[2022_03_17_48]気象庁会見「海岸に近づかず土砂災害や雪崩に警戒を」 (NHK2022年3月17日)
 
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気象庁会見「海岸に近づかず土砂災害や雪崩に警戒を」

 2022年3月17日 2時47分
 宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測した地震について、気象庁の中村雅基地震火山技術・調査課長は、午前1時半すぎから記者会見を開きました。
 この中で「海の中や海岸付近は危険なため海岸から離れるとともに、津波注意報が解除されるまでは海に入ったり、海岸に近づかないようにしてほしい。揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害の危険性が高まっている。危険な場所には立ち入らないなど身の安全の確保に努めてほしい。また、地盤が緩んだり、積もった雪が不安定になったりしている可能性があり、土砂災害や雪崩に警戒や注意が必要だ」と話しました。
 そのうえで「揺れの強かった地域では今後1週間程度は、最大震度6強程度の揺れを起こす地震に注意してほしい」と呼びかけました。

会見での詳しい発言内容

 「津波が発生しているおそれがあり、海の中や海岸付近は危険です。海の中にいる人はただちに海からあがって海岸から離れてください。注意報が解除されるまでは海に入ったり、近づいたりしないようにしてください」
 「揺れの強かった地域では家屋の倒壊、土砂災害の危険性が高まっているので、今後の地震活動や降雨の状況に十分注意し、危険な場所に立ち入らないなど安全を確保して下さい。揺れが強かった地域では地盤が緩んだり、積もった雪が不安定になったりしている可能性があります。土砂災害や雪崩にも警戒が必要です」
 「同程度の地震が起きることは1〜2割あることから、揺れの強かった地域では1週間程度は最大震度6強程度の揺れに注意して下さい。特に今後2〜3日程度は規模の大きな地震が起きることが多くあります」
 「地震の活動状況は、17日午前1時現在、震度4を観測した地震が1回、震度1以上が複数回発生しています。今回の震度6強の揺れを伴う地震の発生の2分前にもマグニチュードが不明ですが、地震が発生しています。最大震度が5弱の揺れを伴う地震とまでわかっていますが、現在、マグニチュードも含めて精査中となっています」
 「今回の地震で宮城県北部では長周期地震動階級4を観測しました。これらの地域の高層ビル、高層階では、立っていることができず、はわないと動けない。固定していない家具の大半が移動し倒れるものがあるなど非常に大きな揺れになった可能性があります」

ほぼ同じ場所で去年2月に最大震度6強の地震発生

 「地震のメカニズムは逆断層だ。太平洋プレートが沈み込んでいて、そこに沿ったような形で地震活動が発生しています。今回の地震はプレート境界より若干深い場所で起きた地震と考えられます」
 「過去の発生状況を見ると、今回の地震が起きた場所は、ほぼ同じ場所では去年2021年の2月13日に最大震度6強の地震が発生しています。今回の地震は太平洋プレート内の地震と考えていますが、昨年の地震も太平洋プレート内で起きたと評価されています。今回の地震はM7.3だが、過去にも同程度の地震が起きている地域です」

ビルの高層階などでは大きな揺れの可能性も

 「長周期地震動は、最大で長周期地震動階級4を宮城県北部で観測。それ以外でも階級3は福島県、宮城県、山形県に広がっています。階級3でも立っているのが困難な状況です。高層ビルの高層階などでは大きな揺れになっている可能性がある」

記者との質問の応答

(記者) 今回の地震と11年前の巨大地震との関連は?。
「余震域で発生した地震です」

(記者)2分前の地震の詳細は?
「現在精査中です」

(記者)これまで例が無い?
「大きな地震の前に少し規模の小さな地震が起きることは、頻度が多い訳ではないが、事例はあります。1993年の釧路沖地震はもっと短い、何秒前かくらいの間で地震が起きてマグニチュード7.5が起きたことがあります。前に発生した地震がプレート境界なのか、プレート内なのかわからないので踏み込んだことは言えません」

(記者)今回の地震の特徴とメカニズムは?
「比較的浅い地震であれば強い揺れは比較的狭い範囲で起きて、遠くなるほどそれほど強くならないが、今回の地震は60キロの深さとある程度深いので、強い揺れをもたらす範囲が広くなる傾向はあると思う」

(記者)震源が深かったので広い範囲が強く揺れたということで、去年はここまで広くなかったという意見もあるが、違いが出た可能性は?
 「地震発生直後で細かいところは見ていないので、違いに言及できるものはない」

(記者)去年2月の地震との因果関係は?
 「ほぼ同じ規模の地震で1年以上経過しているので、ちょっと関連性について、現在の地震学で結びつけて何か言うのは難しいと思います」

(記者)長周期地震動階級4の理由は?
「今のところわかりません」

(記者)今回の地震後にさらに大きな地震が起きる可能性は?
 「わかりません。ただ、これまでの発生状況から過去に同程度、それ以上の地震が発生した領域を地震本部で整理していて、その範囲内に入るものについては、より大きな揺れを伴うような地震に注意と呼びかけている。今回の地震はその領域から外れているので同程度の地震と呼びかけている。東日本大震災が発生する2日前の地震は、プレート境界の地震で、巨大地震もプレート境界の地震だった。今回はプレート内部の地震なので、状況は違うということはいえます」

(記者)新幹線脱線や停電の被害がある。揺れの違いや特徴は?
「揺れの違いの分析はこれからではないとわからないです。今のところ細かい情報は入っていないです」

(記者)プレート境界に与える影響は不明?
「今回の地震がプレート境界に与える影響については、今後、地震調査委員会で議論されます」

(記者)今後、何に備える必要がある?
「今は夜間で、これから就寝される方も多いと思います。仮に自宅で就寝される場合には、大きなタンスとかを避けて就寝していただきたい。朝になったら、大きな揺れが来ると倒れるものがあれば、再度家具の固定などをしていただきたい」

(記者)今回の地震が起きた場所は国の長期評価で平均発生間隔が22年〜29.4年となっているのに対して去年も起きているので、地震の活発化を示している?
「発生間隔は対象期間をとって、その中でM7以上の地震の回数をカウントして割り算しているわけなので、ムラがあって発生する偏りは考慮されていないと考えてください。一方で余震域では、2011年の巨大地震前より活発な状況は続いているので、それとの関係のあるなしはわからないですが、考えられなくはないということになります」

(記者)去年2月の地震後は春先まで大きな地震が続いたのではないか。今回も?
「わからないです。長い期間で活発化することもありますが、それが今回どうなるかはわかりません」

(記者)震源の深さ60キロだが、プレート境界は何キロ?
「様々なモデルがあるが、40〜50キロくらいとしているモデルがある」

(記者)境界からはだいぶ離れてる?
「だいぶがどのくらいかわかりませんが、離れているという評価でよいと思います」

(記者)改めて注意事項を
「宮城県と福島県の沿岸に津波注意報を発表しています。津波が発生しているおそれがあり、海の中や海岸付近は危険です。海の中にいる人はただちに海から上がって海岸から離れてください。潮の流れが速い状態が続きますので、注意報が解除されるまで海に入ったり海岸に近づいたりしないようにしてください」
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