【記事74410】北海道胆振(いぶり)東部地震とブラックアウト 同じレベルの地震が泊原発近辺に起きたらどうなるのか 今回の地震によるブラックアウトを機とした原発再稼働の策動を許すな! 佐藤英行(後志・原発とエネルギーを考える会)(たんぽぽ舎2018年9月12日)
 
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北海道胆振(いぶり)東部地震とブラックアウト 同じレベルの地震が泊原発近辺に起きたらどうなるのか 今回の地震によるブラックアウトを機とした原発再稼働の策動を許すな! 佐藤英行(後志・原発とエネルギーを考える会)

◎ 9月6日午前3時8分、突如襲った胆振(いぶり)東部地震。それに続く北海道全域295万戸の停電。初めて経験するブラックアウト。
 この地方に、石狩低地東縁断層帯の主部と南部があり、南部が今回の震源地近くとなっているが、今回の地震はこの活断層との関係はないと結論付けている。深さ37kmにある活断層が震源によるものと考えられている。
 石狩低地東縁断層帯何布活断層の長さは45km以上でこの断層による30年以内地震の発生確率は0.2%以下とされておりやや高いグループに位置する。

◎ ブラックアウトの直接的な原因は厚真火力発電所3基165万kwが地震により停止したことである。この発電所は北海道の電力の約半分を供給していた。
 需要と供給がバランスを取って電力を供給していたが、厚真火発がストップしたので残りの発電所では賄いきれず、このまま稼働を続ければ発電所そのものがが破壊されてしまうことになる。そしてすべての発電所が停止した。
 この地震で多くの自然災害が起き、ブラックアウトで日常生活に大きな影響をもたらした。信号停止により公共交通機関のストップ。給油所がストップ。自家発電で営業しているところには長い行列。
 当初、厚真火力の復旧は1週間程度としていたものが、全面復旧が11月以降となった。

◎ 「泊原発が運転していればブラックアウトはなかった。十分な電力供給はできていた」いう輩があちこちで現れてきた。
 そして、当初、厚真火力の復旧は1週間程度としていたものが、全面復旧が11月以降と政府発表。ここに泊原発再稼働をもくろむ作為があると指摘する者もいる。

◎ 目を泊原発に移してみると、泊原発のある積丹半島西岸には海底活断層70kmの存在が指摘されている、原発敷地内には北電が活断層ではないことを証明できていない11本の断層があり、福島第一原発事故後に作られた6.5mの高さの防潮堤は盛土でありその下は崖を崩して作られた敷地なので規制委員会から液状化現象による影響を指摘されている。
 9月6日3時8分ごろおきた胆振東部地震で泊原発に3系統から来ていた外部電源が3時25分喪失した。
 1〜3号機の各プールには1527体使用済み核燃料や新核燃料が貯蔵されており、これらを冷却するために非常用発電機6台が起動し冷却を始めた。
 9時間半後、優先的に1系統からの電源が確保された。
 これが運転中だったらと思うとブラックアウトによる最悪の事故が起きうる原発の恐怖を感じた。
 同じレベルの地震が泊原発近辺に起きたらどうなるのだろう。
 海底活断層70km、11本の泊原発構内の断層群、脆弱な防潮堤。
 ただ壊れるだけではなく、電源の喪失、破壊されたことによる放射能の外部放出。冷却不能によってのメルトダウン。発生した水素による水素爆発。環境に出される大量の放射性物質。これらが無謀な夢想ではなく現実に起こりうるのだ。
 避難しようにも燃料はなく、避難バスは動かず来ない。食料も流通しなく日常生活は破壊される。

◎ 福島第一原発事故で私たちはその苦しみ、悲しみ、悔しさを学習したはずである。地震による自然災害に対して英知を集めた対策は考えられるが、原発が破壊された原発災害については原発を止めることが前提である。
 しかしながらすでに始末に負えない核燃料、使用済み核燃料をかかえている。今回のブラックアウトを教訓として、発電所を集中させるのではなく分散されることの教訓を得たが、多様な発電方法も考慮すべきであるが、そこに原発を入れてはならない。
 これも今回の地震によるブラックアウトが示した。
 今回の地震によるブラックアウトを機とした原発再稼働の策動を許すな!!


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