【記事11510】私の公開質問状ーその七 拝啓 東京電力社長殿 前和光大学教授・「開発と公害」編集代表 生越忠 【Page 71】(月刊経営塾1988年11月1日)
 
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※以下は本文をテキスト化したものである

して、そのような場所に、今日もなお、いくつかの原発の立地計画が依然として進められており、たとえば、浜岡原発4号機は、観測強化地域の「東海」のど真ん中で建設準備中のものです。また、伊方原発3号機は、特定観測地域の「伊予灘および日向灘周辺」のこれまたど真ん中で建設中のものですが、この特定観測地域内では、上関原発も計画中です。
 常識的には、このような場所に原発立地点を選定するのは、大変危険なことだと思うのですが、原発に限ってそんな心配はないとでもいうのでしょうか。

 四、原子炉の耐震設計は、はたして万全なものなのでしょうか。

 原発のうち、安全上とくに重要な投備(原子炉および重要な機器など)は、耐震力を一般建築物の三倍に設計し、原発立地点で想定されうる最強の地震にも耐えられるように造られることになっています。
 しかし、地震の震度の記録は、たえず更新されていますので、「想定されうる最強の地震をどう想定するかが、まず問題になります。「原子炉が破壊されたのは、予想外に強い地震によるものという弁明は、絶対に許されません。
 次に耐震力を一般建築物の三倍に設計すれば、どれほど強い地震に襲われてもはたして安全性を保ちうるのかということが問題になります。さらに、強い地震が起こって、基礎岩盤に隆起、沈降、陥没、地割れや、地震断層の出現による水平方向あるいは垂直方向のずれなどの塑性変位が生じた場合でも、絶対に安全と言えるのでしょうか。かりに耐震力は十分にあったとしても、基礎岩盤が大きく破壊されたら、「もうおしまい」になると思うのですが、こう考えると、耐震設計というものには大きな落とし穴があるのではありませんか。

 五、直下地震はM=6.5に限定して考慮するのは不都合ではありませんか。

 地震は、発震機構によって海洋型地震と直下地震とに二大別されます

KEY_WORD:HAMAOKA_:観測強化地域:伊予灘および日向灘周辺:上関原発:IKATA_:耐震力:塑性変形:直下地震:海洋型地震: