【記事54670】東北地方太平洋沖地震から学べ!「基準地震動」見直しを 野津厚さん(海上・港湾・航空技術研究所)が伊方「最大加速度1000ガル超え」を予測 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その134 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2017年5月29日)
 
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東北地方太平洋沖地震から学べ!「基準地震動」見直しを 野津厚さん(海上・港湾・航空技術研究所)が伊方「最大加速度1000ガル超え」を予測 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その134 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 5月24日に大飯原発3,4号機の設置変更許可が認可された。これまでに認可(あるいは既に稼働)された原発の基準地震動(水平方向最大加速度)―川内620、伊方650、高浜700、美浜993、玄海620、大飯856(単位:ガル)―が余りに小さいことは明らかだ。
 2004年に中越地震で2516ガル、2008年に一関市で4022ガルが観測された。日本を襲う直下型地震のほとんどは(活断層と分かっていない)地震断層が起こしている。日本列島に確認されていない活断層が約4000あると推測されている。さらに、多くの専門家が「基準地震動が過少」と批判し、広瀬隆さんも「大地震におびえる日本列島」と警告を発している。
 ここでは、別の角度からの指摘を紹介する。岩波「科学5月号」で、「国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所」の野津厚さんが「原子力発電所の基準地震動策定のために東北地方太平洋沖地震から何を学ぶべきか」と題して、基準地震動策定に疑問を投げかけているのだ。

<引用開始
○原子力発電所の基準地震動の策定では、南海トラフ地震等のプレート間地震も考慮されるが、その強震動の評価において、東北地方太平洋沖地震の教訓は十分に生かされているとは言えない。大きな加速度と速度を同時にもたらし構造物にとって脅威となる強震動パルスを正確に計算するためには現状のSMGAモデルでは不十分であり、より狭い領域から鋭いパルスが生成されるSPGAモデルを用いる必要がある。
○パルス波が女川原発と福島第一原発に基準地震動を超える地震動をもたらした。
○パルスを正確に計算するためには現状のSMGAモデルでは不十分である。
・SMGAモデルは観測された地震動の最も重要な部分を再現することに成功していない。
・プレート間地震を想定して原子力発電の基準地震動を策定するための震源モデルとしてSMGAモデルは相応しくない。
○SPGAモデルでは、観測されたパルスの幅と調和的なサイズのサブイベントを導入しているので、パルスを再現することができる。
○SPGAを伊方原発に適用してみると最大加速度は約1066ガルとなり、伊方の基準地震動650を超過している(約1.6倍)。
>引用終了

 ここにも、基準地震動過小推定の証明がある。特に、イチエフ事故を起こした東北地方太平洋沖地震を再現できていないモデルで地震動を評価しているのでは全く不十分だ。

(注)SMGAモデル:Strong Motion Generation Areaモデル、強震動生成領域モデルSPGAモデル:Strong-motion Pulse Generation Areas、東北地方太平洋沖地震をはじめとする海溝型巨 大地震において、特徴的な強震動パルスのパルス幅と調和的なサイズのサブイベント(SPGA)から構成される震源モデル

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