[2024_02_03_03]【能登半島地震】志賀原発審査、長期化必至 断層連動、合格済み波及も(デーリー東北2024年2月3日)
 
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【能登半島地震】志賀原発審査、長期化必至 断層連動、合格済み波及も

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 能登半島地震では北陸電力志賀原発1、2号機が立地する石川県志賀町で震度7を観測した。2基とも停止中で安全上重要な問題はなかったが、震源域では北陸電の想定より長く活断層が連動した可能性が高い。9年以上かかっている原子力規制委員会の新規制基準審査のさらなる長期化は必至で、合格済みの原発に波及する可能性もある。

 東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新規制基準では、活断層の定義や想定する揺れの決め方が厳格化された。
 北陸電は2014年8月に2号機の審査を申請。まず敷地内の断層の活動性が議論となり、昨年3月に活断層でないと結論が出た。周辺の断層の審査は同5月に始まったばかりだ。
 北陸電は能登半島北側で活断層が約96キロ連動すると評価していた。一方、政府の地震調査委員会は150キロ程度が連動したと評価。規制委の山中伸介委員長は「明らかにこれまで考えられていなかった断層の動きが見られた。新しい知見として、当然採用しなければならない」と指摘する。
 北陸電の再評価は不可避の状況だが、今回の地震の研究成果がまとまるまでは待つ必要がある。規制委関係者は「さまざまな研究結果を総合して議論を始めねばならない。そこに至るだけでも数年単位かかる」とみる。

 断層が連動する規模や断層の長さは、各地の原発の審査で論争が操り広げられてきた。
 関西電力大飯原発、高浜原発(福井県)で、関電は若狭湾内を走る2本の断層の連動(約35キロ)を想定していたが、規制委は陸にある別の断層も含めた3本の連動(約63キロ)の可能性を指摘。関電は抵抗したが、最後は受け入れて決着した。
 四国電力伊方原発(愛媛県)でも中央構造線断層帯の連動が焦点となり、四国電は当初約54キロとしていた想定を約480キロに見直した。中国電力は島根原発(島根県)の南を通る宍道断層の長さを約22キロとしていたが、地震調査委の評価を受け、約39キロに延長した。
 地震の研究は、大地震のたびに新事実が判明し、発展してきた側面がある。今回の地震からも新規制基準に取り入れるべき知見が得られた場合、規制委が再稼働済みの原発も対応を求める「バックフィット」を命じる可能性がある。
 内容に応じて即時対応を求めるか、猶予期間を認めるか判断する。テロ対策施設の設置を巡っては、運転中の原発を停止させた前例もある。
 大飯、志賀原発の敷地内断層を巡る規制委の有識者調査団のメンバーを務めた広内大助・信州大教授(変動地形学)は「今回は電力会社の想定を超える地震が起こった」と指摘。「志賀以外でも連動の規模の再評価や、沿岸域などに見落としている断層がないか再調査する必要がある。規制委が能動的に動くことを期待したい」と話した。

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