[2020_10_24_06]【社説】福島原発の汚染水放流方針を撤回すべき(中央日報2020年10月24日)
 
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【社説】福島原発の汚染水放流方針を撤回すべき

 日本政府が29日の閣議で福島原発の爆発で発生した汚染水を海に放流する方針を最終決定する、という日本メディアの報道が続いた。来週でないとしても海洋放流方針は日本内閣の中では固まったようだ。原発汚染水処理問題は日本だけでなく周辺国にも莫大な影響を及ぼす可能性が高い。日本国内でも反対する立場が多いことを周辺国の同意なく独断的に施行しようとすることに対し、地理的に最も近い隣国として憂慮を禁じ得ない。
 福島汚染水は2011年の東日本大震災当時、福島第1原発が爆発して発生した。原子炉を冷ます冷却装置に問題が生じたことで高熱で核燃料が溶け、損壊した原発の建物の中に雨水と地下水が流入して汚染した。今でも毎日160−180トンずつ生じる汚染水を、東京電力は多核種除去設備(ALPS)で取り除いて別に貯蔵してきた。すでに123万トンに膨らみ、現在のペースなら全体貯蔵容量の137万トンが2022年10月ごろ満杯になるというのが日本側の説明だ。
 日本政府と東京電力はALPSで処理すればトリチウム(三重水素)を除いた放射性物質は国際基準よりはるかに低い濃度になると主張する。しかし毎日新聞はALPS処理した汚染水110万トンのうち日本政府が自ら定めた放出基準を満たした量は27%にすぎないと指摘した。6%は基準値の100−2万倍にのぼるという。
 ALPSでも除去できないトリチウムも憂慮される。日本側はトリチウムは自然界でも出る毒性が相対的に弱い物質であるうえ、他の原発保有国も放出するので問題はないと主張する。しかし一般の原発から出るのものに比べて汚染水に含まれるトリチウムは濃度が非常に高いという。水で希釈するというが、それでも放出される総量は同じだ。また、欧州放射線リスク委員会は低濃度のトリチウムも持続的に体内に入ればDNA損傷、生殖機能阻害などが生じると警告した。
 このため日本国内でも漁業関係者のほか、多くの国民が海洋放流に反対している。自国内の意見をまとめる過程が十分でないだけに、周辺国に同意を求める過程も誠実でない。東京電力は最近、汚染水1000トンを2次処理したところ、主な放射性物質が基準値以下になったと発表した。しかしどの物質がどれほど落ちたかについて具体的な数値は明らかにしていない。
 海水は海流を乗って循環するため200日後には済州(チェジュ)に、その80日後には東海(トンヘ、日本名・日本海)に到達するという研究がある。元喜龍(ウォン・ヒリョン)済州道知事など海岸地域の自治体が、日本政府が放流を最終決定すれば訴訟を起こすというのも十分に理解できる。
 実際、時間が迫っているという日本政府の主張も極めて自己中心的な判断だ。このまま貯蔵するのは費用がかかり、2051年までとする福島原発廃炉時点が遅れることもあるという論理のためだ。しかしこの問題は自国民と周辺国、未来の世代にも影響を及ぼすだけに、ひとまず原発付近に貯蔵タンクを増設し、時間を稼ぎながら他の方法を見いださなければいけない。適切な代案がなければ少なくとも周辺国に理解を求め、国際的な監視体系の下で放流作業をする体系でも整える必要がある。
 韓国政府は2018年に日本側が海洋放流方針に初めて言及した後から、国務調整室に関係部処合同タスクフォース(TF)チームを運営している。しかし日本側に資料公開を要求すること以外の活動は特に見られない。これではひとまず放流が始まれば、取り返しのつかない事態が発生する可能性がある。とにかく日本政府が最終決定を先に延ばして代案を見いだすよう、あらゆる外交的努力が求められる。
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