[2018_02_22_01]核ごみ説明会を再開 謝礼問題 「変わっていない」「対話の枠組みを」(東京新聞2018年2月22日)
 
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核ごみ説明会を再開 謝礼問題 「変わっていない」「対話の枠組みを」

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は二十一日、中断していた原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場に関する住民向け意見交換会を再開した。会の運営の一部を委託していた広告会社が謝礼を持ちかけ学生を動員していたことが発覚。これを受けて自主運営に変え、参加人数を絞り約二カ月ぶりに再開した。だが参加者からは「対話になっていない」「今までと変わっていない」など厳しい意見が出た。 (伊藤弘喜)
 二十一日の意見交換会は東京都内で開かれ、三十七人が参加。冒頭、NUMOの伊藤真一理事が「不信を招いた。あらためておわびする」と謝罪した。
 会の前半ではNUMOがこれまでの議論の概要などを説明。後半は希望した参加者二十一人が四つのグループに分かれ、NUMOや経済産業省の担当者らと意見を交換した。概要説明の時間は、従来の七十分から三十分に短縮。質疑応答を増やした。意見交換がしやすいよう定員は従来の約百人から約五十人に絞った。 だが参加者からは「言いっ放しではダメ。処分場が必要というのなら、納得のいく住民との合意形成の枠組みをつくって」「私たちの意見にホームページなどでちゃんと回答を」などの注文が続出。「核のごみを出し続ける原発政策を放置しながら、処分場の議論をするのは順番がおかしい」との批判も出た。
 NUMOは「最終処分場について国民に広く理解してほしい」と意見交換会を始めたが、二十一日の会に参加した人の六割超は六十代以上の男性。二十代はいなかった。会の後半には当初、数人いた女性の出席者がすべて退席して参加者は男性だけになり、多くは過去の会に参加したことがあった。伊藤理事は「今後は平日夜や休日の開催などを試行する」と話した。
 国は昨年七月、処分場の候補地となり得る地域を示した日本地図を公表。NUMOと共同で十月から意見交換会を始めた。
 参加者への謝礼の持ちかけ以外にも、少なくとも計八十一人の東京電力の社員が一般参加者に紛れて計六回、意見交換会に参加していたことが判明している。

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