[2019_05_25_02]核のごみで国際会議 最終処分協議 政府、G20提案へ(毎日新聞2019年5月25日)
 
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核のごみで国際会議 最終処分協議 政府、G20提案へ

 政府は24日、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分の実現に向け、国際的な会議を設ける方針を明らかにした。6月中旬に開かれる主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合で合意を取り付けたうえで、今秋の実現を目指す。原発保有国共通の課題である最終処分を巡り、主要国が参加する会議の設置は初めて。各国間の連携を強化し、国際協力の「基本戦略」策定などにつなげる狙いがある。
 高レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜて固めた「ガラス固化体」に加工した後、地中施設に埋めて「地層処分」される。日本は冷却のため30〜50年保管した後、地下300メートル以上の安定した岩盤に埋設する方針。フィンランドは既に最終処分施設を建設中で、スウェーデンも建設予定地の安全審査を行っている。ただ、施設が稼働した例はなく、日本では予定地を選定するための事前調査すら始まっていないのが現状だ。
 このため、政府は6月15、16日に長野県軽井沢町で開催されるG20エネルギー・環境関係閣僚会合で最終処分の実現に向けた協力を各国に呼びかける。秋に国際的な会議(ラウンドテーブル)を設け、各国間の連携を強化する。具体的には、先行する欧州などの知見を共有しつつ、研究所間の協力や人材交流を促進。国際協力の基本戦略や、国民への説明の仕方などをまとめた事例集を策定する。
 最終処分を検討する原子力発電環境整備機構(NUMO)によると、地層処分の考え方は、1957年に米国の学会で初めて示された。日本は62年に検討を開始。2017年に資源エネルギー庁が、地層処分について全国の適地を示したマップを公表したが、住民の反発などで候補地の選定作業は進んでいない。【中津川甫】

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