[2024_01_05_07]【動画】なぜ輪島朝市で火災が広がったのか 専門家に聞くと複数の要因…4万8000平方メートルが焼失 能登半島地震(東京新聞2024年1月5日)
 
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【動画】なぜ輪島朝市で火災が広がったのか 専門家に聞くと複数の要因…4万8000平方メートルが焼失 能登半島地震

 16:40
 石川県輪島市の観光名所「輪島朝市」周辺で起きた大規模火災。
 なぜここまで火災は広がったのか。防災の専門家に話を聞いた。
  地震発生から3日目となる3日朝、記者が、「朝市通り」周辺に足を踏み入れると、景色が一変していた。
 焼け落ち、瓦だけが散らばる家屋があちこちに見える。焦げたにおいが広がり、小さな火がくすぶっていた。
 輪島市の中心部で起きた火災は、店舗や住宅など200棟以上を焼いたとみられる。国土地理院(茨城県つくば市)は2日に上空から撮影した写真をもとに分析。東京ドームよりやや広い約4万8000平方メートルが焼失したと推定している。

 ◆大津波警報、消防隊すぐ出動できず

 災害に詳しい防災システム研究所(東京)の山村武彦所長は、いくつかの要因が複合した結果、被害が拡大したと分析する。
 一つは津波の影響だ。
 朝市通りは、海から目と鼻の先に位置する。山村所長は「大津波警報が発令されたことで、海に近い現場に消防隊がすぐに出動することが難しかった」と話す。
 気象庁によると、朝市通りから程近い輪島港では、地震発生直後に第1波が到達。11分後の午後4時21分には最大1.2メートル以上の津波を観測した。
 気象庁は地震発生から間もなく、能登地方に大津波警報を発表している。大津波警報が津波警報に切り替わったのは1日午後8時半、津波注意報がすべて解除されたのは2日午前10時だった。

 ◆寒さ対策の灯油タンクに引火か

 過去に何度か輪島市を訪れたことのある山村所長は、地域特有の事情もあったとみる。
  海に近いことから、塩害防止のため板張りの木造住宅が多く、かつ住宅が密集している上に狭い路地が多いという地域の特徴をとらえ、「延焼しやすい状況にあったのではないか」と指摘する。
 寒さ対策のためストーブなどに使う灯油タンクを設置する家が多いことにも触れ、「ホームタンクにも火が及んで、さらに火勢を増した可能性もある」と推測する。

 ◆断水で消火活動に制限も

 震度6強の揺れに襲われた輪島市でも、断水が発生した。
 山村所長は、地震のため消火栓が使えなかった場所もあるとして、「消火活動に一定の制限があったと思う」と話した。
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 被害の状況は… 国土地理院が公表した火災現場周辺の空中写真を以下に転載します。上のつまみを左右に動かすと災害前後の写真を比較できます。左側が1月2日撮影。右側が2010年4月撮影。
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