[1995_02_22_07]平成七年兵庫県南部地震が残した教訓 PAGE 268-269(検証・危険列島 新版 (生越忠)1995年2月22日)
一、今回の地震は、世界最大級の内陸直下型地震だったのか
 地震は、その規模(M)によって、大地震( 7<=M )、中地震( 5<=M<7 )、小地震( 3<=M<5 )、微小地震( 1<=M<3 )および極微小地震( M<1 )に分類されるので、今回のM=7.2の地震は、中地震に近い大地震となる。そして、Mが7.2を越える内陸直下型地震は、日本でも外国でも、これまでに数多く起こっているから、今回の地震が世界最大級の内陸直下型地震だったというのは明らかに誤っている。
 また、今回の地震についての報道のなかで、この地震による被害の大きさから、この地震を巨大地震と報じている向きもあるが、これもまったくの誤りである。それは「巨大地震」とは地震の大きさをあらわす正式の学術用語になっていないものの、おおむねM=7.8以上(人によってはM=7.6以上)の地震をいうものであり、被害規模の大きな地震をいうものではないからである。
 ちなみに、日本における最大の直下地震は、1891年(明治24年)10月28日の濃尾地震(M=8.0)であるが、この地震による死者は、岐阜・愛知両県を中心に、合計7273人に達し、今回の地震による死者の約1.5倍にもなったのである。

二、「今回の地震で、気象庁初の震度階Zが記録された」とは、どういう意味なのか
 ところで、Zという震度階は、1948年(昭和23年)6月28日の福井地震(M=7・1)の際の被害規模があまりにも大きかったことから、この地震の発生年の翌年の1949年に、気象庁によって設定されたもので、従前のYのうち、家屋の倒壊が30%以下の場合はY、30%以上に及んだ場合はZとされた。しかし、このZは、1949年以前の地震については、福井地震を含め、さかのぼって適用しないこととされたため、今回の地震に際して、初の適用となったものである。
KEY_WORD:濃尾地震_:NOUBI_:FUKUI_:KANTOUDAISHINSAI_:KUSHIRO_:HANSHIN_: