[2024_01_16_02]かつて原発計画、能登地震の震源 「珠洲」凍結 住民に感謝 元裁判長・樋口さん、つくばで講演(東京新聞2024年1月16日)
 
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かつて原発計画、能登地震の震源 「珠洲」凍結 住民に感謝 元裁判長・樋口さん、つくばで講演

 08:27
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め訴訟で、2014年5月に運転を認めない判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明さん(71)が、13日に茨城県つくば市内で講演した。20年前に原発計画が凍結された石川県珠洲市の地震被災に触れ、「原発反対の市民運動のおかげでこうして講演会ができる。当時の人たちに感謝しなければいけない」と語った。(青木孝行)

 元日の能登半島地震では、珠洲市付近を震源とするマグニチュード(M)7・6、最大震度7を観測し、同市内も震度6強の揺れに襲われた。
 珠洲市ではかつて、北陸、中部、関西の三つの電力会社が共同で原子力発電所の建設を計画。候補地の一つだった同市高屋町は、今回の震源地域に隣接する。「珠洲原発」は地元住民の間で建設に対し賛否が分かれ、電力自由化による競争激化などもあり、03年12月、3社は計画の凍結を表明した。
 講演で樋口さんはまた、国による原発再稼働の動きに関し「脱原発運動の一番の敵は、私たちの心の中にある『原発は難しい問題』という先入観です」と語った。原発は人が管理し続けなければならず、管理できなくなった場合、事故の被害は極めて甚大になる。樋口さんはそれを踏まえ、「地震大国」の日本では「原発はやめるしかない」との理解に至ると述べた。
 そのうえで、約200人の聴衆に「『原発をやめる』という政治家に、国民が投票行動をすれば本当にやめられる。皆さんが私の分身となって、原発の危険性を広めてほしい」と呼びかけた。
 今回の講演は、樋口さんが主人公の映画「原発をとめた裁判長そして原発をとめる農家たち」(92分)の上映会(上映&講演会実行委員会in茨城主催)に合わせて開かれた。
 講演後には、東京電力福島第1原発事故による自主避難者で福島原発被害東京訴訟原告の鴨下美和さん(53)や、原発事故損害賠償群馬訴訟の原告、丹治杉江(たんじすぎえ)さん(67)らと樋口さんとのパネルトークもあった。

<ひぐち・ひであき> 1952年、三重県鈴鹿市生まれ。京都大法学部卒。83年に判事任官。福岡、静岡、名古屋などの地裁・家裁、大阪高裁などで勤務。2014年5月に福井地裁で、裁判長として大飯原発差し止め判決を出し、15年4月には高浜原発再稼働差し止めの仮処分を命じた。17年8月、名古屋家裁を最後に定年退官。津市在住。
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