| [2025_11_07_01]韓国、暮れゆく原潜時代になぜ原潜なのか【寄稿】_キム・ジョンデ(元正義党国会議員)(ハンギョレ新聞2025年11月7日) |
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参照元
23:30 写真:米海軍の戦略原子力潜水艦「ミシガン」が2023年、釜山の海軍基地に入港している/聯合ニュース 米海軍の水中戦力建設は非常に論争を呼んでいる。米国の議会と産業界は、雇用と産業を維持するためにバージニア級原子力潜水艦(ブロック4/5)を追加購入すべきだと主張する。一方でペンタゴン(米国防総省)と海軍は、原潜のような単一のプラットフォームは中止し、「オルカ(ORCA)」のような超大型無人水中システム(XLUUV:Extra large uncrewed undersea vehicle)に方向転換すべきだと主張している。これは本質的に、現在の雇用が優先されるべきか、中国とロシアに対する将来的な戦力の優位が優先されるべきかという論争だ。 原潜についてペンタゴンと海軍は、134人の乗組員が搭乗しなければならないうえ、1隻当たりの建造費が40億〜45億ドル、年間の維持コストが6000万〜1億ドルにのぼる高コストは抱えきれないとして難色を示している。一方、大型水中ドローンであるオルカは1隻当たり5500万ドルほどと推定され、ロサンゼルスからソウルまでの距離にあたる6千海里を航海できるうえ、拡張性に優れているため様々な任務を遂行できると主張する。1隻の原潜より30〜40隻の水中ドローンの方が良いということだ。米海軍は「分散型海上作戦(DMO)」や「プロジェクト33」のような要となる戦略文書によって、原潜のような有人プラットフォームへの依存度を低下させ、無人システムを大量導入するビジョンを強く推進している。この戦略のビジョンは簡単だ。「より多くのプラットフォームにより多くの弾薬を載せて、より広く撒き散らすことによって、相手の観測、標的化、打撃システムに過負荷を加えよ」。大洋上の海軍の荘厳なシルエットではなく、センサーとシューターがびっしりと絡み合う「見えない網」こそが制海権の実体だということだ。 しかし米議会は、オルカプログラムの開発遅延と、必要とされる莫大な予算に対して極めて批判的だ。米議会傘下の会計検査院(GAO)は、水中ドローンについて「プログラムとして成熟するかが不確実だ」と指摘する。議会は無人システムの「可能性」に投資するのではなく、すでに検証済みの「現在」の戦力に予算を集中しようとする。下院の軍事委員会は今年7月、2026会計年度の国防権限法(NDAA)において、バージニア級原潜の調達予算を10億ドル増額した。その背後に造船産業と、雇用に極めて敏感な軍産複合体が存在することは、想像に難くない。トランプ大統領はどちらの側にも立たず、中途半端に彼らを縫合する。 ところが突如として、韓国が米国で議論の的となっている原潜を独自に建造すると言い出した。韓国の原潜には核兵器がない。核抑止力もなしに、北朝鮮と周辺国の潜水艦をより迅速に追跡・監視するだけという、おかしな兵器システムだ。朝鮮半島、西海(ソヘ)、東シナ海の劣悪な環境において、超高価な巨大潜水艦は敵の監視・打撃網に対して「過度な価値集中」のリスクをさらすだけだという米海軍の診断に、ぴったり当てはまる事例だ。もちろん米国の軍産複合体には、このような韓国の計画を拒否する理由はない。核燃料の供給をエサとして韓国の潜水艦の一部でも米国の造船所で作らせることができるなら、議会も無理に国防予算を増額しなくて済む。これこそ、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代には原潜の建造に難色を示していた米国が、好意的になった背景だ。韓国の安保にとって賢明な政策になるかは、慎重に検討する必要がある。 すでに中国は、「透明な海」を叫びつつ、ロシアとともに周辺の海で5重の監視網を構築している。衛星、航空監視、水上グライダー、水中ドローン、海上レーダーを重ねた中国の戦略は、優れた製造業の能力と造船エコシステムを基盤として、順調に飛躍している。韓国も将来、人工知能(AI)と製造業を基盤とした韓国型海洋戦略を考えるべきだが、10兆ウォン以上かかる巨大な原潜事業に、それも米国に対する技術従属を甘んじて受け入れてまでしがみつくことが、果たして正しいのだろうか。また、不必要な政治的コストはどうなのか。朝鮮半島周辺の海域は水深が低いうえに海岸が複雑なため、巨大なプラットフォームよりも分散型のセンサーとネットワークが要求される環境だ。これは明らかに韓国の技術と製造業のエコシステムが実力を発揮しうる領域であり、また非常に大きな潜在力を持つ機会の空間だ。将来の安保と技術の発展のすう勢を総合的に考慮してから推進しても遅くはない。原潜を2030年代半ばに進水させる? 何をそんなに慌てて米軍産複合体の後を追おうとしているのか。 キム・ジョンデ|元正義党国会議員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) |
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