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もんじゅについてお答えします_4.海外の動向



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4.1 世界中の国々が高速増殖炉開発から撤退しているのに、なぜ、日本だけが開発を進めるのか?

(ご回答)
 高速増殖炉技術は、長期的なエネルギー安定供給と地球温暖化対策に貢献するだけでなく、原子力産業の発展にも貢献することから、現在、世界の原子力先進国であるフランスやロシア、日本と同様に資源を持たない韓国では、高速増殖炉の早期実用化に向けた研究開発を加速させています。
 欧州の国々も欧州連合の活動を通じて高速増殖炉の技術開発を再開させつつあります。さらに、エネルギー供給の急速な拡大を目指すインド、中国では、これまでの開発実績は少ないものの、高速増殖炉の早期実用化に向けて研究開発を加速させています。
 しかしながら、将来の高速増殖炉が備えるべき高い安全性、核不拡散性を達成していくためには、これまでの開発経験を有する日本がフランス、米国等と協力し、安全性をはじめとする設計のクライテリア(基準)を提案するとともに、既存技術にこれまで研究されてきた新しい技術を加えて安全性、信頼性、経済性に優れ、核不拡散性に配慮した高速増殖炉の姿を提示し、世界をリードしていく必要があります。
 したがって、日本は、この開発を遅らせることなく、技術の成立性を見極め、2025年頃には実証炉を実現し世界へ提案していく必要があります。



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4.2 海外の研究開発は「増殖炉」ではなく、プルトニウムや放射性廃棄物の削減のために開発しているのではないか?

(ご回答)
 フランスでは、国内で9割の発電を行っているフランス電力株式会社(EDF)が、第四世代の実用炉として増殖性能を持つ高速増殖炉を開発したいと考えている旨を国際会議等で示しています。ただし、フェニックスやスーパーフェニックスの運転経験*から既に増殖性は実証されているとの立場であり、現在、概念設計が進められているナトリウム冷却炉のプロトタイプASTRIDでは、「2006年放射性廃棄物等管理計画法」によって要求されている、半減期が長いマイナーアクチニドの燃焼することにより高レベル放射性廃棄物の発生量を低減できることの見極めに焦点を当てて、増殖比1程度の炉心の検討が行われています。
*増殖比;原型炉フェニックス1.16、実証炉スーパーフェニックス1.18

 ロシアは、戦略的核兵器削減条約に従い、国内の核兵器を解体し、そのプルトニウムを原型炉BN-600と実証炉BN-800(2014年運転開始予定)の燃料に利用することとしており、現時点でこれらの炉でプルトニウムを「増殖」する必要性を考えていません。2020年に運転開始を予定し検討が進められている実用炉(BN-1200)およびそれ以降の実用炉ではプルトニウムが不足するため「増殖」を考えています。

 韓国は、金属燃料を用いた高速増殖炉の開発を進めています。金属燃料は高い増殖性能を有しますが、実証炉(KALIMER-600)の現状の設計では、超ウラン元素(TRU)の燃焼を仕様とした炉心となっています。ただし、実用炉(KARIMER-1200)では、増殖比1程度の炉心の検討が行われています。

 エネルギー資源に乏しい日本は、長期的なエネルギーの安定供給と地球環境問題の同時解決を図るために、プルトニウムの平和利用に徹した高速増殖炉サイクルの開発を進めています。



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4.3 海外は「もんじゅ」に対してどのような期待を持っているか?

仏国のフェニックス炉が平成21年12月に停止したことから、「もんじゅ」はOECD(経済協力開発機構)加盟国で運転される唯一の発電用高速増殖炉です。「もんじゅ」は世界に開かれた研究開発拠点として期待されているほか、海外からの期待に応える国際共同プロジェクト等を推進しています。

・2020年頃に第4世代ナトリウム冷却高速炉の運転開始を目指すフランスと2025年頃の高速増殖炉の実証炉の実現を目指す日本にとって、もんじゅは世界の先駆けとなる役割を担う。日仏が協力して「もんじゅ」の試験データを次世代の高速炉に反映していきたい。もんじゅは日本だけでなく、世界の科学技術にとって重要な施設である。(フランス高等教育・研究省ガブリエーレ・フィオーニ研究・イノベーション局次長 2011年1月27日 福井新聞、中日新聞掲載)

・日本は、高速増殖炉の研究開発を中断させることなく行ってきた数少ない国。「もんじゅ」のように研究開発のために利用できる高速増殖炉は世界的にも大変貴重。世界の安定的なエネルギー供給のために、「もんじゅ」の試運転が開始されること、そして今後の研究開発において日本が、中心的な役割を担うことが期待されている。(フランス原子力庁 ジャック・ブシャール長官付特別顧問 平成22年3月6日 福井新聞発行 もんじゅTIMES)

・第4世代原子力システムにおけるナトリウム冷却型高増殖速炉の開発目標である安全性、経済性、環境配慮、核不拡散などについて、「もんじゅ」は研究試験の場として期待。現在稼動し得る発電設備を有したナトリウム冷却型高速増殖炉である。(中国原子能科学研究院総工程師,シュー・ミー教授 FR09(平成21年12月7-11日)講演)

図4.3 世界は「もんじゅ」に期待


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