[2017_07_19_03]高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド(原子力規制委員会2017年7月19日)
 
参照元
高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド

 04:00
 制定 平成29年7月19日 原規技発第 1707196 号 原子力規制委員会決定

 高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイドについて次のように定める。

  平成29年7月19日
  原子力規制委員会

 高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイドの制定について

 原子力規制委員会は、高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイドを別添のとおり定める。

附 則
 この規程は、再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則等の一部を改正する規則の施行の日(平成29年8月8日)より施行する。

                           (別添)
  高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド

  平成29年7月
  原子力規制委員会

1.総則
 1.1 目的
 実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則1第45条第3項1号では、保安電源設備について、電線路、発電用原子炉施設において常時使用される発電機及び非常用電源設備から安全施設への電力の供給が停止することがないよう、高エネルギーのアーク放電による電気盤の損壊の拡大を防止するため必要な措置を講じることを求めている。
 高エネルギーアーク損傷(以下「HEAF」2という。)は、これまでに国内外の原子力発電所の電気盤等で発生しており、電気盤内外のケーブルや隣接する電気設備等に重大な損傷をもたらしている。高エネルギーのアーク放電(以下単に「アーク放電」という。)の継続により、電気盤や隣接する電気設備等に火災(以下「アーク火災」という。)が発生する事例もあることから、電気盤における遮断器の遮断時間の調整等によりアーク放電の継続時間を短縮することで、爆発の影響3を減少させ、故障による影響をより局所化するとともに、アーク放電に伴う発熱によるアーク火災を防止することによって、保安電源設備の信頼性をより向上させる必要がある4。
 本ガイドは、電気盤においてアーク火災の発生を防止するための、遮断器の遮断時間について、その妥当性を審査官が判断するための考え方の一例を示すものである。

1.2 適用範囲
 本ガイドは、実用発電用原子炉施設5の保安電源設備のうち、重要安全施設6への電力供給に係る電気盤及び当該電気盤に影響を与えるおそれのある電気盤(安全施設7(重要安全施設を除く。)への電力供給に係るものに限る。)の遮断器の遮断時間の設計に適用する。研究開発段階発電用原子炉施設8及び再処理施設9については、本ガイドを参考にする。

1.3 用語の定義
 本ガイドにおける用語の定義は、次のとおりである。
(1)電気盤
 電力を供給するための機器を組み込んだ盤。実用発電用原子炉施設に設置されている高圧電源盤(直流にあっては 750 ボルトを、交流にあっては 600 ボルトを超え、7000 ボルト以下のもの10であって、大容量の負荷及びパワーセンタ等に電力を供給するもの。メタルクラッドスイッチギヤ等をいう。)及び低圧電源盤(直流にあっては 750 ボルト以下、交流にあっては600 ボルト以下のもの 10。パワーセンタとモータコントロールセンタの2種類がある。パワーセンタは、中容量の負荷及びモータコントロールセンタに電力を供給するもの、モータコントロールセンタは、小容量の負荷に電力を供給するもの。)をいう。

(2)アーク放電
 大電流の放電(数十メガジュール程度)であって、電極間に電位差が生じることにより、電極間にある気体に持続的に発生する絶縁破壊(放電)の一種。電極間にある気体は励起状態になり、高温と閃光を伴う。

(3)アークパワー
 アーク放電時の電流と電圧の積(三相合計の積算値)。単位はワット (W) である。

(4)アークエネルギー
 アークパワー(W)をアーク放電の継続時間(s)で積分した値。単位はジュール(J) である。
(5)アーク火災
 アーク放電の継続により、電気盤や隣接する電気設備等に発生する火災。
 火災は、アーク放電の熱による電気盤内の温度上昇、ケーブル等からの可燃性ガスの発生及び可燃性ガスの引火等を経て発生する。(発生までの時間は数十秒から数分。)
(6)金属ヒューム
 加熱による金属の酸化や昇華によって生じる金属の微粉、煙霧、蒸気及び揮発性の粒子。
(7)HEAF
 遮断器や開閉器等の通電された導体間又は通電された導体とアースとの間にアーク放電が発生し、熱、光、金属ヒューム及びアーク放電の発生箇所周辺の急激な圧力上昇を伴うエネルギーの放出が起こる事象として特徴付けられる爆発性の電気故障及びこれに伴い発生する火災。

(後略)

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