[2017_09_06_11]原子力規制委員会定例会議_速記録(原子力規制委2017年9月6日)
 
参照元
原子力規制委員会定例会議_速記録

平成29年度原子力規制委員会
第35回会議議事録
平成29年9月6日(水)
原子力規制委員会
平成29年度 原子力規制委員会 第35回会議
平成29年9月6日 10:30〜12:20
原子力規制委員会庁舎 会議室A

議事次第
 議題1:東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準適合性審査について(8月30日の意見交換等のフォローアップ)
 議題2:四国電力株式会社伊方発電所3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査の結果の案のとりまとめについて(案)
 議題3:放射線障害防止法における「廃棄に係る特例」に関する制度の考え方について
 議題4:平成30年度原子力規制委員会重点施策及び公開プロセス指摘事項への対応方針について

○田中委員長
 それでは、これより第35回原子力規制委員会を始めたいと思います。
 最初の議題は「東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準適合性審査について(8月30日の意見交換等のフォローアップ)」です。
 通常の原子力発電所の適合性審査結果については、技術審査について、本委員会でその是非を議論することになっておりますけれども、これまで原子力規制委員会としては、東京電力については、柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の審査の前提として、東京電力が原子力発電事業を行うことについての姿勢や考え方、いわゆる適格性を見きわめることが必要であるというふうに判断し、いくつかの取組を行ってまいりました。
 その一つとして、6月に会長、社長が代わったということもありまして、7月10日と、それから、先日8月30日、それから、8月25日に文書による回答をいただきましたけれども、そういったことの議論を行ってきたと。見きわめるためのいろいろな意見交換等を行ってきました。
 それから、もう一点は、安全確保の上では現場の考え方、力量を見きわめることが大事であるということで、7月末に私自身と伴委員が柏崎刈羽原子力発電所に出向きまして、安全確保に関する意識調査等を行いました。
 本日は、これらの取組を通して、原子力規制委員会として東京電力のいわゆる適格性について、どのように判断すべきかということを議論させていただきたいと思います。
 お手元の資料1は、これまで、今日の議論のために参考になると思われる資料を事務局にまとめていただきました。ですから、それを見ながら、思い出しながら、是非御意見をいただきたいと思います。
 今日の議論の私どもが判断するポイントについて、あらかじめ申し上げておきますけれども、東京電力首脳との意見交換、いわゆる回答文書を含めまして、それをどういうふうにそれぞれの各委員が受けとめているかということ。それから、柏崎刈羽原子力発電所の意識調査について、これは改めて私と伴委員の方から御報告させていただいて、その感想、判断みたいなものを報告したいと思います。
 それから、そういったものを踏まえまして、原子力規制委員会としてどういうふうにいわゆる東京電力の適格性を判断するかという結論を得られればと思っています。その上で、今後の取組について、少し議論を整理したいと思います。
 それでは、これから議論に移らせていただきますが、この議論は、いわゆる今までの原子力規制委員会の議論というか、ある程度事務局が準備してくれたものを議論するというよりは、この原子力規制委員会5人の中でそれぞれの考えを述べていただくと。そして、最終的に判断をしていきたいと思いますので、是非思うところをしっかりと述べていただくようお願いしたいと思います。
 それでは、まず、少し順番立って議論を進めた方がいいのかと思いますので、まず、東京電力首脳との意見交換というのを二度にわたってやりました。その間に回答文書も頂いています。特に8月30日には文書を踏まえてかなり突っ込んだ議論を行いましたので、そこについて、それぞれの意見を述べていただきたいと思います。
 それから、その中でもう一つ是非お願いしたいのは、更田委員と石渡委員に今までいわゆる新規制基準への適合審査を4年にわたってやっていただいたわけですけれども、審査をしてきた過程での東京電力の安全に対する考え方とか、そういうことについて、技術レベルも含めましてですけれども、そういった率直な印象もお聞かせいただければと思います。
 それでは、議論に移りたいと思います。どなたからでも結構なのですけれども、まず、更田委員からお願いできますか。
○更田委員長代理
 少し田中委員長の考えておられる整理と異なるかもしれませんけれども、これまで柏崎刈羽6・7号機の申請を受けて、私は主にプラント関係の審査に当たってきました。
 これから見解を申し上げるときに、まず第1にお話をしたいのは、福島第一原子力発電所(1F)事故の発生、これに対する東京電力の責任と、それから、技術力といったことについて、自分なりの考えを述べたいと思います。
 1つは、福島第一原子力発電所、この事故に対する東京電力の責任が極めて大きなものであることは言うまでもないのですけれども、責任と、それから、技術力とをそれぞれ考えたいと。設置者が東京電力だったから、福島第一原子力発電所は事故に至ったのか。例えば、ほかの電力会社が福島第一原子力発電所を設置していたら、事故は防げたのか。
 これは審査の間でも考えてきたことですけれども、東日本大震災にあっては、福島第一原子力発電所だけではなくて、同じく東京電力の福島第二原子力発電所、日本原電の東海第二発電所、東北電力の女川原子力発電所も、それぞれ強度・レベルは異なりますけれども、地震及び津波に襲われた。その中で福島第一原子力発電所だけが深刻な事故に至った。
 しかしながら、福島第一原子力発電所を襲った津波というのは、他の原子力発電所に比べてはるかに厳しいもので、ほかの原子力発電所を襲った自然災害がより厳しいものであったら、ほかの原子力発電所で事故に至らなかったということはなかなか言いにくい。東海第二も女川もそれぞれが厳しい条件にさらされて、結果的に事故を防ぐことはできましたけれども、これらの発電所での災害がより厳しいものであったら、果たしてどうであったか。
 更に言えば、ほかの電力会社が仮に福島第一原子力発電所を運用していたとして、あれだけの津波に襲われて、他の電力会社だったら事故に至らなかったのか。
 当時の電力事業者全般の姿勢であるとか、国の規制の内容を考えると、ほかの電力会社が福島第一原子力発電所を運転していた、運用していたとしても、事故を防ぐことができたとは考えにくいと。
 また、炉心溶融に至ってしまった後の対処についても、特に東京電力だけが拙かったと言うことはできないと。ハード面、ソフト面双方ですけれども、シビアアクシデント対策の不十分さというのは、東京電力に限らず他の電力各社においても同じことだったと思っています。
 東京電力は、当時、確かに電力各社のトップに立つ、いわばリーディングカンパニーでしたけれども、また、それだけに反省すべきところは多々あるのですけれども、技術力や安全文化について、特に東京電力だけが劣っていたと考えるのは間違いではないだろうかと。東京電力が悪かった。だから、事故が起きたと考えてしまうというのは、一種の思考の停止であって、今後の原子力安全を考える上でマイナスの面もあると思っています。
 福島第一原子力発電所は、あくまで原子力にかかわる全ての組織・人間にとって厳しい反省材料ですが、この福島第一原子力発電所の事故の発生が、東京電力だったから、あるいは特に技術力の面において東京電力の技術が劣っていたから、福島第一原子力発電所が事故に至ったと考えるのは、私はこれまで考え続けてきましたけれども、東京電力の劣っていた技術力にその原因を求めるのは間違いであろうと思っています。
 特に田中委員長から御指摘がありましたけれども、審査を通じて得た感触というか、見解ですけれども、これに関して言えば、東京電力は、これは他の方も言っておられることだけれども、説明の誤りであるとか、レベルの低さであるとか、説明の拙さを「御理解がいただけなかった」「説明の仕方が悪かった」と言いかえてしまうような幼稚なレベルのプライドの高さは感じるのですけれども、一方で、ともすれば見られがちな規制の言うことに従っておけばいいというような、安易というか、萎縮した姿勢というのは東京電力からは感じられない。
 むしろ事故の原因や事故への対処は、自分たちこそ身にしみて感じていると。であるからこそ、自分たちの理解の正しさを主張するだけの、東京電力には正しい意味でのプライドも感じてきたのは事実です。
 様々な審査でのやり取りがあったのですけれども、事故の体験を教訓として伝えようとする姿勢は東京電力から感じましたし、特に審査の終盤にあって、事故の責任を負って、困難な福島第一原子力発電所の廃炉を続けている東京電力だからこそ、柏崎刈羽原子力発電所の運転を担おうとするという、この姿勢に教訓の反映が生きて意義があるとする意気込みは感じられました。
 炉心注水に関する高圧代替注水系であるとか、格納容器冷却に関する代替循環冷却、あるいはヨウ素放出低減のためのpH制御等々、よく考えられたきちんとした主張が審査でなされたし、少なくとも技術力において、東京電力が他に比べて劣るということがなくて、むしろ技術力に関しては、その高さを審査を通じて感じたところです。
 また、審査にあってはいくつか軌道修正があったわけですけれども、この軌道修正は他の電力についても見られていることであるし、更には、東京電力の軌道修正に至らざるを得なかった要因というのは、社内の連絡、情報の共有の問題であって、だまそうとしたとか、ごまかそうとしたというような悪意はその中からは感じませんでした。
 それから、柏崎刈羽6・7号機についていえば、不適切なケーブルの敷設に関するもの
が審査の途中で見られたのですが、これは敷設当時の管理に改めるべきところがあるのはもちろんですけれども、不適切な状況を自ら発見して報告をしたということは、評価すべきだろうと思っています。
 運転主体、原子力発電所を運用する事業者として、少なくとも技術力という観点から、東京電力が他の電力会社に比べて劣るというふうには受けとめませんでした。
 また、責任のとり方に関しても、まだこの福島第一原子力発電所の責任をとってというのは、まだまだこれから、まだ私たちはたかだか数年の期間しか見ていないわけで、これについて、その責任のとり方について言及するのは時期尚早であろうと思います。
 ただ、柏崎刈羽6・7号機をきちんと運転することによって、それも一つの事業者としての責任のとり方であろうと東京電力が考えるということに関しては、私は一定の理解を持っています。
 ほかにもいくつか論点はありますけれども、以上が審査を通して得た私の見解です。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 いくつか御質問したいような点もあろうかと思いますけれども、一通り皆さんから意見を伺って、それからまた少し深掘りした議論をしたいと思うので。
 いかがですか、石渡委員。
○石渡委員
 今、更田委員が、技術力ということについては、東京電力は劣っていることはないというふうにおっしゃいました。それについては、私は確かにそうであろうと思います。
 ただ、これは結果論になりますけれども、福島第一原子力発電所の事故の主な原因である津波ということに関しては、やはり科学力という点では十分ではなかったものがあるというふうに私は思わざるを得ない。
 例えば、女川原子力発電所の場合は、敷地の高さが15メートル程度あったわけで、それに対して福島第一の場合は10メートルしかなかったと。ただ、これは元々10メートルの高さの土地だったというわけではなくて、あそこは30メートルの高さの台地が続いていたところなのですね。それを10メートルまで掘り下げて敷地を作ったということです。ですから、これは結果論ではありますけれども、これを例えば15メートルにしておけば、あれほどの大きな事故にはならなかったわけですよね。
 ただ、当時の科学力といいますか、東京電力のということではなくて、こういう自然科学の状況から、やむを得なかった面はあるとは思います。ただ、女川原子力発電所が、そういう津波にしばしば襲われてきた場所であるということをよく認識して、そういう敷地の高さの設定にしたということに比べると、やはりそういうことに対する備えが不足していたと。結果的にそういうことになってしまったということは言えるのではないかと思います。
 私は、柏崎刈羽原子力発電所の自然災害関係の敷地内の断層、地震、津波、火山といった分野の審査を担当してまいりました。これに関しては、ほかの原子力発電所と同様に、粛々と事業者もきちんと対応していただいて、きちんとした審査ができたと思っております。
 ただ、その最後の段階になって、これはプラント側の審査が進んできて、それとの兼ね合いということで、いろいろ先ほど更田委員も触れられましたけれども、そういう問題がいくつか出てきたと。防潮堤の液状化の問題とか、緊急時対策所の耐震性の問題とか、いろいろそういうものが後になってからいくつか出てきて、問題が起きたということは確かです。
 自然科学関係、自然災害関係の審査に関しては、私としては、審査の内容に関する限りはきちんとした審査をしたと思っております。
 以上です。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 それでは、田中知委員、よろしくお願いします。
○田中知委員
 ありがとうございます。
 前の意見交換のときに何点かの論点があって、1つ目か何個目かに、1Fの廃炉の実績とか、そんな話があったかと思うのです。彼らとすれば、覚悟があるということは言ったのですけれども、実績についてはそれなりにあるので、かなり改善はされているのだけれども、今後、もっともっと見ていかなくてはいけないのかなと。一般的な話、これについては、また後ほどいろいろと議論したいと思います。
 また、適格性なのですけれども、本当の安全文化があるか等々ということと同時に、技術力があるかということで、技術力については、今、議論があったところでございますが、技術的なところについては、私、1Fの発生する廃棄物の監視の検討チームに出ています。
 彼らもやはり国とか原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)等々に遠慮があって、はっきりと言えないようなところもあるかと思うのですけれども、それなりの力はあると思うのですけれども、やはりこの力というのは、これまでの廃炉の廃棄物等についても、これまでにないような技術力を持っていかなければいけないわけでありまして、一定あるとしても、今後、それを更に伸ばすようにしないといけないし、それを必要なときに彼らが主体的に主張すべきことはすべきかなと。その辺はまだ若干欠けているところがあるかと思いますが、基本的にはあるかと思います。
 1Fの廃炉に関連して、今、そんな状態でございまして、また後ほど本当の適格性、真の安全文化とかについて、どういうふうにこれを見ていけばいいのかについては、また後ほど議論したいと思います。
○田中委員長
 では、伴委員、柏崎刈羽の聞き取りの調査も含めて。それは後にしますか。
○伴委員
 それは後にしましょう。
 では、議論が発散するのを避けるために、今、審査会合等からの印象、ほかの委員から話がありましたので、その点に関して私が思うところを言いたいと思いますが、私も東京電力が他の事業者に比べて技術的に劣っているとは思っていませんし、人的リソースも劣っているどころか、むしろそろっているというふうに考えてもいいと思っています。
 ただ、問題は、組織のありようとして捉えたときにどうなのかということが今、問われていて、そうしたときに、ほかの委員にむしろお聞きしたいのは、そういった審査会合ですとか、1F検討会(特定原子力施設監視・評価検討会)を通してかいま見えてきた問題がいくつかあるわけですよね。それが東京電力特有の問題であるのか、他の事業者にも見られる問題であるのか。
 もし東京電力特有の問題であるとすれば、それはどこに原因があって、特に先日出てきた回答書の中で、その問題への処方箋というのは示されているのかどうか。やはりそういうところを見ていく必要があるのではないかと思います。
○田中委員長
 私が述べるのはもう少し後にしたいと思いますけれども、いくつか、今、議論というか、もう少し明確にしなければいけないことが各委員から指摘されたと思います。もっとあるというのなら後でまた指摘していただきたいのですけれども、まず、更田委員から、1F事故の原因というのを東京電力の特異性にしてしまうのは、今後の安全確保の上で決してプラスにはならないという話がありました。
 その裏側に、逆に言うと、これは他の事業者でも、ああいう状況、自然状況、災害が起こると、その可能性を否定できないと。これは石渡委員からの指摘にもつながるのですけれども、やはり従来の原子力安全規制というものは、自然災害のリスクについての認識が非常に甘いというか、きちんとしていなかったということではないかと思います。
 女川が高いところに作ったとか、石渡委員の御指摘がありましたけれども、あそこは三陸津波というのが何度も起こっているので、多分、一種の過去の経験がそういうことをさせたのではないかと思いますし、同様のことは、中部電力も大きな関東大震災の経験があって、いわゆる電源とか、いろいろなものの水密化をもう既にしていると。自主的に安全確保のための努力をしてきたという事例もありますので、そういう個々の努力も大事なのですけれども、やはりそういう意味で、従来の事故前の規制については、自然災害についての問題が非常に大きく残されていたということかと思うのですね。そういう理解でよろしいですかね。
 それから、今、田中知委員からあったのは、1つは、東京電力はいろいろなところに、今、事故後、遠慮していると。そのことがいろいろな、今回の意見交換の中でもそこが非常に大きな問題になったわけで、これは東京電力として、これを自ら克服する努力が要るということを御指摘されたというふうに理解してよろしいでしょうか。
 それから、最後に、伴委員からあった審査や1Fの監視検討会を通しての印象ですけれども、これは更田委員にまずお答えいただけますかね。
○更田委員長代理
 今の問いかけだけ。ほかの委員からあったことについても、お話ししてもよろしいでしょうか。
○田中委員長
 是非。
○更田委員長代理
 石渡委員がおっしゃった女川の敷地ですけれども、女川の原子力発電所の設置にあって、敷地高さを決めた経緯というのが伝えられていて、東北電力があの高さの敷地高さに女川原子力発電所を設置したのは、これは一つの東北電力の見識であろうと私は思っています。更に言えば、日本原電は、東日本大震災の際に海水の取水ポンプの止水工事を進めていた。間に合わなかったのですけれども、取水施設の、何ていう言い方ですかね、水密化ですかね、水密のための壁の設置をしていて、一方がまだあいている状態だったので、結果的にそれの効果というのは十分な効果を発揮することができなかったのですけれども、これも一種、遅きに失したとはいえ、日本原電の見識であろうと思います。
 ただ、福島第一原子力発電所の場合、例えば、取水ポンプの水密化が仮に行われていたとしても、起きた津波、襲った津波の高さがはるかに取水系を守るといったようなものを超えたもので、メタクラ(高圧配電盤)自体が水につかってしまうような状態だったので、姿勢云々は別として、技術的にいうと、当時考えられていた対策をとっても、それでもなお、おそらく福島第一原子力発電所は事故に至っただろうなと見ています。
 それから、伴委員から、東京電力ならではのところがあるかというと、これは東京電力に限らないですけれども、答えはイエスです。どこの電力会社もやはり特徴というのはあって、よい面もあれば悪い面もあると。
 東京電力から一番審査を通じて感じる特徴というのは、これはよい面と捉えることもできるし、悪い面と捉えることもできるのですね。「自信」と言えばよい面だし、「過信」と言えば悪い面になってしまう。
 例えば、東京電力のプラクティスについていけば大丈夫なのだという姿勢が、他の電力会社にないわけではない。東電さんがとか、関電さんがとか。東電さんと同じようにやっていますとかね。それは決していいことではなくて、一人称で自らの言葉で技術を語り、安全を語るべきだというのは、これは繰り返し各電力に言ってきたことですけれども、少なくとも東京電力はどこかについていけばいいとは全く考えていない。少なくとも自分たちが引っ張るのだという意識は、これは非常に強く持っている。
 だから、ともすればそれが過信につながるところもあるだろうし、妙なプライドの高さにつながるところもあるだろうと思うけれども、少なくとも自分で考えて、自分で主張して、あるいは審査チームの言うことを飲んでいれば早く、飲んでいればというのは、受け入れていれば早く審査が終わるという、そういう姿勢は東京電力には見られない。ですから、これはよい面でもあり、悪い面だとも思っています。
 最後に、福島第一原子力発電所の廃炉に関して、これはもうずっと1F検討会をやってきましたけれども、繰り返し申し上げていることですが、たくさんの過ちといくつかの見事な仕事をしてきたと思っています、東京電力は。
 いくつかの試行錯誤はありました。間違いはありました。ただ、これは規制する側にとっても判断ミスがなかったかというと、初めてのことに取り組んでいましたので、東京電力も、それから、原子力規制委員会も廃炉を進めながら学ぶことがたくさんありました。後から振り返れば、もっとよかったかもしれないということは、東京電力だけではなくて私たちの方にもある。ミスもあったし、いくつもの不始末といいますか、うまくいかないところはあったけれども、一方で、もう随分前ですけれども、4号機から使用済燃料を取り出したと。これは、今、取り組んでいるものに比べれば簡単かもしれないけれども、でも、事故もなく、支障もなく使用済燃料をあの時点で取り出した。
 それから、さんざん議論してきた海側の配管トレンチ、非常に高い濃度の汚染水、これを早く安定化させたかった。試行錯誤はありました。だけれども、あれはやはり他の電力会社であったら、なかなかああはいかなかったかなと思って、あれは実は東京電力の見事な仕事だと思っています。
 それから、途上ではありますけれども、建屋滞留水の浄化であるとか、それから、3号機の使用済燃料プールからの使用済燃料の取り出しだとか、これはいい仕事をしていると思うし、地下水バイパスや、地下水ドレンや、海側遮水壁といったものも、これは適切な時期にきちんと設置してきたと思っています。
 また、これは褒められた話ではないのかもしれないけれども、あれだけの多くの水をずっと管理し続ける。これは少なくともこれまでのところ、何とか乗り切ってきていると。
 福島第一原子力発電所の現場に行って感じること、ないしは現場を率いている人たちと接して感じることは、少なくとも福島第一原子力発電所の廃炉に取り組んでいる人たちからは、強い責任感と使命感を感じる。また、技術力の高さも感じます。
 経営層とお目にかかったときに是非望んだのは、彼らの士気と使命感を鼓舞するような経営層であってほしいと。少なくともこれまで福島第一原子力発電所の廃炉に関して、ほとんどの期間、これまでは廣瀬社長から大きな方針について聞いてきたわけだけれども、廣瀬社長は、私の受けた感触では、自分の言葉で自らの責任を語っていたし、福島第一原子力発電所に対する、廃炉に対するきちんとした方針を示していて、それに対して現場が意気に感じて動いてきたことも事実だし、これが今後維持されるということが非常に重要なのだろうと考えています。
○田中委員長
 伴委員、よろしいですか、大体今のようなお答えで。
○伴委員
 はい。取りあえず。
○田中委員長
 基本的に、更田委員からいろいろな御説明がありましたけれども、東京電力は事故を起こした当事者ではあるけれども、今までその後のいろいろな審査、あるいは1Fの対応とか、いろいろなことをいえば、いろいろな問題点、いろいろなことはあるけれども、それが柏崎刈羽の原子炉を動かすことについて問題があるかどうかという点については、どういうふうにトータルとして判断したらよろしいですかね。まだ早いですか。もう少し。
○更田委員長代理
 柏崎刈羽6・7号機に対する適合性審査は、あくまで技術的な視点で見ていて、更に言えば、基準や規則で定められたものにきちんとのっとって進めてきました。ここに決して感情が入るわけではない。技術的能力に関しても、それまでの先行する審査に前例をかりて、のっとって、技術力に関する審査も基準に定められている範囲の限りにおいて行ってきた。
 そういった意味で、審査チームには、どんな終盤に至っていても、疑問な点があったら今からでも言えばいいと。遠慮せずに納得し切るまで審査をしましょうと言ってきました。十分な時間をかけて柏崎刈羽6・7号機の審査は進めてきたし、また、基準を満たしてさえすればいいという視点すらも、これはよしあしはあるかもしれないけれども、技術的に納得できることの方を重視して、ともすれば柏崎刈羽6・7号機には、基準は満たしているのだけれども、これでは足りないというような主張までしてきたつもりでいて、それが審査結果にも、それから、最終的な申請内容にも反映されているので、審査の技術的な内容に関しては、少なくとも私の目の届く範囲では自信を持っています。
 では、しかし、またこうやってなぜ議論をしているかといえば、やはり事故を起こした者の当事者としての責任の在り方と、それが今後の東京電力の活動にどう影響するかということがあるからだと思っていますが、福島第一原子力発電所事故の責任を負っているから、その当事者であるということが、柏崎刈羽6・7号機を今後運転していく上で、負の効果を持つとは私は考えていません。むしろメリットがあるのではないかと。そちらをとりたいと思っています。
○田中委員長
 ちょっと結論を急ぎ過ぎたところもあるのですが、分かりました。
 それでは、追加の議論になりますけれども、ここの議論は、技術的な審査の状況については、細部については、また技術関係の審査の内容を議論しなければいけないのですけれども、それ以外について、大枠のところでの御説明、印象を伺ったということです。
 今日は特に技術面と、安全文化というか、安全に対する取組姿勢についての適格性ということに焦点を置いていますので、是非その辺について御意見をお願いしたいと思います。
 田中知委員、どうぞ。
○田中知委員
 どなたかに意見というか、教えていただけたらと思うのですが、適合性審査について、技術的に更田委員、石渡委員のもと、しっかりと見ているのだと。それはよく理解しているのですけれども、また、その一方で、適格性の中には本当の真の安全文化があるかどうか等々、本当に真の安全文化というのと、審査の中で彼らがどう説明するかとか、どう理解したか等々、もちろん適合性の中で技術的に見るのだけれども、かなりのところが安全文化と絡むところもあると思うのです。そこについて、どういうふうに考えればいいのか。全く違うものだとして考えていいのか。その辺のところが私の頭の中ではまだ十分と整理がついていないのですけれども、もしよかったら更田委員の方から教えていただければと思うのですが。
 適合性審査は技術的に見るということなのですけれども、そのときに彼らがどう説明するかとか、適合性審査のときの彼らの説明の背景にあるのは、彼らの安全文化の理解とか、あと、その辺だと思うのです。もちろん、そこに背景としてあるところは見ないと言いながらも、背景のあることは分かるわけですよね。それをどういうふうに理解していけばいいのか。
○更田委員長代理
 これは田中知委員もたびたび言及されていると思いますけれども、安全文化の最も重要なところの要素の一つに、全体の指揮をとる人、強いリーダーシップと正しい理解というものが安全文化の最も基本にあると思っています。これを適合性審査の中から酌み取るということは必ずしも十分かどうか。であるからこそ、川村会長、小早川社長との意見交換を進めてきたというのが私の理解です。
 審査会合は、やり取りの中から彼らの安全文化のレベルを計るというよりは、純粋に技術的な内容のやり取りを続けていますから。ただ、説明を、技術的な内容のやり取りに関しても、彼らは議論をいとうところがない集団だというのは、他の電力会社との比較においてもあると思っています。
 これは一つの安全文化であろうと思っているし、安全文化の捉え方については、おそらくこの5人の中でも、細部にあっては異なるところがあるでしょうから、田中知委員に対する直接のお答えになるかどうかは分かりませんけれども、少なくとも審査会合がその役割として見る範囲において、安全文化に大きく欠けるところがあらわれたという面はなかったと思っています。
○田中委員長
 よろしいですか。
○伴委員
 では、柏崎刈羽の聞き取りの調査の話に入ってもよろしいでしょうか。
○田中委員長
 はい。
○伴委員
 安全文化ということが今出ましたので、安全に限らず、組織の文化に大きな影響を与えるのは、やはり成功体験と失敗体験だと思います。その意味で、東京電力は1F事故というとてつもない失敗をしていますので、その大きな失敗体験が彼らの安全文化にどれだけの影響を与えたのかというのは非常に重要なところだと思うのですね。
 田中委員長と一緒に7月の終わりに柏崎刈羽の現地に赴いて、何人かの方からお話を伺いましたけれども、その中で私が特に聞いたのは、1F事故の体験をどう捉えているかというところを中心に話を聞きました。
 今、柏崎刈羽におられる方のうちの何人かは、実際に事故のときに、あるいは事故の後に1Fの現場を体験しておられます。その方々から口をそろえて言っておられたのは、やはりその体験をしたときに、あるいは見たときに、恐怖あるいは戦慄を覚えたということは言っておられました。その自らが感じた恐怖であり、戦慄であり、そうしたものをどういうふうに後進に伝えていくのか。それが非常に重要であるということで、今、いろいろ工夫をなさっているというところは見てとれました。
 それから、実際に1Fに直接かかわらなかった方についても、かなりのショックをやはり受けておられた。特に原子力の運転等にかかわる方にしてみれば、半ばアイデンティティークライシスに陥って、そこからはい上がってこられたというような方もおられましたし、最も印象的だったのは、実際の運転に直接かかわっておられる方が「1Fのことを考えると」と言って言葉を詰まらせていました。そして、自分たちはまだまだ足りないと。これから学んでいかなければいけないということを率直に語っておられました。
 だから、総じて私が受けた印象は、1Fの失敗体験というものが柏崎刈羽の現場の一人一人にとって非常に貴重な体験になっている。安全文化を高める方向に働いているという印象を受けました。
 そして、安全文化の構成要素を大きく2つに分けるならば、組織の枠組みを含めたマネジメントと、それともう一つは、構成員一人一人の姿勢といいますか、そういったものになると思います。その姿勢の問題については、実際に柏崎刈羽でお話を伺って、ここは大丈夫なのかなと。そうすると、問題はやはり組織のマネジメントのところであると私は思っています。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 私も柏崎刈羽は一緒に行ったので、ダブらない程度にお話しさせていただきたいと思いますけれども、今、伴委員からありましたマネジメント、現場でのトップマネジメントということについて、設楽所長と随分長時間議論をしました。その覚悟も大分問いましたし、東京電力がこれまで持っていたマネジメントシステムについて、事故前のマネジメントシステムについての反省というのを随分はっきりと自ら指摘されたと思っています。
 ですから、これは一概に今後どうなるかということで、何かで客観的に推し量れるものではありませんけれども、相当の覚悟を持って、社長や何かが何を言おうが、きちんと事故、あるいはトラブル時・緊急時には、自分の判断でできるかどうかということについては、相当それなりの姿勢を示していただいたと思っています。
 そんなところで、現場は、先ほどの伴委員の反省も含めて、私自身も相当やはり1F事故、非常に重い、心の中に重く受けとめていると。それで取り組んでいるということ。それから、そういう意味では、非常に謙虚な考え方・姿勢を持って取り組んでいるというのはよく分かりました。これは協力企業の人たちにも随分インタビューして、いろいろお話ししましたけれども、東京電力は前と少し変わりましたかとか、そういうところも確認させていただきました。
 一応、柏崎刈羽の現地の報告はこんなところですけれども、話をまた戻したいのですが、先ほど田中知委員から、東京電力は特に1F事故の1F対応について遠慮があると。これは今回も文書の中で、かなり我々が非常にそれを懸念しまして求めているところですね。要するに、福島第一原子力発電所の廃止措置について、主体的な取組、それをやり切る覚悟と実績、こういったものをやるのだという、そこのところを求めました。
 覚悟は、私は、かなり随分、最初から円滑にいったとは思いませんけれども、先日の30日の社長との意見交換で、かなり私自身は覚悟は感じたと思います。
 ただ、実績という点でいうと、まだまだ今後の課題で、実績をすぐに今示せといっても、この廃止措置は非常に多くの課題があって長期にわたるし、実際に廃止措置を進めるに当たっては、これは再三申し上げていますけれども、いわゆる周辺住民、福島県民の理解と協力がないとできないという面もありますので、余りこれを拙速に判断することはできませんけれども、主体的に取り組むという点においては、少しこれまでの反省を踏まえて、8月25日の回答文書、それから、30日の意見交換で確認できたように思いますけれども、これについて、各委員の評価というか、判断というか、評価みたいなものをお聞かせ願えたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○更田委員長代理
 この福島第一原子力発電所の廃炉に対する取組だけではないですけれども、特にこの点に関して言うと、8月25日に提出された文書が、今の時点での東京電力の認識であるとか、意向表明というのではなくて、将来を縛るものなのだということ、ここの点が非常に大事だろうと思っています。
 今の時点であらゆる活動に対する東京電力の主体性云々を判断してみたところで、それがふさわしいものであったとして、継続しなければ意味がないと。ここで、あの会合で小早川社長が、この回答は原子力規制委員会に対する回答だけではなくて、社会に対する約束で、かつ、将来に対する約束でもあるのだと。それを確認できたことの意義は極めて大きいだろうと思っています。
 ただ、これは少し議論の先取りになりますけれども、いかにこの回答がきちんと将来にわたってということを言明されたわけだけれども、それを更に仕組みとしていくということに関しては、少し検討の余地があるだろうと思っています。
 ただ、申し上げたいのは、この廃炉に対して主体的に取り組む。それが将来にわたって確保される。更に少し具体的に言うと、中長期リスクの低減目標マップに対して、これをきちんと進めていくということが記されていること。それが将来を含めて、東京電力の責任の輪郭を明確にするということに大きな意義があるのだろうと思っています。
○田中委員長
 では、石渡委員。
○石渡委員
 この東京電力から提出された文書と、それから、社長、会長との懇談についての感想といいますか、意見ということでいえば、私は、やはりこの中に例えば「ベンチマーク」とか「エクセレンス」とかいう言葉を使って、ある意味、世界一を目指すというようなことと、一方で、今までの世界中のいろいろな運転経験に謙虚に学ぶということが両方書いてあって、ある意味、東京電力のそういう考え方といいますか、思考といいますか、そういうものが出ているのではないかなと思います。
 やはりこれはかなり矛盾する面もあるわけでして、今の時点では世界一を目指すというよりは、安全を第一にしてとにかく事故を起こさないことを目指して、しっかりと地に足をつけた仕事をするということの方が私は大事なのではないかなと思います。
 ですから、この文書を読んでいると、何か両面遣いといいますか、両方を見ている。一応、謙虚にやりますということはおっしゃっているのですけれども、本心はどうも世界一を目指すというような方向にあるのではないかなというような気もいたします。そこのところは、やはり実直なといいますか、そちらの方向へもう少し心持ちをシフトさせるべきではないかなという感じはいたしました。
 以上です。
○田中委員長
 なかなかおもしろい、おもしろいと言っては失礼ですけれども、多分、今の御指摘、科学者としての石渡委員から見ると、その表現の中に違和感を感じられたということだと思います。それで、これは往々にして電力事業者がよく、私もいろいろありますけれども、経験していますけれども、世界一を目指すとか、エクセレンスを目指すとかという表現をとりがちなのですけれども、おっしゃるとおり、石渡委員の御指摘のように、要するに、安全確保に必要な知見を十分に実直に蓄積して、それに学んでいくという、そこが大事だという、そういう御指摘。だから、確かに文章の上ではちょっと違和感を感じたということなのかと思いますが、そういう受けとめ方でよろしいですか。
○石渡委員
 はい。そのとおりです。
○田中委員長
 では、田中知委員。
○田中知委員
 先ほど田中委員長から1Fの廃炉に関連しての話、これは一般的な話になるか分かりませんけれども、「覚悟」と「実績」という言葉がよく出てくるのですけれども、彼らとしてもやり遂げますというふうな「覚悟」は表明していると思うのですね。もちろんそういうふうな言葉だけが踊っても意味がないのですけれども、一方で、また、言葉の持つ意味というか、我々あるいは社会に対してそういうことを発信したということの意義は大きいと思います。
 同時に、どこまでそれが実績があるのか、結果が出たのか。今後、残っている本当の具体の課題は何なのかということを、具体的な言葉・形でもって結果を示していただかないといけないし、我々もそれを見ていく必要があると思うのです。数年たっても状況が変わっていないとなれば、本当に言葉だけを取ったとなりますから、それを見ていくこと。同時に、我々は見ていくだけではなくて、彼らが自己評価的にそれを示していくことも一方で大変重要な点かと思います。
○田中委員長
 伴委員、どうぞ。
○伴委員
 先ほどの安全文化という観点からも私が恐れるのは、1F事故の体験、記憶が組織から失われていくことです。その意味で、今回、1F事故を直接経験しておられない方が経営のトップについたということは、やはり非常に大きな懸念を持って受けとめています。そういうことがありましたので、7月10日に実際に直接お会いしてお話ししたときには、あの事故をどれだけ重く受けとめ、そしてこれから進む道がどれだけ大変であるのか、そしてどれだけの責任を持って進んでいくつもりなのかということをお聞きした。それは具体的にはトリチウム水の問題を例に出してお聞きしたわけですけれども、そのときのお答えに対しては、正直がっかりしました。
 それで、先日、ここにまたお越しになって、この回答書を御説明くださったわけですが、確かに現段階ではこのような書き方しかできないのかもしれません。ただ、これは結局、決意表明なのですね。決意表明はもちろん受けとめますけれども、それだけで適格性ありと判断してよいのかどうか、そこまで我々はお人よしでよいのかどうかというところは、不安といいますか、それを感じます。ですから、具体的にどうすればいいのかという案があるわけではないのですけれども、やはりこの決意表明に将来にわたって実効性を持たせるための、何らか、もう一段の仕掛けが必要なのではないか、そういう印象を抱いています。
○田中委員長
 先ほど更田委員からも、これは将来の約束である、縛るものであるということと、それから、先日確認したのですけれども、これはいわゆる技術審査の変更申請書と同等のものであるという文書の位置付けになっていますので、今、伴委員の御指摘もありましたように、どういう形でこれを規制、審査書の一つみたいな位置付けに、法的には審査書にはならないと思いますけれども、その位置付けをどうするかということについては、法的な側面もありますので、事務局でまた引き続き検討していただくと。要するに、将来に文書をどう担保させるかというところについては、事務局ともよく相談したいと思うのですが、よろしいですか。
○安井原子力規制庁長官
 制度の研究は御説明をいたしますけれども、今日、御結論が出ていないと思っていまして、全体の中でどうやるかは別途御相談をさせていただきたいと思います。
○田中委員長
 分かりました。では、またそれについては。どうぞ。
○更田委員長代理
 伴委員のおっしゃったことは大変よくわかって、非常に率直に言えば、経営者との間の意見交換のときに何を一番不安に思ったかというと、やはり事故の直後から駆けずり回ってきた人の姿勢に対して、一定以上の評価をしていたのだけれども、駆けずり回ってきた人が経営を離れて、新しい人がかじを取ることになったことの意味や意義を測ろうとしていたのだけれども、そこに不安があったのは、まさに私の場合も同じです。有利な面、不利な面、それぞれがあるだろうと思うのですけれども、ただ、事故の直後からの努力、困難を正しく評価する姿勢を失わなければダメージにはならないのだろうと思うのです。それは何に担保されているかというと、やはりこの回答だから、今、田中委員長がおっしゃったように、この回答を申請書と同列に扱うことが重要だし、その仕組みが前提としてあるのだろうと思います。田中委員長から事務局に指示が出ましたけれども、この文書を位置付けるやり方というのはいくつか考えられるのではないかと思います。事故の当事者としての東京電力に対する判断という上では、この回答があくまで前提になるのだろうと思います。
○田中委員長
 もう一点、私の方から確認したいのですけれども、要するに安全確保に必要な資源とか、それから、体制については、社長は自ら責任を持ちますということを繰り返し言明されていました。その一方で、先ほど田中知委員からもありましたように、主体性ともかかわってくるのですが、いろいろなところに遠慮がある。国とか何か。要するに、今、大株主としての国というか、経済産業省というのか、資源エネルギー庁というのか、そういうところに対する遠慮みたいなもの、それから、1Fの廃止事業について、必ずしも十分に主体的に進めているというところについては若干問題があるという認識を持っていますので、その辺りについて、東京電力の社長の決意だけでいくのかどうかというところを少し議論を深めていただきたいと思うのですが、私は、率直に見ていまして、この前も川村会長からありましたが、国が決めていただいたらとか、判断が出たらとかいうたぐいのことがあったと思うのですね。国の方にもそれなりの責任というか、今回の回答文書についての国の見解というか、そういうところをきちっと確認していく必要があるのではないかという気がするのですけれども、いかがですか。
○田中知委員
 前のときも会長、社長等は、社内のカンパニーだからと言いながらも、実際には大株主は別のところになるし、廃炉についても原子力損害賠償・廃炉等支援機構等が特に関係していますから、東京電力としても、これから原子力事業をやっていくときに、国との関係はかなり残ると思うのですね。ですから、我々がこう考えているということは、国としても理解してもらっておかないと、実効性がなくなっていくのではないかと思います。
○田中委員長
 最初の会合、7月10日のときは、新々総特のことも持ち出していろいろ議論しましたけれども、結局、ああいうものを決めるときに、東京電力が本当に主体的に決めているかどうか、中身の細かいところまでは私も承知しておりませんけれども、若干そういう感じもしますので、そういうことを含めて、是非やらなければいけないことかなという気はしているのですが、ほかの委員、いかがですかね。社長の言明だけでいいということではないだろうとは思います。
○更田委員長代理
 ちょっと逸れますけれども、福島第一原子力発電所の廃炉に関して言うと、田中知委員の話にもありましたけれども、NDFやIRID(国際廃炉研究開発機構)の存在があって、それから、中長期的な計画は、あたかも国の組織で決まっているかの、実際そうなのですけれども、そうすると、国がそういうふうに乗り出していると、東京電力に主体性がないという非難が起きて、一方、国のコミットがないと、東京電力任せにしているという非難が出てきて、いずれにしろ批判される難しい立場にいるのも事実だと思っております。当然、NDFやIRIDの取組というのは役割を果たしているのだろうし、では、それぞれがどういう議論をしているかというと、NDFやIRIDの東京電力に対するかかわりの透明性を高めてもらうことしか、なかなか答えが出てこないのではないかと思っています。中長期的な計画についても東京電力自らがどこまでコミットしているか、例えば、東京電力はできないことはできないと言える環境にあるのか、どうしても国の口を通じてでないと次へのステップに対して明確なことが言えないような状況に置かれているのか、いないのか、これは議論のプロセスも含めて、意思決定のプロセスも含めて、外から分かるようにしていくことが重要なのだろうと思っています。
 柏崎刈羽は、確かに田中委員長のおっしゃるように、国の関与というのが東京電力に対しては非常に大きいから、では、関与しているところに対して、どう私たちの判断を捉えるか、どう確認していくか、今、具体的なアイデアは浮かびませんけれども、いずれにしろ原子力規制委員会が判断を行う際には、関係するところに対する意見照会というプロセスもありますので、その中で行うか、ないしは別のやり方をするかではあるけれども、大枠においての国のコミットがどうあってということを確認するのは、ちょっと難しいですね。それが必要条件なのかどうか、ちょっと判断しかねるところがあります。
○田中委員長
 ほかの委員はいかがですか。石渡委員はよろしいですか。伴委員はどうですか。
○伴委員
 確かに、今、更田委員がおっしゃったように、東京電力としてもいろいろ苦しい立場に置かれているところはあると思うのですね。国の方も、何かがちがちに縛ってしまっているので、そこをどう打破できるかというのは、誰か一人の意思決定でできるものではないのですけれども、ただ、ずっと私たちが新執行部との間で話をしてきたのは、そういう中でもどれだけ主体性を持って、自分たちとしてはこうしたいのだ、こうするのが一番いいはずだという意思表明をできるかどうかなのですね。要領よく立ち回るために相手が言ってくれるのを待つのではなくて、最後は自分たちが泥をかぶるしかないのだからという意気込みがなかなか感じられないというところを問題にしてきましたので、それは今後とも、1F検討会ですとか、いろいろな中で、こちらも促していかなければいけないのではないかと思います。
○田中委員長
 実績としては極めて不十分なのですけれども、先日の意見交換、回答文書も含めまして、一応、東京電力が主体的な責任を持つということは言明されていたと思います。客観的に眺めてみると、先ほどの新々総特とか、これまでも具体的な凍土壁の問題とか、廃炉にかかわるいろいろな事業が、結構外回りでコントロールされているというところもあると思うのですね。否定できない。そういうところについて、どういう認識か、東京電力から我々がいただいた回答文書、それから、社長の認識をどう担保されるのかということについては、やはり国、担当しているのは経済産業省ですから、そこのところの認識はきちっと確認しておくべきではないか。後で、いや、国から言われましたのでという余地をなくすという意味でも大事なのではないのかと私は思うのですけれども、どうですかね。必要、必要ないとか。難しいのは確かですよ、それは。国がどこまでそういう点でコミットしてくれるかどうか分かりませんので、相当工夫は要ると思いますけれども、是非そこは何とか整理していきたいと思うのですけれども、安井長官、何か。
○安井原子力規制庁長官
 今、お話しになっているのは、8月25日の東京電力の回答文に対する当局の見解はどうかということをはっきりこちらに受けられるようにできないかと、こういうお話だと思います。方法論は、余りやったことないのですけれども、やってみます。先方がどう答えるかは私どもはどうしようもないのですけれども、明確なお考えがいただける方法論を検討して、原子力規制委員会に御相談をしたいと思います。
○田中委員長
 では、それはそういう取組をすることにさせていただきます。大分議論を詰めてきましたけれども、そのほか、何か。石渡委員。
○石渡委員
 別の視点で、我々としても外国の事例をある程度考慮するというか、知りたいという気持ちもございます。例えば、今回と同じような炉心溶融事故を起こしたスリーマイルアイランド(TMI)の2号炉ですね。これが1979年に溶融事故を起こして、その隣の1号炉は、その6年後、1985年から再稼働して、現在もまだ動いていると承知しております。その間、大きなトラブルもなく、ずっと運転を続けてきたわけですけれども、1985年に再稼働をアメリカの原子力規制委員会が許可したわけですけれども、そのときにどういう手続をとったか、どういう議論があったかということは、私も知りたいと思っていろいろ調べているのですけれども、調べがまだ行き届いていない感じがします。そういう点についても、きちんとした認識を持っておくことが必要ではないかと思います。
○田中委員長
 どなたか、今、お答えできる知見を持っていますか。少し調べないとわからないですかね。
○更田委員長代理
 TMIの1号機の再稼働に至る直接の経緯に関しては、細かいところもあるだろうから、今、この場でお答えすることができないですけれども、石渡委員の問いかけを発端に少し話を広げますと、スリーマイルアイランドの事故が起きたときに他国がどう反応したかというと、特に日本がどう反応したかですけれども、TMIの2号機の事故は品質管理上の問題と、それから、運転員の判断が重なって、いわゆるリスクの世界ではランダム事象で起きた事故です。このときに日本は品質管理のレベルが違うと言って、我が国ではあのような事故は起きないという言い方がごく一般的だった。
 次にチェルノブイリで事故が起きたときには、ああいう炉型の炉は我が国にはありません、また、あんな無謀な実験はやりませんということで、あんな事故は日本で起きないと。
 今、似たようなことが起きているのを懸念しているのは、福島第一原子力発電所事故の後、他国でどう言うかというと、あんな大きな自然災害には我が国は襲われないと言っているところがあって、これを非常に懸念しているのです。
 ただ、一方で、TMIの事故が起きた後、米国では安全のレベルに関してリスクをどう把握しようかということに関して、一大議論が巻き上がりました。発電所のリスクを正しく把握しようということに関しては、1979年以降、ずっと米国は、事業者、規制当局、双方がリスクの把握に対して非常に真剣な取組を進めてきて、また、各発電所のリスクのレベルはそれぞれ異なるのだということをさらして議論してきた経緯があります。
 一方で我が国は、各発電所は等しく安全というようなところにとどまってきた。だから、TMIの事故から十分に学んだかというと、そこに欠けるものがあったのだと言わざるを得ないです。
 それから、チェルノブイリ。チェルノブイリの後、ヨーロッパ各国はシビアアクシデント対策に関して、有無を言わさず真剣に取り組み始めました。特に彼らは国境を超えて被害はやってくるのだということに非常に強い危機感を持った。そこで各国間の議論も盛んになったし、また継続的な改善が大事だという議論は盛んになされた。
 おそらく日本は、RBMK(黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉)という炉型がない、我が国の安全のレベルは既に高まっているということで、継続的改善ということは、やはりチェルノブイリから学び損ねたのだと思っています。ここでは申し上げませんけれども、JCO事故、自分たちの国の中で起きた事故からも教訓を学び損ねた側面があると思っています。そういった意味で、原子力にかかわる全てについて、きちんと教訓を抽出し損なってきた側面があるのは事実で、一方で、その中でTMIの1号機に対してなされたような判断もあるのは事実で、ここは教訓をきちんと酌み取れていなかったという過去に対して、どう決別できるかというのは、判断の問題であろうと思っています。
○田中委員長
 石渡委員の御指摘、非常に重要なことで、我々がどう判断すべきかというときの一つの大きな経験になると思いますので、これについては、事務局、是非、早急に調べていただくようお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
○安井原子力規制庁長官
 TMIを運営していた会社から、たしかあれはNRC(米国原子力規制委員会)だったと思うのですけれども、書簡が出ております。そうしたものも、多分、今回の議論の下敷きにはなっていると思うのですけれども、資料としてまとめてお出しをしたいと思います。
○田中委員長
 お願いします。そろそろ少し整理したいと思いますけれども、いろいろ保留つきみたいなところはありますけれども、東京電力の原子力事業を行うについての適格性について、否定する、却下するような状況ではないと。ただし、間違っていたら後で直してください、いくつか確認すべきことがあるということだったと思うのですけれども、そういうことでよろしいですか。伴委員。
○伴委員
 今、田中委員長が条件つきとおっしゃいましたけれども、事務局側に今、宿題が投げられたわけで、それを見て最終的に考えたいと思います。確かにこの段階で適格性を否定するものではないですけれども、では、どういう形でこういった決意表明に実効性を持たせるのか、やはりそこは見てから考えたいと思います。
○田中委員長
 それでは、適格性の議論、先日の回答文書、いわゆる審査の一つの資料としてというか、そういう位置付けだということになっていますので、それを踏まえて、今日の議論も整理した上で、原子力規制委員会として適格性についてを整理したような形で、技術審査書と並ぶ、原子力規制委員会としての審査結果として整理していただくことにしたらいかがかと思うのですが、いや、もっとという、何かありますでしょうか。よろしいですかね。そういうことで、早急にやっていただきたいと思うのですが、我々ももちろんやりますけれども、それを整理した上で、技術審査書と並んで、それをきちっと最終的に原子力規制委員会で確認するということにしたいと思うのですが、いかがですかね。どうぞ。
○田中知委員
 田中委員長のお考えで基本的にはいいかと思います。彼らとして、決意表明はあったのですけれども、現時点において、それは本当に全部完璧にできているか、そうでないところもあって、これから我々としては見ていかなくてはいけない点がいくつかあると思うのですね。今後どういう点を確認していくのかということも明確にしておく必要があろうかと思いますので、そういうことを含めたようなものを作っていただければと思います。
○更田委員長代理
 確認ですけれども、そうすると、事業者としての適格性にかかわるものに対する原子力規制委員会の確認事項といいますか、審査という言葉が当たるのかどうか分かりませんけれども、確認してきたものを、要件であるとか、確認できたことに関するものについて、適格性にかかわる確認についての文書と、それから、適合性審査における技術的な判断を記した審査書と、これを並べて、それから、今日指摘のあった8月25日の回答をどう位置付けるか、その仕組み、それから、当局の意向を確認するやり方、こういったものがセットという理解でよろしいでしょうか。
○田中委員長
 そのとおりだと思います。要するに、主体性については、主務大臣とか、国のきちっとしたコミットメントを求める必要があると思いますし、それから、内容については、将来の実効性について、原子力規制委員会として責任持ってそこを見ていけるようなものでないと、一時の文書で終わってしまうことになりますので、そういうことにならないという意味で、私はそう思っているのですが、そういうことでよろしいですかね。基本的には、そういったものを踏まえて、さらに議論をして、最終判断をするということでよろしいですか、伴委員、先ほどの御意見。
○伴委員
 全て見る必要があると思いますが、ただ、懸念されるのは、それだけのものをセットにしたときに、本当に一回でここで結論を出すことができるのかどうかというところですが。
○田中委員長
 一回で終わるか、もう少しかかるかということについては、実際にはそのとき議論をしてみないとわからないところもありますので、できるだけそういう方向で整理したいと思うのですが。
 安井長官、どうぞ。
○安井原子力規制庁長官
 それでは、今日いただいた宿題の整理も含めてなのですけれども、本日の御議論、これまで出たものも含めて、今、田中委員長がおっしゃった適格性についての考え方をペーパーに落としたものを事務方として作ってみます。それから、明確に出た宿題として2ついただいているのが、これが将来を拘束できるような、規制上のメカニズムという意味だと思いますけれども、具体的にどんなものがあるのだということが1つだと思います。それから、もう一つが、当局、基本的には多分、経済産業省だと思いますけれども、そちらの回答文書に対する見解を明らかにさせる方法というのですか、具体的なやり方と論点だと思いますが、それを用意せよということだと思います。もう一つ、石渡先生からあったTMIのときの経緯を整理したものをやるということで、先ほど田中委員長がお求めになったところにきちっと議論が、審査書というお話だったので、きちっとつながったものにできるだろうかというのを、今から一生懸命やりますので、それをセットにしてお出しすると。それとは別に技術審査の方はやられるので、審査書がそろえば、そちらもあわせて御用意すると、こういうことでよろしいでしょうか。
○田中委員長
 結構です。そういうことで是非。今日の議論を審査書の一環にするということについては初めての試みですから、非常に難しいところはあると思いますが、きちっとした、立派な、我々としての見解を示したいと思いますので、是非、お願いします。
○安井原子力規制庁長官
 審査書として準備はいたしますけれども、本日の御議論が中心になっていますので、中身は原子力規制委員会でもう一度、御確認をいただくことにしていただきたいと思います。
○田中委員長
 もちろん、そうさせていただきたいと思います。
 本件については、今日の議論はここまでにしたいと思いますが、よろしいですか。それでは、そういうことで。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は「四国電力株式会社伊方発電所3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査の結果の案のとりまとめについて(案)」です。
 本件申請は、特定重大事故等対処施設及び非常用ガスタービン発電機の設置という2つの内容を含むものですが、このうち前者については、8月30日、これは特定重大事故等対処施設ですので、非公開の原子力規制委員会臨時会議で審議を行いました。その審査書案を取りまとめましたので、本日は資料として配付されております。
 それから、添付2の方の非常用ガスタービン発電機の設置に係る審査書案については、今日、公開の場で議論をして、それについて変更申請ですので、経済産業大臣に意見聴取をしていくという手続になります。
 そういったことで御審議いただきたいと思いますが、まず、山田原子力規制部長から説明をお願いします。
○山田原子力規制部長
 原子力規制部長、山田でございます。
 それでは、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。今、御紹介ございましたとおり、特定重大事故等対処施設と非常用ガスタービンに関してということで、四国電力伊方原子力発電所3号炉の設置変更許可申請が出てございます。これについては、平成28年1月14日に申請が行われ、平成29年2月1日、同年8月21日に補正を受けているところでございます。
 今、御紹介ございました特定重大事故等対処施設と非常用ガスタービンを内容とするものでございますけれども、非常用ガスタービン発電機につきましては、既に行われた新規制基準の適合性審査におきまして、常設代替交流電源が既に設置されておりますが、それに追加するという内容のものになってございます。本日は、この審査の結果の案を取りまとめることと、それから、原子力委員会、経済産業大臣の意見を聞くこと、それから、ガスタービンに関して、科学的・技術的意見の募集の実施をするかどうかについての御審議をお願いしたいと思っております。
 御審議いただきたい内容といたしましては、特定重大事故等対処施設につきましては、先週8月30日の非公開の原子力規制委員会で既に審査書案については御審議をいただいて決定をしてございます。決定した内容につきましては、セキュリティの観点から非公開にすべき部分を不開示とした上で既に公開をしているところでございます。本日は、この審査書以外の部分ということで、平和的利用と経理的基礎の部分について御審議をいただきたいと思っております。
 もう半分の非常用ガスタービン発電機に関しましては、これは全ての設置許可の基準についての適合性について御審議をいただきたいと思ってございます。
 それでは、審査の結果を取りまとめたものにつきましては、別紙1に取りまとめてございます。この取りまとめにつきましては、従来の審査の結果と同様の形で取りまとめてございます。
 1.ということで、平和の目的以外に利用されることがないことについては、従来から使用目的は変わらないこと、それから、使用済燃料の処理については、再処理をするという方針が示されているということで確認をしてございます。
 それから、2.の経理的基礎につきましては、建設費約690億円については、自己資金、社債及び借入金により調達をするということで、これまでの調達実績等から十分な経理的基礎があると判断をしているところでございます。
 次のページの3、4、5につきましては、審査書ということで、重大事故等対処施設につきましては添付1、非常用ガスタービン発電機につきましては添付2という形で添付をしてございます。
 特定重大事故等対処施設につきましては、既に御審議をいただいておりますので、説明は省略させていただきまして、非常用ガスタービン発電機の審査につきまして、小野管理官から御説明させていただきます。
○小野原子力規制部審査グループ安全規制管理官(実用炉審査担当)
 原子力規制庁の小野でございます。
 添付1、これは先ほど説明ありました資料でございますが、一部誤植がございましたので、修正をいたしました。その部分だけ御説明させていただきたいと思います。
 1つは、31ページでございます。これは消火栓の凍結防止ということでございまして、外気温が低下した場合、消火栓を微開して通水するということで、30日は「0℃」と書いてございましたが、「3℃」に修正させていただいてございます。
 あと、59ページで、重大事故等の体制でございますが、「A実施組織の構成」ということで、a〜dまで4つ書いてございますが、その下にまとめの2行が抜けてございましたので、これを追記してございます。申し訳ございませんでした。今回、修正させていただくことと、30日の原子力規制委員会臨時会議の資料は既にホームページに公開してございますが、これについて訂正の掲載をしたいと思っております。
 それでは、添付2、非常用ガスタービン発電機の設置について御説明したいと思います。山田部長から先ほど説明ありましたとおり、既に許可を受け運転を開始している重大事故等対処用の交流電源設備を1つ追加するというものでございますので、審査の内容としましては新規制基準の本体審査にならって審査をしてございます。
 これで見ていただきますと、まず、4ページに技術的能力を書いてございますが、今回、特重(特定重大事故等対処施設)との合併の申請でございましたので、特重としての内容ということで、機密情報の取扱いについての記載があります。それ以外は本体のときと変更はございません。
 続きまして、地盤関係でございますが、13ページに書いてございます。今回の設備は従来のSA(シビアアクシデント)の交流電源設備の近隣に設置するということで、地盤としましては、元々審査した内容でございます。この関係でいきますと、地盤、地盤の変位、支持、変形等についても問題ございません。
 それから、21ページに津波のところがございます。伊方発電所はそもそも敷地が10メートル高さで、津波が遡上しないレベルでございますが、今回は32メートルの高さのところに設置をするということで、津波の影響は受けないということでございます。
 それから、先ほど述べましたとおり、従来のSAの交流電源設備と同等であるということで確認をしておりまして、最終的な結論ということで整理をしているところ、33ページを御覧いただきたいと思います。まず「(2)第37条等の要求事項に対する設備及び手順」、ここで整理をしてございますが、ちょうど3行目にございますが、非常用ガスタービンを起動する等の手順は、電路の構成、起動操作、受電の確認等を計4名により約30分で実施するということで、既に設置されています空冷式非常用発電装置による給電の手順と同じであることが、これに関する重大事故等対処の設計方針及び手順等の方針も同じであるとしております。
 その下にございますが、非常用ガスタービン発電機燃料油貯油槽は、重大事故等対処設備として7日間の外部電源喪失を想定し、非常用ガスタービン発電機の連続運転により必要な容量の電力を供給する場合においても、緊急時対応要員による燃料補給操作が不要で
あることから、非常用ガスタービン発電機は第一優先で使用するということでございます。
 低い方の設備につきましては、途中で燃料の補給が必要でございましたが、今回の非常用ガスタービン発電機は7日分の燃料があること、あと、発電機の容量につきましても、従来の設備の1.5倍の容量があるということで、運用上の有意差から、今回設置します非常用ガスタービンを第一優先で使用するということでございます。
 34ページの結論でございますが、これらにつきましては、基準に適合しているものと認めるということでございます。
 以上です。
○山田原子力規制部長
 これは1点目の御審議をいただきたい点でございます。
 2点目につきましては、もとの資料2ページ目にお戻りいただきまして、原子力委員会と経済産業大臣への意見の聴取ということで、従来と同様に、原子力委員会については平和の目的に関すること、経済産業大臣については全体について意見を聞くこととしたいと考えております。これが2点目の御審議をいただきたい点でございます。
 それから、3点目、科学的・技術的意見の募集でございます。特定重大事故等対処施設につきましては、既に科学的・技術的意見の募集は行わないということで決定をいただいておりますので、この部分については実施しないこととなります。
 それから、非常用ガスタービンの発電機につきましては、以前、6月7日に高浜の3、4号の第3直流電源についての御審議をいただいた際に、ケース・バイ・ケースで御判断ということでございましたので、今回につきましても、する場合、しない場合ということで、案の1、案の2ということで示させていただいてございますけれども、今回のガスタービンにつきましては、代替交流電源の追加であるという内容であること、それから、ガスタービン発電機につきましては、既に審査の実績がかなりあること、それから、地盤関係につきましては、3号機近くに設置をしております関係で、地震動の評価、それから、地盤斜面の安定性評価につきましては、既許可の中で評価をしている内容を超えるものではないということで、事務局といたしましては、科学的・技術的意見の募集は行わなくてもよいのではないかと考えてございまして、この点についても御審議をいただければと考えてございます。
 御説明は以上でございます。
○田中委員長
 それでは、ただいまの説明について、何か御意見、御質問ありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、取りまとめに入りたいと思いますが、別添1、特定重大事故等施設については、先日も議論をしていますけれども、これのとおり取りまとめるということでよろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長
 それから、非常用ガスタービンの案件ですけれども、これは規制要求の設備ですか、自主的な設備ですか。
○山田原子力規制部長
 設置許可申請書の中に書いてございます規制対象の設備になります。
○田中委員長
 ああ、そうですか。ただ、それを取りかえるみたいな感じですか。
○山田原子力規制部長
 使い方については変更がございまして、こちらのガスタービンを第一優先で使うという形で行ってございます。
○田中委員長
 ああ、そうですか。ということですが、伴委員、どうぞ。
○伴委員
 1点だけ確認ですけれども、この非常用ガスタービン発電機はもとから計画されていたもので、たまたま特重と一緒に申請が来ただけということでしょうか。
○山田原子力規制部長
 四国電力の話によりますと、従来から設置をするということで考えていたものを、今回あわせて申請されたということでございます。
○田中委員長
 ということで、技術的にもそれほど問題になるようなことはないと理解するのですが、何かありますか。
○更田委員長代理
 これは新たな設備が足される、従来のものがなくなるわけではないので、変わるというわけではないけれども、その前に入るという形ですけれども、足すことによって見なければならないのは不具合なのですけれども、既設の設備に対する悪影響を及ぼすか、及ぼさないかという点でありますけれども、いくつもの例が他の発電所においても審査として見てきた事例があって、さらに説明の中にもありましたけれども、設置位置等々に関しても既許可の中で見ているものですので、およそ議論の余地のないものだと考えています。そういった意味で、事務局の判断はもっともなもので、技術的意見の募集は必要のない、そのレベルのものだと理解をしています。
○田中委員長
 今、更田委員からありましたけれども、パブリックコメントは不要であろうという御指摘なのですが、それでよろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長
 それから、原子力委員会、経済産業大臣への意見聴取は、法に基づいてやるということ
ですから、これでよろしいですね。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長
 本件についてはそういうことで、委員会として決定したいと思いますので、よろしくお願いします。
○山田原子力規制部長
 それでは、原子力委員会、経済産業大臣から意見が返ってまいりましたならば、改めてお諮りをいたしまして最終決定をしていただきたいと思います。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移ります。次の議題は「放射線障害防止法における『廃棄に係る特例』に関する制度の考え方について」です。
 放射線規制担当の西田安全規制管理官から説明をお願いします。
○西田長官官房放射線防護グループ安全規制管理官(放射線規制担当)
 放射線規制部門の西田です。
 それでは、資料3に基づきまして御説明をさせていただきます。
 放射性同位元素等における放射線障害の防止に関する法律(RI法)の改正につきましては、本年4月14日に公布をされたところです。本法の改正によりまして、新設されましたRI法第33条の2、廃棄に係る特例において、RI法の許可届出使用者及び許可廃棄事業者、以下「特例対象事業者」と申しますけれども、それが核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)の廃棄事業者に廃棄を委託した放射性同位元素、また放射性汚染物を核原料物質または核燃料物質によって汚染されたものとみなすということが規定されまして、放射性廃棄物に係る規制の合理化を図ったところです。
 今般、これらの改正法の施行に向け検討しているところですけれども、廃棄に係る特例に関する制度の考え方につきまして、今回、現状を御報告させていただきたいと思います。
 次の2ページですけれども、まず、「特例RI廃棄物の管理・処分に係る事業規則の適用関係」です。この特例RI廃棄物の安全管理につきましては、炉規法の事業者において埋設をされることから、委託先の炉規法の廃棄事業者に対する規制で安全を確保することを考えております。
 具体的には、特例RI廃棄物の埋設に係る事業許可において、トレンチ・ピット処分の処分方式に応じて定める事業許可において、個別審査の中で安全性を確認していくことを基本として考えております。
 また、こうした廃棄の許可を受けた炉規法の廃棄物埋設事業者につきましては、技術上の基準に適合することの確認を受けることになっておりますけれども、現状、試験研究用等原子炉施設、または発電用原子炉施設において生じた廃棄物が要件とされていることから、この点については今後、規則の改正を考えております。
 続きまして、特例RI廃棄物とみなす時点です。これにつきましては、現在の法律において廃棄を委託し、搬入された時点でみなすという形になっております。しかしながら、搬入された後において、炉規法の許可の範囲で扱えないものが出てくることが考えられます。この場合に、委託に係る契約におきまして、特例RI廃棄物が炉規法の廃棄物の許可の範囲に含まれないことが判明した場合には、契約を解除できる旨の条項を明記させることで、そうした場合にRI法にまた戻すことができるという道を制度的に整備をしたいと考えているところです。
 また、この廃棄の特例に係るRI廃棄物の返却につきましては、RI法を適用するということで、万が一こうした場合にも法律間の空白期間が生じないようにしてまいりたいと考えております。
 続きまして、最後、3番目のRI法の特例対象事業者に対する措置です。今回の特例RI廃棄物の廃棄の委託につきましては、RI法における外廃棄に該当すると考えておりますので、同項に基づく規則におきまして廃棄を委託できる相手先として炉規法の廃棄事業者を今後追加したいと考えております。また、あわせて、特例対象事業者がとるべき措置につきまして、放射線障害予防規程において定めることを求めてまいります。
 また、廃棄の委託を行う特例対象事業者に対しましては、RI法に基づく立入検査を実施しまして、この廃棄物を出す側において適切な取組が実施されていることをRI法からも担保していきたいと考えております。
 今後の予定ですけれども、廃棄の特例に関する制度の考え方につきまして、主たる事業者でございますJAEA(日本原子力研究開発機構)、それから、日本アイソトープ協会に対しまして、公開の場でヒアリングを行ってまいりたいと思っています。
 また、このヒアリングの結果を踏まえまして、RI法の改正の施行に向けまして関係規則を策定してまいります。
 また、炉規法に関しましては、現在、埋設に係る規制制度及び規制の基準を整備するための検討チームを設置して議論を行っているところですので、当該検討チームにおきまして、特例RI廃棄物を含む廃棄物の埋設処分に係る技術上の基準について必要な検討を行っていく予定です。
 私からは以上です。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 御質問、御意見ございますか。田中知委員。
○田中知委員
 質問でもないのですけれども、ちょっとだけ補足説明させていただきますと、まず、今後の予定の3つ目、炉規法の中でこれをどう扱っていくのか、すなわち法律上の基準とか、受け入れ枠の拡大をどうするか等については、この検討チームでしっかりと検討していきたいと思いますし、また、それなりのスピード感も持ってやっていきたいと思います。
 2つ目、これも質問ではないのですけれども、補足的な説明でございますが、2ページ目の上の(1)のA、放射性物質の濃度上限云々とありますけれども、これにつきましては、対象となる廃棄物は大体どんなものかわかっていますし、濃度も低いものであることから、こういう考え方になっているということでございます。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見、御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 さきの法令改正を踏まえた取組だと思いますので、この方向で進めて、有効に機能するようにしていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。それでは、事務局案のとおり了承したいと思います。どうもありがとうございました。
 最後になりますけれども、「平成30年度原子力規制委員会重点施策及び公開プロセス指摘事項への対応方針について」、会計担当の原田参事官から、まず説明をお願いします。
○原田長官官房参事官(会計担当)
 原子力規制庁、会計担当の原田でございます。
 資料4によりまして、原子力規制委員会の平成30年度概算要求及び機構・定員要求等について御説明を申し上げます。
 まず、資料の1.を御覧ください。こちらが「平成30年度の概算要求と機構・定員要求の概要」でございます。(1)に総括表を掲げておりますが、このとおり、原子力規制委員会の予算は3つの会計からなっております。平成30年度は合計で661億円、対前年度99億円増で要求をしております。
 要求内容で重点としたものが(2)に掲げた@〜Dの5点でございます。項目ごとに鍵括弧内に概算要求額をお示しし、その中の丸括弧内に平成29年度当初予算額を掲げております。いずれも単位は億円でございます。概算要求で大きく増えましたのは「A原子力災害対策、放射線モニタリング体制の強化」でございますけれども、これは設備の更新や強化を図るためのものでございます。また、春の原子炉等規制法等の改正による、規制制度が新しくなることへの対応等のため、@の安全研究の推進ですとか、Bの人材育成のための事業といったものを盛り込んでおります。
 なお、「D組織体制及び運営の継続的改善」の箇所で掲げております額は、人件費や事務経費でございます。組織体制については継続的に強化に取り組んでおりますけれども、平成30年度は63名を要求しております。
 次に、概算要求の前提となった行政事業レビューを踏まえた対応につきましては、資料の2.を御覧ください。本年6月の行政事業レビューの公開プロセスにおいて、2つの事業が取り上げられました。その結果を踏まえた対応方針の主な点、主な内容が次のとおりでございます。
 まず、「(1)原子力保安検査官等訓練設備整備事業」につきましては、1つには、新たな検査制度に対応できるものとするなどのため、研修を見直すこと。2つには、研修施設の賃料の適正化のため、ゼロベースで契約を見直すことなどとしております。
 (2)の主なモニタリング事業につきましては、1つには、設備の強靱化のため、耐震性確保や電源・通信の多重化等に取り組むこと、2つには、関係する2つの事業をあわせた効率的な運用を図るとともに、情報発信用のWebサイトの改善を行うことなどとしております。
 これらの対応方針を踏まえまして、行政事業レビューの結果等が適切に予算に反映されるよう、今後の予算編成プロセスに当たることとしております。
 御説明は以上でございますが、詳細な説明を一覧のとおり別添及び参考資料として添付しておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 以上でございます。
○田中委員長
 ありがとうございました。
 特に御質問等はございますでしょうか。
 これは要求ベースで、先月末に提出されたと思いますけれども、これに基づいて、今後、12月に向けて、いろいろ御苦労されるのだと思いますが、特に定員とかはよろしくお願いしたいと思います。
 ほかに何か。よろしいですか。どうもありがとうございました。
 本日予定した議題は以上です。原子力施設におけるトピックスというので、少し分厚い資料がついていますが、これについては、今後、詳細に調査が進んだ段階で本委員会で報告していただくような案件かなと理解しますが、それでよろしいですか。
○金城原子力規制部検査グループ安全規制管理官(核燃料施設等監視担当)
 簡単に、この資料ですけれども、題として、ウラン濃縮工場の排気ダクトの点検状況ということで1つついていますけれども、実は中身は3つございまして、同じくウラン工場の品質保証の問題、あと、再処理工場において、非常用DG(ディーゼル発電機)の燃料輸送配管が未点検であったというものがございます。今、田中委員長の御指摘のありましたとおり、対応について検討中ですので、改めて御説明と、対応方針案について諮らせいただきたいと考えております。
○田中委員長
 それでよろしいですね。
○更田委員長代理
 今、金城管理官から3点、濃縮の排気ダクトの問題、それから、濃縮のJAEA燃料研究棟での事態を受けた水平展開の問題、3つ目の再処理施設における雨水流入、この資料を見た上で言いますと、3つ並んでいるのだけれども、重さからすると、最後の再処理施設における雨水流入は、点検孔がありましたけれども、ずっと見ていませんでした、違うところを点検して、点検しているつもりになってチェックをつけていました、それから、水が浸入してくる側の内側から見ていたから、外側に水がたまっているのは知らなかったとか、これ、まさに何やってるのという話なので、3つ目は重く受けとめてもらわなければいけない話で、しかるべき時期に、この3つ目に関してはきちんと報告をして、また事業者からの聞き取りも進めて、原子力規制委員会で報告してもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。
○金城原子力規制部検査グループ安全規制管理官(核燃料施設等監視担当)
 原子力規制庁の金城です。
 了解いたしました。
○伴委員
 確かに事の軽重はあるのですけれども、相手が日本原燃であり、しかも品質保証の問題であるというところですので、これは問題を狭く捉えないで、本当に根本原因の方に行くように、是非検討をお願いします。
○金城原子力規制部検査グループ安全規制管理官(核燃料施設等監視担当)
 同じく了解いたしました。
○田中委員長
 いろいろ御指摘受けましたので、きっちりとやっていただくようお願いします。
 では、本日の会合、特にほかになければ終わりたいと思いますが、よろしいですか。どうもありがとうございました。

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