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柏崎刈羽原発の再稼働を許さない 新規制基準は地震と津波を過小評価
どこでも起こり得る津波災害と巨大地震
2024年4月6日 山崎久隆氏ゼミ 主催:たんぽぽ舎
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○初めに
 2024年4月6日にたんぽぽ舎において、山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)氏の講演がありました。タイトルは「柏崎刈羽原発の再稼働を許さない 新規制基準は地震と津波を過小評価 どこでも起こり得る津波災害と巨大地震」です。
 以下では、 当講演のYoutube動画 に対して、静止画アイコンからビデオへの頭出し、出演者のコメントの文字起こし等の機能を付加しました。見返し等の場合に便利かと思いますので、よろしかったら、ご利用ください。
 
○ 当日配布の レジュメ(HTML形式で表示)
 ※関連記事へのリンク等を付加
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○柏崎刈羽原発の再稼働を許さない 新規制基準は地震と津波を過小評価
○セキュリティ崩壊 東電
○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
○東京電力 柏崎刈羽原発で発覚した問題(ことし1月〜日付は発表日)
○東京電力 柏崎刈羽原発で発覚した問題(ことし1月〜日付は発表日)
 
○核物質防護について
○核物質防護設備の機能喪失時にとるべき対応
○テロ対策不備への再発防止策で残る課題
○地元同意のない柏崎刈羽原発を再稼働
○柏崎刈羽原発の再稼働までに想定される今後の流れ
 
○【添付資料】使用前事業者検査に係る工事の工程について
○柏崎刈羽原発の再稼働までに想定される今後の流れ
○【添付資料】使用前事業者検査に係る工事の工程について
○原子力政策の今後の進め方
○柏崎刈羽原発を巡る経過
 
○柏崎刈羽原発と能登半島地震
○北陸電力の想定を超えて動いた断層の範囲
○柏崎市鯨皮 午後4時36分 40cmの津波を観測
○川の水が橋の上に…
○津波の高さの計算結果
 
○動いていない可能性のある断層 佐竹教授
○能登半島地震と柏崎刈羽原発
○変圧器のオイル漏れ
○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
○変圧器のオイル漏れ
 
○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
○変圧器のオイル漏れ
○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
○変圧器のオイル漏れ
○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
 
○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
○中越沖地震時の柏崎刈羽原発の変圧器火災
○炎上した変圧器(柏崎刈羽3号)
○上下ずれにより折れた配管
○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
 
○柏崎刈羽原発 確率論的津波ハザード曲線の評価結果
○1〜4号機側
○10万年に1回ならば約13m
○100万年に1回ならば約15.7m
○5〜7号機側
 
○5〜7号機側 10年に1回ならば15.7m級
○5〜7号機側 100万年に1回ならば22m級の津波 対策すべき高さ
○平均を取っている
○5〜7号機側 100万年に1回ならば22m級の津波 対策をとるべき
○平均を取っている
 
○これも平均
○これも平均 平均を取ると15.7mは1000万年に1回になる
○平均をとっている 少なくとも95パーセントタイルで100万年に1回の値を採用すべき
○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
○使用済燃料運搬船「六栄丸」
 
○輸送容器の安全性
○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
○使用済燃料運搬船「六栄丸」
○輸送容器の安全性
○むつ中間貯蔵施設 26年度までに8基搬入(デーリー東北 2024/03/27)
 
○むつ中間貯蔵7から9月操業 県が安全協定議論へ(デーリー東北 2024/03/27)
○むつ中間貯蔵 操業への工程(デーリー東北 2024/03/27)
○青森県の原発施設
○東京電力が知事に使用済み核燃料運搬計画 「遅くとも年度内に」(NHK 2023/12/28)
○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)
 
○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)(断面図)
○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)
○むつ関根浜港
○むつ関根浜港の岸壁にあるクレーン
○ガントリークレーン
 
○むつ関根浜港の岸壁にあるクレーン
○ガントリークレーン
○輸送兼貯蔵用キャスク
○RFS内部
○訓練用模擬キャスク
 
○原子燃料サイクル
○宮下市長は関電などの使用済み核燃料を受け入れることについて「可能性はゼロ」と明言
○関電と中国電の使用済み核燃料の貯蔵状況(西日本新聞 2023/08/03)
○使用済み核燃料「中間貯蔵施設」 山口 上関町に建設可能か調査へ(NHK 2023/08/01)
○上関原発建設予定地
 
○関西電力の中間貯蔵施設と原発を巡る動き
○貯蔵プール容量に占める使用済み核燃料の割合(%)(2023年3月末時点)
 

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○ 映像の文字起こしと静止画
 


○柏崎刈羽原発の再稼働を許さない 新規制基準は地震と津波を過小評価 どこでも起こり得る津波災害と巨大地震
[ 動画先頭:0:01:23〜 ]
 今日は柏崎刈羽原発を中心にして問題点を明らかにしたいと思います。
 といいますのは、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた事前準備ということで、二つのことがこれから行われようとしています。それが非常に大きな問題を抱えているということを中心です。
 その第一番目としては、再稼働のために7号機に燃料体を装荷する。これから画策をしようとしている。時系列にいうとこれが一番早い。
 それから、使用済み燃料の輸送を行います。青森県のむつ市のRFS(リサイクル燃料貯蔵)という会社の貯蔵施設に送る作業を行います。
 その間に挟まって、だろうと思われれる、日にちがあきらかでないこととして、ー燃料プールの輸送、 号機間輸送 と呼んでいるんですけれど。例えば4号機の燃料プールが空いたから、そこに7号機から移すみたいな。そんなことをいつ日程かわかりませんが、やろうとしているであろう。そういう作業もあると考えられています。
 それらを含めまして柏崎刈羽原発の現状を説明する。そのあと、柏崎刈羽原発は能登半島地震によって新たな問題があることが浮き彫りになりました。
 そのことも、その次に説明します。まあ、私たちは柏崎刈羽原発どんな理由があろうと反対なので、あまり何が起きたから、反対が変わるなんてことはありませんから、影響がないといやないんですけれど、ずっと反対なんだから。
 けれども世の中的には、かなり大きな影響でして、柏崎刈羽原発が動き出して、地震や津波に遭遇した場合のリスクというのが、今まで考えられていたよりも、かなり大きい。
 さらに東電の柏崎刈羽原発の想定自体はかなり怪しい。ということが本来ならばこの能登半島地震によって浮き彫りされたのですから、そのことをもって、ま、言ってみりゃ、審査のやり直しと言いますか、想定のやり直しといいますか、そういったようなことも含めて、やっていくべきこと、そういうレベルのことなんだと私は思っていますけども。
 そういう動きはもちろん全くなく、規制委員会は柏崎刈羽原発に問題があるとは露ほど思って思っておらず。さらにIAEAまでやってきて、お墨付きを与えようとしている。はっきり言って、IAEAの人たちは、原発はプロかもしれませんが、地震は素人ですから、津波ももちろんド素人ですから、あの彼らの出身国で、地震や津波に遭遇して大変な目に遭ったなんてことは、ほぼない人たちなんですよね。ヨーロッパが中心なんで。アルゼンチンのウノシー事務局長ただ知らないしチリじゃないですからね。チリの出身だったらちょっと違うかもしれない。
 そういうことで、結局自分たちの知見の外側にある地震と津波によって原発がとんでもないことになるよということをあまり理解していない人たちが、IAEAでやってきて、何を見ていったかというと、結局、セキュリティ上の問題点、IDカードがどうしたとか、監視カメラが壊れたとか、そういったレベルのことがちゃんとまともに直ってますかっていうそういう議論をしに来ただけなんですね。
 自然災害に遭遇してどうなるかなんてことは、まあもちろん知見がないのでわかりません、誰か記者が聞いてくれればいいのですけれども。誰も聞いてくれないんで、そういうニュースにならなくて悲しいんですけど。
 そういうことをしに来たわけでは全くないのに、当然のことながら、国はこのIAEAのそのうち出るであろう報告書で、お墨付けをもらったと、またやるわけですね。
 汚染水の絡みで、IAEAに対して、なんか見てくれと、チェックしてくれと言って、結果的には政府が作った日本政府が作った放出のプロセスと、それから東京電力が書いた申請書、それらを読んで、それらがいわゆる国の規制だけではなくて、国際規制基準の中に合致しているかどうかという話をしたわけなんですね。要は、そのプロセスが唯一のものなのか、もっと別にいい方法がないのかとか。
 あるいは放出した放射性物質が想定外のものが含まれていた場合どうなるのか、とかそういったことは一切念頭にありませんので、そういったことが念頭にない上で、IAEAがあの福島第一の汚染水の放出について評価すれば、国の評価の追認するしかないのは当たり前であります。
 例えば私たちが大学の入試の試験問題を借りてきてですね。誰それさん合格したらしいんですけど、これ合ってますか?って言われてね。そりゃあってるでしょうよというしかない。どこが間違ってるんだって知見があるわけじゃないそういうレベルなんですIAEAは。彼らが一番必死になっているのは、福島第一原発事故によって世界中の原子力発電所の建設計画が全部一斉にストップした。例外は中国とロシアです。それ以外の国は全部ストップした。
 それを再度復活させるのに十年以上かかった。というところで、二度とこんな事故を起こしたらまた同じことが起きるからやばいっていうのはIAEAは頭の中であるので、ウクライナに飛ぶんですけれども、ま、日本はさすがに二度とそんなことしないでしょうねとというところでもってきて、日本の再稼働が逆に原発震災を起こして、期待した国でリスタートする。
 すなわち、もう一度、原子力を中心に据えて活動し始めたんですよ。世界の皆さん、だから大丈夫なんですよみたいな。で、そういうストーリーを作りたいのがIAEAですよね。日本に来てこれはダメです。止めてくださいって言うわけがない。
 そういうあらかじめバイアスがかかっていて、方向性もはっきりしていて、方針も決まっている人たちがやってきて、これは賛成ですと言ったって、何も驚きしないし、それを墨付きだといういうのが、がバカだなと思うのですけれども、残念ながら世の中みんな、そういうことに騙されやすいという現状があるので、えー私たちは一生懸命そういうのではないんですよ、IAEAは、こういう機関なんですよ、ということを言ってはいるのですけれども、残念ながら世の中に伝わっていかないなっていうのは、メディアも悪いですし、それから日本政府はもちろんIAEA利用していますし、それからそれに尻馬に乗っかってやっている地方行政というですね、また、とんでもない人たちもいますので、そういったところで、大きなビハインド私たちを背負ってしまう。IAEAが来るたびに。
 そういう嫌な状況になります。したがって今回柏崎刈羽原発にIAEA呼んできたっていうのは、さもありなんで、ムカッと来てると同時にやばいなっていう印象です。
 ちょっと前の去年の年末ぐらいにですね、新潟日報が行った、新潟県議会の議員に対するアンケートがあるんですけれども、再稼働に賛成っていうのは14人くらいしかいなくて、反対が21人くらいで、圧倒的で、じゃあ残り40何人は何なのか、わかりませんという回答です。変な話ですよ。
 まあ、意見無しという雰囲気なんです。賛成反対だけみると、二対一なんですね。はっきりと物を言ってる中では。そういった中でやはり一番大きいのは本当に大丈夫なのという雰囲気に今能登半島地震によってなっているこの現状なんです。今こそやはりもう一度柏崎刈羽原発が運転するために組んできたプロセスが本当に正しいのかどうか検証する必要がありますということですね。


○セキュリティ崩壊 東電
[ 動画先頭:0:09:19〜 ]
 まず、そのうちの最初のところ面倒くさい話ですが、セキュリティが崩壊した東電が現状このセキュリティシステムの復旧ができた、復旧の言葉は単にシステムができただけではなくて、人間の復旧ができたかどうかって、いうことが議論になっています。皆さんの手元にお配りしたテキストを今読んでいただくことは大変なので、あとで理由をじっくり読んでいただきたいです。
 1ページ目のところ、真ん中くらいにちょっとポイント変えてですね、字体を変えてある文章があります。これが実は東京電力が発表したセキュリティの問題のポイントなんですね。


○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
[ 動画先頭:0:09:56〜 ]
※写真は [東京新聞 2020/12/02 「世界最悪」レベルの事故の後始末は終わってないが…東京電力が柏崎刈羽原発を動かしたい理由] からの引用

 実際これが原発ですね。セキュリティというのは何かというと、こういうところ海ですよね、海から人が入ってきただけですからこういったところにフェンスがあってフェンスのところを囲ってですね。フェンスで周りを囲って立ち入り禁止にしているわけですが、こういったところ防犯カメラがついていて、また人が接近すればセンサー、セキュリティがなるような警報が鳴るような、そういう仕組みになっていたんですけども、それが15カ所ぐらい壊れていた。壊れたまんまじゃダメでしょっていう状況で、
 じゃあ代わりに何してたかっていうと、警備員を立たせていました。カメラに替わる。人を立たせていただけど、人間ってずっと立ってるの大変ですよね、もちろん交代するんですけど、それで本当に監視になるのかっていう問題もあります。右見てたら左わかんないしね。そういうような意味合いで言うならば、人間というのは中々その有効なようで、穴があるということで、そういうやり方っていうのは、本当は、短時間ならば認められるのですが、長時間にそうしてはいけませんとなります。それがそもそもの規定です。保安規定ですね。それの限界というと、だいたい30日、30日以上人を立たせていたら、それは保安規定違反になるんですが、なんと東電は1年半もやっている。
 規制委員会もそれはダメでしょうということで、保安規定違反になっていたというのが一つです。


○東京電力 柏崎刈羽原発で発覚した問題(ことし1月〜日付は発表日)
[ 動画先頭:0:11:20〜 ]
※図は [NHK 2021/03/18 柏崎刈羽原発 テロ対策不備 「最も深刻なレベル」評価] からの引用
 それから、「不正入室」問題、社員がいて、その人は自分のIDカードを持って中央制御室で入れる権限持ってたんですけども、ある日それ紛失した。それでどうしたかっていうと、自分の隣の職員のカードを持ってきて、盗んできて、それで自分はその人になりすまして、この警備ゲートを通ろうとした。そのために当然、他人のカードですから、いくら何でもアラームがなるですね。だけど、アラームがなってもその警備員に対して、いや、私はこの人だと言い張ってですね。写真が違うようなもんですよって。いや、年取ったからみたいなね。わけわかない言い訳が通っちゃいまして、まあいっかでその人通しちゃった。
 AさんがBさんでなりすまし、Bさんと思われて通した。本当にそういうことが起きてしまったので、逆に言えばこの人が実際に中央制御室に入る資格があったかどうかは関係ないですね。ない人だって通れることになっちゃいますからね。
 したがって、この場合は入室をしてしまったということで、さらにご丁寧なことにカードの情報が変わっているわけですね、したがってその情報もですね。これ間違ってるから書き換えてくれって言われて、その場でゲートの職員が書き換えて、カードと内容をすなわち本来ならばありえないBさんのカードにAさん情報を書き込んでしまったわけですね。
 Aさんはそれをなんと、帰ってきてからBさんのデスクに返してるんですよ。これもよくわかんない話ですけど、返されたBさんは知らないうちに返されているわけですから、翌日自分が勤務でそれを持ってったらゲートでビーってなったんです。あんたAさんじゃないんですか、カードと内容が違うのだけど、何事?みたいな話、それを発覚するんですよ。
 もういくらでもめちゃくちゃすぎますよね。

(参加者)それは去年ですか。
 いや、もっと前です。
 この日付が、この表自体が問題が起きて、22年の時に作られたので、「不正入室」は21年になります。
 もっと前の話なんですけど、21年の9月に起きた。それが22年の1月23日になって発覚する。そんなに長い間、知らなかったかと思いますけど。ということで22年の1月、2月の話ですけれども、こういうことが大きく問題化されて、


○東京電力 柏崎刈羽原発で発覚した問題(ことし1月〜日付は発表日)
[ 動画先頭:0:13:50〜 ]
※図は [NHK 2021/04/14 柏崎刈羽原発 核燃料移動 禁止の処分 テロ対策不備] からの引用
 原発の保安規定上の問題、警報機が壊れているとか、?、それから火災防護工事が未完であって、「核物質保護に関する深刻なレベル」であるということがわかって、侵入防止の検知設備壊れていたのが深刻なレベルと認定された。とか様々な問題が起きて、結局、2022年4月に燃料移動禁止命令が出ます。
 結局これよくわからない話なんですが、これはどういうことかというと、原子力規制委員会が行っている原子力施設に対する区分というのがありまして、区分1というのが普通、普通っていうのは何も規制がない、区分2というのが、規制下に置かれる、原子力規制委員会の規制下に置かれるということです。けれども、通常運転ができます。区分3は飛ばして、区分4はこういう「核燃料移動禁止」も含める原子力事業上重要な設備の健康やあるいは作業が禁止されるのが区分4いわゆる保護観察処分ですね。
 その上に区分5というのがあって、区分5というのは運転禁止命令そのもの。これがされてしまうと原発を運転できないどころか原子力を運転する資格すら凍結されます。
 だから建物の入り口に錠をかけて、みんな出て行けって話になる。
 そういう区分の1,2,3,4,5のうちの4,二つ目に厳しい区分に置かれたのがこの時点ですね。それが、要は東電の不祥事の全貌です。


○核物質防護について
[ 動画先頭:0:15:25〜 ]
※図は [東京電力 2021/08/06 柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る取り組み状況について] からの引用
 警備関係でいうとこれです。
 外側のゲートと内側のゲートと、二重にあって、これは建屋のすぐそばにある。こういう防護区域につけられていた侵入監視装置、これらが壊れていた。それでしのいできた。なぜそういう無茶をやったのか。これも、ほんとかよ思っているのですが、壊れたのは監視カメラですから、そんなに複雑な装置でもなければ高額な装置でもないですよね。原子力特有の。規制がかかっている物質でもない。プルトニウムみたいなものでもないし、核燃料のようなものでもない、普通の監視カメラですから、別に原発じゃなくて銀行にもあるだろうしコンビニだったりありますから、そういったレベル、どのぐらい強度のものが、必要なのかとかありますけれども、それが壊れて、15台壊れていて交換もしなかった理由は何かというと、備品管理者が、それを発注することができなかった。なぜか予算がなかった。これ本当にそう書いているので、そう言うしかないですけど、ある年度の予算があって警備用の、あるいは監視カメラ用の予算を誰か管理してるんですよね。警備用監視カメラの予算がそこをついていて、発注することができなかったので、翌年度回しにしていまし、
 いや、堂々とよく言うなと思いますが、そんなことあり得るんですかって話ですよね、警察官が警棒を壊しました、じゃあ足りないから、手ぶらで行ってね。みたいなそんな話になっちゃうわけで、そういうことがあり得るのかということが、実は私も疑念で疑念で。
 そもそもこういうところの監視カメラ壊れていることについて警備員配置してますから当然壊れているから警備を配置するわけですけど、東電の本体がどこまで認識していたのかが極めて疑問です。すなわちコミュニケーションがそもそも存在しなかったのではないかと私は思っています。
 というのはこの事件が起きて以降、問題解決のために様々なスキーム、要するに体制を作るんですけども、その中に常に当然内部で重要視されているのは何かというとコミュニケーション不足なんですよ。すなわち、従業員が上司に、上司が、さらにその上の上司に、それから全体を統括するセキュリティ管理部門に対して、情報は全く上がってこない、またはあげない、そういうことが常態化していて、全て現場で始末せよというそういう状況です。
 だから、戦争中に軍隊が下士官とか勝手に虐殺行動をやったら、上の人間が当然責任を問われるわけですけども、報告を上げるなっていうのが常態化する。旧日本軍はそうですよね。いちいちそんな情報あげるんじゃねぇよ。お前たちで管理して、ちゃんと始末しろ。そういう話にする最大の理由は上司まで情報が上がっちゃったら全部責任がそこに行っちゃうじゃないですか、知ってたんだから止めなかったってのが悪いって話になりますね。
 だけども、知らなければ止めようもないですよね。というわけで、すべてその現場の例えば副長とか、昔の言葉ですね、今はグループ長、そういう人たちは係長級です。いわば彼らが現場の責任者なんですね。
 その上に例えば燃料課長だとか、あるいは警備課長などが言うわけですが、課長レベルまで報告がわかっていなかったと言っているので、もう要はあのグループ長の所で全部止めていた。けれども、建屋全体のセキュリティの話ですから、それはトップで知らなきゃいけないレベルの話です。
 それを知らなくて済んでいるということに、今しているわけです。本当はしてなかったとんだと、私は思っているのですが、下が全部情報とめていたことにしたんだろうと、思っています。
 そうじゃなければ、小早川社長はとっくにクビです。
 分かってて、そんな1年2年も、景気状況を放置していたんだったら、最高責任者のクビが飛ぶのは当たり前です。何も起きなくても。誰も知らなかったんだから、ごめんなさいとしてしまえば、今のところ今まではそうだったかもしれないから、ここはそこまでは責任追及するのやめようとか、規制委員会に思わせることができるわけですね。すなわち昔の軍隊と同じで、やばいことは全部現場ですべて処理をしなさい。上司に余計な報告をするな的な、そういう風土です。
 これは東電体質ですね。なんでこんなことを私が言えるのかといえば、そういう話が実は山のようにあるんですよ、東電の裏話じゃないですけど、例えば選択という雑誌だとかですね。いろんな週刊誌だとか、大手のマスコミにはなかなか出てこないですけども、東電職員に裏でインタビューして、実際どういうことがあったんですか、みたいな話を聞くと、だいたい一番この東電の中で疲弊しているのはグループ長、グループ長レベル人たちがとってもじゃないけどやってられないとなるとどんどんやめていく。
 そのために中間の一番仕事を知っている人たちが、どんどん抜けていくので東電は、今や人手不足というか、技術者不足です。それから、管理者、中間管理職不足という事態に陥っていて、まともにいろんな業務ができなくなっている。福島第一原発も様々な事件が起きていますが、あいったところ、みんなそうです。
 福島第一原発で第二原発もそうですが、震災当時にその現場でグループ長やってた人たちで、今残ってる人ってほとんどいないそうですから、みんなやめちゃったそうですから、とってもやってられないというそういう世界ですね。
 東電の原発13年動いていませんが、13年動いていないだけではなく、実はこの原発が動いていた時代を知っている職員は全体の半分しかいません。ということは13年間で半分を辞めたということです。
 そんな会社って他にありますか。その辺の役所だって、結構みんな辞めていくんですけども、さすがに13年で辞めていくのは。聞いたことないです。そういうレベルのひどい労務管理あるいはやっぱり現場状況なんですね。そのことが今回こういった、事件として発覚をしていたのが、東電体質で、それが払拭されたのかという話なんですが、いやいや、そんな何十年にもわたって紡いできた体質が、そんなに数年や、あるいは原発事故以降としたって13年で消えてなくなるものではない、中の人間が全部入れ替わったって中々難しい。
 トップですね、それこそ取締役以上の人たちで、まだ残ってる人、何人もいますんで、そういうのは体質を、一つは作ってきたわけです。したがって、こういったことが起きているということは、一つには氷山の一角みたいなものでして、こういったことが起きる理由っていうのを掘り下げていって、なんでこういうことが起きるのかということを、本当に人間の心理のあたりまでね、深層心理のあたりまで掘ってですね、掘削をして原因究明しない限りわからない。
 これはなぜかこのコミュニケーション不足ということで、一言で片付けられて、コミュニケーションをちゃんと取っていれば、問題がなかったみたいなふうにすり替えられていく。問題なのはグループ長がそれを上司に報告したら、どんな答えが返ってくるかなんですよ。やっぱり同じようにわかったけども、あんた、そこでちゃんとやってねって、要するに仕事の次のフェーズを指示されるだけであるならば、それはほとんどやっても意味ないです。

 その課長が、さらにその上司に掛け合ってこういう現場状況なんだから、予算の組み方であるとか、あるいは運営メンテナンス職員の配置も含めて、やり直してくれというなところまで、または人員をちゃんと確保していくとか、そういったところまで行くかといえば、行かない。そういう問題が東電体質です。
 さらにひどいものは、もう一つの東電体質、こういうところのゲート警備をやっているのは、みんな警備会社の人たちですよね。本社の職員なんて、誰もいないわけですから、そうするとセコムとか、そういう警備会社の職員が、東電の運転員の職員に対して、あなた、これゲート取れませんよ、カード違いますからと言ったら、凄んでくる職員がいる。何言ってんだ、お前なんかにいわれる筋合いじゃないみたいなね、ヤクザみたいな言い方をされるとか、そういうことが、やはりさすがに東電のその今回の事件を巡って、ヒアリングをやった時に警備会社の人にも聞いたらしいんですね。

 さすがにそこまで聞いて、今までやらなかった、下請けの人たちにも、どういう状況があったのか教えてくれというようなことを、背景を探るというなことをさすがにやっているんですが。そこから出てくる話っていうのは、職員から蔑まれ、馬鹿にされ、さらには足蹴にされる。そういう下請け従業員の姿が、浮き彫りになって、ほとんどの90パーセントの職員が東電社員は怖いと思ったと言っているんですね。
 だから怖いと思わせるのは年齢的には遥かに逆ですよ、東電職員が平均年齢低い、下請けの人は、高い。四、五十代の警備員の人たちに対して、二十代の若造が、そういう文句を言う、そういう感じです。
 だから、言ってみれば国家公務員で言うならば、例えば、警察署長だとかキャリアでですね、税務署長かなんかやっている。そこそこの若手のキャリアが五十代、四十代の派遣職員をどなりつけているみたいな、そう思っていただければ、わかりやすいのかもしれませんが、そういう姿ですね見えてくるは、そういう状況がこの東電の現場っていうことは、また東電体質その2みたいなものです。
 そんな状況では、さすがにひどすぎるということで、そういうことを無くす、そういう社員教育をしなくちゃいけない。ということと同時に、いかなる事態があっても、ダメだと思われたならば、どんな職員であろうと通すな、というお達しがくる、また、それも警備員にとっては、非常に大きなプレッシャーになります。どうしたら通れますかと聞いてくると、今度は泣き落としてくるわけですよ。私が入られなければ、どうしてくれるんですかと、泣き落としできたときにどうするか。
 そういうような東電体質と下請けとの関係が浮き彫りになったのが、この事件で、これを解消したのかどうかということをIAEAがやってきて見るらしいんですけど、そんなわかるわけないし。
 なんでそんなことがわかるんだと思うのだけど。IAEAがやってきて、そういった警備状況がちゃんとなっているか。そういうことを見ようというふうになっている。
 ちなみにアメリカにも似たようなことがありまして、スリーマイル原発事故があったりとかですね。下請け、あるいは警備なんかやっている人たちが、そうやって電力会社の運転員なんかに馬鹿にされるみたいな事態もあって、NRGは抜本的に解決しました。何をしたかというと、周りの従業員も含めて、電力会社の本社の人間を使えと、だから格は同等にしろと。
 それができないなら軍隊にしと、今は州兵が警備しています。軍隊となれば、指揮命令系統が全く違うので、あんた入れませんって言ったら、銃突きつけてくるわけですから、その従業員が泣き落とししようが、なにしようが、出ていけって言われる。いやそれは良くないんだけど、それがアメリカの考え方です。
 日本でそれ言われたら自衛隊がやるんです。それはさすがにまずい。
(参加者)自衛隊はいますか。
 原発に自衛隊はいません。いるのは、何か問題があるなと、思ってくるのは、警察の警備隊、警備確認。原発に自衛隊や海上保安庁がきません。沖合に船を浮かべて、あと海上保安庁が海域監視はします。それはあくまでも敷地の外側の話であって、敷地の中に、警察やあるいは自衛隊はいません。法律でそれは出来なくなっています。あくまでも民間企業の施設です。
 アメリカの場合は州兵がまもるというのは、そういう規則があるからです。


○核物質防護設備の機能喪失時にとるべき対応
[ 動画先頭:0:28:02〜 ]
※図は [東京電力 2021/06/10 柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る取り組み状況について] からの引用
 核物質防護設備の機能喪失時にとろべき対応、ということで、やはりこれが問題なのは何かというと、従来ーこういった対応ができていなかった。ということが大きな問題なんですね。
 これを今からできるようにしますと、書いてあることは事実です。
 あまりにも当たり前のことを書いている。つまり当たり前のことができていなかった。ということになるわけですから、本来の対応をこういった、代替措置だとか、機能復旧準備、これはセキュリティカメラなどが壊れた時の話ですが、そういったことがちゃんとできるように体制をとりなさい、現在これできていないから、要は期限を超えてですね。勝手に人間で監視するなんてことを、やっているから、こういう問題になったのだっていうことを、こういう状態を何年か続けて、それが安定的に運用できているようになったかどうかっていうのを監視するのが、本来規制委員会でやることですよね。
 しかしながら、現実にはこの問題が起きてこの対応が始まってから半年ぐらいで、規制委員会は内部に調査に入り、問題がないという。さらにこれでオーケーかと、去年の12月21日に核燃料の輸送を禁止した区分4から普通の原発と同じ、区分1にかえた。そういう処置をとってしまった。
 問題なのは、4から1へポーンとジャンプアップしてしまった。では、あんたたち、普通の原発で、でも、あいがあるわけです。2と3ですね。
 原発を保護観察処分にするという状況、すなわち通常の運転はできないけれども、他の作業はしていい。ただし、それは規制委員会の監視下におく。というような状況を一定程度やってから、今度は2に落とす。2は通常運転はできるけれども、規制委員会は常に常駐している。

 今いるのは規制庁がいるというのは、原子力のセキュリティのために、規制庁の役人が常駐しているんですけれども、そうではなくて、こういった様々な作業をする現場に規制庁の役員が、常時監視しているというのがレベル2ということになるわけです。そういった状況を経てそれで区分1になる。というのならば、わかります。大体一年から半年くらいですね。区分4からいきなり区分1になったら、昨日までいわば収監された人が、はい釈放されましたよ、みたいなと同じ形です。
 そんなに簡単に東京電力にフリーハンドで何をしてもいいと、一発で合格みたいな。そういうことをした最大の理由は何かというと、やっぱり柏崎刈羽原発の再稼働です。再稼働するためには区分4のままじゃ、できませんので、一気に区分1にしないとできない。そうすると区分1にする必要があると認めるのは誰かというと、規制委員会ではない、規制委員会はちゃんと手順に従って、こういったひどい状態から、本来の対策に戻した状態で、正常に運営できているかどうかを2年くらい時間をかけて調べる。観察するという期間をつけるのが、普通に規制しているならば、やっておきたいということでしょう。
 ところが、それ、いきなりジャンプアップさせてしまった。最大の要因はGX4、岸田政権、経産省、この三者の悪だくみです。柏崎刈羽原発を今年中、言ってみれば今年度中に再稼働させるためには、どうしても今の段階、去年12月の段階、区分4から区分1にしておかなければ、時間的に間に合わない。その間にとてもじゃないですけど2から3年は到底不可能となりますので、一気に再稼働にもっていけと、そういう指示が官邸からおそらく出てたんでしょう。それが原因で、このような無謀な基準の区分の変更ということが行われたと私は思っています。
 それが証拠というか、この1月の震災が起きた後になって、やったことというのは、柏崎市それから新潟県に対して経産省の役人が経産大臣、資源エネルギー庁長官が、相次いで訪問して、再稼働の協力をしてくれと言い出したんですね。新潟県というのは地元合意すらできていません、いまだに柏崎刈羽原発の運転にゴーサインを出した人は誰もいないです。にもかかわらず、経産大臣みずからがやってきて、花角知事に対して、早く合意してくれという圧力をかけた。これはとんでもない話ですね。
 そういうことをやってまで、再稼働を今年度中にやりたいというのが、GX法の中で言っている岸田公約。原発再稼働を促進する国、国が前に立って行うというところに大きな理由があります。国が前面に立って行うとは何かというと規制委員会の規制をゆがめてまでも、ジャンプアップさせて、区分1に持っていかせるっていうのが一つと、規制委員会に対して、要は、もうそろそろ柏崎刈羽原発いいじゃないかと、やらせるということ。それから花角知事など地元のトップに対してですね、もういい加減に、再稼働を認めろと、経産大臣がみずから乗り込んでいって、話をするという。これが国が前面に立つというそういう行動ですね。
 東電がいつまでたっても、再稼働の同意をとれないわけですから、現在。そんなゴタゴタやってるんだったら、国が前面にたってやってやるという。

 結局はテロ対策不備で原発が止められた原因がおおむね、四つあるわけですが。荒天時の監視体制整備、まあいいそういった時に監視カメラ壊れている状態であれば人が立っていて見えるわけないじゃないですか、そうすると当然のことながら監視不可能な状態。


○テロ対策不備への再発防止策で残る課題
[ 動画先頭:0:33:45〜 ]
※図は [東京新聞 2023/10/16 再稼働に立ちはだかるハードルは? 運転禁止が続く東京電力柏崎刈羽原発] からの引用
 テロ対策不備で、止められた原因が概ね4つあるのですが、1、荒天時の監視体制の整備、大雪降ったときとか、そういったときに監視カメラが壊れた状態であれば、人がたっているのが見えるわけがない、そうすると、監視不可能な状態になる。新潟の地吹雪なんて、1メートル先が見えませんので、10メートル先みえませんので、カメラあっても見えないと思うのですけれども、要はそういう環境の中でも、監視が有効に働くように機械で整備せよというのが一つ目です。
 ま、これは機械を整備するだけですから、できるんでしょう。
 二番目に、核物質防護業務に関する会議での議論や情報の共有とあります。これ何を言っているかというと、社長がすごいこと言っちゃったんですね、核物質防護に関する業務は、担当者が行うべき話であって、すなわちこの場合柏崎から原発にいる所長以下の?レベルでで、協力を行うべきであり、かなり機微な情報が含まれているのは事実ですね。例えば、監視カメラの位置がどこにあるかとか、そんなのは当然外に漏れたら大変なことになっていますので、あるいは監視している人間の数だとか、そういったこと、あるいはゲートの数だとか、塀のの高さとが全部機微情報になります。そういう機微情報を私は知ってはいけないと思っていた。また笑うしかないんだけど、本当にそんなことを言っていたのか、すなわち会社のトップで事故が起きれば最初に責任追及されるべき人がですね。その原発の安全対策がどうなっているかを細かいことは知らなくていいと思ってたんですね。そういう次元でやっているから、何が起きて報告が上がってきたってチンプンカンプンなわけですよ。したがって、そんな話を聞きたくもないという態度が如実に出るので、周りの人間たちも忖度して、本当に社長にあげなくていいから、みたいなのが決まっていく。そういうのは、やっぱりとてつもなくひどいことだということがようやく認識されたらしくて、すべて社長がトップである。各物質防護について。全ての議論や会議は社長に情報共有する。まあ経営陣と言ってもいいかもしれない。経営陣に情報共有することが大きな課題になりました。

 三番目は、変更したルールに沿った業務の運用。これは何かというと、よくある話ですが、業務を変更して新しいマニュアルを作りましたけど、まあいいや前の通りやっておけば、みたいな。
 これは東電体質でして、いくらこのマニュアルを改定してですね。昔やったやり方間違ってるから、正しいやり方こうですよって言っても、いうこと聞かないわけですよ。現場の人は。あるいは中間管理職のレベルのところで。
 なぜなら、そんなしち面倒くさいことやれるか、人が足りるか、みたいな話に容易になりますわね。
 そうして、原発でおいても例えば本当は開けっ放ししちゃいけないドアが、開けっ放しになっていたんだとか。そういったことが過去に起きていたということが東電の報告書に出てきます。
 そうして、そういったところをちゃんと変更しているのにルール沿った行動を取りましょうという。極めて当たり前の話、廊下を走らないでねというそういう次元です。そういう次元の話ができているか。一体誰が監視しているのかっていうのはわからない。?人間がいるわけじゃないんだから、そういうのに監視だって客観的にされているわけではない。

 四番目、核物質防護の重要性を認識する意識や行動を保つ仕組みの構築。
 ここまで来たら本当に原子力をやっている人たちの間の話なのかと思いますわね。核物質防護の情勢を認識する意識や行動を保つしくみの構築とくると、ここまでくると、原子力をやっている人のはなしなのかと思います。
 核物質防護とは何かと言えば、言うまでもなく、ウランプルトニウムといった核兵器の材料になり得る物質を安易に取り扱ってはいけないし、もちろん流出されてもいけない、それを防護するというのが、核物質防護の基本でありまして、さらに言うならば、核物質自体が暴走するとか爆発するとかいう性質を有していますので、重大な事故を起こせば、核物質防護の問題が発生する。
 したがって、それに対する認識、意識や行動を保てということは、それは電力会社の人たちに対して、自分たちが扱っているのはそういうものなんですよということをあなたたちは認識しているのと言っている。一般の人たちじゃないですよ、こういうレベルのことを改めて言わなくちゃいけないほどのレベルの人たちが、東電柏崎にずっと勤めている。本店もそうですね。
 福島第一原発事故の時に、本店とそれから福島第一原発の間の、進んでいたテレビ電話の記録というのが本になってっています。あれ丹念に呼んでいくとわかるんですけれども、本店は原発の仕組みだということはおよそ知らない。それから、核燃料がどういうものであるかも認識がない。さらにどうなったらメルトダウンし、どうなったら、爆発するかも知らない、しないものだと思っているから、刷り込まれているので、まさか燃料が溶けるなんて思いもしないし、爆発が起きるとか、ましてや、そんなことはありえないという、マインドコントロールの中にいるのが本店なんですね。
 福島第一の吉田所長も含めた現場も、最初の頃は半分そう思っていたんだけど、だんだん起きることに対応するしかなくなってきて、?はするわ、汚染水は噴出するは、爆発は起きるは、ということが目の前で起きていくわけです。まさに身をもって経験をしてしまった。
 福島原発の職員たちは、段々と本店のテレビ会議の中で、相手に対して、相手側のやり取りが、言うこと聞かなくなっているんですね、本店が言ってることがあまりにも荒唐無稽だということで、知るかというふうになってくるわけですよ。
 で、もう本店とのコミュニケーションが効かなくなっていくあたりで、現場にたいするコントロールも効かなくなっています。
 そこで、菅直人首相、皆さん頑張ってくだいじゃないけど、激励したのかどうか知りませんが、それでいったん落ち着くんですね。そういう事が良いかどうかという評価が、色々別れるかもしれませんが、私は良い、良かったと、いったん崩壊しかけていたコミュニケーションが、なんとかつながったし、とりわけ政府との間の、コミュニケーションがつながったというふうに思います。
 実はその時に福島第一原発と首相官邸の間で本店を介さずにちゃんと連絡できるようにというラインを作っています。そういったことも含めて、実はあの福島第一原発事故の真っ最中でもコミュニケーションが全く遮断されたに等しい。お互いに共通理解を持っていないという現場とそれから本店の姿が露呈したわけですが、この核物質防護の重要性と認識についても、それから行動についても、本店とそれから、柏崎の現場等さらに言うならば現場のトップすなわち所長以下管理職とそれから現場と職員の間のギャップはとんでもなく大きなものです。
 さらに言うならば、国際的な問題にもなるんですよね。IAEAが核物質保護の条約の趣旨、管理責任を持つ機関ですから、そうすると核物質防護がいい加減だということ、あれですが核物質防護ができない国で、原子力をやられた日には、IAEAもこれは大変なことだって言ってきます。警戒するということになります。

 だから今回はIAEAを呼んできたという。そういう脈絡なんですね。
 核物質防護上の条約、核物質防護条約すなわち事実上国際法と、その義務を果たしているか確認してください。そういったことにもなってしまっているということで、これは大きな問題だということで、最終的にIAEAに確認をしてもらいましょう。というのが、今回のIAEAの訪問ですが、残念ながら核物質防護の仕組みや何かをちゃんとしましたっていうレベルの話であるならば、IAEA、ハイ、書面審査でわかりましたで終わってしまうと思います。

 でも、実際にはそれができているのかというと、極めて大きな疑問があるということですね。


○地元同意のない柏崎刈羽原発を再稼働
[ 動画先頭:0:42:15〜 ]
 で、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて、これだけのいろいろなことが起きてきた挙句に、実は2021年ぐらいに一度核燃料を入れようとしていました。その時は再稼働のための準備作業ではなくて、使用前検査の一環として、燃料を入れなくちゃいけないので、再稼働とはまた別ですよっていうことを、東電が言うのですが、そのことをめぐって、新潟県内で大きな議論になりました。
 燃料を入れてしまえば、あとは制御棒を引き抜いてしまえば、核分裂はおきて、運転できてしまうので、原発に燃料を入れれば、事実上の再稼働と同じじゃないかという、そういう議論があったんですが、今回そういう機能まだないですね。新潟県内でなかなか。これもまた一つ大きな問題です。


○柏崎刈羽原発の再稼働までに想定される今後の流れ
[ 動画先頭:0:43:05〜 ]
※図は [西日本新聞 2023/12/28 柏崎刈羽原発、再稼働へ一歩 地元は不満、ほぐせぬ積年の「東電不信」 運転禁止命令を解除] からの引用
 現在行われているのは原子力規制委員会の区分4から区分1に変えたのが12月27日です。
 はてな(?)が三つならんでいますが、地元が再稼働に同意し、それから規制委の使用前検査が終わり、再稼働というのが本来の想定される流れでした。
 したがって地元が、再稼働に同意しない限り、規制委による使用前検査は終わらないそういう想定だったんです。


○【添付資料】使用前事業者検査に係る工事の工程について
[ 動画先頭:0:43:35〜 ]
※図は [東京電力 2024/03/28 プレスリリース 使用前事業者検査に係る工事の工程について] からの引用
 ところが、こういう文章が出てきましたそうですね。
 2021年2月に工程を未定に変更していた使用前確認変更申請について。
 今回、2024年、今年ですね。未定から4月15日という日程を入れました。
 燃料装荷開始予定日を記載したということです。これは何を意味するかというと、4月15日、もうすぐですよね。燃料を7号機の炉心に入れ始めます。入れ始めれば結果的に蓋をして、制御棒を抜けば、運転できるわけですね。そういう作業に着手しますという。これは申請書です。東電の文書です。これが規制委員会に出された申請書です。これを許可するかどうかという瀬戸際に、今なっています。
 許可されてしまえば、燃料装荷は15日から始まるわけです。これに対して絶対ダメっていうふうな主張を、県がするのかと思ったら、しませんでした。これは東電がやることであって、県は直接管理をしないというか、まあ要は何にも判断しないということが花角知事が記者会見でいったことです。
 従ってこのままだと4月15日に燃料が入り始めます。だいたい2日か3日ぐらいで入れ終わっちゃいますので、4月下旬にはこの使用前検査が次のステップに進み、ちょっと矢印が何本書いてありますけど、この先の日程がまだ未定のままなんですが、5月以降にですね使用前検査の最終段階に入っていくことになります。実は使用前検査の最終段階に核加熱を開始する。制御棒を引き抜いても、使用前検査をやっています。だから、その段階に至るのがいつなのか問題が一つ残っています。


○柏崎刈羽原発の再稼働までに想定される今後の流れ
[ 動画先頭:0:45:38〜 ]
 先ほどの一つ前の?と地元が再稼働に同意しない限り、使用前検査は終了だと認識しているならば、規制委の使用前検査は終了しないというような意味で、図を読み取れば今のところまだこの範囲に入ってはいるんですけども。私は今回止まって使用前検査が先に進む作業自体、燃料装荷のことですけど、燃料装荷自体が、地元が再稼働合意するまで、言ってはいけないっていうはずだったんではないかと思ってます。


○【添付資料】使用前事業者検査に係る工事の工程について
[ 動画先頭:0:46:15〜 ]
 それを完全に踏みいじって、東電は次のステップ、燃料装荷に進もうとしています。なおこの段階でもまだ、稲垣所長は何と言っているかというと、制御棒の引き抜きは、地元が同意がない限り行いません。燃料入れる。入れない。あるいは制御を引き抜く、引き抜かない。そういったレベルでどこまでが地元同意の範囲なのか、どこから先が地元同意がなければできないのか、議論が今まさにこれからですね、新潟県の中で熾烈に行われることになります。
 もう一つはこの合意のプロセスですね。一体どんなプロセスを経て、県民同意を得たということになるのかという議論なんですが、これはこれで大きな問題があります。なぜかというと、そもそも論として県民同意をどうやって行うのかっていうのは何も決まってないんですよね。


○原子力政策の今後の進め方
[ 動画先頭:0:49:53〜 ]
※図は [原子力産業新聞 2022/08/25 政府・GX実行会議が原子力政策の進め方示す、再稼働の加速など] からの引用
で、この間ですね。国は、原発を再稼働させようとして、圧力をかけつづけて、きました。あまり反対しない島根原発だとか、あるいは、女川原発だとか、めだった動きがみえないかもしれませんが、しかし、水面下で圧力をかけていたりしますが、やはり、一番わかりやすのは、柏崎刈羽原発です。経産大臣が直接乗り込んできて、協力しろとやってみたり、それから、東海第二についても、圧力をかけようとしていますが、ここはひとつ、裁判でとめられているというのもあるので、なかなか、そう簡単にできないという状況はあります。
 すなわち、知事に対して圧力をかけても、高裁で、*判決がでてしまったら、知事がなんといおうと運転できませんから、そういうのがでてしまう可能性があるので、やはり、あまり、おもてだって、動きたくないという意向があるかもしれません。もちろん、ここの知事だってそんなに原発推進系の知事ですから、チャンスと見れば再稼働に同意をしようとするでしょう。
 しかしながら、一番ネックなのは、やはり防災計画できてない。完成していない。そうなってくると、法律上は防災計画がなくても、再稼働可能とはいえ、現状では、東日本大震災を経た今では、あれはさすがにいくらなんでも、めちゃくちゃすぎるということで、防災計画が完了するまでは運転はできないでしょう。
 というのは、水戸地裁判決もあるので、そこで防災計画をとっとと作れという圧力が、今来ています。各市町村に対して、防災計画が必要な市町村に対してですけれども、防災警句の早期作成のために、原子力だけではなくて、内閣府の防災担当者も派遣しています。

 国としては何をしているかというと、茨城県の各市町村に国の役人が行って、どうやったら防災計画が作れるか、レクチャーと一緒に作業する。としてますから、現実に現場作業をやってるんでしょうけど。そういったことまでやるということが国が前面に出るということの一つの?になっています。
 さらにもう一つ言うならば、今これからですけれども、第七次エネルギー基本計画を作ろうという動きが出てきて、当然あれは5年に1回改定するので、これから作ります。2035年以降のエネルギー政策、原子力も含めたエネルギー政策を作るわけですけれども、現在の第六次エネルギー基本計画の下では、原子力は20から23%、それから依存しないという、原発依存から脱却と書いてありましたよね。それはまだ生きています。
 さらに2030年までの構成比までしか作っていませんので、これからあと5年、その先5年間を策定する。第六次エネルギー計画から、全くガラッと変えて、原子力の推進をうたってくるであろう。
 一つ目は核燃料サイクルの完成、すなわち再処理工事を可動させて、プルトニウムでプルサーマルやって、あの核燃料サイクルの完成、稼働を一つ前面に出していく。それに加えて高レベル放射性廃棄物処分場の策定を国が全面に立って行うということをまたやってくるだろうと考えられまして、その上に、さらに各補助金交付金などを増額して配置するための仕組みスキームを作り上げる。
 そういったことを推進するだろうということを書いてくるというのが一つあります。すなわち、核燃料サイクル政策が一つ重要になる。
 それから二番目は老朽原発も含めた再稼働というのはすでにやり始めているので、これに加えて新規建設と増設これを前面に出してくるということ。
 そうなってくると問題になるのは、まず上関原発とか、それから東電が建設途中で放棄している状態になっている東通原発1号機、2号機の原発をどうするか問題。それから、もちろん東電はそんなものを作る金がないので、何らかの合弁企業体を作って、国も出資してですね。そういったものができるようなスキームを作ろうとするだろうということ。それが二点目。
 すなわち新増設を拡大していくということの流れがないと、いずれにしても老朽原発を使ったって、2040から2060年の間に、みんな終わりになっていきます。70年運転すると言ったってそんなもんですか。
 そうなってくると、その後を繋ぐものっていうのは、なくなっちゃいますので、その後の新規原発というものを作らなくちゃいけない。
 すなわち現在の第六次エネルギー基本計画というのは2030年は23パーセントとしてはいますけれども、長期低減していくということを容認しているわけですね。

 その先の50年とか2060年になったら、新増設をどんどん推進するというのがなければフェードアウトする。
 それが現在の第六次エネルギー計画の基本的な考え方なんです。が、第七次はそれを全く変えて、その先をつなぐということで、一つは新増設の経済、二つ目はSMRなどの新型原子炉の開発、三つ目は核融合炉などの新システムの開発、というふうにステップアップしていくということを考えている可能性が高い。
 そういったものが第七次エネルギー基本計画に出てくる。すなわち、昔のエネルギー計画のやり直しです。結局は。
 ちょっと違うものがあるとするならば、安全設備の向上であるとか、あるいはSMRのような新型炉、そういった違いであって、エネルギーの割合としては、原子力が三分の一といういうところに抑えられるでしょう。
 昔の最大だったエネルギー基本計画では原子力比率は45パーセントが流れましたので、さすがにもうそこまで上げる気はなくて、再生可能エネルギーというものが割り込んできましたので、これ推進しないということはないと思いますから概ね三分の一ずつという考え方になるのでしょう。
 すなわち、原子力、再生可能エネルギーが三分の一づつ、残りが三分の一というふうなるのでしょう。そういう考え方にこれから、第七次エネルギー基本計画になってくるのではないかというふうに考えると。
 20年代半ばから、ここに書いてある、申請済10基、未申請9基、19機の原発をどうするかという問題がひとつはかかってきます。今は10基が再稼働した上に、さらに高浜1,2原発が加わって、12基これ、12基動いています。
 さらに再稼働促進ということで、5基これから動かそうとしています。女川2,島根2と、柏崎刈羽原発、東海第二です。この7基を動かそうとしています。その次の段階で今止まっている10基、例えば審査中の浜岡3号基とか、それから泊3号基とか、そういったものも動かしていって、そういう流れになるだろうと思いますので、柏崎刈羽原発、東海第二原発、ここが問題なんです。これが再稼働できないと先に進まない。だからここは一つの正念場になるというのは、女川2に島根2、東海第二、これらは7基の沸騰水型軽水炉、これが再稼働してしまうと、この先までずーっといってしまうんだという危険な状況に入っています。
 国の計画の中でこういうふうに示されていることに対しては、反原発運動やっている私たちの側もこの部分でそういう正念場をやっていると認識しなければいけない。


○柏崎刈羽原発を巡る経過
[ 動画先頭:0:58:23〜 ]
※図は [沖縄タイムス 2024/03/20 原発再稼働の同意要請 東電柏崎経産相、新潟知事に] からの引用
 それで、これが先ほどから言っていた、国が前面に立ってきたので、齋藤経産大臣がやってきた、この後にIAEAがやってきた。そういう流れがあったということになるわけです。


○柏崎刈羽原発と能登半島地震
[ 動画先頭:0:58:48〜 ]
 ここから柏崎刈羽原発と能登半島地震です。


○北陸電力の想定を超えて動いた断層の範囲
[ 動画先頭:0:59:02〜 ]
 まず、おさらいですが、
 能登半島地震はどこで発生したかといえば、この150km圏ですね、すぐ隣に志賀原発が建っている。この辺りが震源域になります。ちなみにこれが丸が一つ一つが、その後の地震の揺れです。今取ればもっとたくさんの丸がつくことになります。
 東京電力も地震の想定はしていました。実はこの辺り96キロぐらいを活動する可能性がある断層の連動、というのは想定してたんですけど、東京電力の想定外の部分はこれです。こんな先まで動くとは思わなかった。しかしながら、これは確かに動いてはいるんですけども、割れ残りということが現在指摘をされています。


○柏崎市鯨皮 午後4時36分 40cmの津波を観測
[ 動画先頭:1:00:03〜 ]
※写真は [BSN 2024/01/26 柏崎市鯨波 午後4時36分 40cmの津波を観測] からの引用
 柏崎刈羽では、こういう能登半島地震において40センチの津波を観測しています。だいたい地震が起きてから20分くらいの間に津波がやってきて、あの位置で発生した地震で20分後に津波が到達するというのは、実は東電の想定よりも早いのです。
 東電はもっと近い断層の地震で、20分という想定をしていますので、それよりも倍ぐらい遠いところからの津波が20分でやってきたということは、何か別の要因があるのかなっていうふうに思わせるような状況です。


○川の水が橋の上に…
[ 動画先頭:1:00:35〜 ]
※写真は [BSN 2024/01/02 川の水が橋の上に… 新潟県上越市の映像から] からの引用
 これ、津波です。
 上越市、川から遡上していたんですね。一気にこの道路に噴き上がっています。
たまたま車がいなかったんで被害とかはないですけどあと、周りの住宅も少し浸水して、そういった意味で言うならば上越市において、4メートルだそうですから、4メートルの津波で被災しているんですね。
 すなわち、能登半島地震、その対岸の柏崎や上越地域にも被害を与えた津波だと、地震と津波で両方被害を受けているということを認識しなければなりません。
※写真は [東京新聞 2020/12/02 「世界最悪」レベルの事故の後始末は終わってないが…東京電力が柏崎刈羽原発を動かしたい理由] からの引用


○津波の高さの計算結果
[ 動画先頭:1:01:11〜 ]
※図は [東京新聞 2024/03/13 津波は石川・珠洲で最大3.6mか、新潟県にかけて2〜3m超だった可能性…研究チーム分析] からの引用
 上越市、2メートルの津波が到達しています。周りには高いところで大体4メートル近い津波が来ている。実は、志賀町にも2.5メートル来ていて、志賀原発の内部でも4メートル高さまで遡上しているという跡が見つかっています。遡上高というのは、この場合、津波が乗しあげて、勢いがで上がっていった高さなので、津波の波高とは違います。おそらく波高は2.5メートルと同じくらいだったんだろうと思われます。すなわち崖に駆け上がっていくという高さで4メートルが、志賀原発のすぐそばで確認されたということです。
 広域に津波被害が出た。そういう災害だったということを改めて認識しなければなりません。


○動いていない可能性のある断層 佐竹教授
[ 動画先頭:1:02:03〜 ]
 問題なのは、ここなんですね。先ほど割れのこりといったのは、この赤いところです。NT4、NT5というのが北陸電力も想定していなかった海側に張り出した地震動の地震活動があったところです。
 ここが津波を引き起こして、上越市に2メートル級の津波が押し寄せてきた場所だと想像できます。問題なのはこの先で、NT2とかNT3とかがまだ割れ残っている。
 すなわち位置的には活動してもおかしくない。連動して動いてもおかしくない断層なんだけれども、これらはまだ動いていないので、もしも動けば、最大マグニチュード7クラスの地震が発生して、新潟県でも3メートル級の津波が発生する可能性が、そういうポテンシャルを持っているというのは、佐竹さん、何度も出てきている人なので、覚えてしまいましたが、あの東電の15.7メートル津波の元となった、貞観地震の影響により福島第一原発にも15メートル級の津波が来るということを最初に提唱した地震学者です。
 その佐竹さんだけではなくて、地震本部の平田さんとか、東大地震の皆さんとか、地震の学者の東北大学の遠田さんも、ほぼほぼみんな言っていることが、共通しているということです。地震学者の間でのほぼ共通認識だと、これが動いたら柏崎刈羽原発にも津波が押し寄せてくるということは間違いないわけで、ただし、その高さがどのくらいなのかという問題になるわけですね。


○能登半島地震と柏崎刈羽原発
[ 動画先頭:1:03:58〜 ]
 実は柏崎刈羽原発の周辺にも断層があるわけですね。
 で、今回NT2、NT3というのはこのほんの位置になります。さらにもっと近いところではF-B断層。これは東電も認めている。これを最大の地震活動を起こしたという最大津波を引き起こす元として想定しているんですが。
 例えば、佐渡海盆東縁断層というふうに書いてあるんですが、この断層の存在については東京電力は否定しています。
 活断層学会の鈴木さんとか、あるいは名古屋大学の中田教授とか、渡辺さんとか、みんなあの連名で論文を書いています。佐渡海盆東縁断層の地点に有力な活断層が存在するいうことを言っています。
 これは変動地形学の立場から見れば、ここで大きな地震が発生し、海底に?ができて、津波があるということを主張しているわけですけれども、東京電力は、これに対して、音波探査をやった結果、そこには断層は見えない。活断層と見えなかった。
 音波探査は、結局は地面の下はそう簡単に見えませんので、船にその発信機を乗せるわけですね、海の水を通じて海底に超音波を当てて、それで海底の中から海底の下、海面下地面の中に音波が入っていき、色々な層で跳ね返ってきた、それを図形化するわけです。
 それによって何が見えるのかというと、縞々になった海底の地層が、薄ぼんやりと見える。薄すぼんやりと見えている地層が、切れているか、歪んでいるか、そういったことを見て断層であるかないかということを調べようとするわけですが、いかんせん、地上で見るのに比べて遥かに精度が悪い。大きく変形したり、段差が断層にずれがあることが見えればそれは活断層だとほぼわかるんだけれども、逆にそういったものが見えないからといって、活断層ではないと断定する方には使えないというのが地震学者の多くの人たちが言っていることなんですね。
 したがって、東電が言うように、ここにあるのは活断層ではないというふうに書いて、超音波探査を使うべきではなくて、もしも断層があるならば、それが活断層であるかどうか判断する際に活断層であるということを推定するために使うべきだ。
 だから分からない時はわからないという、分からないのにそれはノーと言ってしまったらそれは結論としては正しくない、というのが地震学者の石橋さんなんかもそんなことを言っています。
 したがって、この佐渡海盆東縁断層系も活断層であると考えるならば、このF-B断層によって発生する津波の高さが12メートルくらいだと東電は言っています。
 それよりもはるかに大きな津波がやってくる可能性を想定して、能登半島地震の教訓とは何かというと、こうやって断層がいくつも実際にはあるわけですね、断層帯としては少なくても1,2,3,4、4つの断層体が連動して動いた結果、これだけ大きなマグニチュード7.6の地震になりました。
 したがってここにある断層体が1,2,3,4、4つくらいありますけれども、これらは連動した場合、もっとはるかに大きな津波として、柏崎刈羽原発を襲ってくるであろう、今の津波想定は正しくない、と考えるべきではないかとというふうに主張する人たちが、私たちを含めているわけです。
 実はですね。ここに魚津断層というのがあって、糸魚川沿いにずっと抜けている断層です、この断層を活動することを想定しているんですが、遠いんですよ、遠い断層だと大きく動いてもいいみたいで、そういう断層は想定しています。だけど、目の前のこれは断層じゃない。都合主義と言っちゃですけど、私は東電のご都合主義だと思います。


○変圧器のオイル漏れ
[ 動画先頭:1:08:37〜 ]
 今度はオイル漏れの話です。
 これがですね。実は大きな問題をひめてまして、柏崎刈羽原発の方が先輩格なんですけど、中越沖地震の時に柏崎刈羽原発は3号機で変圧器で大炎上しました。それと同じように志賀原発でもこうやって大量のオイル漏れが発生しました。下に溜まっているんですが、幸い火がつかなかったので、後から一生懸命回収したとということになったわけです。


○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
[ 動画先頭:1:09:13〜 ]
 どうしてそんなことになったのかというと、こういった箇所で、配管破損が発生したということです。写真で見ると、これ以上、実は報道陣が近寄って撮影することを拒否した。あの壊れたと所を写させろといっても、だめだと言われた。核物質防護上の理由とのこと。よくわからない理由で、まあ要は、そういったことで、破損した場所を寄って撮影することを拒否されたので、北陸電力側が見せているこういう写真しかないんです。


○変圧器のオイル漏れ
[ 動画先頭:1:09:48〜 ]
 絵で見るとこういうところが壊れちゃってますね。ここがこの配管の中に全部この場合は絶縁油が入っています。ここの中が主変圧器といって、コイルがグジャーと詰まっている。変圧器というのは、ご存知の通り、発電した電圧を変換して外に送り出す、外から来る高圧電流を低圧に変換するとか、そういったことを行う装置です。電圧が変わるわけです。そういうことをやるわけですが、これ自身がものすごい熱を持つんですね。高温になります。ここに大量のファン、換気扇が並んでいます。これが冷却器です。
 ちょっとあの凄まじいかって言ってますが、周り中から風を送っているのが分かりますよね。周り中から大量に風を送ることで、


○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
[ 動画先頭:1:10:39〜 ]
 ここで大量のファン換気扇これですね。換気扇というよりは、ちょっとあの凄まじい。周り中から風を送っているのが分かりますよね。周り中から大量に風を送ることで、


○変圧器のオイル漏れ
[ 動画先頭:1:10:52〜 ]
 ここを空冷して、この継ぎ目のところにも実は絶縁油が入る配管があって配管を通って、絶縁油自体も冷却されています。だから、油自体も高温になる。コンサベーラという装置があって、ここは油貯めです。内部の温度が上がったり下がったりすると、当然、油の体積が変わりますので、いっぱいいっぱいにしておくと、高圧になって、割れて噴出しますから、このコンサーベイラーというのは弁があって、そこで高さで、液面の空間と気体の体積の差で、内部の温度調節、温度の変化による体積変化を調節する。
 そういう構造になっています。問題なのは、壊れた場所がここならまでよかった。そうすると、何が起きたかというと。


○2号機 主変圧器 1月1日の地震による油漏れ 停止中
[ 動画先頭:1:11:48〜 ]
 低いところにある装置も壊れたのでその上にある油が全部抜けちゃったわけですね。


○変圧器のオイル漏れ
[ 動画先頭:1:11:55〜 ]
 こういったところが壊れると、この上にあるコンサベイラの中に入っていたオイルも全部抜け落ちます。その結果、ここ(導油管)は、ほんとは油が通っちゃいけなくて、これは空気の量が減ったりする、体積が減るということは、ここ(放圧板)が壊れると、この空気抜きの管(導油管)からも全部油が抜けてしまうという現象が起きたわけです。


○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
[ 動画先頭:1:12:23〜 ]
※図は [北陸電力 令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について(3月 25 日現在)] からの引用

 こういった構造、すなわち破損した場所はこの位置ですから、この位置よりも高い位置にあったところの油が全部抜けました。
 そうすると、ここにケーブルが、変圧器に通っているケーブルがあります。このケーブルが建屋の中に入っている。ちょっとこのケーブルどっち行くのかちょっと忘れましたが、このケーブルを通って変圧器に行っているわけですね。この状態で、実はこの上まで油が満たされていたんですね。ところが破損したものですから、この分ずっとオイル漏れを起こしました。
 結果、何が起きたか放電が起きたと書いてあります。放電痕と書いてあります。ここは運転中ではなかったんですけども、原発というのはいろんなポンプを回したりしますから、定期検査中でも大量の電気を使います。まあ運転中の電力に比べれば十分の一ぐらいですけれども、まあ、その電力を大量に使います。したがって大量の電気が流れています。ここで放電がおきたんです。
 放電が空気中にあったために、放電が起きて、それがこの箱体は金属、鉄ですから、鉄に向かってケーブルから電子が飛んだんですね。雷のようなものです。アーク放電って言うのですが、ものすごい性質を持っていまして、空気中、普通は通らない電子が飛ぶもんですから、この電位差をものすごく大きくなりますから、その差を、その絶縁を破って飛ぶくらいですので、大量のエネルギーがとびます。放電痕と書いてあるところは焼けこげたんですね。
 あの志賀原発で火事が起きたかどうか問題がありましたよね。最初に林官房長官が火災の火災報知器が鳴ったけれども、火災はすぐに消し止められた、みたいな、そういう言い方をしました。
 それに対して、鳩山元首相がX(旧ツィッタ)で火事があったけど、すぐ消し止めたみたいなこと書いたら、猛然と、周り中から非難されて、初めから、(火事なんて)起きてないのに嘘つきやがってそういうふうに言われましたが、それを引用して何が悪いかですそれが嘘だったのか。もともと林官房長官が火事が起きたといったんだから、それを引用して何が悪いんだというところです。
 実は、嘘じゃなかったんですよ。放電痕があるということは、やはり焼け焦げているわけです。これは電気火災です。だから一瞬であれ、電気火災はあったんです。幸い消えました。消えたのは、なぜかというと、放電時間がものすごく短かったからです。
 私たちも、たまにコンセント。触ったらビリッてくるようになりますよね。百ボルトでも、放電したことありますよね。まあ、あのいたずらで悪いんですが、子供の頃にですね、コンセントの間にニクロム線を一本通して、えいって、さしたことあるんですけれども、もちろんと一瞬にしてニクロム線が溶けました。ブレーカーが落ちて停電しました。怒られました。
 要は一瞬にして電気が流れると、高温になって、ニクロム線が溶けてしまうくらいに高温になるんですね。それは電流が流れるケーブルだって起きるんですから、空中を飛ぶ放電なはすごいことになる。だいたい当たってる相手側は一瞬ですから、5000度くらい、だから普通は2800度で溶けてしまう鉄に放電痕が残る、黒く焼け焦げた痕なんです。これが長時間続くとどうなるかというと、柏崎刈羽原発の3号機になるわけです。すなわち、この放電が一瞬で終わったので、炎上しませんでしたけれども、また炎上するものは何もない空間ですから、これがもしも運転中ならばこのオイルが高温になっています。

 高温というのは、例えば200度とかそういう高温になる。230度とかそういう高温になります。それでファンで冷やしているわけですね。高温になると油蒸発します。そうするとこんな空隙ができてしまって、蒸発した油があるとすれば、揮発性のすなわち石油系のですねえ、気体が貯まることになります。そんな時に高温で放電したらどうなりますか。バーンと爆発します。。実はそれが柏崎刈羽原発3号機で起きたことなんです。


○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
[ 動画先頭:1:16:54〜 ]
 ここの部分(赤色楕円マーク)で起きた放電というのは。実はアーク放電といいまして、原発において最も恐ろしい火災の原因の一つです。原発とはどうしても高圧の電流を使いますので、放電というのはいつでも起こりやすいですね。
 過去にケーブル火災とか、こういった放電火災を何度も起こしているんですが、顕著な例はやはり地震です。
 地震で起きたもう一つの例としては、女川原発があります。1号機ですが、この場合はタービン建屋にあった分電盤の中で、地震が起きた時の遮断機というのが動いたのですが、一瞬で電源を切れるようなスイッチなんですね。パチーンと切れるようになっている。
 高圧電流が流れたまま、大きな地震に襲われると危険ですから、一瞬にして、ブレーカーが落ちるように遮断機落ちて、電源を止めるという装置があるんです。
 遮断機が落ちるときに、高圧の電流が流れているため、最初接触していた接点が離れて、下に落ちるんですが、その間放電するんです。その放電が高温になっているうえ、さらに地震で揺さぶられて、その箱体が変形しまして、それでその放電が、あらぬところに飛んでしまって、発火したんですね。
 あらぬ所というのはケーブルなんです。ケーブルが難燃性のケーブルではなく、可燃性のケーブルをこのまま使っていたので、たちまちケーブルが炎上しました。
 さらにこの大きなスパークの時に、飛んだ先の金属が溶けてしまって、金属がとけると数千度の温度で溶けることになりますので、鉄なら2800度です。そういう高温の鉄が箱体の中に飛び散るわけです。
 そうすると、可燃性ケーブルがたちまち炎上します。その結果、分電盤の2台が炎上しました。それがアーク放電火災による女川原発の火災で、8時間燃え続けているんですね。
 こういったことが、実は地震のたびに起きている。女川のほかには、柏崎刈羽原発3号機で、今回志賀原発でも火災には大きな火災には至りませんでしたが、放電があったということが明らかになったということで、地震が起きればアーク放電火災が起きるものと考えざるを得ないような状況が出てきています。


○中越沖地震時の柏崎刈羽原発の変圧器火災
[ 動画先頭:1:19:23〜 ]
 こうやって炎上したので、私たち、固唾をのんで見守っていました。一体原発どうなるんだっていう、もしかして最初に福島第一よりも前にですね。柏崎刈羽原発でメルトダウンとかそういった過酷事故になっていたかもしれない。そうい現象だったんですね。


○炎上した変圧器(柏崎刈羽3号)
[ 動画先頭:1:19:40〜 ]
 炎上したのはこの位置なんですね。
 原子炉の建屋の間には結構な距離がありますけれども、これが炎上したということでやはり大きな損害を受けています。


○上下ずれにより折れた配管
[ 動画先頭:1:19:51〜 ]
 もっと寄っていくと、こういう風になっていて、真っ赤になっているのは、高温で焼かれたために真っ赤にさびているのですが、これ上下にずれています。
 上下にズレてしまったのは、地盤が建屋の地盤と、変圧器が乗っかっている地盤が、もともと、切り離されていたので、地盤変状、すなわち地殻変動を起こし、地震によってこちらが沈んでしまった、沈んでしまった方が下に向かっていくということで、上下ずれてしまい、この間を通っていた配管が折れました。折れた配管の中にはケーブルが走っていて、ケーブルが寸断されて、高温のオイルのアーク放電が発生し、6秒間続いた。その6秒間の間に油が一気に炎上した。


○志賀原発2号機 主変圧器構造概要図
[ 動画先頭:1:20:44〜 ]
 それがアーク放電火災の実際の姿ですが、志賀原発でも同じことが起きかけていたということは、非常に重要で、なにしろ、この原発、今の柏崎刈羽原発の場合は、地面の計測ですけれども、600ガル以上の揺れです。
 それに対して、この志賀原発は地下一階の計測ですが、約400ガルです。だから三分の二ぐらいの揺れしかないんです。
 震度でいうなら、震度5強、柏崎刈羽原発の場合は震度7、震度7で、アーク放電で爆発炎上しましたと、ところが志賀原発の場合は震度5強で、それに至る一定の方向に進んでいたということです。もしもこれが運転中だったら、高温の蒸気が発生していた可能性が高いですから、爆発炎上していたであろうと考えるならば、結局アーク放電火災というのは、震度5強でも起きる。ということになってしまいますので、志賀原発の欠陥ぶりがに明らかになるわけです。とてもじゃないですよ。こんな原発ありえないっていう私はそう思います。
 そういうことが起きてしまうような状況で、この原発は地震に遭遇していたということです。たまたま炎上しなかったのは、運転していなかったから、これ一点だけです。とんでもない。

 でこれが北陸電力と原発の危険な関係です。これは変圧器のように大量の油を使う場所だから目立ってこういうことが起きていますが、女川原発の場合、油が燃えたわけじゃなくてケーブルですから、やはり問題なのは発火物が何かではなくて、アーク放電、どこで発生するかどうかですね。
 実は同じように燃えるケーブルを使っているのは東海第二原発だったので、東海第二原発。こういうアーク放電が発生すれば、ケーブルは大炎上するというふうに考えた方がいいです。
 東海第二原発だって、もちろん、震度7の揺れに襲われる可能性は十分にあって、それを東海第二の日本原電は想定をしているですが、想定している割には、それによってアーク放電火災が起きるだとか、そういったことは一切言ってませんので、甘い想定になっている。


○柏崎刈羽原発 確率論的津波ハザード曲線の評価結果
[ 動画先頭:1:22:54〜 ]
※図は [東京電力 2016/09/30 柏崎刈羽原子力発電所における津波評価について] からの引用
 続いて、津波想定ですけれども、これが柏崎刈羽原発の津波想定。これは東電が作ったものですね。フラクタイル曲線というのは何かというと、これまあちょっとわかりにくいのかもしれませんが、要は様々な海の上に波源を置いて、それで実際に地震を起こして、津波を発生させるんですが、シミュレーションで、実際に地震を起こして、津波を発生させます。シュミレーション上で、これは、一本、一本の線なんです。この図だと、みんな重なっちゃってますが、一本一本の線です。
 波源をたくさん置いて、それで地震を次々と起こさせて、それによって発生する津波をシミュレーションして重ね書きしている。そうやって作っていった手法がこのグラフです。これによってどのくらいの津波が来るかの想定をしていたわけですね。


○1〜4号機側
[ 動画先頭:1:23:42〜 ]
 右側半分と左側半分というのはちょっと分かりにくい。ここが零です。ここが海面です。海面プラス25メートル。海面マイナス25メートル。海面マイナスは引き波だと考えてください。
 こちらは年数です。年超過確率と言っているのは、何万年に1回という例もあります。1万年に1回ならばこのライン。100万年に1回ならこのライン。このラインになると1億年に1回、そういうグラフになります。


○10万年に1回ならば約13m
[ 動画先頭:1:24:20〜 ]
 10万年に1回という確率ならば、13メートルという値がでてくる。この一番高いところですね、


○100万年に1回ならば約15.7m
[ 動画先頭:1:24:34〜 ]
 100万年に1回ならば、15.7メートルというラインになります。


○5〜7号機側
[ 動画先頭:1:24:40〜 ]
 さらに5号から7号機側を見ていくと、今回再稼働しようとしているのは、7号機ですから。


○5〜7号機側 10年に1回ならば15.7m級
[ 動画先頭:1:24:47〜 ]
5〜7号機側で、10万年に1回だと、15.7メートルいうことになります。


○5〜7号機側 100万年に1回ならば22m級の津波 対策すべき高さ
[ 動画先頭:1:24:58〜 ]
 さらにこの先、100万年に1回という値だとなんと22メートル級になる。これは東電の解析です。だいたい100万年に1回という高さの津波を想定するならば、22メートル級の津波を最大想定しなくちゃいけないはずです。


○平均を取っている
[ 動画先頭:1:25:20〜 ]
 ところが東電はそんな高い津波をとっていません。なぜならば、こうやってフラクタル曲線を元にして確率曲線を描いているんですが、95パーセンタイルから0.05パーセンタイルという意味。一番高いところは95パーセンタイルというのは、たくさんありすぎて、少し減らしましょう。


○5〜7号機側 100万年に1回ならば22m級の津波 対策をとるべき
[ 動画先頭:1:25:42〜 ]
 一番高いところからだいたい95、もしこれが100本あったとしたら、95本目のところを取るんです。それが95パーセント、100パーセントまで解くと、こういう風になるんだけども、100だと確率的に過大だと、もうちょっと現実的にするにはどうするかということで、統計的に95パーセント以内に収まるものならば、100と同じだということで、ここから5本引いて、このあたり95パーセントというのが95パーセント以上の数値です。


○平均を取っている
[ 動画先頭:1:26:30〜 ]
 東電は、なんとこれを当然全部まとめて平均化しました。全部足して平均化しちゃって、真ん中に平均線が、0.05なんて意味のない数字まで影響を与えちゃってるわけですね。
 ほとんど起きても意味がないような値で、それから最も厳しい値というものも全部足して真ん中の線、この値で来る津波の高さを想定しましょうということにしました。


○これも平均
[ 動画先頭:1:26:52〜 ]
 結果だけ、こんな風になっちゃった全体がこのラインです。これはもう平均です。いろんなところに波源を置いてやるんですけれども、これで行くならばだいたい100万年に1回というのは、12メートルぐらいになっちゃう。先ほど22メートルだったのが、なぜか12メートルになったのは、平均化すると真ん中に集まりますので、当たり前ですが、平均を取ってしまえば。どんな津波想定だって、みんな過小評価になる。


○これも平均 平均を取ると15.7mは1000万年に1回になる
[ 動画先頭:1:27:28〜 ]
 だから、あの平均取ると15.7メートルで1000万の1になっちゃうので、1000万の1というのは10のマイナス7乗、すなわち、一般に起こり得ると考えられる最も低い確率です。これまで、想定しているんだから、私たちは、とても起こりえないような津波まで想定しているんですよ。みたいな話になっちゃですね。
 嘘つけです。そんな数字、もともとなってない。


○平均をとっている 少なくとも95パーセントタイルで100万年に1回の値を採用すべき
[ 動画先頭:1:27:50〜 ]
 本来ならば95パーセントタイルで、100万分の1の値を採用するべきだというのが、私の意見です。そうすると95パーセントタイルだから、本来、柏崎刈羽原発は22メートル級の津波を想定しなくちゃいけないのに、12メートル級の津波しか想定していないので、過小評価だと、というふうに私は思います。


○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
[ 動画先頭:1:28:13〜 ]
 ここに防潮堤を作ってるんですけど、防潮堤の高さは海抜15メートルです。12メートルの津波高さに対して、3メートルの余裕があるので大丈夫でしょうということです。それが柏崎刈羽原発の津波対策の全て。
 あの防潮堤自体は10メートルと言っても、敷地の高さ自体が海抜5メートルあるので、それをプラスして15メートル、それが柏崎刈羽原発の津波対策のすべてです。
 だから、それだけ過小評価をしまくった挙句に、15メートル対策しかしてないので、いつの間にか、福島第一原発を実際に襲ってきた津波15.7メートルあたりが、そのくらい対策していれば、とりあえずいいや的な雰囲気が、日本中の原発に蔓延しているような気がします。
 だけど、みんな波源ちがうんですよ。なんで福島第一の最大津波が他の原発の最大値になるねん、という風に思います。
 ちなみにですが、女川地震は敷地が15メートルの高さにあり、であそこは20何メートルの津波想定になってるんですけど、それは自分の地盤が15メートルあるということで、その上に5メートルの防潮堤をたてて、20メートルになる。
 それから東海第二の場合は、20メートルの防潮堤を作りましたが、あれ自身は地盤の高さが10メートル弱。その上に15メートル級の防潮堤を建てるということで、これはこれで日本一大きいクラスの浜岡に次ぐくらい高くなるんですが、これは工事の欠陥が見つかって、大騒ぎになっています。
 それから浜岡原発は、あれは22メートル級の防潮堤を建てていたんですけれど、それでも足りないということが最近わかって、上に鉄板4メートル建てて補強しています。ていうか鉄板を4メートル足したって、何のつもりやねんって思いますけど。それが津波対策、もうあきれるしかない。やっぱり結局足りなかったら、上に継ぎ出したらいいやっていう感覚なんですよ。それが津波対策になるというから、自然を甘く見るのも、いい加減にしろというところです。
 結局そうやって東京電力の柏崎刈羽原発は過小評価につぐ過小評価で、15メートルの対策しかしていません。そんなところに津波が襲ってくるという想定です。けれども驚いたことに、この原発専用港もそうですけど、防潮堤があるこの場所なんですが、何の波高計もありません。記録を取る方法がないんです。今回恐ろしいことが明らかになりました。
 東電に聞いたんですよ、柏崎刈羽原発は何メートルの津波観測したんでしょうか。「分かりません」。なんでか。「波高計ありませんから、分かりません」つまり波高計をもっていない原発、何メートルの津波が来るのか?じゃあ何持ってるんですか?「カメラがある」と、なんのカメラかというと、「津波監視カメラ」、いや、こんな高い所にカメラ乗っけて、何を見てるんだということですね。
 実際に20メートル級の津波が襲って、水没しているような状況で、カメラを見ている場合じゃないでしょう。または先ほどの能登半島地震のような津波だと、カメラだと全然わからない。3メートルもない2メートルくらいの津波しか来てないはずですから、それだけだと、海面の変化なんかは見えない。
 要はそんな小さな津波を見たってしょうがないからほっとけってことですね。
 だけど、それは大きな間違いで、そもそもこの15メートルの津波対策に対して、波源がいろんな場所にあって、動いたらからどうなるのか、ということを観測した記録を蓄積することが必要なんです。
 そういったことを蓄積して初めて、この津波想定など安全対策は十分なのかということが後になって段々証明されていくわけです。結果的に。そういったことすら証明されていないことが大きな問題。


○使用済燃料運搬船「六栄丸」
[ 動画先頭:1:31:55〜 ]
※図は(ATOMICA原子力百科事典) からの引用
 津波というと、輸送船のことを、東電も国もですね、あんまり念頭に置いてないんですね。これは、使用済み燃料輸送船です。これらの船、この水面から下の高さがだいたい8メートルぐらいあります。喫水線の深さ8メートル、船体そのものは二重構造になっているので、仮に衝突しても簡単には沈みません的な触れ込みですね。
 これを今度、核燃料輸送するために、柏崎刈羽港に入れて、専用港に入れて、それから青森県のむつ市のRFSに運ぶ。そういう計画が立てられています。ところが間の悪いことに、先ほど言いました通り、能登半島沖で大きな地震、マグニチュード7ぐらいの地震、ということが地震学者から言われている。
 すなわち、タイミング的にはですね、最も大きな津波が発生し得る可能性のある海域になってしまいました。にもかかわらず、この船を入れて7月から9月の間に燃料輸送をやろうとしているんですね。
 船自体が津波で破壊されるということもそうですけれども、この使用済み燃料輸送船、使用済み燃料の容器が破損して、内容物が出れば、これはとんでもない災害になります。または海中に水没してしまえば、引き上げること自体はほとんど不可能であろうという風に思われます。


○輸送容器の安全性
[ 動画先頭:1:33:22〜 ]
※図は [電気事業連合会 輸送容器の安全性] からの引用
 これを説明しますと、これは実は規制委員会の規制基準ではありません。実はですね。核燃料輸送そのものは原子炉等規制法によって、規制基準が決められているわけではなく。国土交通省令によって輸送物の安全基準が定められているだけです。
 なので、国土交通省の管轄です。結局、新規制基準が2012年に決められましたが、その中にも書かれていません。結果的にその国土交通省令に基づく基準というのは、昔から何も変わっていないです。
 火災試験では、大体800度で30分耐えればいい。落下試験は9メートルから落ちた。一番起こり得るのは海没試験ですけど、だいたい200メートルの水中に沈めて1時間です。1時間ですよ。
 ということは、200メートルの水深に沈んで一時間で引き上げろということですね。無理です。そんなことができるんだったら、沈没船、みんな引き上げられています。そういう意味で言うならば、現実的にありえないレベルの試験しか想定をしていませんで、この輸送容器を使って普通に運ぶんですけれども、輸送容器の安全基準は昔から何も変わっていない。
 すなわちこの核燃料輸送に関しては、新規制基準の適用外と言いました。
 すなわち、新規制基準という基準が世界一厳しいと誰かが言った。基準ができたから、日本は原子力を安全に運営できるんだ、という触れ込みは少なくとも核燃料輸送に関しては、全く当てはまってない。最大の理由は、使用済み燃料のような危険なものですら、昔の基準のまま、震災前のまま運用されているだけです。現状何をやっているかというと、せいぜい新規制基準の中で言っているのは、船が漂流してですね、すなわち、使用済み燃料輸送船が漂流してですね、


○新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機
[ 動画先頭:1:35:47〜 ]
 こういった所に激突してくる、もちろん大津波になってですね。20メートル近い津波が来ればですね。浮き上がった船が激突します。そういった激突するような状況になれば、当然5000トンクラスの大型船ですから、ぶつかって防潮堤を壊してしまうかもしれないし、またもっと高い津波なら乗り越えてこの原発建屋にぶつかってくるかもしれない。そういうことを想定しなくちゃいけないんじゃないですかということに対して、新規制基準の中で言っているのは、そういったことが起こらない対策をとれと、言ってるわけなんですね。
 いや、緊急出航って出来るんだったら当然みんなします。


○使用済燃料運搬船「六栄丸」
[ 動画先頭:1:36:31〜 ]
 この船を港に入れて、専用港から、外洋に逃げ出すまでに何分かかるか、これは東京電力もシュミレーションしています。それによると19分。19分で津波がこないというのがあまりにも楽観ですね。
 能登半島地震で到達した時の津波の到達時間は20分。あの津波でギリギリです。さらに、実際、先ほど見たとおり断層、柏崎刈羽原発で発生しうる地震の津波想定、到達時刻は20分です。
 FB断層ですね、FB断層から津波は20分で到達する想定をしています。それで緊急出航に19分という数字が導き出されたと考えられます。1分多いから大丈夫です。
 実はもう一つ、問題がありまして、それは荷役作業をやっていないとき、この輸送船に積み荷を乗せたり下ろしたり、ということをやっている最中だと、当然クレーンで使用済み燃料の容器を中に入れている最中ならば、慌てて入れるわけにもいかないし、落っことしたら大変です。じゃあ、やめたってすぐに戻す時間がかかりますね。
 その時の想定では、最大というか緊急出航まで30分かかる。荷役を途中で止めて、それで緊急出航するのに30分ですから、間に合わない。間に合わないことは東電もさすがに算数なので、理解していて、そういう間に合わない状態に津波がやってきても大丈夫。
 なぜか、まず船は係留されている。港につないであるので、緊急出航できないんじゃなかったっけ?
 それから二番目、船に人が乗っている。どういう意味だかわかりません。流されても操縦できる。
 三番目に船が頑丈。船体が二重構造で、ぶつかってもそう簡単に壊れない。
 もうほとんど悪いけれども安全神話ですね。そんな大型船が漂流されたら、とても人間がコントロールできるものでもないし、また津波という普通の波ではないので、ものすごい勢いで、押してくるわけですよね。20ノットとかでね。そんなものに抗って、緊急出航などできるわけがありません。
 東日本大震災の時に緊急出航ができたのは、そもそも大津波警報が発令されてから、津波が到達するまでに最も近いところですら40分あったんです。それだけあれば小さな漁船ならもちろん、大型船だって逃げ出すことができました。
 でもその時も陸上に乗り上げた船がいっぱいいました。それらはどうして乗り上げたかというと、そもそも人が乗っていなかったのか、慌ててそこから乗り込んでさあ逃げろっていうのは無理なんですよ。
 だからしょうがないから諦めてみんな陸上に逃げたんです。使用済み燃料輸送船でも同じです。人が乗ってるからって、緊急出航して、沖合に出るためには十分な時間がなければ不可能なんです。
 そんな20分しか時間がない中で、緊急出航が出来るわけでもないし、ましてや津波が来るのに10分以下というような近距離の地震だったら、アウトです。そうなった時に空船ならば、まだ防潮堤は頑丈だからとか言って、激突しても原発が破壊されることはありませんと言いのがれることができるかもしれないけれども、使用済み燃料積んだ状態だったら、もうどうしようもないですね。そのまま船は沈むしかないでしょう。船体が頑丈だから沈みませんでしたは、まさに安全神話です。
 船が何で沈まないのか不沈艦だからって言ってた戦時中と同じです。そういうレベルの話されてもしょうがないので、沈んだ時どうするか考えろという風に私は言っています。
 規制基準というのは、そういうものですね。新規制基準というのは、あらゆる対策をとったけれども、最終的にそれは全部突破されて、格納容器が破壊されても、それでも大量放射性物質の放出をある程度抑制できる装置を設けなさい。というのが新規制基準の考え方だから。
 だから、特重まで作ったんですね。何千億円もかけて、あんなもの。
 そういう考え方からすれば、もしも、この使用済み燃料輸送船に当てはめるならば、津波によって船体が引き裂かれて沈没しました。というような状況になってもなお、使用済み燃料容器を回収できる方法を考える。それが新規制基準の本来の考え方です。
 一回失われても、ただちに緊急回収できるとか、あるいは容器自体がそれでも壊れないように従来のものではない、はるかに堅牢なものにするとか、そしたら多分潜水艦くらい頑丈にする。そういうようなレベルでもしない限り、今の状態で安全だとは、とてもじゃないですけどいえない。新規制基準の法令の考え方からすれば、これは明らかに失格です。


○輸送容器の安全性
[ 動画先頭:1:41:43〜 ]
 この程度の強度では。とてもじゃないですけど、昔の原発の安全対策と同じです。起こらないから安全と言っているのと同じなんです。
 佐渡ヶ島の近海には1000メートルを超えるような深い溝があります。そこにまで引きずり込まれてしまえば、2000メートルの深さの深海まで使用済み燃料が沈んでしまいます。まあそうなった方が安全だという人もいますけれども、そうなって破壊されなければいいかもしれないが、壊れたらどうするんですか、そしたら日本海漁業を壊滅します。


○むつ中間貯蔵施設 26年度までに8基搬入(デーリー東北 2024/03/27)
[ 動画先頭:1:42:21〜 ]
 これはデーリー東北、青森の新聞です。26年度までに8基搬入、東電から、柏崎からこの使用済み燃料容器を8基、26年度に搬送する計画が現在たてられました。これはRFSというリサイクル燃料貯蔵という会社があるんですけれども、そこが、操業するということで、その後の計画、むつ中間貯蔵施設ですね。


○むつ中間貯蔵7から9月操業 県が安全協定議論へ(デーリー東北 2024/03/27)
[ 動画先頭:1:42:50〜 ]
 これを最初の輸送は7月から9月まで。これが東電から運ぶ第一号になります。こういう状況です。


○むつ中間貯蔵 操業への工程(デーリー東北 2024/03/27)
[ 動画先頭:1:42:57〜 ]
 RFSという、むつ市にあるリサイクル燃料貯蔵という会社なんですが、これは東電と日本原燃が合弁で作った会社です。80パーセント東電、20パーセント日本原燃出資ですから、完全子会社に近いです。そもそも日本原燃だって東電の子会社です。
 ここが最大3000トンの使用済み燃料を貯蔵する施設を作りました。で施設そのものは完成しています。今必要な工程は何かというと、これもあの使用前検査なんですね。使用前検査をするには、まあ容器がないとできない。放射線量とか測定しなくちゃいけないので本物が入ってなくてはいけない。模擬容器ではダメなんですね。放射線量とか測定しないといけないので。
 なので、本物の燃料が入った貯蔵容器を入れて建物の健全性とか放射線遮蔽、そういった空調系とかそういった検査全て終わって、運用開始になります。だから今の段階ですと完成はしていますが運用はできていない。そういう完工はしていないという状況がRFSの現在です。
 実はこれから行われるのは、安全対策工事が終わった後に、4月以降にこの安全協定を作るための様々な会議体がむつ市と青森県の中で作られます。そして県民説明会があって、それで安全協定が結ばれた後に、7月から9月の間に柏崎からキャスク一機を運ぶ、そういうことになっています。それで最終の検査が終わり、操業開始。
 そのための準備として柏崎からどうしても燃料体を運ばなくてはいけません。間の悪いことに、今現在、能登半島地震起きたのに、それからだいたい2年ぐらいの間は先ほど言ったNT2とNT3とか、割れ残りの断層が、活動する可能性が高いと言われている時期になります。
 その間に運ぼうと言ってるんですから、間の悪いというのは、こういうことです。まあ、東電もそんな時期を狙ってやろうとしたわけではなくて、たまたまそうなってしまったんですが、ならばもう延期するしかないこういう状況だろうと思うのですが、延期する気配はない。


○青森県の原発施設
[ 動画先頭:1:45:20〜 ]
 青森県には六ケ所村も含めてたくさんの原発施設がありますが、このむつ市の貯蔵施設というのは、六ケ所村に行く手前のところですね、中間貯蔵ですから、本当は再処理工場に運びたいんだけれども、再処理工場の燃料プールも満杯近いので、入れる余地がない。柏崎刈羽も満杯に近いので、ここから運び出さないと、再稼働しても次の燃料を入れられないということになりますから、なんとか燃料プールを空けたい。
 そういう事情は実は同じなので、柏崎刈羽原発からむつ市のこの中間貯蔵施設に燃料を運んで、一旦燃料輸送を行いたい。3000トンも入りますから、かなりいっぱい入れられる。ついでに言うと、日本原電の東海第二、それから敦賀2号からも運ぶことを想定しています。
 それに割り込もうとしたのが関西電力ですね。


○東京電力が知事に使用済み核燃料運搬計画 「遅くとも年度内に」(NHK 2023/12/28)
[ 動画先頭:1:46:20〜 ]
 で、東電がこういう風にですね。去年12月28日に燃料輸送の禁止措置、すなわち区分4から1になった途端に、もうこんな話になっています。すぐに運ぶんじゃない、前のめりです。


○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)
[ 動画先頭:1:46:41〜 ]
 これがその施設です。ここは換気口。ここに貯蔵施設があります。


○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)(断面図)
[ 動画先頭:1:46:50〜 ]
 断面でみるとこんなかんじです。燃料貯蔵容器がここに並んでいます。ここに移送装置があります。


○リサイクル燃料貯蔵センター(RFS)
[ 動画先頭:1:47:00〜 ]
 東電と原電の共同出資で、50年間貯蔵する。この容器が果たして50年を持つのかという話はあります。


○むつ関根浜港
[ 動画先頭:1:47:14〜 ]
 で、これが実は、むつ関根浜港、ここに船を入れるんですけど、実はここも、この海もですね、活断層があるし、津波が来る可能性はあるしという曰く付きの海です。
 青森県の津軽半島側には渡島大島(おしまおおしま)という大きな島があるんですが、その島自身が崩壊するような大地震(1741)が起きたことが過去にあります。さらにその沖、北海道南西沖地震、大きな地震を起こした断層が、さらにこの沖合下北半島の沖合にも活断層有力な活断層がありますし、さらに。反対側の。太平洋側には、千島列島からの沖合からつながる千島海溝があります。ここにも活断層がある。
 ようはこの港って活断層に囲まれているわけです。どこの断層で地震が起きても相当程度高い津波がやってきますが、例えばこの中にあるRFS。標高が50メートルくらいのところにあるので、ここは津波がきても大丈夫だと豪語している。
 施設は大丈夫でも、港は海面にあるわけですから、ここを襲ってきた津波が20メートルもあれば、十分使用済み燃料輸送船を叩き潰すことができます。陸上に乗り上げるかもしれないし、防潮堤が激突し、真っ二つに割れるかもしれない、そういうことになります。


○むつ関根浜港の岸壁にあるクレーン
[ 動画先頭:1:48:47〜 ]
 これがむつ関根浜にある船から使用済み燃料を引き上げる用のクレーンです。


○ガントリークレーン
[ 動画先頭:1:48:52〜 ]
 使用済み燃料を運ぶクレーンはこんな感じです。小名浜港?にあるガントリークレーンです。これで使用済み燃料を上げ下ろしします。柱が4本たっています。真ん中で釣り上げるんです。これならば地震の揺れであるとか、あるいは地盤変状でも支えられるかもしれません。


○むつ関根浜港の岸壁にあるクレーン
[ 動画先頭:1:49:22〜 ]
 しかし、デリック型クレーンです。これ一本しかありません。この先にこのステーがあって、ここで吊り上げます。だから、大きな揺れが襲ってきたときに、重たいものを吊っていたときに、折れて落下します。さらに大きな津波に耐えられるとも思えない。そういうような構造のクレーンしか、関根浜港にはございません。
 そういうものじゃなくて、ちゃんとしたガントリークレーン作るのかと思ったら、作りませんでした。そんな高いものを作ってられないわけです。作る場所もないし。もともとここにあるクレーンとは、昔、原子力船むつという船があった、海洋研究開発機構の船が母港にしてたところなんですが、だからこの後ろの方にはですね。原子力船むつだった時代の原子炉が展示されています。
 そういうものを引き上げたり下ろしたりする時に使っていたクレーンであって、そもそも使用済み燃料のキャスクを引き上げるような構造、設計をしているわけではない。もちろん耐荷重量が耐えられるということは計算していると言っています。
 耐荷重量の問題ではなくて、安定性からして、こんなゆるいことを大きな地震津波に襲われるかもしれない港に立てておいて、これで釣り上げるんだって、どんな感覚でいっているのかと思います。


○ガントリークレーン
[ 動画先頭:1:50:46〜 ]
 本当ならこういったクレーンがあってしかるべきだと思うのだけれども、こういう構造を作るには、例えば敷地が狭すぎるし、船をつける構造が、こんな構造になっていないので、作り変えない限り無理です。
 そういうことで、莫大な費用がかかるので止めてしまったというのが、真相だろうと思います。


○輸送兼貯蔵用キャスク
[ 動画先頭:1:51:04〜 ]
 容器自体はこんな感じで、普通の使用済み燃料輸送容器よりも、外側の構造は頑丈になっているようです。二重に、外側に、閉じ込め機構があって、というようなことで、しかし、こういったことも、程度問題でして、二重にしたから安全性が高まるか。高まりはしますが、例えば、水没した時の強度が上がるとか、そういうことでもありません。


○RFS内部
[ 動画先頭:1:51:29〜 ]
 これがRFSの内部です。ガランとしていますが、ここに燃料体が入ります。キャスクが並ぶということです。


○訓練用模擬キャスク
[ 動画先頭:1:51:36〜 ]
 これが訓練用模擬キャスクです。要はこれ中身入ってませんので、すぐそこに人が立っています。こういったようなものはずらっと並ぶということで、模型としておいてあります。
 形は多分似てるんでしょうけれども、本来の放射性物質が入ってないので、従って、これでは使用前検査ができません。
 使用済み燃料を最長で50年保管すると言ってるんですけれども、50年間で再処理工場が処理できなかったものはどうするんですか問題がある。そうすると本来RFSというか、青森県と東電の間の約束では50年経っても再処理の見通しのないものは、発生地にもどす。発生地、柏崎刈羽原発、戻す。50年後に原発が果たしてあるでしょうか。
 柏崎刈羽原発が存在しなければ、戻す場所はないですよね。そうした場合、しょうがないから似たところ、東電のどこかの原発に戻すのかしりませんが、いわゆる50年後にどうするかということは、ちゃんと議論されていないと思います。発生地に戻すと簡単に言うけれども、発生地に原発がないことだってあり得るじゃないですか。もう柏崎刈羽原発だって、6,7号機が再稼働しても、残りは廃炉になる可能性が高いですね。
 そうすると真っ先に1〜5号機が解体されますよね。そうなったときに、もう既に使用済み燃料プールが全くなくなるわけですから、貯蔵する場所がありません。
 そうした時に東電が柏崎の原発跡地に、乾式貯蔵施設を作るといったら話は別です。そうした場合、そもそもこのRFSになんお意味があるのかとなりますよね。すなわちRFSの施設というのは非常に変な構造になっている。
 原発で貯蔵できるのであればにいらない。原発に貯蔵できないので、わざわざそんなものを作って持ってくる。そこに使用済み燃料を集めてしまって、かえって危険にしているんですけれども、密集させているわけですね。
 でも再処理が動かなければ、これはずっとそこに取りのこされる。原発が廃炉になってしまったら、どこ行けばいいでしょう。
 あらゆるところで、議論がちゃんと行われていないままに、勝手にこういったものばかりがバンバン作られているという現状があります。


○原子燃料サイクル
[ 動画先頭:1:54:00〜 ]
※図は [東京電力 原子燃料サイクルについて] からの引用
 これが今の核燃料サイクル。そうですね。昔はなかった中間貯蔵施設が書いてあるんですね。こうやって原発から中間貯蔵に一回吐き出します。で使用済み燃料は再処理工場に本来持っていくんだけれども、中間的に置いておくところがないと、こっちがいっぱいになって運転できなくなるから。
 そもそも原発の中に貯蔵施設を設けるという動きが最近始まりましたので、それができるのであれば、これ(中間貯蔵施設)自体がいらないのではないの、


○宮下市長は関電などの使用済み核燃料を受け入れることについて「可能性はゼロ」と明言(東京新聞 2021/04/27)
[ 動画先頭:1:54:38〜 ]
 こういったことの議論の混乱で起きているのが関西電力。
 ちょっと話は東電から外れますが、東電も強く関係するので述べておきますと、関西電力も福井県内に3400トンの燃料を保管していて、美浜3号、9年、大飯3,4で8年、高浜1から4号に至っては5年で一杯になります。
 いっぱいになったら動かせなくなるので、どこかに持ってきたいわけですが、先ほど言いました通り、再処理工場が5年程度で、プールが開くような状況には全くありませんから、そうするとむつ市のRFSは3000トンの余裕があるので、こっちに持っていきたいなと思ったんですね。
 この当時は2021年操業と書いてありますが、これが2024年操業に変わっただけなので、そうすると、関電の原発から出る使用済み燃料で搬出先の選択肢の一つとして、中間貯蔵施設のある青森県むつ市に話を持っていこうとしたら、当時のむつ市長の宮下宗一郎、今は県知事に、拒絶されました。
 そこで、東京新聞が2021年の4月26日オンラインでインタビューをしました。宮下市長(2021年当時)、関電などの使用済み燃料を受け入れることについて、可能性はゼロだと明言し、協議の余地はない。この人が今青森県知事ですから、ますます協議の余地はないですよね。
 だからあの関電がむつ市の中間貯蔵に、なんとか燃料体を運びたいといっても、まあほとんど今の市長、県知事がいる限りは無理でしょうねという状況になっています。


○関電と中国電の使用済み核燃料の貯蔵状況(西日本新聞 2023/08/03)
[ 動画先頭:1:56:24〜 ]
 ていうので、これだけ溜まりに溜まった使用済み燃料の貯蔵状況。これらが満杯になってしまうのが、時間の問題となっているわけです。そこで、これは。容量から見るとどのくらいかというのをこれは示しています。いっぱいに近いですね。大飯原発はほとんどいっぱいに近い。


○使用済み核燃料「中間貯蔵施設」 山口 上関町に建設可能か調査へ(NHK 2023/08/01)
[ 動画先頭:1:56:42〜 ]
※写真は [NHK 2023/08/01 「中間貯蔵施設」山口 上関町に建設可能か調査へ 中国電力] からの引用
 原発の予定地のある上関で、中間貯蔵施設の立地可能性調査を行うということを中国電力が言いました。関電ではなく。それに関電も乗らないか、


○上関原発建設予定地
[ 動画先頭:1:57:03〜 ]
 で結局、上関はここにあります。あの対岸の祝島が中心となって、上関原発反対運動が40年続けられているわけですが、その原発予定地の近くに、裏山に中間貯蔵施設を立地しようとしたわけです。


○関西電力の中間貯蔵施設と原発を巡る動き
[ 動画先頭:1:57:25〜 ]
※図は [東京新聞 2023/08/03 「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案] からの引用
 それに至る様々な動きがあるわけですが、最後のところで高浜が1から4号機まで動き出したということで、ますます使用済み燃料の発生量が増えちゃったんですね。そのため、背に腹は代えられない関電に対して、中国電力は水を向けて中間貯蔵施設と一緒に作らないかいうわけです。それで、上関原発予定地。これは中国電力の予定地ですから、その予定地の周辺で地盤調査を始めることになりました。


○貯蔵プール容量に占める使用済み核燃料の割合(%)(2023年3月末時点)
[ 動画先頭:1:57:54〜 ]
 ちなみに日本の原発の状況ですが、まず六カ所再処理工場がもうほとんど貯蔵プールがいっぱいいっぱいです。柏崎刈羽原発も8割ぐらい入ってますから、いっぱいに近い状態です。それから東海第二もいっぱいに近い状況ですね。ここからとここからは、すぐにむつ市に運びたいと、原燃も東電も思っているのでしょう。
 さらに大飯とか高浜など逼迫している関電の原発からも運びたいと思ったけど、拒絶されたのでこっちだ。という動きが進んでいます。
 上関町に明日できるわけではありません、当然反対運動もありますから、まあできたとしても、10年後とかね、そういう風になりかねないということになって、結局背に腹を変えられない関電は何を始めたかというと、敷地内貯蔵を計画しています。

 敷地内貯蔵は、関電大飯原発、高浜原発内に乾式貯蔵のシステムを作る、仕組みを作る。それを今模索をしていて、その工事に着工しようということで、実は福井県と話し合いをして、実は福井県は使用済み燃料を県外に持ち出せと言っている。県外に持ち出さない限り老朽原発、高浜原発再稼働を認めないと言っていたんですね。
 ところが、この上関町も中間貯蔵施設立地計画を表に出した関電は、そこに最終的に輸送するのであるから、結果的に福井県外に出すことになります。だけどもそれまで時間的に間に合いませんので。中間貯蔵の手前貯蔵、二つでやります。だからこれを中間貯蔵施設とは呼んでいません。単に燃料貯蔵施設と呼んで許可を取ろうとしています。
 まあ、とにかくね、使用済み燃料をどうするのか問題が、今や原発再稼働したところでは大問題になっていて、結局どこへ押し付けようかといっても、そう簡単に押し付けられる場所がないので、最初はむつ市に出来たRFSにもっていこうとした。
 けれども、嫌だと断られたんで、中国電力の計画に乗っかろうというわけで、上関だと言ったんだけど、それにしたって、すぐできるわけでもないし、もう逼迫が目の前に迫ってきて、関電としては、これに加えてフランスに運ぶと言い出した。
 フランスに運ぶのと、敷地内に乾式貯蔵をするという二つの方針で福井県に対してなんとか再稼働を継続させろという要求をしているということです。福井県知事、最低でも県外が、ここでは出ていて、最低でも県外に持っていけばいい、ということで、それがフランスだろうが、上関町だろうが、どっちでもいいから、とにかく持ち出すっていうことが前提として、この中間貯蔵の手前貯蔵を認めるかどうかで紛糾するんだろうと思います。要するにこういった核のゴミの押し付けあいなんです。
 それが嫌だから原発をやめようという話をしている時に、またしても、こういうものが、これから10数年間の間に、今度は関西電力を中心とした議論として湧き上がっていくという怪しい状況になっている。
 ちょっと最後は別の話になりましたが、柏崎刈羽原発の再稼働をいかにして止めるかということの足しになるような話として、現在の使用済み燃料の状況を説明いたしました。以上で今日はおしまいです。

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