[2020_12_06_02]大飯原発の差し止め勝訴 大阪地裁が「地震評価の欠陥」を認める 原子力規制委は運転許可を取り消せ(たんぽぽ舎2020年12月6日)
 
参照元
大飯原発の差し止め勝訴 大阪地裁が「地震評価の欠陥」を認める 原子力規制委は運転許可を取り消せ

「毎日新聞」より
大阪地裁判決(骨子)
・関西電力は大飯原発3、4号機の耐震性判断に必要な地震(基準地震動)を想定する際、過去の地震規模の平均値をそのまま使い、実際に発生する地震が平均より大きくなる可能性を考慮していない。
・原子力規制委員会の審議や判断には看過しがたい過誤や欠落があり、不合理。
・規制委が2017年5月に出した設置許可は違法で取り消す。

 今回の訴訟は行政訴訟で、対象は国。すなわち、設置を許可した原子力規制委員会の決定を取り消すよう求めた訴訟だ。
 原発の基準地震動を設定した数値について原告側が「過小に設定されている」と主張したことについて国側は不確かな部分があることも踏まえて安全になるよう計算されていて、妥当だと主張していた。

 被告、国は地震動審査ガイドの解釈について「不確かさ」と「ばらつき」を同一視して、ごちゃごちゃにし、過小な評価になっている。
 以下の書面でもそれが分かる。
 『「基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさは、……必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮すること」との規定は、「合理的な根拠もなく各々のパラメータの不確かさ(ばらつきをやみくもに重畳するものではない」とする。そして原子力規制委員会は「認識論的不確かさと偶然的な不確かさとに分類し、これらを適切かつ保守的に組み合わせて不確かさを考慮しており、各々のパラメータの不確かさ(ばらつき)をむやみに重畳して考慮するようなことはしていない』。
(原告準備書面での被告・国側の主張の批判の部分)

 判決は、この点を考慮して、関電が地震動の計算に使用した計算式は、過去の地震データの平均値に基づいており、実際に発生する地震は平均値からかけ離れて大きくなる可能性(ばらつき)があったと指摘。
 耐震性を判断する際、想定する地震規模を上乗せして計算する必要(不確かさの評価)があったのに、関電や規制委が「何ら検討しなかった」と批判。
 規制委の判断に「不合理な点がある」として設置許可を取り消した。
 (毎日新聞より()補筆は筆者)
 原告側は大飯原発3、4号機の基準地震動は、少なくとも現行の1.34倍の1150ガルになると主張、耐震性に重大な欠陥があるとしてきた。

 被告・国と関電のコメント

・NHKより、原子力規制委のコメント
 「国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかったものと考えている。今後については関係省庁と協議のうえ、適切に対応してまいりたい」

・NHKより関西電力のコメント
 「裁判所に対し大飯原発の安全性について丁寧に説明を行い、理解してもらえるよう真摯(しんし)に対応してきた。今回の判決については国や当社の主張を裁判所に理解してもらえず極めて遺憾で、到底承服できるものではない。今後、判決内容の詳細を確認し、速やかに国と協議のうえ、適切に対応していく」

※編集部より
 原告団声明、弁護団声明、判決要旨、判決骨子が美浜の会HPに掲載あり。
 下記URLをクリックすると4文書が出てきます。
 http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/hanketu20201204.htm
KEY_WORD:大飯原発_設置取消_:OOI_: