【記事63231】中央構造線断層帯 西端は大分まで到達 地震調査委(NHK2017年12月19日)
 
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中央構造線断層帯 西端は大分まで到達 地震調査委

 国内最大の断層帯「中央構造線断層帯」について、政府の地震調査委員会は、これまで四国沖と考えられていた西の端が大分県まで達しているとする新たな評価を公表しました。全長はおよそ440キロとなり、全体が同時に動いた場合、四国や九州北部、近畿などの広い範囲が震度6弱以上の激しい揺れに襲われると想定されています。
 国内最大の断層帯、「中央構造線断層帯」は、これまで近畿から四国北部を通って四国の西の伊予灘に達し、全長はおよそ360キロと考えられてきました。
 しかし、最新の研究で、伊予灘の海底にある活断層と大分県の別府湾から由布市にかけてのびる活断層がほぼつながっていることがわかり政府の地震調査委員会は「中央構造線断層帯」の西の端が大分県まで達しているという新たな評価をまとめ、19日公表しました。
 この結果、全長はおよそ440キロとなったほか、全体を10の区間に分けて評価した結果、それぞれの区間で起きる地震のマグニチュードは、「6.8程度」から最大で「8.0程度もしくはそれ以上」と想定されました。
 このうち愛媛県内を通るおよそ40キロの区間は、地震発生の危険度を4段階で示す「発生確率のランク」が最も高い「Sランク」となっています。
 さらに断層帯全体が同時に動くことも否定できないとしていて、この場合、マグニチュードは「8.0程度もしくはそれ以上」で、四国や九州北部、近畿、それに中国地方などの広い範囲が震度6弱以上の激しい揺れに襲われるほか、断層に近い大阪と奈良、和歌山、徳島、香川、愛媛、それに大分などの一部の地域では、震度7となるおそれがあると予測しています。
 地震調査委員会の委員長で東京大学地震研究所の平田直教授は「内陸の浅いところで起きるため揺れで大きな被害が出る可能性がある。建物の耐震化など事前の備えを十分に進めてほしい」と話しています。
 地震調査委員会の委員長で、東京大学地震研究所の平田直教授は「6年前の東北沖の巨大地震のような地震が起きる可能性が高く、津波などに十分注意してほしい」と話しています。

発生確率のランクを公表

 政府の地震調査委員会は、今回、「中央構造線断層帯」を10の区間に分け、それぞれの区間ごとに、想定される地震の規模や地震発生の危険度を4段階で示す「発生確率のランク」を公表しています。
 今回の評価で、「中央構造線断層帯」には、奈良県にある断層帯の東端から、順に1から10の番号がふられ、今回追加された西端の大分県まで続いています。

(中略)

きっかけは熊本地震

 「発生確率のランク」と呼ばれるこの方式は去年導入されました。それ以前は、確率だけで示されていましたが、活断層の地震は周期的に発生する「海溝型地震」と違って、発生間隔が数千年程度と長いため確率が大きな値になりません。
 去年4月の「熊本地震」を引き起こしたとされる断層帯の一部の区間でも、地震が起きる前、今後30年以内の発生確率が「ほぼ0%から0.9%」と評価されていたため、危険性が正しく伝わらず、かえって安心情報になったという指摘が出ました。
 「発生確率のランク」は、これを教訓に導入されたもので、地震調査研究推進本部のホームページで公表されています。

「主要活断層帯」は114に

 「中央構造線断層帯」が大分県まで延びているとされたことを受けて、大分県内の活断層の評価も見直され、新たに2つが「主要活断層帯」に認定されました。この結果、全国の「主要活断層帯」の数は、114となりました。
 「主要活断層帯」は内陸や周辺海域にあり長さがおおむね20キロを超え、地震が起きた場合、社会的、経済的に大きな影響を与えるため、国が重点的に調査や評価を行うものです。
 この中には、全長がおよそ160キロと「中央構造線断層帯」に次いで2番目に長い「糸魚川ー静岡構造線断層帯」や去年4月の熊本地震を引き起こした「布田川・日奈久断層帯」などが含まれます。
 このうち、今回、「中央構造線断層帯」が大分県まで延びているとされたことを受けて、大分県東部の別府湾の海底から大分県西部にかけてのびる「別府ー万年山(はねやま)断層帯」の評価が見直され、一部の区間が「中央構造線断層帯」に含まれたほか、残る区間に新たに2つの主要活断層帯が作られました。
(中略)
 この結果、全国の「主要活断層帯」は、これまでより1つ増えて114となりました。
(中略)

「主要活断層帯」以外も順次公表

 政府の地震調査委員会は、22年前の「阪神・淡路大震災」をきっかけに、マグニチュード7以上の大地震が発生するおそれがあるとされる長さがおおむね20キロ以上の全国の「主要活断層帯」について将来の地震の発生確率などを公表してきました。
 しかし、平成16年に起きたマグニチュード6.8の「新潟県中越地震」など、マグニチュードが7を下回る地震でも大きな被害が出たことなどから、4年前の平成25年から「主要活断層帯」以外の活断層も含め、各地域ごとにマグニチュード6.8以上の地震が起きる確率などの公表を始めました。
 「地域評価」は、4年前に九州が公表されたあと、平成27年に関東、それに平成28年に中国地方が公表されていて、今回の四国が4例目となります。
(中略)

大分県広瀬知事 「活断層の連動が心配」

 国内最大の断層帯、「中央構造線断層帯」が大分県まで達しているとする新たな評価が公表されたことについて、大分県の広瀬知事は、「中央構造線断層帯の中には、地震の発生確率が高い所があり、そことつながるわけだから、県内の活断層が連動するのではないかと心配だ」と述べました。
 そのうえで、「南海トラフの巨大地震が高い確率で起きると言われているので、直近の地震津波への対応は講じつつあるため、中央構造線断層帯と連動するからと言って慌てて今何かやらなくてはならないとは考えていない。ただ、心配なので研究会を作って、どう考えるべきかを勉強し、必要な対応を取っていきたい」と述べ、来年2月をめどに学識経験者などによる研究会を立ち上げ、対応を検討する考えを明らかにしました。

原子力規制委「審査結果に影響しない」

 中央構造線断層帯のおよそ8キロ南側には伊方原子力発電所がありますが、原子力規制委員会は、再稼働の前提となる3号機のこれまでの審査で、四国電力の地震や津波の想定に問題はないとしています。
 原子力規制委員会は「今回、中央構造線断層帯の長さを440キロにする評価が公表されたが、伊方原発3号機の審査ではより長い480キロを想定するなどして検討が行われており、私たちの審査の結果に影響を及ぼすものでない。改めて評価し直すことは考えていない」としています。

四国電力「原発の安全性に大きな影響はない」

 今回の評価について、「中央構造線断層帯」からおよそ8キロ離れたところに伊方原子力発電所を抱える四国電力は、「伊方原発では、『中央構造線断層帯』について九州から紀伊半島にかけての長さ480キロが連動するケースも含めて想定しており、原発の安全性に大きな影響はないと考えている」としています。

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