[2021_12_05_05]週刊地震情報 2021.12.5 1日で2度の震度5弱 山梨県と紀伊水道で発生(ウエザーニュース2021年12月5日)
 
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週刊地震情報 2021.12.5 1日で2度の震度5弱 山梨県と紀伊水道で発生

 2021/12/05 10:15 ウェザーニュース
 この1週間に国内で観測された地震回数は前週に比べると大幅に多くなりました。
 関東から東北の内陸部の地震が目立っており、4日(土)からはトカラ列島で群発地震が発生しています。この期間に震度3以上の地震は15回発生し、3日(金)には震度5弱の地震が相次いで起きています。(11月29日〜12月5日10時の集計)

 国内:山梨県東部・富士五湖でM4.8

 3日(金)6時37分頃、山梨県東部・富士五湖を震源とするマグニチュード4.8、深さ19kmと推定される地震が発生しました。この地震で山梨県大月市で最大震度5弱、神奈川県相模原市や厚木市などで震度4、関東の広い範囲で震度3を観測しています。
 この地震の約4時間前の2時18分頃にはマグニチュード4.1(最大震度4)、2時23分頃にはマグニチュード3.6(最大震度3)の地震が発生していました。今回の震度5弱の地震も含めて、3回の地震はいずれも北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されており、一連の活動と考えられます。
 山梨県東部・富士五湖を震源とする震度5弱以上の地震は、2012年1月28日のマグニチュード5.4の地震以来です。また、1996年3月にはマグニチュード5.5、1983年にはマグニチュード6.0の地震が起きるなど、マグニチュード5〜6の地震が度々発生しています。
 政府の地震調査研究推進本部は、この領域の深さ10〜30kmの地震活動は伊豆半島が陸側のプレートに衝突するために生じると考えられているとしています。地震のメカニズムや震源の位置が離れていることなどから、現時点で富士山の火山活動との関係性はみられていません。
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 国内:紀伊水道ではM5.4

 3日(金)9時58分頃には紀伊水道を震源とするマグニチュード5.4、深さ18kmと推定される地震が発生しました。この地震で和歌山県御坊市で最大震度5弱、和歌山県有田市や田辺市、徳島県阿南市、美馬市、香川県さぬき市、兵庫県南あわじ市、三重県熊野市など広い範囲で震度4の揺れを観測しています。
 地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸をもつ逆断層型と解析されています。
 紀伊水道を震源とする地震で震度5弱以上の揺れを観測した記録はないものの、地震計の数が少なかった1948年にはマグニチュード6.7の大きな地震が発生しました。震源に近い地域では激しい揺れに見舞われて、家屋の損壊などにより死傷者が出ています。

 プレート境界よりは浅い地震

 今回の震源付近におけるプレート境界の深さは30km程度と考えられています。2001年以降の震源の分布を見ると、プレート境界とみられる地震は紀伊半島の南端で深さ20〜30km程度、今回の震源周辺では30〜40km程度で多く発生しています。
 また、それとは別に深さ10〜20km程度の所で地震が多く起きており、今回はこちらのタイプの地震とみられます。(図内右枠の南北断面を参照)
 3日(金)の地震は南海トラフ巨大地震で想定されているプレート境界で起きたものではありません。ただ、政府の地震調査研究推進本部は南海トラフ巨大地震が10年以内に発生する確率が30%程度、30年以内に発生する確率が70〜80%としています。今回の地震が直接的な影響を及ぼさないとしても、今後の地震発生に対する備えは引き続き欠かせません。

 国内:トカラ列島で4日(土)から群発地震

 4日(土)昼頃から鹿児島県奄美地方・トカラ列島近海で地震が多発しています。4日(土)12時32分頃のマグニチュード2.9、最大震度1が最初の有感地震で、19時48分にはマグニチュード4.0、最大震度3の地震が発生しました。その後も地震は続き、5日(日)10時の時点で有感地震は87回、そのうち震度3の地震は6回を数えています。
 トカラ列島近海ではこうした群発地震がしばしば発生しています。最近では今年4月9日頃から地震が頻発し、4月10日には1日で100回を超える有感地震が起きました。活動のピークだった10日から12日の3日間で、有感地震は229回、震度3は15回、震度4を5回観測しています。
 過去の活動から活発な状況は数日程度続くケースが多く、最大震度は4〜5強程度に達する可能性があります。しばらくは強い揺れに対する注意が必要です。
 (後略)
KEY_WORD:山梨県東部_震度5弱_M4.8_:和歌山県_震度5弱_M5.4_: