量が70m3/日と。
○更田委員 第一段階完了時には地下水収支上は70なんだと。当然あいているところがあるからゼロにはならないし、多少の回り込みはあるだろうから、ゼロにはならないんだと。それであれば、妙に計算なんかしなくたって、これが100とか、120とかになっていくはずですよね。その地下水収支なるものが信用できるんだったら、そうなると、これが少なくとも半分にはならないことには、海側きいていますとは言えませんよね。よろしいですか。
○松本(東電) はい、結構でございます。
○更田委員 この海側の状況と、確認ですけども、よろしいでしょうか。
○高坂原子力総括専門員 海側の話ですけど、4m盤の話は、二つ、たしか目的があって、海側遮水壁を先ほどの海水配管トレンチのところを除いて、他を閉合することによって、100(m3/日)ぐらいに減らそうという話がありましたけど、流入量を減らすということは、4m盤の一番心配しているのは、実は海側遮水壁のところですね、あれが相変わらず倒れ込みの傾向は見られている。それで、海側遮水壁を閉合して、非常に安心して、取水槽のある海側ですごく(海水の)放射線レベルが下がる、セシウムとかですね。ところが、最近、がっと上がってきたと。それで、上がってきてしまって、遮水壁を閉合する前の時点までの(放射線)レベルまで行っていると。その理由が、一つは、K排水路を繋ぎ替えたので、その影響かもしれないとかいう話もあるんですけど、逆に言えば、例の海側遮水壁のところの継ぎ手部のシールをしたときによって急激に流出量が減って、放射線のレベルが減ったという話があったので、逆に、そこが(放射線レベルが)戻っているということは、あそこ(シール部)が変形で、場合によっては、少し漏えい量が増えているかという話もあるので、だから、その辺の原因もあるので、とにかく4m盤への流入量を減らすというのを目的の一つに、やっぱり海側遮水壁と海側潮位との水位差をできるだけ下げるところまで減らしたいということがあるのとそれから、海側遮水壁の上流で、地下水ドレンでタービン部(建屋)に戻していますので、タービン部(建屋)に戻している(建屋への地下水)流入量は減らしたいという、二つの目的があったと思うんですけど、そういうふうに見た場合に、この陸側遮水壁(海側)の閉合のところをどこまでやるかというのが、海側遮水壁じゃなくて、すみません、陸側遮水壁(海側)のところですね。
 それで、最近やられましたけど、気になるのは、やっぱり補助工法のところが本当に効くかというところがあるのでで、そこをできるだけやらないといけないと思うんですけど、ただ、このまま行っても、本当に狙うところまでいくかというのは非常に疑問もあるので、最終的に、それを踏まえて、どういう運用をするかというところを、陸側遮水壁(海側)の到達点はここまでをするという話は議論されていましたけど、そこを決めて、例えば半分に減ったらよしとするといっても、それでも、戻ってくると海側の4m盤の水位が上がったりなんかするので、そこのところ、全体を上手くというのは考えていただかなくちゃいけないと思うんですけど。
 それで、最近、割かしいいと思ったのは、地下水ドレンのくみ上げ量のうちの、従来はほとんどの部分がタービンビル回収していましたけど、最近はトリチウム濃度等も下がってきたので、かなりタービンビル(建屋)の流入のほうが減っているということですので、そうすると、それをくみ上げて運用すれば良いということが、一つの助けになる手段ですし、あとは、水位の方は、そのくみ上げでやれば上手くいくので、できるだけ流入量を減らすことと、同時に、4m盤の水位を減らす運用をすることを一つのターゲットにして、陸側遮水壁(海側)の閉合のどこまで行ったらば良しとするかという判断に考えるべきじゃないかと思うんですけども、ちょっと色々複雑に申し上げましたけど。
○更田委員 ただ、陸側遮水壁(海側)を考えるときに、私たちは、海側遮水壁はちゃんとしていてくれるということを前提に考えているけれども、4m盤の水位が変わってくることが、海側遮水壁に与える影響というのは、この辺りはどうなんですか。懸念を持っているんですか。
○松本(東電) もう一度、最も新しいデータを確認する必要がありますけれども、確かに、水位が上がってきたときに、少しその計算の範囲内で、想定の範囲内で海側への倒れ込みがあって、一旦倒れ込みがありますと、そこの間に細かい砂れきのようなものが入り込みますので、水位が下がって圧力がなくなっても戻ってこないと。ラチェットのような、そういう挙動をいたします。その挙動の範囲内で、一旦上がった値が、ある範囲の中できちっとおさまっているというのは確認をしておりますので、今の段階で鋼管矢板の海側の遮水壁に何か異常があって、そこから何かが出ているというようなことについては、さほど懸念をする必要はないというふうに考えておりますけれども、もう一度、きちっとそれは新しいデータでお示しをしたいと思います。
○更田委員 まさか、そんなことはないだろうと思うけれども、4m盤のくみ上げ量が減っていたって、実は、それは海側がきかなくなっていたというのであると話にならないので、だから、海側遮水壁の状況というのは常に監視を続けてもらって、ただ、陸側遮水壁(海側)がもし効果を発揮すれば、4m盤の水位に対してだって、いい効果があるはずですよね、基本的に。その水位がそんなに上がってこないはずであるから、海側遮水壁に対する負荷も小さくなるはずなので、ではあるけれど、やはりそこら辺の収支の前提は、海側がきちんと機能しているということなので、それは改めて確認をしてください。
○松本(東電) はい、わかりました。
 あと、なるべくその水位差を小さくしたほうがいいんじゃないかという御指摘もございましたけれども、先ほど申し上げたような理屈ですので、水位差を小さくしても、海側遮水壁の鋼管矢板そのものが戻ってくるということはございません。さらに申し上げれば、そこがもし逆転をして、海水の水位のほうが高くなって、その内側の地下水ドレンのほうの水位のほうが低いという状態になりますと、今度は海水が外から中に入ってくるという状態になりまして、これは塩素濃度が上がってまいりますと、今度はサブドレンの浄化設備等にも影響を与えますので、できればそういうところまでは、水位をぎりぎりに低くするというところは、別の視点でも検討をしなければいけない観点が出てまいるというところでございます。
○更田委員 高坂さんが御懸念のような、その海側遮水壁に対して悪影響がないんだったら、4m盤の水位は下げておいたほうが、基本的にいいのは間違いないんだけど、ただ、海側遮水壁の耐用年数とか保全というのは、あまりこれまで議論をしてきていないけれども、メンテナンスが必要ならば、というのは、今みたいな御懸念があるんだとすると、一定期間、メンテナンスをそれほど考えなくていいのか。でも、実際、倒れ込みのようなことが起きてきたときに、海側遮水壁の持っている性能にどうきいているかというのは、これはちょっと確認をしてもらえばと。ここでやるのはちょっと無理で、多分材料がないだろうと思いますので。よろしいでしょうか。
○高坂原子力総括専門員 分かりました。ただ、心配はそういうことだったので、先ほど申し上げた、最近、一時期下がっていた(海水の)放射能濃度がまた上がってきているという話があるので、その評価はきちんとしておいて、海側遮水壁の影響じゃないということであれば良いと思うんですけど、そこが心配なので、そこは確認していただきたい。
○更田委員 あと、高坂さんの御発言の中にあったK排水路のつけかえじゃないかというのは、これは確認をしてもらったほうが、評価にすぎないかもしれないけど、というのは、K排水路のつけかえで濃度が上がってくるようだったら、これはこれで問題だと思いますので、これは何らかの検討ができますか。
○松本(東電) 確かに降雨のときに、少し港湾の中が上昇傾向が見えるということはございますので、ちょっと評価をいたしまして、別途、また次回にでも御報告をさせていただきたいと思います。
○更田委員 フェーシングは相当進んだものの、そうはいったって、表面を洗っているものだって流れてくるだろうから、外洋部に比べて港湾のところはそれを保持するから、当然多少の影響はあるんだろうと思いますけども、つけかえでというのは、あんまり気持ちのいいものではないので、そこは評価をしてもらいたいと思います。
 ほかにありますか。
○コ永教授 先ほど更田委員がまとめられたように、今の段階で、凍土壁のことに関してですけども、結論的なことがまだデータからは言いにくいというのはそのとおりだと思うのですが、一方で、今起こっている現象が、どれぐらい現状凍っているという情報があって、かつ、結局、場が不均質なところで、うまく凍らないところがあったから、まだでき上がっていない部分があると、そういうことだと思うのですが、それに基づいて考えたときに、きちっとそれ以外のところがこれぐらい凍っていると思った結果に基づいて考えると、下がっていないけれども、ある種、着実に進んでいるんだというふうに言えるのか、それとも、あまりきちっと想定したほど下がっていないというふうにおっしゃっているようにも聞こえるんですが、それが、自分たちが想定していないようなところに外れているのかとかという辺りは評価されているんでしょうか。すなわち、どう言えばいいんですかね、補助工法をして、きちっと止めると、最初に想定していたように、現象が起こるということが確認できているかどうかという辺りをちょっと教えていただきたいんですが。
○中村(東電) 海側につきましては、大きく温度低下が遅れているところが、海側遮水壁に接続している北側の端の部分、それから南側の端の部分、それから1、2号機タービン建屋の東側の部分、そこを中心に補助工法をやっているところです。そこにつきましては、温度のデータから面積を見まして、そこから、そこに透水係数をある仮定をして設定してやって、それで、そこから水がどれぐらい入ってくるのかということを概算したりというようなことはやってございます。そうしますと、概ね300m3/日とかいう数字でして、この地下水収支から出てきています400m3/日とかという数字と、そんなにずれていないなということで考えてございます。それから、あと、4号の海水配管トレンチ下も含めて、そういったところから、今後、それらが遮断されていくことによって減っていくだろうというふうに考えてございます。
○コ永教授 そうすると、今起こっている現象は、実は凍りにくいところがあって、その部分が遅れているけれども、凍土壁に期待するものについては、効果が少しずつ発現しているというふうに考えていらっしゃるという理解ですね。
○中村(東電) はい。それ以外の赤ですとか、黄色以外のところについては、凍土壁としての性能が出てきているというふうに考えています。
○コ永教授 そうすると、今、残っているところがどれぐらい凍ると、明瞭に地下水流入量と計算されているものが変わるのか。これは時間は非常に難しいと思うんですね。効果がどう出るかというのは、その工法がどれぐらいきちっときくかということにもよると思うんですけども、割合として、あとどれぐらい閉じればいいかとかという、その辺りの見通しがあるんでしょうか。であれば、そこまで待てば、データを見ると、私たちは判断ができるということになるわけですよね。
○中村(東電) 見通しというと難しいというふうに考えていまして、6月の頭から補助工法をやってきましたところについて、北と南は先行してやりましたが、その半分のところは温度が明瞭に下がってきていまして、残りの半分については、ちょっと温度低下が鈍いということで、2次注入などを行っています。そこの分がきちんと固まってきた段階、それから、その後、時間遅れがあって、1号タービンの東側の補助工法をやっているんですけれども、それらが、最初の北と南の半分が閉じたことによってどれぐらい、それから、その後、北と南の残りが2次注入で閉塞されてどれぐらいというのは、ちょっと今のところ、数字、それから時期については何とも言えないところかなというふうに思っています。
○コ永教授
そうすると、結果、そういうことがデータとして見えましたという段階をもって確認するということを待つと、そういう立ち位置だということですか。
○中村(東電) その辺りは、実測データを見ながら、その前に温度が低下しているというデータが現れてきて、その後、地下水ドレンのくみ上げ量などのデータに変化が見られた時点で、そこが閉じられて効果が出てきたということを確認していくということになるかと思います。
○更田委員 なかなか釈然としないところはあると思うんですけど、ただ、14ページのその下の4m盤くみ上げ量、先ほど、中村さんから、あくまで地下水収支という計算ではあるけれど、陸側遮水壁の海側の効果がきちんと現れてくれば、これに70m3という値の紹介があったので、それが70にならないとだめだとするのか、100でもまあいいかとするかは、そのときになってからの議論だけど、しかし、まさかこれが250とか300のままで効果が出ているんですと言われたって、それは納得できるものではないだろうし、東京電力自身、そんなことはないと言っているわけなので、それを、ここが常識で見て、これは明らかに海側の効果だよねということになったら、もともと海側はそれにどうしても避けられない開口部があるので、完全なガチコンの壁にはならないというのは、ある程度折り込み済みであるので、70が100でまあいいかとするかどうかは、また次回だと思います。
 ただ、300とか250で計算すると、これでも効いているんですと言われても、それは納得しないよというのはわかっていますよね。
○松本(東電) はい。それは結構でございます。ただ、1点だけ申し上げさせていただきますと、今申し上げているバランスの計算での値というのは、平均降雨量ということで1日例えば4mmというような雨を前提にしてございます。
これは、降雨量が多ければ、その部分は純粋に上乗せ分というのはございますので、そういう条件はございますけれども、そういうものを見た限りということでございます。
○更田委員 今井さん。
○今井1F事故対策室長 今日、橘高先生は御欠席されておりますので、コメントを紹介させていただきたいと思っております。お手元に今日の当日配付資料として配付させていただいておりますけれども、2点ほどコメントをいただいております。1点目は、何をゴールとするのか明確にする必要がある。完全に閉合させることなのか、完全でなくとも流入量が減ればよいのか。完全に閉合させることが目標であるならば、新たな対策を考える必要があるのではないかと。これに関連して、完全遮水が難しい場合を想定すると、この後、数十年以上タンクの増設に伴うリスクを低減するためにも、完全に止水可能な既往技術によるコンクリート等連続遮水壁の計画を進めるべきではないかといったコメントをいただいております。
 紹介させていただきました。
○更田委員 何か回答ありますか。
○中村(東電) まず、1点目につきましては、31ページの第一段階から第二段階への移行に当たっての確認事項というところに書かせていただきましたけれども、測温管位置での温度が0°C以下を確認する。今、完全に閉合しているかどうかということを実際に現場でのぞくということはなかなか難しいところがありますので、測温管での温度が0°C以下を確認するというのが基本で、ただし、局所的に0°C以下にならない箇所がある場合でも、その影響を評価した上で、第二段階へ移行してもサブドレンのくみ上げ量がゼロにならないというようなことを確認できればいいということで、そういう意味で、完全に閉合させるということがゴールではないというふうに思ってございます。
○磯貝(東電) ちょっと補足をさせていただきますが、要は、100%凍らせる、100%水が通らないような状況をつくれるかというのは、技術的にそんなことを考えているわけではなくて、我々は、凍土壁をつくることによって流入量を抑制させるということを、今、目標にやっています。その下にもありますけれども、完全に止水させてコンクリート等で遮水壁の計画を進めるべきかというような御意見をいただいておりますが、我々は、凍土壁で抑え込んで、なおかつサブドレンでくみ上げながら、建屋の流入水を抑えていく、コントロールしていくということを考えてございますので、橘高先生からのコメントに対しては、完全には閉合させることを考えているかということにつきましては、そういうことではなくて、サブドレンをうまく使いながら流入量を抑えるということを考えてございます。
○今井1F事故対策室長 今度は、橘高先生のコメントではなくて私からですけれども、14ページ目ですけれども、4m盤のくみ上げ量のほうを見ていて、今後、評価をするときに4m盤への地下水の流入量で今後評価されるということなんですが、今、私が思うに、4m盤というのは、今後、山側を閉めたときの10m盤のある程度未来を示しているのかなというふうに考えています。
 したがって、例えば閉めた場合に、いわゆる周りからの流入量は減るにしても、実は、上から雨が降ってくると、それについては逆に池として働いてしまって、トータルとしていわゆる4m盤であれば地下水のくみ上げ量、10m盤であれば建屋への流入量というのが逆に働いてしまう可能性というのはあるんでしょうか。
 今回の状況でも、回帰式を使うと、減少傾向が見られていると、そういう非常に微妙な状況で、例えば70m3にぐっと下がるようなところを、若干、そういったことがあり得るのかなというふうに見ていて、現時点においては、まだ途中段階というところで、まだはっきりしないところだとは思うんですけれども、比較的14ページのところで雨の影響をかなり受けているような気がしますので、そういった状況になるのか、これはあくまで途中段階では雨の影響が見られている状況だというふうに考えてよろしいのかどうか、若干ちょっと感触を伺えればなと思っています。
○中村(東電) おっしゃっているのは、今後、海側ができていったときに、4m盤においても雨の影響などもあるので、その地下水ドレンのくみ上げ量なども、それの影響を受けるのではないかと。それから、10m盤についても雨の影響があるので、それで建屋流入量などが減ってこないとか、そういったことが起こってくるのではないかと、そういった趣旨でございますでしょうか。
 まず、この地下水ドレンのくみ上げ量だけを見てみますと、雨の影響が入ってきますので、4m盤については、かなりフェーシングが進んできていまして影響はかなり落としてきているわけですけれども、とはいっても、そこは排除できないということもありまして、今、4m盤への地下水流入量を計算する上では、4m盤に降った雨の量、降雨量掛ける面積掛けるフェーシングによる浸透率みたいなものを除いた形で地下水流入量が幾つというようなことで評価していこうというふうに思ってございます。
○今井1F事故対策室長 そうしますと、4m盤はいわゆるフェーシングをしているので、降雨の影響というのはあまり影響を受けない状況になるんですけど、10m盤はちょっとフェーシングはやはりなかなか難しい状況かなと思っています。
 したがって、つまり囲んだその瞬間に、実は外部から入ってくる水は、これが防げるけれども、逆に大きな雨が、ダッと降ってきた場合には、これが水がめとして働いてしまう可能性があるのかと。その場合には、結局、サブドレンが効いてくるわけなので、サブドレンをメーンで今後も地下水位をコントロールするという意味では、そこがしっかりしていれば大丈夫だと思うんですけれども、つまり、雨が多いときには逆の意味になってしまって、雨が少ないときには、とてもこれが効果的に働くといった考え方なんでしょうか。
○中村(東電) はい。10m盤につきましては、理想的には建屋流入量を抑えるためにはフェーシングしていくということが必要だと思っていますけれども、現場の状況もありますし、今、陸側遮水壁の計画を進めている中で、ある程度の雨が降っていればというようなことで評価しているところもありますので、前にも御指摘いただきましたけれども、フェーシングの計画はその辺りを、全体を見ながらやらざるを得ないというふうに思ってございます。
 ですので、室長がおっしゃいましたように、雨に対してはサブドレンでくみ上げることで対応していくということを基本としながら対処していきたいというふうに思ってございます。
○松本(東電) ちょっと補足をさせていただきますと、降雨の影響というのはプールに水をためるような、そういう効果かという御質問に対しては、これはもう間違いなくイエスでございまして、例えば平均の降雨量が4mm、5mmというような雨がどれぐらいの影響に相当するかということを見ますと、多分、影響するエリアの面積が例えば4万m2というような値だというふうに考えますと、これは100tとか、そういうオーダーとして1日100t、100t/dayぐらいの影響というのは降雨の影響として平均値として出てくるという計算結果になりますので、相当、そういう意味では、水がめに雨が降って水がたまるというのは、それぐらいの大きな影響要素になっているというふうに考えてございます。
○今井1F事故対策室長 わかりました。現象が見えているんであれば、そういったことも考慮に入れた上での今後の評価ということになろうということですね。了解しました。
○更田委員 あと、山側ですけれども、陸側遮水壁の山側については、海側の状況がまだ見えないので、あまり細かくここで議論しても仕方がないんだけれども、ただ、一つ私のほうから質問があるのは、26ページで陸側遮水壁の山側の水位差がついていることをもって凍結箇所の効果であるかのように言われているんだけれども、例えば一番左の例をとって言うと、Co-3DとCo-4D、これは未凍結箇所に近いけれども、上流側だから未凍結の影響を受けているものではないだろうと見るんだろうと思うんですけれども、一方、RW4とかRW6というのは、未凍結箇所に近いので内側の水位を代表させるものとして未凍結箇所から遠いRW5をとっていて、それを比較して、上流、壁の上、山側それから壁の内側で水位差がついているというのを見せようとしているんですけれども、では、RW4とRW5とか、RW5とRW6とか、未凍結箇所では水位が上がっていないけれど、凍結箇所ではというような比較はできないものですか。
○松本(東電) 可能だと思います。そういう意味では、次回に何らかの格好でそういった、その場合に申し上げますと、南北方向のプロファイルといいますか、そういったものは何らかの形でお示しをしたいと思います。
○更田委員 仮に、RW4〜RW17まで、ある瞬間の水位を見てやれば、未凍結箇所と凍結箇所でギザギザになるはずで、本当に効果が出ているんだったらばね。だから、そういう表示の仕方もあるだろうと思いますので、それは、データの信頼性といいますか、発信の信頼性を高めることになるので、そういった工夫もしてほしいと思うのと、それから、やっぱり山側と海側とそれぞれの水位差の示し方が違うんではなくて、やっぱり同じ形式で山側と海側も表現してもらったほうが、これは信頼性を高めると思うので、またこれは工夫というより、そういうふうに気をつけてもらいたいと思います。
○松本(東電) わかりました。
○更田委員 ちょっと申し上げたように、山側について、あまりそれほど突っ込んだ議論をする余地がないんですけれども、何かあれば。じゃあちょっと徳永先生、どうぞ。
○コ永教授 今、議論することかどうかよくわからないんですけど、先ほどの降雨の話があったときに、今後、閉合率を算定して、この閉合率でやればいけますというときの、34ページ、35ページの話ですが、これは、一方で有効降雨量が関数の中に入ってきているわけですね。これは、逆に言うと、雨が降らないという状況のときにもこの状態を達成するためには、積極的に降雨相当分の水を入れてあげるということをしないと、非常に危険な状態に陥ることが場合によってはあり得るかもしれない。多分、既にそういう準備をされていると思うんですけれども、その辺りについては、どういう段階でどう議論されていくのかという辺りを少し御披露いただくことは可能でしょうか。
○中村(東電) 具体的には、前からちょっとお話ししています、注水井による注水というものを考えてございます。それで、これにつきましては、各井戸に水を入れるとちゃんと中に入るということは確認しまして、それは、以前こちらの会議でも出しておりますけれども、その時にいただいた御意見としましては、それがじゃあどれぐらいの時間をもってある距離が離れたところまで行くのか、それがどの程度なのかというところが実地盤、実際の場所において確認していくべきではないかというような御意見をいただいていまして、今の段階では、まだ閉合の途中ですので、まだ非定常プロセスにおりますので、今の段階ではなかなかそこを確認していくのは難しいかなというふうに思ってございます。
 ただし、いずれにしましても、先生が御指摘になりましたけれども、最終的に閉合率を上げていって第三段階の100%閉合といったような段階では、少なくともそれは必要になってくると思ってございますので、それまでの時間の中で、やり方を工夫しながらやっていきたいということで、具体的な方法については、今はまだ検討しているところでございます。
○更田委員 はい。
○高坂原子力総括専門員 先ほどの橘高先生のコメントに対する回答でちょっと気になったんですけれども、凍土壁で完全に閉合することは考えていないという御回答がありましたけど、確かに現実的な対応としては、凍土壁の限界も見えてきているので、できるだけ地下水流入量を抑制して、後はサブドレンを使って運用していくというのが現実的な対応だと思うんですけど、ただ、私がエネ庁さんの水処理等々の委員会に出ている時は、サブドレンが使えない場合でも、それの代替設備として、代替役の手法として凍土壁があるという話があったので、たしか方針は、やっぱりできるだけ100%に近く閉合するんだというのがあったと思うので、あまり完全に閉合することは考えていないということを正式な場で聞いたことはないんですけど、それは、現実的な御説明のほうで私は納得しているので特に問題はないんですけれども、方針転換に感じるので、それをひとつ確認しておきたいのと、それから、今日の主な議論、31ページにあります第一段階から第二段階に移行するに当たっての確認事項で、これが一番、今日、重要だというお話がありました。それで、一番上の方に海側と下側に山側がありまして、海側の方だと内外の水位差で確認、それから4m盤への地下水流入を今日の話で100tとか70tぐらい下がることを確認して、この効果を見ようと。その下に0°C以下にならない所がある場合は、それは海側も山側も同じ表現なんですけど、その影響を評価して第二段階に移行しても問題がないことを確認するという、非常に曖昧な内容で、これは具体的にどういうことを評価して、どうなったらば良しとするというような、何か判断基準が明確になっているのかどうか教えていただきたい。
 それでもう一つは、そうした場合には、その下に「現況」と書いてあるんですけど、補助工法でできるだけ礫とかがたまっていて、水路のところをできるだけ流量を抑えるための対策をするんだという話になる、と、補助工法の具体的な内容は教えていただいていないんですけど、それが、たしか参考資料にありましたけど、それでこれから2次注入に入るという話があるんですけど、1次注入の場合でも注入した途端に、たしか参考図にありましたけど、温度が逆に水路ができたかどうか、暖かい地下水が流れたかで逆に温度がすごく上昇してしまったと。その後、長時間かかってやっと下がるところまで下がってきているということなのですけど、また2次注入すると同じような状況になる可能性もあるので、この工法、補助工法が本当に有効な方法なのか、どんなことを検討されて考えられているのか教えていただきたいんですけれども。
○松本(東電) まず一番最初に御指摘があったのは、凍土壁の目的ということで、これは、できるだけ100%閉じたいということは御指摘のとおりでありまして、何ら変わりはありません。
 ただし、目的は何かといえば、それは、流入量を減らすことが目的であって、それはできるだけ減らしたいわけですから、できるだけ減らすために閉合している範囲というのは、できるだけ多くしていくということで、それは、究極の目標としては、それは100%であるということでありますので、もしそういうところで御理解がいただければというふうに思っております。
 それから、今、最後の御指摘というか。
○中村(東電) まず、2点目でございますが、31ページの局所的に0°C以下にならない箇所があった場合というところに関してでございますが、その影響を評価して第二段階に移行しても問題ないというところですが、それにつきましては、第二段階へ移行するために考え方として34ページ、35ページ、36ページで具体的に、今、閉合率をどう計画していくという考え方を述べてございます。その中で、部分的に海側が閉じていない、開口が残っていたとしても、そこからの4m盤への流入量というものを評価しまして、それをこの評価の中で考えた上で、サブドレンのくみ上げ量がゼロにならないということを確認できれば、局所的なところが残っていたとしても第二段階へ移行する上では問題はないのではないかというふうに考えてございます。
 それから3点目の補助工法についてでございますが、98ページでございます。下にポンチ絵がございまして、一番左側が最初の初期状態で左下の図の御説明をしますと、濃い青丸が凍結管で、その周囲の薄い青い部分が凍結の範囲と。その間が流速が拡大しているというような場所に対して、その右側に行きまして、赤い丸のところから注入材を注入することで黄色い部分に注入材が浸透していくと。そうしますと、そこの透水係数が落ちてくるので、凍結が促進して薄い青のところが広がってきて重なるだろうというふうに考えてございます。
 今回、部分的にまだ温度が落ちていないというところにつきましては、注入材の浸透範囲が少なかったか、到達しなかったかなどによりまして、まだ流速が高い部分が残っているというところで、引き続きここについては2次注入というようなことで、ここの一番右側のすき間のところについて透水性を落としていこうというふうに考えてございます。
 それから、温度低下をしている中で、例えば100ページなどですけれども、注入を開始した後に温度が上がっているというようなところがございますけれども、これにつきましては、注入の作業を行うには、ボーリング作業を行っていますので、そのときに削孔水、ボーリングの水を回していまして、それが比較的温度が高いこともありまして、凍結管の温度のほうがこういった形で一時的に上昇しているものというふうに考えてございまして、その過程を超えた後に、温度低下するかどうかというところで確認をしているところでございます。
○松本(東電) ちょっと補足をさせていただきますと、補助工法でどんなことをしているかということでありますけれども、例えば98ページに書いてございますような形で、このブルーの凍結範囲に対して、黄色い物を、注入材を打って、これをうまく広がれば、この凍結範囲と、この黄色い物があわさって壁ができるというふうに考えているんですが、これは地面の中の状況によるわけでして、実際、注入材を打ち込んでいるところは、注入材の固化に要する時間というのは、注入材を調整することによって変えることができます。
 私どもが、今、考えておりますのは、最初に打ち込んだ注入材については、固化までの時間を比較的短いものを選択して打ったということで、それが緩過ぎると一緒に流れていっちゃうしまうわけですし、硬過ぎるとうまく拡散しないというところでありまして、そこは、若干、試行錯誤の部分がございますけれども、そういったものを調整しながら2次、3次というふうにトライをしていっているわけでございまして、やみくもに同じようなことをただ継続しているわけではなくて、いろんな要因を評価しながら次のステージを進めていっているという状況でございます。
○高坂原子力総括専門員 今の100ページで御説明がありましたけど、補助工法でもう少し詳しくとお話ししたのは、この左側に絵がありますけど、赤いところのレベルがT.P-1.5mから、その下の-4.5mの近くのところの、多分、礫層があるところをやっているんですけど、補助工法の具体的な注入する範囲(深さ方向)は、どの範囲ですかと。この(絵の)範囲をちょっとまたぐぐらいの範囲なのか、下からの回り込みとか、いろいろあるようなことも気にったので、そういうところは、それで今回、1回やってみたので何か工夫されていますかという質問です。それから削孔水(の温度が影響した)ということであれば、これ、温度が14°Cから上がったり、5°C以上上がっているので、例えば具体的にできるかどうか分かりませんけど、削孔水の温度をあらかじめ冷たい水を注入するとか、何かいろいろ工夫されていますかという質問だったんですけれども。
○中村(東電) まず、一つ目、100ページのところでいきますと、ここの赤い枠で囲っているところが補助工法の施工範囲でございまして、この部分に注入材を注入してございます。その意味合いとしましては、その下に温度が赤いところと黄色いところがございますけれども、その周辺、上・両サイド、それから深さ方向に1m程度の範囲について注入材を注入するという計画でやってございますので、この赤枠で囲ったところがまさにその範囲でございます。
 それから、温度につきましても、御指摘のとおりでして、しかも夏場ということもございましたので、これにつきましては、現場のほうで氷を投入するですとか、でき得ることで温度低下、温度の低い水を流そうというようなことはやっているところでございます。
○更田委員 よろしいですか。
 それで、陸側遮水壁の議論、今日はちょっと途中経過でまだ効果が現れるまで少し時間がかかりますということなんですけれども、これから申し上げることは、必ずしも陸側遮水壁等の関連ではないんだけれども、まだ26m津波への対策もできていないと。また津波がやってきて、この滞留水、相変わらず建屋の中の滞留水の濃度は高い、5乗程度高いわけなんで、タンクの中にたまっているものなんかと比較にならない。津波がこんなものをさらってまた持ってきましたなんていうことになったらかなわないわけで、私たちの福島第一原子力発電所事故から得た教訓は、結局、ちゃんとやれるまで待ちましょうということじゃなくて、もうできるだけ早くやると。ですから、陸側遮水壁をやるのは続けているのは結構ですけれども、しかし、規制委員会としては建屋内にある滞留水に溶け込んでいる放射性物質の量をすぐにできるだけ早く下げること、これはもう要求します、明確に。陸側遮水壁の成否とは別に。ですから、どうぞ、陸側遮水壁は頑張ってやっていてくださいと。ただし、それとは並行して、ないしは、こちらを優先してやってもらわなきゃならないことがある。一つは、濃度を下げるということ。もう一つは、量を下げるということ。基本的に海水配管トレンチでやったのと同じことを要求せざるを得ない。
 二つ検討をしてもらいたいと思っています。一つは、これ、内部でぐるぐる作戦とかと言っていますけれども、とにかく、今、処理をするのに持って行き先がないからALPSの能力は浮いているわけですよね、ROにしても、ALPSにしても。もう戻すのでも構わないから、建屋内の滞留水を引けるだけ引いて、処理できるだけ処理して、行き先がないんだったら、戻したって構わない。そうすると、せっかくきれいにした水を戻してしまうので、薄まってしまってなかなか濃度が下がっていかないということは起きるんだけれども、それでもやらないよりはましということですね。
 もう一つは、それで思うように濃度が下がらないんだったら、これまで規制委員会が言っていたことと逆に聞こえるかもしれないけれども、タンクの増設命令を出しますよ。結局、処理済水の対処について、資エ庁のほうでもなかなか結論は出ない。検討を始めるとされているけれども、正論はいつになるかはわかりませんということなので。そうであれば、滞留水の濃度を下げてもらうためには、戻すんだったらうまく下がらないんだったら、もうこれは、(今、6万t程度の滞留水があるんだったら、)タンク120基使えば2回抜けるわけですよね。抜いては地下水を入れて、抜いては地下水を入れてとやれば濃度は下がるはずですから。こうなれば、言っていることが違うと言うかもしれないけれども、タンクを増設してでも、もうがんがん抜いてもらう。そうでもしない限り、こんな高濃度の滞留水がいつまでも建屋の中に残っている状況を座視しているわけにはいきません。
 それから、もう一つは底上げ。これは、一定程度、建屋内の滞留水の濃度が下がってからになるでしょうけれども、撥水コンクリートなり何でも突っ込んで、建屋の床を上げてもらう。建屋の中の水位を必要以上に下げてしまうと、地下水の流入量が大きくなる、これまでの東電の説明だとそういうことになりますから、建屋内の水位を急激に下げてしまうわけにはいかない。でも、絶対的な水位を下げないで量を減らそうと思ったら、床のほうを上げるしかないですよね。床を上げていけば、水位が一定のまま、水深は小さくなるはずですから。
 ですから、この二つについて検討をしてもらいたいと思います。
 処理済みの水を建屋に戻すことで十分に速やかに濃度が下がっていかないようであったらば、タンク60基をつくれば、1回相当量を抜いて、そこに地下水を入れてということになりますし、それを繰り返さなきゃならないんだったら、2回やればタンク120基です。私たちは、処理済み水をタンクにため続けることに対して、これまで非常に強い懸念を示してきたけれども、でも、その処理済み水の行き先について、いつまでも結論が出ないようであれば、結論が出ないから、高濃度の汚染水が建屋内に滞留していても仕方がないんですというのは、方針として決してとることはできないので。これは、次回ないし次々回までに段階的にでも構わないですから、対応方針を聞きたいと思います。
○松本(東電) かしこまりました。濃度と量をどういうふうに減らしていくのかという状況について、考え方をきちっと整理してお示ししたいと思います。
 若干、タンクの増設ということに関して申し上げますと、これは、増設したタンクというのもいずれ廃棄物になってまいります。ですから、廃棄物の視点からも検討する必要があるかなというふうに思ってございます。
 それからもう1点、建屋の床の底上げというお話に関しましては、これは、少しリアクタービルとタービンビルとかで状況が異なるかなというふうに思っております。そういう意味では、リアクタービルに関しては、まだ冷却も、これもいろいろ議論があるところではありますけれども、水位の逆転というようなことを考えたときには、ある程度、今、深さがあるところに原子炉建屋の地下階があるというところは、ある意味メリットでございまして、これを底上げすることで全体にというのが必ずしもリスクを回避する上で本当にいいのかどうかというところは、よくよく検討した上で状況を御説明申し上げたいというふうに思います。
○更田委員 一つ目のものに関して言えば、今まで1000基近くタンクをつくっておいて、廃棄物問題がありますといっても、それはおっしゃるとおりで、理屈の上ではそうかもしれないけれども、今そこにある危険性と廃棄物問題と、それはバランスの問題です。しかし、明確に言っておくのは、5乗以上ほかに比べて濃度の高い高濃度の汚染水が建屋内にある状況をいつまでも許すということは決してないということです。それからもう一つ、底上げに関してだけれども、まず濃度が下がってからの話ですよね。5乗高いんだから、それが2桁の違いだとか、5桁違うんだから。それをまず2桁なり1桁まで落ちたときというのは、今度は水位逆転が与えるリスクがそれだけ、3桁、4桁、1000倍、1万倍与える影響が小さくなっているんだから、そのときの議論としては、十分、底上げは成立すると思っているし、それからタービン建屋とリアクタービルでまずは易しいところからなんだろうと思うけど、4号機のタービン建屋に関しては、かなり原子炉建屋との間の縁切りも可能になってきて、4号機のタービン建屋のドライアップへ向かってというのは進んでいけると思っているんですよ。ですから順番にやっていく、その中での底上げに関しては、もうドライアップして、それから除染してという世界ではないんじゃないかと。一定程度の水が残った状態で最後の手段としたら、海水配管トレンチと同じ手段をとらざるを得ないんじゃないか。そのためには事前に濃度を下げておかなきゃならない。
 先ほど、この議論を始めるためには、もう一回、滞留の状態、滞留水の状態、濃度等々、これまでに紹介をされていますけれども、スラッジの分析もされているはずですよね。ですから、スラッジがどういうものがあって、そこに滞留水だけじゃなくて一体何があって何がないんだということを明確にしておく必要があるので、そういった情報についてはまとめておいてほしいと思います。
 それから、結局、どこまで来ているか、松本さんが言ったように、炉心を洗っている水の状態がどうかというのを知っておきたいので、これも、前回、前々回からずっと言っているけれども、下にたまる前に、炉心を経過してきた水をとにかくとってきたい。これがもうそれほど汚染されていないんだったらば、もちろんダスト等々の懸念はあるので、一定の水をかけなければという議論はあるかもしれないけれども、冷却の観点からいえば、もうほとんど空冷で行けるところまで来ているんじゃないかと思うんですけどね。
 それと、多少温度が上がったことが、その後の効果に対してどうなるかわからないけれども、でも、少なくとも炉心を通過してきた水がきれいであるかどうかというのは非常に大きな情報なので、これはとりたいと。
 それから、わかる範囲で、滞留水と、それからその上にある炉心等の状態を見ておきたいし、それから、そもそもこの検討会の目的というのは、廃炉作業に伴うもの、安全と、もう一つは、それによって事故の分析に対する証拠が失われないことであるとか、分析を進めていくということなんで、そのときに滞留水の部分と、その上位に、物理的に上のほうにあるものの状態でわかる範囲のものを改めて整理してもらう必要があると思うんですが、例えばTIP管の脇からサンプルをとっていますよね、これまでにも。
○松本(東電) TIP管は、一つの原子炉の中の状況を見ていくのに、アクセスルートとして使えるかどうかというところの調査はしてございますが、ちょっとデータが今どんなふうに整理されているか、確認をいたします。
○更田委員 ちょっと別の席ではあるんですけど、TIP管脇から耳かきみたいなものでちょっとサンプルをとってきたという話を東京電力から聞いているので、それについても、とってきたんだったら分析ができるはずなので。
○松本(東電) わかりました。ちょっと状況を確認いたします。
○更田委員 陸側遮水壁と、それから陸側遮水壁の進捗にかかわらずということですけど、いわゆる建屋内の滞留水全体に関しての議論として、次回以降も議論を続けていきたいと思いますけれども、ここまでのところで何か御意見、御質問ありますでしょうか。よろしいですか。はい、どうぞ、高坂さん。
○高坂原子力総括専門員 今、更田委員がまとめていただいたんですけど、やはりもともと凍土壁とかを作っているのは、建屋内に入っている滞留水を外に漏らさないために水位をどう下げていったら良いかということだったんで、やっぱりリスクのもとになる建屋内の滞留水を除去するのは重要だと思うのですけど、それで、この前のお話で、水位の逆転を防ぐために、急遽として、建屋内にたまっている滞留水はどこかに移送できるスペースを確保していただいたことがあるんで、それを上手く使えば、先ほど更田委員が言われたようなところで、その時は、下げた分だけは地下水が流入してもやむを得ないという判断があれば、もう少し緊急に対応できるような案もあるんじゃないかと思うのですけれども、その辺も検討の中に入れていただきたいと思います。
○更田委員 そこが、まだ確かにいいところを高坂さんは言及していただいたんですが、要するに、建屋内の滞留水、非常に濃度が高い。ほかのものに比べてざっくり言って10万倍濃度が高い。ですから、これの移送先が確保されていれば、水位の逆転とか、もちろん許されるものではないけれども、怖さが違ってくるわけですけど、この移送先に溶接タンクが用意できていない。いざとなったらフランジタンクに移しますと。10万倍高いほうがフランジタンクに入って、10万倍濃度の低いほうが溶接タンクに眠っているわけですよ。だから、こんなばかげた話はないし、それから、サリーもキュリオンもALPSも、今の状態で能力を発揮し切ってないんですよ。何で発揮し切っていないかと言うと、処理したって、処理済み水の行き先がないから。そこで東電からタンクの増設計画というのが出てきて、それは認可したところです。
 しかし、先ほども申し上げたけれども、処理済み水の行き先の問題がいつまでも結論が出ないようであれば、もうはっきり規制委員会としてはタンクの増設命令をかけますよ。120基増設して、2回、建屋内の滞留水を抜いて、さっさと処理してくださいと。処理が間に合わないんだったら、一旦、建屋内の水を1回とにかく汚れたままでも構わないからタンクにダッと抜いて、そうして地下水を流入させてしまう。そうすれば、少なくとも逆転とか外部への漏えいといったときに、10万倍濃いものが100倍濃いものになったら、怖さは1000分の1になるわけですから。
 ですから、これ、はるかにそのほうが早く、今私たちは、10万倍濃いものを相手に陸側遮水壁だの何だのとやっているけれども、だったら、その濃いものを一旦タンクへのけろよというのは極めて常識的な判断だと思います。
 ですから、抜いて地下水を流入させて、抜いて地下水を流入させてというのを2回ぐらい繰り返せば、結構、100倍かどうか、ただ濃度は下がるはずですので。
 よろしいでしょうか。
 ちょっと今のと関連がないわけでもなくて、もう一つ資料を用意していますので、資料2、ALPSによる処理水をタンクに貯留し続けた場合に廃炉作業に与える影響について、説明をしてください。
○山口(東電)それでは、資料2について、プロジェクト計画部の山口が説明いたします。
 1ページ目を御覧ください。ALPS処理水をタンクに貯留し続けた場合に廃炉作業に与える影響として二つ大きく分類をしています。タンクにこのまま貯留し続けることの課題と、今後もタンクを継続して増設していくことの課題に分けてございます。
それぞれ廃炉作業に与える影響と影響の分類を明記してございます。
 最初に、青字のタンクに貯留し続けることの課題ですが、個別要因としましては、タンク移送配管の経年劣化、溶接タンクも漏えいリスクゼロとはなりませんので、漏えいリスクが増加する影響が考えられます。
 タンクに貯留し続けることの課題と今後も増設していくことの課題の共通要因としましては、敷地が限られているため、今後新たな設備の配置計画、廃棄物処理の建屋等が主にありますが、そういうものに影響を与える可能性があると。影響を与えてしまうと、廃炉作業が長期化するという影響が考えられます。
 また、タンク移送配管の設置・運用・保守等のリソース、リソースというのは人的・費用のリソースがありますが、それらのリソースがタンクでとられてしまうので、他の廃炉作業のリソースが不足し、これも廃炉作業の長期化の影響が考えられます。
 それと、作業員の被ばく増加、パトロールあるいは建設で線量が増加します。
 続きまして、黄色のタンクを継続して増設していくことの課題でございますが、タンク移送配管をこのまま増設していくことによって物量が増えますので漏えいリスクが増加していきます。また、タンク移送配管を増設することによって、物量が増えますので、発生する放射性廃棄物が増加する影響が考えられてございます。
 それと、タンクをつくるには、建設のスピードというものがありますので、溶接タンクの増設にあわせたALPS処理量となるため、万が一、地下水流入抑制効果の発現が遅れる場合には、タンクの貯留水、あるいは建屋の滞留水等のALPS処理が長期化して、これも廃炉作業の長期化に影響することが考えられます。
 説明は以上でございます。
○更田委員 ちょっと今、用意がないので、ここへ映そうと思ったんですけど、今日は映せないかもしれないけど、それぞれの水って、みんな汚染水と一言に言ってしまうけれども、濃度が全然違う。繰り返し言っていますけど、建屋内にいるものの濃度って、セシウム濃度にしても何にしても、たしか5桁、建屋内のほうが高かったですよね。10万倍濃いわけですよ。
 ですから、ここで漏えいリスク云々と言ったところで、それは、生の建屋内から引いている水を漏らせば話は別だけど、タンクからの漏えいなんて、言い換えると同じ量が漏れたところで、10万分の1の濃さなんですね。
 放射性廃棄物の増加、それは放射性廃棄物は増加するかもしれないけど、だけど、そのために10万倍濃いものを建屋にいつまでも置いておくんですかと、そうはいかない。であるから、これ、貯留し続けた場合にとなっているけど、言い換えると、タンクにもっと空きがあればという話なんだ、要するに。それもフランジタンクではなくて、溶接タンクにもっと空きがあれば、あれもできる、これもできるのに、それができないでいますと。現実にALPSもサリー、キュリオンも、その能力をフルに発揮できていない。処理したところで処理済み水の行き先がないのでということで増設計画が出てきた。ただし、するべきは、とにかく建屋内からの濃度を下げましょうですから、建屋にあるのが不安だったら、まだ溶接タンクにあるほうがましだろうというんだったら、処理なんかしないでもとにかくタンクに移したらいいのにと。でも、そのタンクはありませんと。そこには、きれいになった水が眠っていますと。
 ですから、規制委員会としては処理水をどうするんだということをこれまで問うてきたわけですけれども、しかし、それでも結論が出るのに時間はかかる。これは、それなりの理由があることだと思いますが、しかし、いつまでもリスクの高止まりは許せないので、もうこれはいざとなったら溶接タンクをそれだけつくりましょうと。建屋内の滞留水が6万m3、タンク60基、抜いて入れて抜いて入れてを2回繰り返すために120基。リスクを下げるのには、恐らくそれが一番早い手段ですので、これは真剣に検討してもらいます。
 御質問、御意見があればお願いします。
 蜂須賀先生、どうぞ。
○蜂須賀会長 すみません、質問なんですけど、タンクの大きさって、いつも同じじゃないですか。濃度の低いものをもうちょっと大きなタンクにみんな集めるということは不可能なんですか。ごめんなさい。素人考えなんで、濃度の低い順から三つのタンクを一つに入れるとか、そういうような方法というのはとれないんですか。
○松本(東電) タンクの大きさは必ずしも一通りではなくて、これは、製造方法などによって大きさが異なっております。ただ、大きさと中に入れる物の濃度ということであまり今まで何か連動させて濃度の低い物を大きなタンクに入れるというようなことで検討をしたことはないんですが、大きな物は2000tを超えるようなタンクもございますし、小さな物は800tぐらいのタンクもございます。
 ちょっとその都度、その時々に不足ぎみになっているタンクをその時点で完成した物に割りつけているというようなやり方をしておりまして、特にちょっとタンクの大きさとの間で今までは連動させて考えたという、タンクの大きさと濃度ということをつなげて検討したということはこれまでございませんでした。ちょっと検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○蜂須賀会長 前回も町民からの質問の中で、タンクが増え続けたら、もう土地が足りないだろうというふうな指摘を受けて、この場で発表させていただいたんですけど、そのとき、町民みんなで話をしたのがそれなんですね。そして、今、更田委員のほうからまた出せよと言われたとき、またタンクを今、120つくると。だったら、ガソリンとか、ああいうふうな大きなタンクをつくって一気に入れておいたほうがいいのかななんて、単純な考えをしました。
○松本(東電) タンクは、できるだけ大きな物をつくったら一体どうなるんだというのは、大分検討はしておるんですけれども、今のところ二千数百トンというようなところが現場で、今の現場の環境も含めて、若干の制約がありますので、その辺が今までの経験としては最大になってございます。
 逆に、船で持ってこれるように工場で完成をさせて持ってきて、これを現場で大きな台車に載せて移動させて設置をするというアイデアもありまして、これはつくるほうが放射線環境のないところで製造できますので、ただし、今度は逆に、船で移送したり、それから、構内を移動させたりということで、大きさのほうの制約が出てくるというようなこともございまして、それぞれいろんなよし悪しがあるものですから、そういうものを今組み合わせて現地で比較的大きな物をつくるというようなこととか、比較的小型の物を別の場所でつくって船で持ってきてぽんと据えつけるというようなことをちょっと組み合わせてやらせていただいているという状況でございます。
○更田委員 汚染水処理と一言で言っていますけれども、汚染水にも先ほどからいろいろあると。ちょっと手元に来たのは、最近、至近のALPS処理済み水というのは、セシウム137にしてもストロンチウム90にしても、大体100のオーダーだと。建屋内はセシウム137は107のオーダーで、ストロンチウム90が106のオーダーだから、そうすると、セシウムで言えば1000万倍だし、ストロンチウムで言ったら100万倍だと。それが6万m3だと。もうほとんどリスクは全て建屋側のほうにいるわけであって、だからこそ格闘しているわけですけど。
 一方で、それを処理するサリー、キュリオンにしても、RO濃縮装置にしても、APLSにしても、そこがプロセスの律速しているわけではなくて、仕上がりの水を入れていくところの量が律速をしている。これ、結論はさっきとやはり同じにならざるを得ないですね。
 すみません、高坂さん。
○高坂原子力総括専門員 すみません。県の立場で見ると、建屋内に溜まっている滞留水のリスクが大きいというのは分かるんですけど、ただ、建屋に入っていると、その外をまた凍土壁で囲っていますし、一応、それとまるっきり違うところにタンクを作るということが、そこに移すというのは、本当にリスクが下がるのかということを県民に分かりやすくするためには、建屋内に入れて置くことによるリスクとして、津波か何かが来た場合に、持ってこられるリスクがあって防ぎようがないと。それから、建屋内のところはやっぱり完全に漏えい防止するというのは、非常に、水位のコントロールをしているんだけど、難しいせいで不安定さもあると。だから、より安全なところの津波の影響を受けない35m盤か、高いところにタンクを作んだと。そちらのほうがトータルとしてリスク、危険性は(大きく)減るんだということが分かる形で書いていただき、進めていただきたいことが一つと、それから、持っていった場合に、できるだけ敷地境界の線量が上がるということを一番心配するので、必要な遮蔽をちゃんとするとか、あるいは、できるだけALPSとかキュリオンの能力が余っているんであれば、それをやって(浄化して)できるだけ10万倍高いやつをそのまま持ってくるんじゃなくて、移す速度との絡みもありますけど、処理をしながら持っていくというようなことで対応できるかどうか、それも含めて、それからもう一つ、タンクとしては溶接タンクを使うんだというような所で、県民として安心ができるようなことを前提条件として明確にした上で、検討していただきたいと思いますけど。
○更田委員 ありがとうございます。
今、いずれにしろ、緊急移送先を用意しておかなきゃならないわけだけれども、その緊急移送先がフランジタンクであるという状態を、もうこれだけでも解消したいので、緊急移送先を確保するために溶接タンクをつくってくれというのも十分あり得る話だと思っています。
 ただし、緊急移送が必要となる確率といいますか、ありそうかどうかというところのはかりをかけて、フランジタンクであっても、当面、いたし方ないというのは、物事が前に進みませんので、そういう判断ではあるんだけれども、いずれにしろ、緊急移送先が溶接タンクであるほうが好ましいと。ただ、緊急移送でない限りは、実態としては生のままの滞留水をタンクに入れるというのは、恐らくタンクの増設のペースと合わせても、あまり現実的ではないだろうと。また、移送スピードから考えても、あまり現実的ではないと。
 ですので、タンクに入れるんだったら、少なくともサリー、キュリオンを通してという形で、それだけでも随分、セシウム等々は1乗から3乗ぐらいのオーダーが残ってしまうけれど、それでも大体ほぼほぼ1000倍から1万倍薄まるわけですから、ストロンチウム未処理水のような形でも構わないけれども、できればALPSまで通してタンクに貯留したい。
 敷地境界の線量に関して、これは評価をしてもらわなきゃならないけれども、ただ、リスクの高止まり状況と、それから敷地境界の値がどうなるということは、やっぱりこれ、いざとなったらはかりにかける議論をせざるを得ないとは思っています。
 まあこれ、タンクの増設スペース、もし増設するとなったら増設スペース、ないしは、処理済み水に関する議論が極めて加速されるとか、そのどっちかだろうとは思いますけれども、後者はやはり考えにくいので、そうなったら、もうフルパワーでタンクを増設してもらうしかない。
 これは、陸側遮水壁の効果をこうやって見続けているということとの兼ね合いですけれども、これはやはり時間がかかるのであれば、並行してやりましょうと。
 それから、先ほど、蜂須賀さんからの御質問で大きなタンクという、これはいろいろ技術もあるだろうとは思いますけれども、あの現場を見た限りでは、あまり大きなタンクって、ちょっとつくれる状況ではないと思います、作業性との関係で。
 本当は、地下貯水槽がうまくいけばよかったんだけれども、やっぱりずさんな造りというか、というところもあって、地下貯水槽が使えない経緯になってしまってはいるんですけれども、まあALPS処理済み水であれば、もう少し信頼性を確保することができれば、地下貯水槽みたいな考え方はできたんだろうとは思っています。
 よろしいでしょうか。
 はい。ちょっと事務局が議論のポイントをまとめるということなので。
○熊谷管理官補佐 事務局のほうから、本日の議論のまとめを紹介させていただきたいと思います。
 本日1点目の陸側遮水壁の状況ですけれども、本日の議題で大きな課題は、第一段階から第二段階に当たっての確認事項ということでありまして、一つ目といたしましては、確認事項として4m盤のくみ上げの減少、また、地下水の流入の確認、また測温管の温度ということを確認しました。
 一つの指標として、くみ上げ量の指標がございまして、70〜100m3程度を目標とする、一方で約半分という議論がありまして、ちょっとここが一つの議論のポイントかなと思います。
 また、現在、海側遮水壁のほうにも影響を及ぼしているんではないかという議論がありまして、海側遮水壁の耐用年数とか保全についても次回以降、確認していこうという議論になりました。
 また、港湾内の濃度が上昇しているということについて、K排水路の影響が出ているんじゃないかという議論がありましたので、これも次回以降、確認が必要だと考えております。
 その結論としましては、まだ効果が見られていませんので、あと1カ月程度、現状を確認する。また、4m盤のくみ上げ量の定量的な評価値の妥当性について次回議論を行う。
 またその他ですが、降雨の変化に対してサブドレンのくみ上げ量により対処、また、陸側遮水壁の効果発現の信頼性を高めるため、未凍結場所とそうでない場所の比較を次回提示する。
 あとちょっと大きな議論になりましたけれども、陸側遮水壁の効果発現にかかわらず、津波防護対策、26m対策として、建屋の滞留水のまず濃度の低下、また滞留水の量の減少、これを実施する対策を並行して進めることを求めました。また、この内容については次回以降説明を受けることも確認しました。
 一方で、これから検討になりますけれども、建屋等の底上げの対策についてを検討を求めました。
 また、その他ですけれども、炉心を冷却した水のサンプリングや滞留水の評価についても調査を求めたところでございます。
 1点目の遮水壁の状況は以上でございます。
 続きまして、二つ目のタンクの貯留が廃止措置に与える影響ですけれども、こちらについては、蜂須賀委員のほうから、ちょっと記載していませんが、タンクの容量を、ボリュームを増やすことによって、今、敷地が少ない中で何とか稼げないかという議論があったという御紹介がございました。
 また、建屋滞留水をくみ上げる条件として、溶接タンクや敷地境界、またサリー、キュリオンでの浄化も必要ではないかという議論がございました。
 以上になります。
○更田委員 文章は後でもう少しまとめてもらいますけど、まず、海側遮水壁について、高坂さんから懸念があって、4m盤の水位との関係について議論しましたけれども、海側遮水壁についても耐用期間や保全について、これは、さらっと次回、説明してもらえればと思います。
 それから、K排水路のつけ替えが港湾内の濃度に影響しているかどうか、これも確認をしてもらいたいと思います。
 一番の焦点は、第一段階をどう見るか。第一段階はこれで卒業というのをどう見るかというのが、いろいろ議論はあったけれども、やはり4m盤くみ上げ量というのが地下水収支の計算値に基づくんだったら100%出現していれば70m3なんだと。だから、この70m3という数字を一つのベースラインとして考えましょうというのが今日の結論だと思います。これ、明確に書いておいてください。それが100でいいのか、120でいいのかというのは、これは、そのときの水位だとか、いろいろなものを見てになるかもしれないけど、70というのが一つの考え方の基本になりますねと。現状は250〜300前後で推移しているのに対して、これが70という数字に明確に近づいたことをもって議論のスタートポイントに立ちましょう。
 それから、これはこちらから申し上げたことですけれども、陸側遮水壁の進捗状況にかかわらず、建屋内滞留水の濃度と量を下げる方策をそれぞれ検討してもらいます。これは、検討してもらうじゃなくて、ある期間までには必ず実施してもらいますので、その水の行き先がないというのであれば、これはもう命令してでもタンクの増設をしてもらいます。
 それから、その前段階として、建屋内滞留水の状態について、汚染水並びにスラッジ等の分析をしているはずですので、その結果を紹介してもらう。さらに、ちょっとTIP管の近傍については調べてください。
 二つ目の議論は、一つ目の議論とほぼリンクをしていますので、もしうまい表現があれば1行、2行、つけ足したものを文章化いたします。
 これは違うというのがあったら。
○今井1F事故対策室長 念のためですけれども、本日の報告でも陸側遮水壁は若干の中間状況だったかと思っております。次回という形で書かせていただいておりますけれども、やはりそこは実績のデータを得た上で恐らく報告されると思っていますので、次回、例えばこれまでの議論の中で津波・耐震の件をやるとか、そういった形で検討会を開くのであれば、次々回以降という意味で、あそこの次回議論というのは、次回以降ということで修正が適当かというふうに考えますが、よろしいですか......。
○更田委員 次回、一応、8月18日を考えています。ちょっと関係者、都合が厳しいというあれもあるので、ひょっとすると、日程をずらせれば変えたいと思いますけれども、大体そのぐらいの時期、1カ月後を目処に開催をしようとしています。
 今から1カ月後だと、まだまだ陸側遮水壁については、傾向がよりはっきり出ていればいいんですけれども、はっきり第二段階云々という議論をするところまでは行っていないんじゃないかなという気はしますので、あわせて今日ちょっと指摘をしていますので、それについての回答について準備を進めてもらえればと思います。
 全体にわたって何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 東京電力からどうですか。よろしいですか。
 はい。
 それでは、以上で本日の特定原子力施設監視・評価検討会を終了します。ありがとうございました。

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