[2024_01_10_16]第57回原子力規制委員会_令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応_議事録(原子力規制委員会2024年1月10日)
 
参照元
第57回原子力規制委員会_令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応_議事録

 04:00
 令和5年度原子力規制委員会

 第57回会議議事録

 令和6年1月10日(水)

 原子力規制委員会

 令和5年度 原子力規制委員会 第57回会議

 令和6年1月10日

 10:30〜12:20

 原子力規制委員会庁舎 会議室A

 議事次第
 議題1:令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応
 議題2:原子力発電所の新規制基準適合性審査等の状況
 議題3:第62回技術情報検討会の結果概要


○山中委員長
 それでは、これより第57回原子力規制委員会を始めます。
 最初の議題は「令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応」です。
 説明は、緊急事案対策室の杉本室長、事故対処室の山口室長、監視情報課の今井課長、地震・津波審査部門の内藤管理官からお願いいたします。

○杉本長官官房緊急事案対策室長
 緊急事案対策室長の杉本でございます。
 それでは、資料1に基づいて御説明いたします。
 「1.趣旨」ですけれども、今回の令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響と対応を報告するものでございます。
 「2.経緯等」でございますけれども、能登半島地震では、今年の元日、そして、6日の土曜日に原子力事業所の所在市町村である石川県の志賀町において震度6弱以上が観測されて、所在市町村で6弱以上が観測されたら自動的に警戒事態になるということで、原子力規制委員会・内閣府原子力事故合同警戒本部というものを設置しました。
 メインは志賀発電所なのですけれども、そのほか、揺れの大きかった柏崎刈羽原子力発電所や関西電力の若狭湾一帯にある原子力発電所、そういったものからの情報収集、あるいは関係機関への情報共有、対外的な情報発信といった対応を行っておりました。
 志賀原子力発電所に対する警戒本部の主な対応を、以下、クロノロのように記載してございます。
 元日ですけれども、当日の16時10分に石川県能登地方を震源とする地震が発生して、志賀町で震度7を観測しております。
 16時19分に志賀原子力発電所に係る合同警戒本部を設置いたしました。
 その後、同22分に石川県能登において大津波警報が気象庁から発表された。
 16時26分には、事故合同現地警戒本部を設置しております。
 その後、情報収集を進めた結果、志賀原子力発電所に関して、原子炉の止める・冷やす・閉じ込めるの機能、そして、使用済燃料の冷却の状態には異常がないといったことを確認できました。
 20時30分には、大津波警報が津波警報に切り替えられたということで、その後、止める・冷やす・閉じ込める機能の異常の続報もなかったことから、21時50分には合同警戒本部を廃止したというのが経緯でございます。
 その後、先週の6日土曜日の深夜でしたけれども、志賀町で震度6弱という地震が発生しております。
 23時20分に発生した後、23時41分に警戒本部を設置いたしました。
 23時50分には現地の警戒本部を設置しておりましたが、志賀発電所については震度2程度だったと聞いておりまして、特段の異常情報がなかったということで、明けて午前0時9分に志賀発電所の止める・冷やす・閉じ込める機能、そして、使用済燃料の冷却の状態に異常がないことが確認できたということで、同20分には合同警戒本部を廃止したという経緯がございます。
 以上が大体の経緯ではありますが、今回、特に志賀原子力発電所については揺れも大きかったということで、発電所への影響もございました。それについて、これからまた概略を御説明したいと思います。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 事故対処室長の山口でございます。
 それでは、3.以降で、プラントで確認されました主な影響について御説明させていただきます。
 まず志賀原子力発電所でございますけれども、止める・冷やす・閉じ込めるといった安全に関わる機能につきましては、1号機、2号機とも停止中でございます。
 冷やすというところにつきましては、使用済燃料プールにおきまして、地震直後、スロッシングによる溢水が確認されてございます。しかしながら、プールの管理区域外への漏えいやプールの水位、冷却機能といったものに対しての影響はございませんでした。
 閉じ込めるという観点では、排気筒モニタ、モニタリングポスト等の値に異常はございません。
 それから、電源関係ですけれども、1号機につきましては、地震発生時に外部電源を志賀原子力線、275kVで受電をしてございましたが、受電をしておりました起動用変圧器におきまして油の漏えいがございましたことから、事業者は手動で予備の赤住線、66kVに切り替えを行ってございまして、現在まで受電を継続してございます。
 2号機につきましては、地震当時、外部電源、志賀中能登線、500kVから受電をしてございましたけれども、受電をしておりました主変圧器におきまして、油の漏えいがございました。こちらは警報、インターロックの動作によりまして、志賀原子力線、予備の275kVに自動で切り替わってございまして、現在までこの受電が継続してございます。
 これらの電源のほか、1号機、2号機とも非常用ディーゼル発電機、緊急時用に用意をしている予備の変圧器へのタイライン、GTG(ガスタービン発電機)といった緊急時の電源、大容量電源車、こういったものに対しての点検も行って、異常がないということを確認してございます。
 なお、北陸電力では、使用済燃料プールの水温につきまして、電源が失われた後におきましても、保安規定で管理上の上限としております65度へ到達するまでの時間として、1号機では8日間、2号機では14日間の時間を要すると評価していることを確認してございます。
 その他といたしまして、今、申し上げました変圧器の油漏れでございますけれども、1号機におきましては、漏れた絶縁油は堰内にとどまっておりまして、全量を回収済みでございます。
 2号機におきましても、全量が堰内に収まっており、回収済みでございます。
 しかしながら、詳細点検におきまして、2号機の主変圧器周辺の側溝から道路等に流れ出て、発電所前面の海面に油膜が確認されてございます。こちらの油膜については、中和剤により処理をされてございますけれども、この油につきましては、2号機変圧器が油漏れ直後に自動噴霧によりまして消火と申しますか、水が噴霧された。これに伴って油と一緒に堰外に飛散したものが、雨水等によって流れ出たものと推測をしているところでございます。
 さらに主変圧器につきましては、当初、火災と私どもも報告を受けてございましたけれども、その後、現場の調査におきまして、火災ではなかったということの確認がなされ、そのように報告を受けているところでございます。
 その他のAといたしまして、取水槽内での海水面の上昇という事案でございます。
 後ろに面談等で確認しました資料を別紙1としてお付けしていますが、22ページを御覧いただけますでしょうか。
 通しの22ページに、海から発電所の原子炉建屋までの断面のポンチ絵を載せてございます。海水ポンプ、海水を引き込む取水路の奥に取水槽がございます。こちらで通常の海面水位から、地震直後に約3mの水位上昇が確認されたということでございます。
 本文にお戻りいただきまして、Bといたしまして、発電所構内のその他の状況でございます。
 港にございます物揚場の地面、コンクリートの舗装部分に沈下が確認されてございます。
 また、1号機放水槽、補機冷却排水連絡槽防潮壁、こういったものを防護するための防潮壁、これは自主で整備されたものでございますけれども、この基礎に沈下が認められてございます。
 それから、高圧電源車、これは1F(東京電力福島第一原子力発電所)事故後の緊急安全対策として、発電所内に整備されたものでございますけれども、このアクセスルートの途中に段差が確認されたということでございます。こちらにつきましても、電源車の運用に影響を与えるものではないということでございます。
 26ページにその写真をお入れしています。3枚ほど、面談で確認した資料を抜粋させていただいています。若干地面にひび割れがございまして、アクセスルートの途中でございますけれども、高圧発電車の運用には影響がない範囲であったことから、影響はないということでございます。
 今後の対応でございますけれども、1号機、2号機の変圧器からの油漏れにつきましては、現在、北陸電力で原因の調査、今後の復旧に向けた検討等が行われているところでございます。
 1枚めくりいただきまして、非常用ディーゼル発電機、外部の受電が途絶えた際の電源でございますけれども、こちらの燃料につきましては、現状7日間分は保有されてございますけれども、更にこれを超えて使用が可能なように、現在、準備をしているところでございます。
 それから、現在、1号機の外部電源として使われております赤住線におきまして、1月5日に鉄塔が設置されておりますジャンパ線や碍子等に損傷が確認されてございまして、この点検のため、今後このラインを停止して、修理といった対応を取ると聞いてございます。
 45ページにこの辺の写真をお入れしてございます。45ページ、志賀原子力発電所、一番下の四角の点線、左側の緑色のライン、赤住線とございます。66kVでございますが、左側の写真にございますとおり、碍子の一部に損傷、下のジャンパ線、こちらの線はより線のように素線をよったものでございますけれども、30本よったもののうち、5本ほどが断線している状況が確認されてございます。現状、通電上の問題はないと聞いてございます。
 志賀原子力発電所につきましては、以上でございます。
 続きまして、柏崎刈羽原子力発電所でございます。
 こちらも止める・冷やす・閉じ込めるといった機能につきましては、1号機から7号機まで停止中ございます。
 冷やすという観点からは、2号機から4号機、6号機、7号機におきまして、使用済燃料プールからスロッシングによる溢水が発生してございます。管理区域外への漏えいはなく、プールの水位、冷却機能といったものに影響はございませんでした。
 また、排気筒モニタ、モニタリングポスト等の値に異常はございません。
 発電所の主な影響につきましては、以上でございます。

○内藤原子力規制部審査グループ安全規制管理官(地震・津波審査担当)
 地震・津波審査部門の内藤です。
 引き続きまして、資料の通し番号4ページの原子力施設で観測された地震動について、御説明をさせていただきます。
 志賀と柏崎、別々にデータを出していただきました。
 別紙2という形で、通しページの46ページに、これは志賀ですけれども、原子炉建屋の基礎の下のところでどのぐらいの揺れがあったのかということと、志賀についてはまだ新規制基準の適合をやっておりませんので、現状施設としては、耐震バックチェックのときに評価をした地震動に基づいて耐震設計がされているのですけれども、それが基礎下のところでどういう加速度を考慮した設計をしているのかということの比較を出していただいております。
 志賀につきましては、北陸電力からの報告によりますと、46ページのところでは、観測された地震動による応答加速度というのが実線、設計上考慮している加速度が破線で書かれておりますけれども、1号機、2号機とも設計上考慮している加速度を僅かに上回る周期帯が一部周期帯で確認されたという報告を受けております。
 ただし、当該周期帯に固有周期を持つ安全上重要な施設、いわゆる止める・冷やす・閉じ込めるの機能を有しているものですけれども、こういった施設はないということで、耐震健全性が確保されているものと考えるという報告を受けているところです。
 具体的にどこの周期帯でどのくらい超えたのかということについては、デジタル値を報告いただいていまして、1号機でいいますと、水平方向のEW、東西方向ですけれども、このように0.5秒を挟んだところで二つほど山が出ていて、点線に近づいておりますけれども、0.5秒から下側、具体的には0.47秒になりますけれども、1号機では918Galで耐震設計をしているところ、957Galという形で僅かに上回っている。
 2号機ですけれども、同じ0.47秒のところで、846Galで設計上の考慮をしているところが、871Galという形での評価になっているという報告を受けております。
 次は柏崎刈羽でございますが、通しページの47ページから、7号機、6号機、1号機、2号機、3号機、4号機、5号機のものをつけております。
 こちらは基礎の上、具体的に赤い線で書いてある数値は、リアクタービルの最下層についている地震計の記録による加速度になります。それに対して、そのフロアで設計上考慮している加速度は実線で書いてございます。
 7号機、6号機については、新規制基準の適合でやっているSs-1に対しての数値、1号機から5号機につきましては、現状の施設が耐震バックチェックのときに評価をした地震動により耐震設計をしているということで、耐震バックチェックのときの加速度との比較という形で書いてございます。
 東電からの報告ですけれども、これらを見ていただければ分かりますけれども、赤い観測された地震動の加速度は、全ての周期帯において設計上考慮している加速度を下回っているということが確認されているということで、こちらについても健全性に影響があるような地震レベルではないという報告を受けているところでございます。
 地震関係の話は以上です。

○今井長官官房放射線防護グループ監視情報課長
 続きまして、監視情報課の今井でございます。
 「5.原子力施設周辺のモニタリングポストの状況」について御説明いたします。
 志賀原子力発電所周辺のモニタリングポストは116局ございますけれども、一時期、主に発電所北側の15q以遠、15qより離れた場所の18局が欠測しておりました。その後、徐々に欠測箇所は減少いたしまして、昨日、1月9日18時時点で欠測しているポストは7局でございまして、そのうち3局においては、可搬型モニタリングポストが設置済みでございます。
 すみません、資料はリバイスが間に合っておりませんが、今朝方、9時半の時点で欠測ポストは7局でございまして、そのうち5局においては可搬型モニタリングポストが設置済みでございます。「3」を「5」に訂正させていただいて、現時点の時間、10時50分の段階でも同じ状況でございます。欠測しているポストは7局で、可搬型モニタリングポストが5局設置済みでございます。
 現場確認の結果とか、通信の回復状況で推測しまして、主に通信による不具合と考えております。
 現在、石川県におきまして測定できているモニタリングポストも含めまして、順次、現地確認、燃料補給等を継続しているところでございます。
 なお、原子力規制庁は、念のためでございますけれども、航空機モニタリングについても準備をしております。
 柏崎については、今回の地震において、欠測しているモニタリングポストはございません。
 以上でございます。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 事故対処室長の山口でございます。
 先ほど御説明した中で、1点漏れておりましたので、補足をさせていただきます。
 変圧器の油漏れについて御説明させていただきましたが、本件につきましては、電気事業法に基づく事故トラブルということで、法令報告が提出されてございまして、そちらにつきましては、本日のトピックスの資料の方にお入れしてございます。補足させていただきます。

○杉本長官官房緊急事案対策室長
 「6.原子力規制庁の今後の対応」のところでございます。
 (1)志賀原子力発電所に対しては、北陸電力による施設の故障の原因究明、あるいは復旧作業がまだ続けられているところですけれども、その状況については、原子力規制検査を通じて確認していきたいと考えております。
 また、志賀原子力発電所については、新規制基準適合性の審査の途中でございますので、その審査においては、今回の地震に関する知見の反映内容についても確認していく方針とさせていただきたいと思っております。
 (2)モニタリングポストの復旧等ですが、志賀原子力発電所周辺のモニタリングポストにつきましては、石川県において引き続き道路状況を鑑みながら、欠測原因の把握や復旧に取り組んでいるところでございまして、必要な支援や情報収集を原子力規制庁としても行いつつ、得られた情報を踏まえて、通信の信頼性向上などの今後の放射線監視体制の改善に取り組んでいきたいと考えてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

○山中委員長
 それでは、委員の方から、御質問、コメント等はございますでしょうか。どうぞ。

○杉山委員
 まず事実確認をさせていただきたいのですけれども、地震が生じたときの志賀原発の状況ですが、1号炉、2号炉ともに炉心は空っぽだった、燃料があったのはプールだけという理解でよろしいですか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 御認識のとおりでございます。

○杉山委員
 ありがとうございます。
 これからもそうですけれども、注意しなければいけないのは、基本的にプールの燃料の冷却だということで、大きな電気を要するところもそこということですね。
 今の資料の通しページ2ページの電源という項目の中で、1号機の三つ目の○の最後に電源融通のためのタイラインを点検実施済みとあります。あと、2号機に関しても、四つ目の○、次のページですけれども、1号機からの電源融通のためのタイラインを点検実施済みとあります。これは現在これを使っているという意味ではなくて、更にどこかが問題を起こしたときの対策として、備えという意味だということで、その点はよろしいですか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 御認識のとおりでございます。

○杉山委員
 これは今この場でというのは難しいと思うのですけれども、この備えがどんなダメージに対して有効なのかというか、今、変圧器が幾つか使用不能になっています。必然性があってそれが壊れたというよりは、幾つかあるうち、たまたま壊れたと言うべきか、その他がたまたま生き残った状態なわけです。例えば次にこいつがまた壊れても、このタイラインがあれば大丈夫というような、この備えがカバーできる範囲というのが一つ気になっています。当然北陸電力は自ら認識されていると思いますけれども、我々としてもそこは確認して、今後のための備えといいますか、認識として持っておきたいと思っております。
 以上です。

○山中委員長
 私から一つ追加で、プールの使用済燃料が最もリスクが高いところであるという認識は杉山委員と一緒なのですけれども、ちょっと聞き漏らしたかと思うのですが、1号炉が8日間、2号炉が4日間ポンプが止まった状態で、65度になる日数としてはそれでよろしいですか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 本文の3ページの上の方に、※として今のところは記載させていただいていますが、1号機におきましては8日間、2号機におきましては14日間でございます。

○山中委員長
 4日間ではなくて、14日間ですね。了解しました。
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。

○田中委員
 変圧器からの油漏れのところがちょっと気になるところであります。これはトピックスの中にも入っているのですけれども、震度7ぐらいだったら、こういう油漏れ等によって変圧器が使えなくなるということは、大体想定されたものなのでしょうか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 変圧器につきましては、私どもから具体的な設計の耐震要求がない設備でございますので、例えばほかの原子力施設の安全上重要な施設のような、高い耐震基準は求めてございません。

○山中委員長
 どうぞ。

○伴委員
 既に議論があったように、今回、炉心に燃料がなくて、リスクの元としてはプールにある燃料である。それも十分に冷えてはいるので、少なくとも稼働中のプラントなどに比べれば、リスク自体は低いということが分かりますので、ですから、今回どうであるかということ以上に、ここから今後に向けてどういう教訓を引き出すかということが重要だと思っています。
 サイト固有の事項については、今後、審査等で確認していくということですし、地域の防災計画についても、内閣府の原子力防災、それから、関係自治体が必要な見直しを行っていくとは思っておりますけれども、総論的に見たときに気になる点が二つあります。
 一つは、今、指摘のあった変圧器の話なのですけれども、1F事故を受けて、電源の多重化・多様化を図っているわけですが、その中で、当然外部電源を喪失するということは想定されているわけです。ただ、それはあくまで外から電力の供給が来ないということであって、今回のようにサイト内の設備の不具合によって受電ができないということは、多分想定していなかったのではないかと思います。そうしたときに、外部電源の喪失に対して手当をしているので、その流れの中で十分であると考えるのか、やはりサイト内でもっと強化をするのか、その辺の考えはしっかり整理しておく必要があるのではないかと思っています。
 もう一つは、モニタリングポストの欠測がこれだけ出たということで、これは決していいことではない。少なくともリアルタイムの測定ができなくなってしまった。ポスト自体は生きているけれども、通信に不具合が生じたのでデータが取れない。だから、リアルタイムの状況が把握できなくなったというのは、やはり大きな問題だと思います。場合によっては、ポストが地崩れによって埋もれてしまうなんてこともあり得ますので、こういうことは避けられないので、最悪の状況を考えた場合には、航空機モニタリングとか、ドローンとか、そういったものをすぐに使えるように、機動性を高めておくということはやはり重要なのではないかと思います。
 以上です。

○山中委員長
 ありがとうございます。
 伴委員から重要なコメントとして、受電送電系の変圧器も含めた対策について十分かどうかというコメントと、もう一つは、モニタリングポストの信頼性の話、2点が出たのですけれども、この点について、何か御意見等はございますでしょうか。どうぞ。

○杉山委員
 一つ目の外部電源関連についてですけれども、福島第一原子力発電所事故の教訓を受けて、12年前に今の基準の検討がなされたときに、外部電源に関してもかなり時間をかけて議論が行われたと記憶しております。
 その中で、そもそも外部電源にどこまで求めるかという議論も行われまして、例えば耐震性を求められるかといったときに、それは無理だという話が出ました。外部電源というのは、発電所の外側にずっと上流があるわけです。完全に耐震性を求めようとしたら、上流全てを耐震化しなければいけない。それは無理だけれども、それでも生き残る可能性を少しでも高めようと、そこまでは要求しようということになって、結果的に複数の経路、それらの独立性を高める。具体的には異なる系統の線が鉄塔を共有しないとか、あるいはその先にある変電所、開閉所も別にするとか、そういったことで、ひとつひとつには耐震性は求めないけれども、全体として生き残る可能性を少しでも高めようという、そういった話になって今に至っている。
 そうして見たときに、今回、2号機、1号機を個別に見るのではなくて、発電所全体で見たら、ある程度そういった備えにはなっていると思っていまして、こちらは先ほど説明にあったように、審査まだですけれども、審査の観点から見ても、今の構成で駄目とは考えていないのですが、ところどころ、もう少し多重化してあったらいいというところはないことはないです。そこはやはりしっかり議論する必要があると思います。
 もう一つ、伴委員の御指摘で、外の送電線とかはともかく、所内の設備はもっと強くあってもいいのではないか。確かにそれはあると思っています。外の電源、鉄塔が全部倒れてしまったのに、中の設備だけが頑強というのも、それはそれでアンバランスなのですけれども、それでもどれかが生き残る可能性を高めるという意味で、今の状態で本当にいいのかというのはよく確認しなければいけない。
 具体的には今回壊れた変圧器です。どこがどういう理由で壊れたのか、必然的に壊れたのか、たまたま壊れたのか、今、生き残っているものはこれからの余震で壊れる可能性があるのではないか、そういったところをしっかり考える必要があって、今、壊れたものに対しては復旧を急ぐとともに、原因究明をしっかり進めていただきたいと思います。
 以上です。

○山中委員長
 私も杉山委員が発言されたように、電源系の安全対策について、多重性・多様性を新しい基準の中では求めているという、この点については異論ございませんし、問題がないところだとは思っていますけれども、変圧器そのものがどういう原因で壊れたのかというところについては、きちっと解明をしていただく必要があると思っています。単に内圧が上がって自動的に油が放出されたというものではどうもなさそうなので、この辺の原因についてはきちっと調べていただきたいと思います。
 モニタリングポストについて、伴委員からコメントが出ましたけれども、いかがでしょうか。御意見等はございますか。
 原子力規制委員会で設置の考え方を示して、自治体に設置をお願いしているところで、実際に今回欠測が18台起こったわけですけれども、実際に測定器として置かれていたのが100台程度、そのうち18台が地震直後には欠測した。伴委員がおっしゃられたように、全部耐震性を強化してとか、そういうことを考えるのではなくて、むしろ多様性を持ったモニタリングをした方がいいだろうというコメントだったと思います。

○伴委員
 今回の教訓を基に改善できるところは改善していただきたいと思うのですけれども、それでも限界がありますし、少なくとも可搬型を持っていこうと思っても、道路が通れないとか、あるいは渋滞でなかなか進まないということは現実に起きているわけですから、それはそれとして、更に航空機であったり、ドローンであったり、そういった技術がもうあるわけですから、そこのところの機動性を高めるということを提案したいと思います。

○山中委員長
 そのほか、地震・津波関係で、取水槽の水位の上昇の話が出ていたのですけれども、下降の話というのは、何か正確な情報はあるのでしょうか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 事故対処室長の山口でございます。
 先ほど御説明した資料の中では触れておりませんでしたけれども、事業者からは下降側では約1mほどの水位の低下があったと報告を受けてございます。

○山中委員長
 ということは、それなりにといいますか、それ相当の引き波、あるいは押し波があったと考えた方がいい。回数についてもモニタリングはされているということでよろしいですか。

○山口長官官房総務課事故対処室長
 今回観測された地点と必ずしも前面での測定はイコールではないと聞いてございますけれども、概ねいいところといいますか、傾向は示しているのではないかと考えてございまして、上昇側3m、下降側1m、この程度の津波があったのではないかと推測はしてございます。

○山中委員長
 あと、地震動についての報告がございましたけれども、石渡委員にお尋ねをした方がいいかと思うのですが、今回の地震についての新しい知見があったかどうか、どういうものであったのかということ、御意見等がございましたら、伺えたらと思います。

○石渡委員
 まず今回の地震というのは、非常に規模の大きな地震で、非常に大規模な被害が出ております。200人以上の方が既にお亡くなりになっているということで、亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
 その上で、今回の地震というのは、マグニチュードが7.6で、余震の震源域の長さが150q、あるいはそれ以上に達するような非常に大きな規模の地震であります。これについては、既に分かっている活断層が動いたわけではどうもない。幾つかの断層が連動して動いている可能性がございます。そういう点で、この地震がどういうふうに起こったかということ、それから、断層のパラメーターとか、そういうものがどうなっているかということに関しては、地震の専門の方々にきちんと研究をしていただく必要がある。我々はそれをフォローして、今後の審査に生かしていく必要があると考えております。
 そういうところが新知見になるべきところだと思うのですが、今回、資料1の時系列を見てまず気がつくのは、1月1日は地震が発生して9分後に警戒本部が設置されたのです。
 ところが、1月6日の地震は21分掛かっているのです。しかしながら、私の理解ではこれは気象庁の発表そのものが遅れたためであると理解をしていますが、その理解でよろしいですか。

○杉本長官官房緊急事案対策室長
 緊急事案対策室の杉本です。
 御認識のとおりと考えております。

○石渡委員
 つまりこれは原子力規制庁なり、内閣府なりがくずぐすしていたということではなくて、原子力規制庁の発表そのものが多分40分頃に発表されたのではないかと記憶しております。
 ですから、決して原子力規制庁内、あるいは内閣府内で遅れたということではないということは、まずはっきりさせておきたいと思います。
 1月1日に緊急参集をして、ここでいろいろ状況を見ていたわけですけれども、そのときの北陸電力からの報告では、別紙2に加速度応答スペクトル、地震の応答スペクトルの図が載っていますが、これだと一番強い揺れは1号機の水平方向の264 Galとなっていますが、あのときの北陸電力からの報告では、確か300 Gal以上の数値が報告されていたと記憶しているのですけれども、それとこの数字との関係はどうなっているのですか。ちょっと説明をお願いします。

○内藤原子力規制部審査グループ安全規制管理官(地震・津波審査担当)
 地震・津波審査部門の内藤です。
 一連の報告の中で来た数字というのは、1号機のリアクタービルの最地下階にある観測用の地震動の加速度という形で、3方向の合成で399 Gal。水平ですと、2方向合成になりますけれども、336.4 Gal。上下動で329.9 Galという形で、1号機のリアクタービルの最地下階で観測した地震動になりますけれども、そこの数値が報告として上がっていると認識をしております。
 別紙2のものは、基礎盤の下になりますので、ちょっと場所が違います。399 Galは基礎盤の上側の具体的な観測記録になりまして、今回、北陸電力から来ている報告は基礎盤の下ですので、基礎盤を挟んで上と下という形で位置が違います。
 先ほどもちょっと説明しましたけれども、今回の基礎盤の下の数字については、観測された記録から計算でもって評価値として出した数字という形でございますので、まだ検証の途中の速報値という形ではございますけれども、今回、別紙2で示しているのは基礎盤の下、建屋の下の入力位置で、観測記録として報告が来たのは基礎盤の上側のところという形で、観測位置が違うということでございます。

○石渡委員
 そうすると、別紙2に示してある地震動は、大体解放基盤面ぐらいの場所での地震動ということになりますか。

○内藤原子力規制部審査グループ安全規制管理官(地震・津波審査担当)
 地震・津波審査部門の内藤です。
 地下ですと、解放基盤はマイナス10mで設定しております。今回評価している場所につきましては、1号機、2号機で基礎盤下の標高が若干違います。1号機ですと、基礎盤下の標高がEL7.1m、2号機ですと、マイナス4.7mという形で若干標高は違いますけれども、今回示しているところは、解放基盤表面よりも少し上のレベルという形になってございます。

○石渡委員
 分かりました。解放基盤面よりはちょっと上だけれども、最初に報告のあった399Galを観測した地震計よりは下にある。そこの地震動であるということですね。分かりました。
 今回の地震、マグニチュード7.6というのは、今まで観測された地震で、西日本でマグニチュード7.6を超える地震というのは、1946年の南海地震まで遡ります。あれは海溝型の地震ですけれども、今回のような内陸地殻内の地震でマグニチュード7.6以上というのは、1891年、明治24年の濃尾地震まで遡ります。ですから、そういう意味で、西南日本では100年に一度ぐらいしか起きないような大きな地震が起きたということだと認識をしております。
 以上です。

○山中委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
 本日、議論として、油漏れを起こした変圧器の話、モニタリングポストの話、最後に地震についての詳細な御説明をいただいたわけでございますけれども、審査中である志賀の原子炉2号機でございますが、停止している原子炉であるからよいということではなくて、本日話題に上った3点以外にもいろんな現象が発電所の中では見られていると思いますので、様々な現象についての原因とか、あるいは対策、これについてはきちっと事業者に対応していただいて、検査の中でも見ていただきたいと思います。
 その中から、本日議論のあった3点だけではなくて、新しい知見があるのかないのか、その点については、必要があれば原子力規制委員会に即時報告をいただきたいと思いますし、技術的な検討が必要であれば、技術情報検討会で議論をいただくということを原子力規制庁にお願いしたいのですけれども、よろしいですか。どうぞ。

○片山長官
 長官の片山でございます。
 承知いたしました。今回の地震の知見は、今後、恐らく様々な論文等が公表されることになろうと思いますので、そういったものはしっかり収集して、技術情報検討会等々に御報告をしたいと思います。
 また、御議論が集中した変圧器の故障の原因究明でございますとか、あるいはモニタリングポストについての原因究明は、今後、詳細に行われることになろうと思いますので、そういったものについてしっかりと情報を集めた上で、継続的な改善に向けて対応していきたいと思います。

○山中委員長
 対応の方、よろしくお願いします。
 そのほか、委員の方から、御意見、コメント等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本件はこれで報告を受けたということで、終了したいと思います。以上で議題の1は終了いたします。
 次の議題は「原子力発電所の新規制基準適合性審査等の状況」です。
 (後略)
 ※引用者注:令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応の部分のみを抜粋した
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