[2018_08_20_05]長寿命の放射性物質が残留 福島第一の浄化水(中日新聞2018年8月20日)
 
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長寿命の放射性物質が残留 福島第一の浄化水

 東京電力福島第一原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水に、他の放射性物質が除去しきれないまま残留していることが分かった。一部の測定結果は排水の法令基準値を上回っており、放射性物質の量が半分になる半減期が約千五百七十万年の長寿命のものも含まれている。
 第一原発でたまり続けるトリチウム水を巡っては、人体への影響は小さいなどとして、処分に向けた議論が政府の小委員会で本格化し、今月末には国民の意見を聞く公聴会が開かれるが、トリチウム以外の放射性物質の存在についてはほとんど議論されていない。
 有力な処分方法の海洋放出の場合、トリチウム水を希釈して流すことが想定され、残留放射性物質も基準値以下に薄まるとみられるが風評被害を懸念する地元漁業者をはじめ、国民への丁寧な説明が必要になる。
 東電によると、二〇一七年度に汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化した後に測定した結果、半減期が約千五百七十万年のヨウ素129が一リットル当たり最大六二・二ベクレル検出され、法令基準値の同九ベクレルを上回っていた。このほか、半減期約三百七十日のルテニウム106(基準値一〇〇ベクレル)が最大九二・五ベクレル、約二十一万一千年のテクネチウム99(同一〇〇〇ベクレル)が最大五九・〇ベクレル検出された。
 過去には、ALPS導入当初に浄化性能が安定しないまま運転していた時期もあり、当時はさらに濃度が高かったとみられるが、東電は「詳細は集計していない」と説明。八月時点で保管中のトリチウム水は約九十二万トンに上るが、約六百八十基のタンクごとの放射性物質濃度も「調べていない」としている。

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