【記事87600】福島第一原発は津波の前に、地震の直後に壊れた 「文芸春秋」最新9月号の『福島第一原発は津波の前に壊れた− 元東京電力「炉心専門家」が決意の告発』の解説 浜島高治 (神奈川県在住)(たんぽぽ舎2019年8月22日)
 
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福島第一原発は津波の前に、地震の直後に壊れた 「文芸春秋」最新9月号の『福島第一原発は津波の前に壊れた− 元東京電力「炉心専門家」が決意の告発』の解説 浜島高治 (神奈川県在住)

◎著者の木村俊雄さんは、東電学園出身ながら武藤社長に認められた炉心運転管理専門。
・あの日、津波が来る前の地震直後=1分40秒後に、炉心圧力容器の水の流れが止まりました。国会正門前で紹介された方は、水そのものが無くなったと誤解されていました。
 原子炉の大量の水が1分40秒で無くなるのは不可能。水の流れはすぐに止まります。
・水の流れが止まると、水に含まれる空気が泡になって燃料棒を包みます。冷やされなくなるので破滅です(ドライアウト)。
・本記事の前に、「岩波・科学」2013年11月号1223-1230ページに、『地震動による福島第一1号機の配管漏えいを考える』を投稿されて、経緯を記されています。
 今回の「文春」記事は、福島県田村市の住民訴訟で3月と5月に証言されたという事情があります。
 そして、最も基本の大切なことを、我々自身が忘れさせられていたということです。
◎「科学」から「これまでの経緯」引用:
 筆者(木村俊雄さん)は、2013年7月10日付で東京電力に対して、公開質問書を提出した。その結果、7月17日付東京電力より書面で東京電力が必要と判断したもののみデータを公開するという内容の回答があった(詳細は本誌9月号P957以降参照)。
 その後も東京電力定例会見の都度、朝日新聞木村英昭記者や木野龍逸氏らが過渡現象記録装置データの全公開のために尽力してくれた。
 その結果、東京電力は8月になり過渡現象記録装置の全データを希望者に公開するという対応に変わり、今回新しく加わったデータを使用し、考察するに至った。
・「科学」と「文春9月号」のグラフは、木村さんが数字の羅列からプロットされたものです。まさに当事者でないとできないことです。国会事故調など4つの委員会でも見過ごされました。
 1時間当たり1万8千トン=1分間当たり300リットルの流れが、地震の1分30秒後にマイナスに落ち、ゼロになりました。
・運転停止しても自然循環10%弱流量が残存する筈だが無し。異常現象の原因は、原子炉圧力容器につながる配管破損による冷却材漏洩以外に考えられない。
 GEが日本で原発をつくり始めた頃のGEの現場責任者だった菊池洋一さんは、著書でも、たんぽぽ舎における講演でも、圧力容器の外側にぶら下っている配管とポンプの危うさを指摘されていた:「事故の夢を毎日のように見た。圧力容器につながる配管がギロチン破断し、格納容器内で暴れ回る。現場では『たこ踊り』と言っていた」。
 東海第二原発も同じで危険。柏崎刈羽原発の6.7号機のABWRでは、それらが外にぶら下がらないで圧力容器と一体化している。
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