[2021_12_04_03]山梨県東部・富士五湖と和歌山県・紀伊水道のW地震は南海トラフの前触れか…専門家が警鐘(日刊ゲンダイ2021年12月4日)
 
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山梨県東部・富士五湖と和歌山県・紀伊水道のW地震は南海トラフの前触れか…専門家が警鐘

 日本列島で立て続けに起こった地震。3日午前6時37分に山梨県東部・富士五湖、午前9時28分に和歌山県・紀伊水道でそれぞれ震度5弱の揺れが襲った。関東と関西で起きた地震だが、専門家によれば、いずれも「南海トラフの前兆」だという。

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 山梨県東部・富士五湖の地震は震度5弱の前に、午前2時18分(震度4)、23分(震度3)にも起きていた。
 関東周辺ではこのところ地震が続いている。11月30日には東京23区、今月1日には埼玉県北部と千葉県東方沖。同2日には茨城県南部で震度4を記録したばかりだ。立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授はこう言う。
 「首都圏周辺から関西に向かって地震が目だちますが、国土地理院の電子基準点測量によると、8月頃から、地殻変動の様子が変わりました。日本列島全体が北東から南西に移動したと思えば、11月になると日本列島全体が南西から北東方向に移動しています。不気味な現象です。また、けさ(3日)の山梨県東部・富士五湖の地震は、M4.8、深さ約20kmと規模の小さい地震だったにもかかわらず、最大震度5弱になりました。通常なら、震度3程度の揺れになるはず。さらに、震源が浅いにもかかわらず、揺れの範囲が広い。これも変です」
 原因は、日本列島全体がプレートの力のせめぎあいに翻弄されているためだ。
 「現在、太平洋プレートは積極的に動いています。最近の地震はフィリピン海プレートが、太平洋プレートに圧縮されて起きています。今後、フィリピン海プレートの内部が割れて活断層型地震を起こしたり、フィリピン海プレートがはねあがる海溝型地震もあるかもしれません」
 これが南海トラフの巨大地震に繋がる前兆になるという。太平洋プレートやフィリピン海プレートの活動が活発化しているのは、富士五湖の地震の3時間後に起きた和歌山県・紀伊水道の地震からも分かる。
 「この地震もフィリピン海プレート影響です。M5.4、深さ20kmの小規模ながら最大震度5弱の揺れに繋がった。プレート全体が広範囲に刺激されていることが分かりますし、近く、さらに南に位置する宮崎県の豊後水道や日向灘付近が動く可能性もあるので注意が必要です」
 高橋氏は、フィリピン海プレートの影響で富士山、箱根山、伊豆大島、三宅島などでの火山活動の活発化や地震が起きる可能性も指摘する。すでに起きている西ノ島新島や軽石が話題になった「福徳岡ノ場」の噴火もその一環とみている。
 大阪管区気象台の担当者は紀伊水道の地震について「南海トラフ地震の予兆ではない」と話しているが、77年前には12月7日に昭和東南海地震が起きている。心構えは必要だ。
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