[2020_06_23_04]近県、海洋放出反対多く 風評対策必要性浮き彫り 処理水漁業団体アンケート(福島民報2020年6月23日)
 
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近県、海洋放出反対多く 風評対策必要性浮き彫り 処理水漁業団体アンケート

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いについて、福島民報社は二十二日までに、海面漁業を行う都道府県の漁業関係団体を対象にアンケートを実施した。回答があった十七団体のうち、福島県海域の北と南に接する宮城、茨城の両県の漁業関係団体を含め計十五団体が「海洋放出に反対」と答えた。風評被害を懸念する声が反対理由の多数を占め、国や東電による風評対策の必要性が改めて浮き彫りとなった。
 処理水の海洋放出の賛否については下記の通り。海洋放出について、「反対」と回答した十五団体のうち、福島県漁連は「処理水は(福島第一原発)構内で厳重に保管すべき」と求めた。福島県と漁場が近い宮城県漁協は「(国などによる)具体的な風評被害対策が示されていない」と指摘し、千葉県漁連は「漁業に影響がない処分案を国が考えてほしい」と要望した。
 国内外の原発をはじめ東電福島第一原発でも事故発生前には、排出基準値以下に薄めたトリチウムの処理水を放出していた経緯がある。
 福島県と同様に県内に原発が立地している漁協などのうち、静岡県漁連は「福島県の漁業関係者が受けた苦悩を思うと、同業者として、同様の発電施設が身近にある者として容易に賛成とは言えない」として海洋放出に反対した。福井県漁連は「早急に固体化する方法を考えるべきだが、今の状況に対する具体的方法は考えられない」とした。
 「どちらとも言えない」としたのは二団体。このうち、徳島県漁連は「科学的知見に基づき海洋への放出の影響が許容限度以内であれば放出を容認すべきだがその状況にない」とした上で、「理解できる言葉で丁寧に説明を尽くすべきだ」との見解を示した。

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 アンケートは五月二十八日から六月十九日にかけて実施した。都道府県単位で構成する漁協など全国の四十一団体に、調査用紙を送付したところ、十七団体から回答を得た。二十四団体は「処理水に関する知識や情報が足りない」などを理由に返答を控えた。
■〈質問〉トリチウムを含んだ処理水を海洋に放出する処分案をどう受け止めるか
・反対(15団体)
青森、宮城、福島、茨城、千葉、東京、石川、福井、静岡、三重、広島、福岡、大分、宮崎、沖縄
・賛成(0団体)
・どちらとも言えない(2団体)
 徳島、佐賀玄海
※団体の名称は漁協や漁連など
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